メロキュン企画第6弾!!
タイトルでしりとり!!面白そうなので、参加してみました。
蒼禰さんの『楽園の向こう側』に続いてみました。
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「最上君。君は世界に挑む気はあるかね?」ローリィはテーブルに封書を置くと、唐突に切り出した。
蓮がハリウッドに行って3年。キョーコは、蓮と絶賛遠距離恋愛中の中にあって、着実に女優としてのスキルを確実にUPさせていた。
ローリィはさらに言葉を重ねた。「蓮のやつが出演する映画が、新年早々クランクインするんだが、その中で一つだけ、どうしても決まらない役があるそうだ。」
いったん言葉を切り、ローリィはさらに言葉を続けた。
「監督が映画にこだわるあまり、最初決まっていた女優が下ろされ、その後もオーディションが開かれたが、結果は芳しくなかったようだ。そこで、自薦他薦問わず役者を募ることになったらしい。昨年の朝ドラのヒロインと今年の大河ドラマの主役を立派に勤め上げた君なら、俺はいけると思う。俺と以前紹介したエルトラは君を推す準備は出来ているが、どうかね?」
その言葉にキョーコは、じわじわと、ようやく、蓮に追いつけたんだと言う喜びが湧き上がってきた。そして考える間もなくキョーコは「謹んで、そのお話、お受けいたします。」と返事をすると、ローリィは嬉しそうな顔をした。
ローリィは「じゃあ、こちらで書類を送っておこう。書類審査が通れば、来月の頭にオーディションがあるそうだ。結果はまた追って、連絡しよう。」と締めくくった。
キョーコが、「社長、、このこと、く・・敦賀さんには内緒にしておいてもらえますか?あっと、驚かせたいんです。」と伝えると、ローリィは快諾した。
そして、キョーコは無事、書類審査もオーデイションにも無事パスした。
キョーコは監督に紹介されながら、恋人が目を丸くして自分のほうをじっと見つめているのに気付いた。
キョーコはそんな蓮に向かって、いたずらっ子のような顔をしてみせた。
(ねえ、久遠。私やっと、ここまで来たのよ。3年前はあなたに全く追いつけてなかったけど、やっとあなたと肩を並べられるところまで来たって自惚れたっていいかしら?)と考えてると、
いきなり、蓮にぺたぺたと顔を触られた後、息もできないほど強く抱きしめられた。
蓮の温もりと香りに包まれながら、キョーコはじわじわっと温かい気持ちが湧き出てくるのを感じていた。
抱きしめられながら(久遠。本当は、私あなたに会いたくて会いたくてたまらなかったの。だから、もうこのまま離さないでね。)と、心の中だけで思っていたつもりが、そのまま口をついて出てしまった。
「会いたかった。」と言う言葉がキョーコの口からポロリと転がり落ちると、蓮は、益々キョーコを抱きしめる腕に力を入れた。
衆人環視の中、蓮から熱い抱擁を受けながら(久遠も私と同じ気持ちだといいな。)キョーコはこっそり思ったのだった。
そして、蓮にこっそり耳打ちされた「今夜、覚悟しておいてね。」と言う言葉に真っ赤になりながらもコクンと頷いたのだった。
《終わり》