一日中、ホスピスにいたため、朝から患者さんやボランティアさん、
教育実習に来た看護学生さんたちと話をする機会がある。
ある1人の看護学生さん。
彼女は望んで、実習が終ったあともボランティアで来ているのだそう。
「実習でこういうところは、きつくありませんか?」
疑問におもったことを率直に聞いてみる。
「はい、こちらには希望しないと来れないんです。
わたしも、祖父をA病院で亡くしているんです…
実はちがう学校を卒業して、看護大に入りなおしたんです」
そんな話をしながら夕方のひとときを過ごした。
その後、偶然、ペンペン先生に偶然会う。
「最後の電話について心残りがあるとおっしゃってましたが、
それについては、いまのお気持ち、どうですか?」
その後に交わしたやりとりについて、先生に話す。
最後の電話については、
そのときはすでに、わたしのなかでは決着がついていた。
「表情を見る限りではおだやかなので、
本人は苦痛を感じていないのだと思います。
苦しかったりすると、意識がなくても、眉間にシワを寄せたりして、
表情に出るのでわかります」
母の今の状態。
そして、これからについて、正直な意見を聞きたかった。
「お小水がまったく出ていないんです。
腎不全になっているので・・・
こればかりは血圧からは判断できない。
もし今日でなくても、明日、明日出なければ明後日、というところでしょう」
一瞬でも気が抜けない状態であることはたしかだ。
近づきつつある母の最期のときに、わたしは心のうちが震えるのを感じた。