tobiのブログ

 フリーランスの編集者兼ライターです。
 主として日本語関係のことを書いています。


テーマ:

 下記の仲間。 
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【17】 
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1950899196&owner_id=5019671 

mixi日記2016年09月03日から 

 テーマサイトは下記。 
【乗りかけた船には、ためらわずに乗ってしまえ】 
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9404875.html 
==============引用開始 
【質問1】 
イワン・セルゲーエヴィチ・ツルゲーネフの名言に、「乗りかけた船には、ためらわずに乗ってしまえ」というものがありますが、「乗りかけた船」とは、まだ船には乗っていないということで間違いないでしょうか。 

(注)例えなので、実際に船に乗りかけたということではないのですが。 

【参考サイト】 
http://www.jlogos.com/d006/5450027.html 


【質問2】 
「乗り掛かった船」の場合は、もう既に船に乗ってしまっているということで間違いないでしょうか。 

(注)例えなので、実際に船に乗り掛かったということではないのですが。 

【参考サイト】 
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/172544/meaning/m0u/%E4%B9%97%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F%E8%88%B9/ 
『大辞泉』「乗(の)り掛(か)かった船(ふね)」 
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/172543/meaning/m0u/ 
『大辞泉』「のり‐かか・る【乗(り)掛(か)る】」 
http://kotowaza-allguide.com/no/norikakattafune.html 
『故事ことわざ辞典』(乗り掛かった船) 
http://www.jlogos.com/d005/5552116.html 
JLogos(乗りかかった船【のりかかったふね】) 
==============引用終了 

 質問者がいろいろ調べているのに、回答者は主観で答えているのだろうか……。 
 辞書をひいてもホニャララなことをわかった上でやっているなら話が別だけど。 
 非常に入り組んだ話なので、クド~めに、順番に書く。 
「乗りかかった船」は比喩的な表現なので、解釈がまぎれる気がする。とりあえず「船」を外して動詞で考えたほうがよいのでは。慣用句に関して考えるのはそのあとの話。 
『大辞泉』の引用は末尾に。 

「乗りかかる」はそれで一語。 
 3つの意味があるらしい。 

1 上に乗って、からだを寄りかからせる。「―・って押さえつける」 
 これは今回の話とは無関係だろう。「のしかかる」なんかと似ている。「鯨が乗りかかった船」は可能かもしれない。とっても危険。逆に、岩に「乗りかかった船」も危険だけど。それは座礁(笑)。 
2 乗り物に乗ろうとする。乗りかける。「タクシーに―・ったところをつかまえる」 
 意味のひとつに「乗りかける」があることに注目。「乗ろうとする」(まだ乗っていない)の意味なら、「乗りかかる」でも「乗りかける」でもほぼ同義ってこと。 
3 物事をしはじめる。「―・った以上あとにひけない」 
 これが今回の意味。あくまで比喩的な表現であり、実際に乗ったか乗る寸前なのかは微妙。 

 一方「乗りかける」は「乗る」に「~かける」がついた形だろう。 
「~かける」の意味は、〈㋐…しはじめる、途中まで…する、今にも…しそうになるの意を表す。「言い―・けてやめる」「死に―・ける」〉。 

「乗りかける」という語も収録されているが、「1」は↑の「乗り」+「かける」と同じこと。あえて収録する意味がわからない。「2」は別の意味です(「乗りかかる」の「1」と同様)。 
 たとえば「食べる」と「~かける」が載っていれば、「食べかける」は必要ないはず。ところがWeb辞書はこういう複合語も片っ端から収録している。前に見たのはなんのときだったろう。きっと親切心からなんだろう。収録語数の水増し、なんて毒を吐いてはいけません。 

 ここで考えなければならないのは動詞の種類のこと。 
「~かける」には2つの意味がある。 
1)…しはじめる(途中まで…する) 
2)今にも…しそうになる 
 すべての動詞につく「~かける」が2つの意味をもつわけではない。 
 おおざっぱに言って、動詞には「瞬間(的な)動詞」と「継続(的な)動詞」がある。
「発売する」(瞬間動詞)と「販売する」(「継続動詞」)で比べるとわかりやすいだろうか。 
「乗る」などの動詞は「瞬間動詞」。「継続動詞」にするのは、「乗っている」などにする必要がある(ウーム。なんておおざっぱな書き方だろう)。 
「食べる」も「瞬間動詞」だが、「継続動詞」的な性質ももっている。「ひと口で食べる」行為は「瞬間」だが、食事になるとある程度の時間は「継続」する。 
 だから、「食べかける」は「今にも…しそうになる」と「…しはじめる(「途中まで…する)」との両方の使い方ができる。最初のひと口をまだ食べてなければ、「今にも食べそうになる」(まだ食べていない)で、これも「食べかける」。半分くらい食べた状態も「食べかける」。 
 一方、「乗る」は「瞬間動詞」なので、は「乗りかける」(「乗りかかる」も同様)にすると、論理的にはヘンなことになる。 
 強引な例外を考えることはできなくはない。乗船までの通路やタラップが異常に長い場合は、その途中であれば「乗りかける」だろう。あるいは「乗る」人が大勢いる場合は、「乗船中」(乗りかけている状態)も可能。だが、個々の「乗る」はあくまでも「瞬間動詞」なので、「乗りかける」はありえない(船に片足を載せた状態を別にすれば)。 
 タクシーに乗り込もうとした容疑者が体半分入れたくらいで警官がタックルして取り押さえたら「乗りかけた」「乗りかかった」容疑者を逮捕、と言えるかもしれない。でも「まさに乗ろうとしていた」とか表現するだろうな。 

 では「乗りかかった船」はヘンな用法かと言うと、これは慣用句だろう。慣用句だと、文法的にヘンなものはけっこうあるから、文句をつけてもしかたがない。 
『大辞泉』の「乗りかかる」の項にも〈3 物事をしはじめる。「―・った以上あとにひけない」〉という意味と用例がある。一種の超法規的な措置だろう。これを「乗りかける」と言えるか否かは当方には判断できない。誤用、誤訳の類いって気がする。意味が同じだからと言っても、ムヤミに慣用句を言いかえてはいけない。 
 質問者がひいた慣用句辞典の類いも、ほとんどが「のりかかった船」にしている。 

 で、本題の結論。 
「乗りかかった船」は、慣用表現。「乗りかけた船」はかなりあやしい。 
 慣用句で「物事をしはじめる」というあくまで比喩的な表現であり、実際に乗ったか乗る寸前なのかは微妙。というより、考えてもあまり意味がない気がする。 
 ただし、文法的には「瞬間動詞」の「乗る」を使った「乗りかける」(「乗りかかる」も同様)は〈2)今にも…しそうになる〉だろう。乗り終えてはいないのだから、「まさに乗ろうとする」という解釈が素直。 
〈1)…しはじめる(途中まで…する)〉や、「すでに乗っている」という解釈は苦しい。「乗る」動作の途中まで完了、というのは不可能ではないが不自然だろう。 


 文法的に考えるとおかしな慣用句なら、下記が充実している。

【論理的には説明できない「矛盾語」たち──日本語はむずかしい】 

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1361680018&owner_id=5019671 


https://kotobank.jp/word/%E4%B9%97%E6%8E%9B%E3%82%8B-597529#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 
==============引用開始 
デジタル大辞泉の解説 
のり‐かか・る【乗(り)掛(か)る】 

[動ラ五(四)] 
1 上に乗って、からだを寄りかからせる。「―・って押さえつける」 
2 乗り物に乗ろうとする。乗りかける。「タクシーに―・ったところをつかまえる」 
3 物事をしはじめる。「―・った以上あとにひけない」 
==============引用終了 

https://kotobank.jp/word/%E6%8E%9B%E3%81%91%E3%82%8B-461286#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 
==============引用開始 
デジタル大辞泉の解説 
か・ける【掛ける/懸ける】 

[動カ下一][文]か・く[カ下二] 

32 他の動詞の連用形のあとに付いて用いる。 
㋐…しはじめる、途中まで…する、今にも…しそうになるの意を表す。「言い―・けてやめる」「死に―・ける」 
==============引用終了 

https://kotobank.jp/word/%E4%B9%97%E6%8E%9B%E3%81%91%E3%82%8B-597533#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89
==============引用開始 
デジタル大辞泉の解説 
のり‐か・ける【乗(り)掛ける】 

[動カ下一][文]のりか・く[カ下二] 
1 乗ろうとする。また、中途まで乗る。「車に―・けたところで用事を思い出す」 
2 乗り物などが他の物に衝突して、勢いあまってその上に乗る。 
「船ヲ―・クル」〈日葡〉 
==============引用終了 

http://dic.search.yahoo.co.jp/search?ei=UTF-8&fr=kb&p=%E3%81%9F%E3%81%B9%E3%81%8B%E3%81%91%E3%82%8B&dic_id=all&stype=full 
==============引用開始 
デジタル大辞泉の解説 
たべ‐か・ける【食べ掛ける】 

[動カ下一][文]たべか・く[カ下二]食べようとする。食べはじめる。また、途中まで食べる。「―・けて席を立つ」 
==============引用終了

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