日本にいた頃、戦前から戦中にかけて中国で活躍された女性、田村総さんが書いた自叙伝「いきいき老青春」を読んだ。
この本はもう古本屋さんにしかないようだが、とても面白かったので印象に残っている。



田村さんは子供のとき男兄弟ばかりの中で揉まれ、大変いじめられたので結婚には執着しなくなった。女学校を出て自活の道を選び、縁あって中国で日本語教師の職を得た。それが大変高給で、当時の県知事(だったかな?)より給料がよかったそうである。きっぷのいい田村さんの冒険譚はとても面白い。

田村さんは同性愛者であり、中国でも何人か恋人(もちろん女性)がいたそうだ。

それらの恋愛遍歴について語った最後に、いきなり

人を愛するなら、最初と最後をきちんとしよう

と いうようなことを書かれていたのが、とても印象に残った。


恋の矢



私は、人を愛しても、最初も最後も曖昧だったような気がする。いつの間にか二人は気持ちがすれ違い、フェードアウト。たまに思い出して電話して、かみ合わない会話をしてみたり。でも、二人の仲が昔の熱さに戻ることはなかったり。そういうのを、田村さんは嫌悪しただろうな。

また、昔、一回り以上年上の女性の友人から、

一度別れたら、もう二度と会わないほうがいいのよね

とも言われたことがある。彼女も若い頃、とても苦しく悲しい恋をして、中年になってもそれを振り切っていないのが、私の目にも明らかだった。

どちらがいいのかわからないけれど、真剣度にもよるかな。
昔の彼に、懐かしくて会ってみたい気もするけど、ほとんどどうでもいいような付き合いだったなら会いたくもないだろうし、本当に好きで好きでたまらなくて、それでも実らないとても辛い恋だったのなら、これも会わないほうがいいような気がする。

皆さんはどうですか。



【中古】afb【古本】いきいき老青春/田村総
¥546
楽天