ブログネタ:爽やかな恋愛と、昼ドラ系のドロドロ恋愛、どっちがしたい? 参加中

そりゃできることならドロドロなんかしたくないですよ。
自分に関係ないところのドロドロを見るのは面白いですけど。
ちなみにドロヘドロを読むも面白いですけど。
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今、漫画家はダチョウ倶楽部以上に「訴えてやる!」ブームです。どこもかしこもドロドロです。
原作者や、企画を主導したアニメ会社との訴訟沙汰自体はそんなに珍しいことではありません。
昔からちょこちょこあったものではあるんですけど。ヤマトとかキャンディ・キャンディとか。

昔はマンガは一人で全部描いてるものだと思われてたようです。
人によってはアニメも描いてて大変ですね、みたいな。一般の人にとってはそんなものなんでしょう。

今はもう、背景などはアシスタントが描いてることは周知の事実となっています。
それどころか、先生がほとんど描いてないなんて場合も結構あるんですけど。
これは業界内では常識ですが、さすがに一般の人はそこまでは知らないような。
それでも昔はかなりの部分を作家さんが描いてたことは事実で、そこで成功してプロダクション化して、スタッフに安定した給料を払えるようになった作家さんだけが可能な方法です。

原作者の部分も、まだまだ世間的にはブラックボックスです。
原作者と銘打っていても、単なる名義貸しの場合もあり、一話ごとネームまでつくりこんでる場合、文章だけの場合、脚本のようにセリフや構成まで細かく指定してある場合、原案だけの場合、取材や資料集めメインでストーリーにあまりタッチしえない場合、ほとんど書いてない場合、書いてるけど使い物にならなくてほとんど書き換えてる場合、一言一句変更を許されない場合など様々です。単に小説一冊渡されるだけのこともあるし、一概に原作付きの仕事とはどうこうとかは言えません。

ただ、どの場合でも実際に漫画になってる以上、漫画家さんの仕事が減るものではありません。
作画には時間がかかるし、アシスタントの人件費もかかります。
一晩で小説を一冊書き上げる、みたいな話はありますが、漫画で一冊分は不可能です。
一面の群集も廃墟も、文章では一文でも絵に描くと丸一日かかります。

それで印税が半分とかだと、作業量に対して割が合わない、だから基本的に作家のほうが印税率が高い、というのを私は聞いてしました。ですがそれもケースバイケースであり、よその事情は分からないのは現状です。もめる可能性も分からないではありません。

そして、この原作者に当たる仕事と全く同じことを編集者がやってる場合があることも、最近知られるようになってきましたが事実です。この場合印税は発生しませんから、売れた場合は漫画家総取りですし、こけた場合も食い詰めるのは漫画家だけです。そういう話はいくらでもある、というのがこれまでの業界内の常識でした。

結局この手の問題は、実際のところ裁判では解決しないと思います。なぜなら立証できないからです。
この原作は使ってないから支払う価値はないのか、しかし採用されなかった原作あっての改良案なのか、それをした場合の数字としなかった場合の損害額など証明しようがありません。例え名義貸し原作でも、それで読んでくれる読者が増えたなら価値はありますし、とこんなことを暴くこと自体が読者に対する裏切りみたいで嫌なんですが、それも事実です。

ですから本来、原作が書かれなくなった場合には名義を没収し別のライターを使う、とか契約でもしてればよさそうなものですが、それだったらわざとひどい原作を渡して「私は書いた、使わなかったそっちが悪い」と言うこともできますし、ヒットした場合は原作者をはずそうとしたら作品の著作権でもめて名義使用の停止をちらつかせたりも、その気になればできます。だいたい原作が漫画として使い物にならないなんて裁判官が分かるわけないですし。

そして、これが編集者の場合、印税率でもめることはありませんが、例の陳述のように「この編集のせいで話がおかしくなった」というのは実のところ証明できない、というか、ハッキリ言って漫画家だったら誰でもそう言うことを多かれ少なかれ言うものです。もしそれを本気で損害として証明するためには、どこまでが漫画家個人の力でどこからが会社の力だったかを証明しなければいけなくなります。どこが編集の案でよくなったのか、どこがその売り上げに繋がったのか。そんなもの立証できるわけがありません。もしかしたら作家の好きに描かせたらもっと売れたかもしれない、あるいは全然売れなかったかもしれない。たられば論にしかなりません。

また、これは原稿料の話でも同じことが言えます。ある雑誌の原稿料の相場が低い、と言われたときに、素人目には「何千万部の作家がその原稿料だと安い」と一律で言いますが、仮に同じ作品がもっと原稿料の高い他の雑誌に載ってたとして、果たして同じ数字売れたのか、特に週刊と月刊は月産枚数も違い、相場なんてものが通用しません。生産速度が速ければ部数は大きくなるに決まってるんです。雑誌が露出を増やして知名度を押し上げたり、編集以外にもいろんな部署の人が作品をヒットさせよう、部数を伸ばそうと動き回った結果の数字が世に出るし、その数字分の収入を個人で得ることができるのです。

そもそも、同じ漫画が他の雑誌に載ってたら、という前提自体が間違ってて、そこの雑誌でつくった漫画は、よっぽど放任の編集方針の雑誌でもなければ、同じ作家が描いたところで同じ作品ができません。
じゃあ、何千万部のうち、何%が会社の力で、何%が作家の力か、あるいはもっと売れてたはずだとか、作品がなければタイアップも営業もしようがないじゃないかと言われればそれまでなんですか、それでもそういう働きを無視して数字は出ないなら、少なくとも損害を主張するなら利益も公表しないと比較考証できず、そしてそれは不可能です。

今回は損害賠償請求ではないのでそこを証明する必要はありませんが、それでもこういうマイナス面の公表であればプラス面の情報も出さざるを得ない、それは業界のダメージを考えると仕方ないのかとも思えます。

そういうのも含めてできることが才能であり、運であり、実力でした。作家も、編集も、原作者も。それがうまくいかないと、こういうことになるんでしょう。

漫画は夢があるものであってほしいので、できればそういう話が表に出ること自体を避けたいと思ってました。今回の件が出たとき、どちらが正しいとかよりも(紛失に関しては賠償しろよ、と思いますが)、そういう部分を心配してたんですが、そういう時代でもなくなってきた証拠かもしれません。これからはアメリカのようになんでも契約書で、あとは裁判で決めろ、となるのでしょうか。それで面白い漫画が読めるならそれでもいいんですけど。

私は作家側の人間ですけど、作家の利益よりも業界の利益、読者の利益を優先したほうがいい場合もあると思っています。読者がいないと存在できない職業なのですから。

プロの原作者になる漫画原作のつくり方

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