朝目覚めると、腹のあたりが痛痒い気がした。
少し呑みすぎただろうか、どれシャワーでも浴びて引きしめんと
ねまきを脱いでわたしは絶句した。
腹から芽がでている。
薄桃色の豆粒大をしたそれは、へその窪みにちいさな庭を形作っていた。
「またか・・・」
わたしは頭を掻きながら吐き捨てるようにつぶやいた。
雨の中をぬれながら歩き、ろくに体を拭かないまま寝てしまうとこうなる。
根が広がるといよいよ厄介なので、腹の芽は速やかに摘み取らなければいけない。
わたしは溜め息に先導されながら風呂場へ向かった。
~薄桃色の雨上がり・おしまい~
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きむら日記
雨で草木は育つけど、にんげんも何か伸びてきたら面白いわよね。困るけど。
ちなみに寝酒をすると芽が伸びやすいとかなんとか。ざわっ・・・。
う・ふ・ふ・ライター/きむらまさよ