ポイント式ディストリビュータ
上の画像は、1977年 シトロエン CX2400 PALLAS 、後輪が半分覆われているのが印象的です。
もうすぐ車歴30年を迎えようかというおクルマなのですが、外観には特に錆もなくまだまだピカピカ♪
ですが日常の足として現役で使っておられるとのこと。 整備を含め余程手入れをされているのでしょうね。
それもそのはず、親子孫三代で乗り継ぐ決心をしておられるのだそうです。 素晴らしい!
そのような美談をお聞かせ願えたのも、長きに渡ってブログを書き続けてきたお陰でしょうか。
実はこのシトロエンオーナーの方は、私のブログ更新を楽しみにして常々読んで下さっているそうで、
近くにお住まいのこともあり、以前にも一度お立寄りになられ WAKO'S ESC を御購入頂いておりました。
そしてこの度、時々エンストするとの御相談があり初めておクルマ拝見と相成った訳であります。
右の画像は、ディストリビュータの中身。
今回エンジン不調の最大の要因はここであろう
との直感を信じ、徹頭徹尾調べ尽くしました。
非常に古風なニ分割タイプのポイント点火式。
バキューム進角なしのメカニカルガバナのみ。
一番最後までポイント式のままだった4ナンバー貨物が
まだ頑張って駈け回っていたのは1980年代までのこと。
だから経験数15年未満の整備士にとっては、テスター
を用いずにギャップ間隙目視だけで一発ポイント調整!
などというのは、普通ならちょっと無理かも知れません。
しかし幸いなことに、弊社のお得意様の中には今でも
ポイント仕様の三菱ミニカ H14V にお乗りの方がおられ
6ヶ月毎にご入庫して下さるお陰により、私はまだ若輩
ですがそこそこの熟練度を得る事が出来たのです。
また、このような時に何よりもありがたいと思うのは、健全な視力を全く失っておらず物がよく見えるということでしょう。
今でも裸眼で両目 1.5 というのは・・・ こんなふうに生んでくれた両親に大感謝♪
さて、このタイプのディストリビュータの注意点を述べてみましょう。
A) ポイント関連のメンテナンス ( フルトラ化すると解消する項目 )
接点の荒れ、当り具合、ギャップ ( ドエル角 ) 、グリス塗布量、取付の状態、配線・アース
どれ一つ見逃すことなく注意深く観察し、適正な状態に管理する必要があります。
中でも特筆事項はグリスに関して。 ポイント接点は油脂分を非常に嫌います!
しかし整備士という稼業をしていると、判っていても極少量のグリス塗布では不安になります。
結果ついつい塗りすぎてしまい、熱と遠心力によってディストリビュータ内がオイルまみれに。
余分な古いグリスは全て拭取り 新品グリスを必要最小限だけ塗布 するのが正解でしょう。
新品ポイントキットに添付されている専用グリスも、今となっては超貴重品かも知れませんね。
私のキャディーの中には未開封のものがまだ残っているのですが、それもあと5袋のみ。。
B) 進角装置 ( フルトラ化しても解決出来ない項目 )
固着およびガタがなく、円滑に作動するかどうか。 これは案外と盲点になり易いようです。
メカニカルガバナは構造上グリスを必要とするのですが、それは前記A項に矛盾します。
ですのでトラブルでも発生しない限り、通常のメンテナンスではまず注油作業は行いません。
以上の理由から、この部分は固着や摩耗が起りやすい宿命にあるようにも思います。
また、遠心力とバランスをとっているガバナスプリングの折損や衰損なども要注意。
点火時期をモニターしながらエンジン回転数を変化させると、おおよそのことが見えてきます。
と、このような流れで手が届く範囲内で可能な限り、点検・清掃・修正・脱脂・注油・調整を行ったのでありますが・・・
既に大きな内部のガタが出来てしまっているようであり、アイドリングで点火時期が前後10度ほどもバラつきます。
これでは急激なアクセル操作をした時に非常に都合が悪いことになってしまうのですね!
私は今回、正規の点火時期を無視して最も調子の良い位置でセットしたのですが果してエンスト解消なるでしょうか。
もしダメならば、新品ディストリビュータの調達は相当難しいらしいので再び頭を悩ませることになりそうです。。