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2012-02-13 01:25:10

新手のアトラクション

テーマ:草下日記
引っ越そうと思って、
不動産に行ったら小太りの営業マンが凄まじいキャラだった。

私「この街、雰囲気いいですね」
営業マン「そうですか……僕はゴミゴミしてて嫌いなんです」
「えっ!」私が驚いていると、彼は自分は田舎出身で人が多いところは嫌いだと話し始めた。
「東京って人が多くて疲れちゃいますよね。私も田舎者なので分かります」
なんでフォローしてるんだと思いつつ話を合わせたが、
彼は上の空で私の話をシカトする。

しばらく無言で近くにあるという物件に向かって歩いたが、
なにか話さなきゃと思い、正面に池袋のサンシャインビルが見えたので、
「あれってサンシャインですかね?」
とわざとらしく話しかけると、
しらっと「いや、違うと思いますよ」
いやいや絶対サンシャインだってと思いつつ、
「そーですか、サンシャインっぽいけど」と言うと、
「スマホで調べましょう」と携帯をいじりはじめて、
不満そうに「方向的にはサンシャインですね」と答える。
とんでもない接客だが、不思議とムカつきはしない。
妙な愛嬌がある。

「もう少しですから」と言われ横断歩道を渡ろうとすると、
突然スーツのポケットを探りはじめ、
「あれっ、あー」と慌てた顔に。
案の定「すいません、鍵、事務所に忘れちゃいました」

事務所に戻ると言うのでどうすればいいかと聞くと、
50メートルほど先のセブンイレブンを指差し、
「あそこで立ち読みでもして待っててください」
「……あ、はい」
10分ほど、ポカーンとしながら立ち読みをしていた。

自転車に乗って現れた彼につれられて見せられた物件はあまり良くなかったので、早々に引き上げる。
帰り道、彼が口を開く。

「原発とかまだ怖いですから、僕、東京離れようと思ってるんです」
呆気に取られつつ「引っ越すならどこに行くんですか?」と聞くと、
「嫁さんの実家が福岡なのでそっちのほうに」という答え。
不動産屋なのに東京出るとかって言うんだとか、結婚してたんだとか、
ズボンの裾長くてめっちゃ踏んでるとか、頭の中でぐるぐる考えつつ、
「それがいいかもしれませんね、向こうに行ってもがんばってください」と答えてしまう。
「ありがとうございます。本気で考えようかな」
「でも、向こうに行って仕事ってあるんですか?」
「厳しいかもしれないですねー、でも、また同じ仕事探しますよ。僕、これしかできないんで」
「は、はあ」
なにもかもが新鮮なアトラクションのようでした。

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