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まだまだ暑いですね。・・・でももう年賀状のアイデア紹介しちゃいます

こんにちは。
立秋がすぎたのにまだまだ
暑さ全開あせるの毎日ですが、なんと!今回は
もう年賀状アイデアのご紹介です。

$奈良の伝統墨づくり@呉竹のブログ
こんなかんじで紹介していますので
一度覘いてみてくださいね。


呉竹の年賀アイデア2012

毎年年末に年賀状にうなされる私ですが
今年はなんとしても優雅な年末を迎えたいもんですアップ

墨・ちょっといい話 Vol.24

15話 朱の輝き 其の四

奈良での朱墨の生産

 明治05年 木下 新六 奈良で初めて生産
 明治10年 清水
 明治17年 島田 常次郎
 明治24年 中 啓造
 明治27年 落合 省吾 大阪にて明治元年より生産
 昭和13年現在 木下、中、落合の三軒になった。
 戦前に 木下、落合の二社に減じた。


朱墨の製造工程
固形朱墨は数種類の膠を混ぜ合わせて展色剤とし、
これに着色剤の朱顔料を分散させ、
香料その他の伍剤を加えて造る。

その工程や用具は黒墨とほぼ同様で、
朱顔料と膠を練り合わせ、木型で形を整え、乾燥させる。

ただし膠は数種混ぜ合わせるため、
そのうち高分子の膠は前もって冷水に漬け置き、
分子間に水分を充分に抱かせる。

日を置いて低分子量の膠と混ぜ合わせ、
二重釜による湯煎を行い、
長時間かけて溶解させる。

製造期間は膠の変質を避けて寒い冬のうちに限られ、
黒墨と違って本朱に油気が無く、
淡白で膠の含みが悪く、比重が重く(本朱で11~12)て、
型くずれしやすいので、
膠のゼリー強度の最も強い極寒にしか造れない。

この期間は「膠が良く締まる」と私たちは言う。

製造適期は黒い墨より余程短く、
1月中旬から3月上旬に、手の温もりで
膠と本朱をなじませるよう丹念に造り上げる。

朱墨を型出しした時から乾燥が始まるため、
型入れには細心の注意が払われねばならない。
その際、大きな変形を伴う経時変化は24時間以内に起こるので、
この間は目視によって見届けながら、
並べて置く向きを変えるなど、
手作業で初期乾燥を行う。

あと軽く重石をかけて2ヶ月ほど乾燥の日にちをおき、
桐箱に納めて2年以上熟成させる。
仕上げに彩色や金箔巻きを行って、朱墨は完成する。

本朱墨はズッシリ重く、どことなく金属的な輝きを見せて
渋く深い朱色を呈し、添削や篆刻に妖艶さえ感じさせる。

これは本朱以外の代用朱では得られない神秘的な表情である。

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◎参考資料
・奈良製墨文化史 他

墨・ちょっといい話 Vol.23

第15話 朱の輝き 其の参

朱の種類と製法


朱の種類
①水銀系の赤・・・
 硫化水銀HgS 辰砂、丹砂等 安定した無機顔料
 毒性があり、防腐効果ある

②鉄系の赤・・・
 酸化第二鉄Fe2O3 弁柄、紅殻 やや黒ずんでおり、
 オランダ語由来でベンガラと呼ばれる。
 又インドの産地Bengalに由来している。2説有り。

③ナマリとモリブデンを化学反応させる。クロムバーミリオン。


朱の製法
①乾式法
 (水銀+硫黄+苛性アルカリ)+水蒸気・・・
  回転と加熱===黒色 硫化第一水銀Hg2S
  ===坩堝に入れ昇華 赤色 
  硫化第二水銀HgS:辰砂、丹砂
    被覆力に優れ変質、変色しにくい。

②湿式法
 (水銀+5硫化カリュム)
  45度C以下で2~3日混ぜ合わせ上澄み液を捨てる
                  +
               苛性カリにて処理
  アルカリをカリュウムにするかナトリュウムにするか、
  温度の高低によって橙赤から濃い赤までの色調が得られる。


其の四へ続く

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◎参考資料
・奈良製墨文化史 他