マインドフルネスについて、

バラバラに入っていた知識がこの方の説明を読んで、

ようやくつながった。

公開して下さった阿部貴子さまに感謝。

(以下、抜粋引用メモしています。 色づけ・改行など改変あり。)

引用元:[PDF]現代の仏教瞑想
現代の仏教瞑想―― マインドフルネス(気づきの瞑想)について――阿部貴子(2009年)

 

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一、アメリカのエンゲイジド・ブッディズムと瞑想

 

「エンゲイジド・ブッディズム(Engaged Buddhism)」。

 

六〇年代にベトナム僧ティク・ナット・ハンが使用したタームをもとに、

社会貢献や社会活動を実践する仏教を総称した用語で、

南アジアや東南アジア、欧米に起こった一種の宗教的動向を指す。

 

・・・・・仏教者が布教や教化活動にとどまらず

広く一般社会のために活動することを

特に重視する姿勢と見なされている。

 

・・・・・

「・・・・二〇世紀~二十一世紀のエンゲイジド・ブッディズムは、

地域的なボランティア活動、地域的・国際的なネットワーク、社会活動や運動としてのグローバルなNGOといった、新しい対抗文化を形成している。」

 

アメリカの仏教は概して、現代の仏教瞑想反キリスト教的、反体制的意識の盛り上がりのなかで流行したブームであった。

 

ビート世代、ヒッピー世代においては、

東洋の神秘のなかに自己の精神的高揚を求め、

社会や地域を構成しているキリスト教的文化や制度に対抗する体質をもっていた。

 

七〇年代になると、仏教を自分たちの文化として捉えなおすようになり、

ベトナム戦争が長期化するにつれて、

禅センターのなかで自己の恍惚のみを求めるのではなく

社会的に活動していこうという意識が芽生えるようになる。

 

そして禅センターなどでは、

日本人開教師ではなく

アメリカ人改宗者や在家修行者が指導的役割を担うようになっていった。

 

八〇年代には仏教の大衆化がなされるにつれて、

これまで明るみにならなかった

指導者によるスキャンダルが発覚する。・・・・・

 

九〇年代になると、

その反省からいくつかのセンターでは、

権威的地位を設けず、

多数の指導者が名を連ねる一種のサークルのようになる。

 

アメリカでのエンゲイジド・ブッディズムは、

このような仏教のアメリカ化、大衆化というプロセスを経て起こってきた。

 

今日エンゲイジド・ブッディズムを掲げる最大の団体「ブッディスト・ピース・フェローシップ(Buddhist Peace Fellowship)」などは、

 

様々な仏教集団の教師ネットワークを作成し、

クリーンでオープンなセンターの構築に努めている。

 

・・・・リーダーたちは総じて瞑想修行と

社会活動の双方のバランスを取ることを理想と見なしている。

 

ティク・ナット・ハンが、

自らの心の平穏が社会全体の平和へと繋がることを主張し、

 

ゴエンカが瞑想を用いて

インドの仏教改宗者たちに慈悲や忍耐などを指導したことは、

彼らの活動の手本となっている。

 

こうした活動のなかで、

瞑想修行は

もはや個人の悟りや解脱、非日常的境地へ到達するためだけの手段

ではない。

 

アメリカの寺院やセンターでは概して、

禅の系統であれば禅、

テーラバーダ系統であればヴィパッサナーの瞑想指導を行うが、

 

それらをアルコールや薬物中毒の治療として応用したり、

刑務所での精神修養、スポーツ選手への集中力強化、

企業でのストレス緩和の手段としても利用している。

 

こうした活動のなかで最も注目されている瞑想法、

それがマインドフルネスである。

 

二、マインドフルネスの普及の背景

 

マインドフルネス(mindfulness)とは、

仏教用語のサティ(sati, smRti, 念)の英訳で、

「いま」という瞬間に気づき、

意識を集中させることと言われている。・・・

 

(一)アメリカにおけるテーラバーダ仏教とヴィパッサナー瞑想

 

〝マインドフルネスはテーラバーダ仏教のヴィパッサナー瞑想である〟

という解説を見ることがある 。

 

瑜伽行派文献研究に従事する筆者には、

その意味がよく理解ができなかった。

 

インド文献における「観(ヴィパッサナー)」は

「止観」という一連の瞑想法として重視されており、

テーラバーダ仏教に限ったものではない。

 

しかも「念(マインドフルネス)」は

「観」のみに関係するわけではないからである。

これは次のように理解すべきである。

 

つまりヴィパッサナー瞑想とは、

テーラバーダ仏教に伝わる修行法のなかで、

近代になってミャンマーにおいて大衆化され

 

他のテーラバーダ仏教圏や

インドや西洋諸国にも伝わった瞑想法のことで、

西洋的にアレンジされた短期集中型プログラムを含む。

 

この瞑想の典拠は

主に「念(マインドフルネス)」を説く

『入出息念経』(MN, 11 8)と

『念処経』(MN.10; DN.22 )である。

 

そのため、

マインドフルネスこそが

ヴィパッサナー瞑想のエッセンスというわけである。

 

ヴィパッサナー瞑想は、

もともとビルマ(ミャンマー)において、

僧侶が山林修行の際におこなう瞑想法の一部であり、

その原型はレディ・サヤードー、 

マハーシ・サヤードーなどによって継承されていた。

 

パーリ語に長けていたレディ長老は、

経典等を在家信者たちに簡潔に教えるなかで、

僧侶の行う瞑想法の一つであるヴィパッサナー瞑想を

シンプルな形で指導するようになった。

 

ヴィパッサナーの大衆化という流れの中で

マハーシ長老は、

一九四八年に樹立された新政府のもとヤンゴンに瞑想センターを創設した。

 

さらにスリランカ、タイでのセンター開設に携わり、

西洋諸国においても数々のセンターを立ち上げた。

 

彼は、テーラバーダ仏教の伝統である儀式や唱文や布施行などを重視せず、

ヴィパッサナーに焦点を当てた

数週間の集中瞑想修行をおこなった。

 

一方、レディ長老の弟子で農夫だったサヤ・テトジ(Saya Thetgyi)は、

初めての在家出身の教師となり、

一般信者向けのプログラムを設定し、

十日間の集中コースを設けて活動をはじめた。

 

彼の弟子のひとりが、サヤジ・ウ・バ・キン(Sayagyi U Ba Khin) である。

国家独立後、最初の経済相を務めた政治家でもある。

 

彼は一九五二年に

ヤンゴンにインターナショナル・メディテーション・センターを創立し、

ビルマの在家信者のみならず、

多くの西洋人も彼のもとを訪れた。

この施設は今日でもイギリスを中心に世界六ヵ所で運営されている。

 

彼の弟子に、インド系移民のS.N.ゴエンカ(S.N.Goenka)がいる。

ゴエンカは一九六九年にインドで指導を開始し、

十年後にはインド国外でも行った。

彼が養成した多くの指導者たちも世界中で活躍し、

瞑想センターは日本も含め世界中に設立された 。

 

こうした指導者たちは、

テーラバーダ仏教自体の布教や開教に関心をもたず、

いかなる宗教に属する人々でも、

興味のある人には自由にその瞑想法を指導した 。

 

こうしてイギリスを始めとするヨーロッパ諸国に続き、

アメリカにもヴィパッサナーが流行する。

 

・・・・・

これほどまで浸透した背景には、

身近なリーダーの存在と、

教義の簡素さと、

伝統的組織仏教でないという要素が挙げられる。

 

日本人指導者によって禅が普及し、

チベット人僧侶によって仏教の神秘性が紹介された状況とは異なり、

アメリカ人が海外で得たものを自国で流行させた。

一般の人々にとってはより身近である。

 

教義はブッダの説いた仏教教理を根本とし、

宗教的シンボルや儀礼や慣習は排除されている。

 

瞑想に参加する修行者たちは、

僅かな経文や偈頌を携えるものの、

仏教的象徴を崇拝したり特別な衣服を身に着けることもなく、

 

自らの心的な問題である劣等感、嫉妬、怒りなどの抑制に専念する。

 

その姿は修行者というよりも、

まるでセラピーを訪れる患者のようだという 。

 

アメリカでヴィパッサナーを普及させた人物に、

J.ゴールドスタイン(Joseph Goldstein)、

J.コーンフィールド(Jack Kornfield)がいる 。

 

ユダヤ系のゴールドスタインはコロンビア大学を卒業後、

タイでボランティア活動をしていた際に初めて仏教と出会い、

その後インドに住んでゴエンカ等の指導を数年に亘って受けていた。

 

コーンフィールドも大学卒業後タイで活動し、

そこに住みタイの森林僧アチャン・チャー(Ajahn Chah)に師事し僧侶となる。

 

・・・・

 

瞑想プログラムのなかで根幹となるのが、マインドフルネスである。

修行者は『入出息念経』と『念処経』に説かれる方法を指導される。

 

ここで両経典の概要を述べておくと、

『入出息念経』では

最初に十六種の方法で入息出息に念をとどめることが説かれる。

 

・・・・そのうち最初の四種では、

身体行為としての実際の呼吸の動きに気づきながら呼吸する。

 

次の四種では・・・・(略)

 

このように呼吸をしながら

四念処ともいわれる身・受・心・法への念をとどめるのである。

 

『念処経』においては、

呼吸とは別に四念処を修習することが説かれる。


「身念処」については、・・・・

「受念処」は・・・・

「法念処」は・・・(略)

 

このなかで、

ヴィパッサナー瞑想が特に重視しているのが、

 

一連の呼吸法と、

姿勢や身体の動きに気づきながら動作をすること、

 

そして瞑想中に自身へ入ってくる

匂いや音、浮かんでくる雑念など、いずれかに意識を止めることなく、

 

現れては消えてゆく対象に意識を向けるということである。

 

(二)ストレス療法としての普及

 

マインドフルネスは、ヴィパッサナー瞑想の根幹であるが、

これが今日のように単独の用語として注目されるようになったのは、

ストレス療法としてそれを利用した

ジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)の活動によるところが大きい。・・・・・

 

カバットジンは、一九七九年、マサチューセッツ大学医療センターに「マインドフルネスに基づくストレス低減センター(The Center for Mindfulness-Based Stress Reduction; MBSR)」を開設した。

 

実際のMBSRのプログラムはどのようなものかというと、

対人関係や仕事などでのストレス、慢性的な痛み、不安やパニック障害、睡眠障害、疲労、高血圧、頭痛などを持つ人々が対象で、

 

八週間で毎週一日二時間半のクラスが用意されている。・・・・・


このプログラムを指導するのは

クリニックを訪れる患者に対してばかりではない。

いまや受刑者、教育者、会社経営者にも及ぶ。

特にスポーツ選手の精神修養としても知られている。・・・・・

 

・・・カバットジンの影響によって多くの指導者が生まれている。

カバットジンは一九九五年に新しくCenter for Mindfulness in Medicine, Health Care, and Society も開設し、

患者への対処ばかりでなく、

次世代の指導者養成、研究者や学者による研究会議の運営、

教育現場でのプログラム作成を始めた。

 

また、認知療法で著名なティーズデール(J. D. Teasdale)が

うつ対処法としてマインドフルネスの有効性を発表したことで 、

今日ではさらに多くの学問的関心が彼のもとに寄せられている。

 

(三)ティク・ナット・ハンの活動

 

マインドフルネスは

テーラバーダ仏教のみに伝わるものではなく、

禅や止観の根本的な瞑想法として長く受け継がれてきたものでもある。

 

ヴィパッサナーの流行と時を同じくして、

また別の方向からもその瞑想への関心が起こる。

それがティク・ナット・ハンが提唱したマインドフルネスである。・・・・・


アメリカで二十五万部以上が売れたという

( 『The Miracle of Mindfulness』(一九七五)では、

 

マインドフルネスという用語を使用し、

気づきながら行う呼吸法や歩行瞑想、

身体が五蘊によって成立していることへの気づき、

不断に移り変わる心への気づきを紹介した。

 

また、五戒の現代的解釈として

「生命に敬意を払う」

「寛容になる」

「性的責任を果たす」

「深く耳を傾け愛をこめて話す」

「意識的な消費をする」ことを提唱してきたが、

 

最近ではそれらを「五つのマインドフルネス・トレーニング」として、

単に戒めではなく日常の瞑想法として紹介している。・・・・・・

 


まとめにかえて~日本における関心

 

アメリカでの流行にともない、

日本でも「マインドフルネス」「気づきの瞑想」という言葉を、

一般書物等で目にするようになった。

 

それはティク・ナット・ハンの著作の邦訳が出版されたり、

井上ウィマラ、A.スマナサーラ両氏が

ヴィパッサナーやテーラバーダ仏教の瞑想法を

現代的に解説していることが大きく影響している。

また、これを日本のスピリチュアル文化の要素と捉える見方も現れている。

 

伊藤雅之氏はマインドフルネスをヨーガとして理解しながら

「スピリチュアル文化の根底にあるのは、

 

「いま、ここ」や「気づき/直感」や

「ありのままの自分」を重視する

現在志向で

表現主義的、自己肯定的な世界観である」と述べている。

 

また、宗教とは別なところでも多くの関心が寄せられている。

 

アメリカを中心に認知行動療法の技術として研究され、

その成果が近年日本に紹介されたことで、

行動療法の分野で認知度が急激に高まった。

 

二〇〇五年には

S.C.ヘイズ等による

『マインドフルネス&アクセプタンス―認知行動療法の新次元』の和訳が

出版された。

 

ここでは、

新しい行動療法の一つの要素としてマインドフルネス認知療法を紹介し、

 

カバットジンが作成した技術についての理論構築、

各疾患に対する個別の有効性の証明、新たな可能性を議論している。

 

特にうつ病の再発・反復防止に有効とされるのが、

「脱中心化」した視点を身につけること、

 

つまり瞬間瞬間の行為や感情をとらえ、

それらが心のなかで創造されて消えていく

些細なことにすぎないと気づくことであるという 。

・・・・

さらに、今日の科学技術によって、神経伝達物質や神経構造活性や脳血流などの生理機能に及ぼす影響についても検証されている 。

 

カバットジンも他の指導者たちも

テーラバーダ仏教の特定の系統に所属し、

その伝統を継承してきたというよりも、

様々な指導者のもとを行き来して、

すでに流行していた禅やチベット仏教、

ハタヨーガに影響を受けながらも、

この瞑想に落ち着いたという経歴をもつ。

 

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今までに拝見したサイトやブログ:

 

Category:各国の仏教 - Wikipedia

仏教へのいざない- 東京大学仏教青年会(連載18回)

再考仏教伝来- 東京大学仏教青年会(連載30回)

ベトナム仏教について - Buddhachannel

 

ティク・ナット・ハン - Wikipedia

ティク・ナット・ハン マインドフルネスの教え

 

日本テーラワーダ仏教協会

鎌倉稲村ヶ崎にある一法庵、One Dharm Forum
 

プラユキ・ナラテボー師 「よき縁ネット」

ヒビノケイコの日々。人生は自分でデザインする。

浦崎雅代のタイの空(Faa)に見守られて

 

過去の関連記事: 「楽天主義セラピー」の本のメモ

 

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2017.4月 記
 
この記事は、過去のブログから移したものです。

 

 

 

 

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