二人の関係は・中編 ~期待してはいけません・その後~ | お気楽ごくらく日記

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白泉社の花とゆめ誌上において連載されている『スキップ・ビート』にハマったアラフォー女が、思いつくままに駄文を書き綴っています。

mokaのお楽しみ  の moka様宅で開催されてますこちらの企画への参加作品です。

詳細記事は   こちら

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「その時にですね、鬼女ども(←グレードアップ)が彼女を横から掻っ攫って行ったんですよ。」

蓮は初めから急ピッチで呑むと、社相手に愚痴りだした。

その度に社は、何とか蓮を元気付けようとしたのだが、それらの言葉が蓮の耳に入っていたかどうかは疑問である。

そうやって、照明を落とした薄暗いホテルのバーの片隅で見目麗しい男性二人が肩を寄せ合っている様は、まるで新宿二丁目でよく見かける恋人たちのよう。

チラリチラリと視線を感じるものの、二人は見られるのはいつものことなので、全く気にしていなかった。

「そう言えば、鈴木ちゃん、撮影前に何か面白いもの見たって?」
テーブル席の方から貴島の声が聞こえてきた。

蓮と社は、((ああ、そう言えば、夜、呑みに行こうって誘われたっけ。))と思い出したが、それも取り立てて気に留めることもなく呑み続けていた。

「そうなんですよ!!貴島さん。誰かに話したかったから聞いてくれる?」
鈴木女史は、散々昼間周りに吹聴しまくったのにまだ足りない模様。

ちなみに腐女子三人組(鈴木女史に、佐藤女史、山田女史)は、現場で話すだけでは飽きたらず、時間を見つけて同じ趣味を持つ友人たちにもメールを送っていたのだが、そんなこと蓮も社も知る由もなかった。

そして、存外、聞き上手な貴島はもうここで鈴木女史の方向へと身を乗り出している。

「あれは、急に室内での撮影が決まった時のこと。なかなかやって来ない敦賀君を呼びに行こうと外に出たのね。」

貴島だけでなく、貴島に誘われてこのバーにやって来ている者は皆食いつき気味で聞き入っている。

「雨の中、傘を差して佇む敦賀君。声を掛けようにも、ちょっと声を掛けにくい雰囲気が漂ってたのね。」

蓮も社も聞くともなしに聞いていた。

「そこに、敦賀君のマネージャーさんがやって来て声を掛けたんだけど、その段階だけでもうご飯が3杯はいけそうな雰囲気だったわ。」

男性陣はともかく、女性陣はすでに聞いているにもかかわらずガブリ付きの様子である。

「2言3言、言葉をを交わすとね、マネージャーさんはおもむろに敦賀君を抱きしめたの。そしてそしてね、敦賀君も満更じゃなさそうな顔で、マネージャーさんをきつくきつく抱きしめ返してたの。」

呑んでいる酒を噴き出しそうになったのを堪えた自分を蓮も社も真剣に褒めたいと思った。

他の女性陣からは、きゃ~と悲鳴が上がっている。

「そっち系の話は苦手だけど、でも、敦賀君とあのマネージャーさんとだったら有りかも。」

蓮と社は、カウンターの隅っこで呑んでるせいか、誰も気づかない。出演者の一人がそう言うと、他の女性陣もうんうんと頷いている。

それが一通り収まるのを待って、鈴木女史は続けた。

「それからね、二人は顔を段々と近付けていくとね・・・ウフフフ」

完全に捏造である。蓮と社がそれを否定しようとした時、さらなる爆弾発言が投下された。

「へえ。だからか。俺が呑みに誘った時、二人揃って断ってきたのは。」

そう言う貴島の声は完全に面白がっている。

「え?そうなの?と言うことは、二人は今頃、熱い一時を過ごしているのね。」

何を想像(妄想?)しているのか、鈴木女史の顔は紅潮している。

照明が暗いせいか、自分たちに誰一人気が付かないというのに、鈴木女史が語り始めた頃から刺し貫くような視線を感じていた蓮と社は、そちらに視線を向けるとものの見事に固まってしまった。

視線の元を辿れば、そこにはラブミー部員2号と3号がいた。ぶっちゃけ、蓮は彼女たちの視線は全くどうでも良かったのだが、気になったのは俯いてソフトドリンクを飲んでいるキョーコだった。

せめてキョーコの誤解だけは解こうと、蓮が立ち上がろうとした時だった。

キョーコはテーブルの白い飲み物を手に取ると、周りが止めるのも構わずに一気に飲み干してしまった。

「そ・・・それ、カルアミルク!!」

誰かが叫ぶように言った言葉に蓮と社もギョッとしてしまった。

ダン!!とテーブルに空になったグラスを置くと、目がすっかり据わり切っているキョーコは口を開いた。

「ちゅりゅがしゃん、やしろしゃん。」(訳 :敦賀さん、社さん。)

酔っ払ったキョーコの呂律の回らない言葉を聞いて、蓮は可愛いかもと思ったのも束の間、次には特大級の爆弾を落とされた。

「お二人がお付き合っていりゅのも気付かじゅに、いままれ邪魔をして申し訳ごらいましぇんでした~。」
(訳 :お二人がお付き合いしているのも気付かずに今まで邪魔をして申し訳ございませんでした。)

と涙を流しながら土下座をするものだから、蓮と社は思わず呑んでいた酒を噴き出してしまった。

「もう、これかりゃは、ちゅりゅがしゃんには仕事のことでしか、はにゃしかけましぇんし、ごはんづくりにもうかがいましぇん。」
(訳 :もう、これからは敦賀さんには仕事のことでしか話しかけませんし、ごはん作りにもうかがいません。)

((OhーーーーーーーNoーーーーーーーー!!))

キョーコの決断(?)に蓮と社の心中は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

それが現実になったら、蓮の俳優生命にも関わってくる。

「そういえば、敦賀君と京子ちゃんって同じ事務所で仲が良いって噂があったの、あれ本当みたいね。」

そこかしこで、ひそひそ話が繰り広げられるも、酔っ払い少女A(Kか?)も蓮も社も、キョーコの誤解をどうやって解くかで頭を抱え込んでいて、それらは全く耳に入ってこなかった。

それまで鈴木女史の話を話半分で聞いていた他の人間たちも、「本当なの?」とざわざわし始めた。

一番焦ったのは、他ならぬ蓮と社である。

「ちょっ・・・キョーコちゃん?どうしたらそうなるの?」

「え?りゃって、さっき、らきあってたんれすよね?」
(訳 :え?だって、さっき、抱き合ってたんですよね?)

「え?え?いやいや、キョーコちゃん、それ誤解だから。」

「しょうなんでしゅか?」 (訳 :そうなんですか?)

蓮が何とか誤解を解こうと声を掛けようとしたとたん、キョーコは「うっ。」と言って手で口を押さえると、奏江たちの方を見て、

「もーこしゃん、ぎぼじわりゅいにょ。」(訳 :モー子さん、気持ち悪いの)

そろそろ、この場から退散したかった奏江と千織は、キョーコを口実に、バーを後にしたのだった。

《つづく》

おかしすぎるぞ!!私の頭!!

前後編で収めるはずだったのに収まらなかった・・・・次で終わるはず!!多分・・・

この番外編、ただ単に、酔っ払いキョーコを書きたかっただけなんですけどね(^_^;)

お酒をほとんど呑まないので、度数の強いお酒なんてほとんど分からないんですよね。

唯一飲んだのがカルアミルクだけなんです。