ブログネタ:頼むから、気合を入れてくれ! 参加中
リアル 夏こそキアイダー

気合なんて、誰かに入れてもらうもんじゃなくて自分で入れるもんです。

漫画を描くことで生活するようになってからもう長いこと経ちます。
技術や知識などはデビュー当初よりはるかに増えてますが、そういうことが分かれば分かるほど、逆に最後は気合だな、と思うことがあります。
昔のただ気合だけで描いた漫画のほうが面白かったりすると、そういうのは理屈ではありません。
やっぱり最後にキャラに魂を込めるのは、気合です。
作者の気迫がないと生き残れません。


このところ話題になってる原稿料の話。
高いか安いかを単純に人気だけで決められるものではありません。

例えば、同じ広さのお店を借りて商売するとします。
大都市の人通りが多い一等地と、町のはずれにある店舗では、当然テナント料が違います。
同じ広さなのに高すぎる!同じにしろ!と文句を言う人はいないでしょう。
人通りが違えば一日の来客数も違うのですから。

また、同じ人通りでも、例えば銀座にお店を持ってるほうが社会的にブランド力がある、とみなされる場合もあります。信用だったり格付けだったり、それはむしろ世間の人が決めることですが。

そして、逆にさびれた通りに賑わいを呼び戻したいと思ってたら、お金を払ってでも有名な人気の店をそこに呼んできたい、人の流れを引き込んでから、そこに他のお店も出して盛り立てたいと。


漫画でもこれに近いものがあります。
一般的に雑誌の名前が強く部数が多い場合、そこの原稿料は割安になります。
特にデビュー連載だと、作家は無名からスタートして、そこで雑誌を手に取った人に読まれることで知名度を上げて行きます。
人気を獲得し連載が継続すれば少しは上がります。人気が下がれば原稿料も下がるかというと連載自体が終了してしまいます。あまり急激に上がることはありません。
漫画賞を取ると上がると聞きますが、それも明分化されたルールではないでしょう。

それで作家の名前が有名になった後に、「次はウチで」と取り合いになれば、原稿料も跳ね上がります。
人気作家の名前で広告が打てるのは大きな宣伝効果になります。同じ作家でも二作目以降の原稿料は相場が違うのです。今度は作家の名前が雑誌の宣伝になるのですから。

特に週刊少年誌は単行本の部数が他と違う、売れないながらもある程度の数字は刷るので、一般に原稿料が安いといわれてます。よほどの大先生でも原稿料自体はそんなに高くない場合が多いのです。そういう作家さんはとにかく単行本が売れるので。

例えば単行本が初版50万部出る作家さんの場合、これだけ売れればかなりの大人気連載です。
一冊の印税を40円として(実際は10%39円ですが計算しやすくするため)一冊2000万、年間約1億円の収入となります。これは初版だけの計算なんで、既刊にも各何万部ずつの増刷がかかるんでもっといきます。
原稿料が1万円とすると、一話あたり18-22Pとすれば週に約20万、年間50週で約1000万円の収入です。
原稿料が単価1000円上がれば一週間で約2万円、年間約100万円の収入増となります。
アニメやカード化してればさらにその収入や印税もあります。最近は海外印税もかなりあります。
出版社によっては年間の専属契約でさらに相当の金額が出るところもあります。

原稿料が数千円増えたところで収入全体には大した影響はないのです。
漫画家はここから仕事場の家賃やアシスタントの給料を出すので全額が収入とはいきません。これが初版3万部の作家さんであれば原稿料は死活問題なんですが、売れないから上げてくれとは言えません。

特例もあります。ギャグは一話のページが少なく単行本も売れにくいので原稿料が高めに設定してあります。
またその雑誌の看板のような長期連載でどちらかというと単行本で出るより週単位でリアルタイムに読んで欲しいような、雑誌に必要な連載の場合は別枠で高くなることもあるようです。あとは個々の作家の交渉力によるかもしれませんが、それも雑誌になくてはならない連載の人しかできないし、特に週刊少年誌で描きたい人はお金はあまり重要視しない場合が多いです。(そこにつけこまれてるとも言えるかもしれませんが)

漫画業界の外から見た場合や、同じ業界でも月刊誌や青年誌など、収益システムが違う視点から見て単純に人気と金額で判断できるものではありません。
だいたい何億ももらってる人にもう数百万円もらうべきだ、と言うのもねえ。
後進のためというなら連載支度金あたりをつついてほしいんですが、そもそも原稿料はは論点でないし。


私は短いながら週刊の某少年誌での連載経験と、他の漫画雑誌のお仕事、他にも広告漫画や描き下ろし、単発イラストの経験もあるので、だいたいそのへんのことは理解しています。あまり金額で仕事を決めることはありません。ものすごい安いとその会社自体が怪しいのでお断りする場合はありますが、たいていは担当者が気を使ってできれば出せるだけ会社に出させます!みたいにやってくれますし。


ヒット作家の場合は印税で数億の収入があるのですから、その作家さんの原稿料を心配するよりは、他の作家さんが連載してときにせめて借金ができるようなことがないようにお金を回すべきだと私なんかは思いますけどね。
それでも、人気がないとはそういうことだからもっと頑張らないと、よりいっそう気合が入るほうがいいのかもしれません。

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