2009-04-18 21:27:52

敵基地攻撃に関する政治家の問題認識

テーマ:敵基地攻撃能力

北朝鮮による「弾道ミサイル」発射に関連して、敵基地攻撃が議論されるようになりました。
法的な問題はまた別の問題ですが、軍事的合理性からしたら議論されて当たり前の問題です。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200904/2009040600796


ですが、誤った認識を基にして議論されているのであれば、誤った結論しか出てきません。
先生方が、正しい認識をしているなら、かまわないのですが、鴻池官房副長官のMDに関する認識が、未だにピストルの弾を比喩に出す程度の認識であることを見ても、多くの先生方が正しい認識を持っているとは到底思えません。


さて、私がここで何を問題視しているかと言えば、敵基地攻撃によって北朝鮮による弾道ミサイル発射を未然に防止できるかのような認識がされているらしい事なのです。
上に挙げた時事の記事を見ても、「敵基地攻撃は、中略、発射場などを先制攻撃するもの」と書かれており、「敵基地攻撃」の目標が弾道ミサイルであるかのように書かれています。


ですが、「敵基地攻撃」の能力として、現実的に可能などんな装備を保有しようとも、ノドンの発射を事前に阻止することなど不可能です。

対北朝鮮を考える時、現状でも圧倒的な制空戦闘能力とJDAMによる精密攻撃能力がありながら、ノドンの発射を事前に阻止できない最大の理由は、地上に対する偵察・監視能力です。
既に実戦配備されているノドンの移動式発射機(TEL)は、地下などにある格納庫から地上に姿を現してから1時間以内にミサイルの発射が可能と言われています。


これを捕捉するためには、衛星では到底遅すぎます。
イラクでの米軍によるスカッドハントでは、E-8が使用されましたが、それでもスカッドの捕捉は困難でした。
たとえ日本がE-8を保有したとしても、山がちで森林の多い北朝鮮では、国土のほとんどが砂漠のイラクよりも、監視が困難であることは疑うべくもありません。
E-8の後継となるべきE-10も、開発試作機のみで量産は中止されてしまっています。E-8が改修されるとしても、劇的な性能向上は望めません。


例え日本海上空で空中給油をしつつ、JDAMを抱えてスタンバイしたとしても、ノドンをミサイルの発射前に発見することは困難なのです。

国会議員の先生方がこの事をちゃんと認識し、敵基地攻撃能力とは、あくまで敵に被害を強要、あるいは指導者の殺害を企図し、ノドンによる攻撃を抑止する事だと認識されているのなら良いのですが、誤解によって敵基地攻撃能力が語られているなら、後で自衛隊が責められかねません。


この点、ちゃんとした報告を受けているらしい浜田防衛相は、敵基地攻撃論には否定的です。
http://www.asahi.com/politics/update/0410/TKY200904100324.html


議論は大いにして頂くべきですが、絵空事ではなく、地に足の着いた議論をして頂くべきです。

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