Blowing My Mind



この前、ポカラの湖沿いにある

家族経営のベーカリーで

パンとお茶を楽しんでいたときのこと。



目の前を通った警察車両の鉄格子の間から

すごく不安そうな顔をした外人が乗っているではありませんか。

よく見ると、昨晩会って立ち話をした男の子達。


いっしょにパンを食べていた友達とすぐにそとに出たものの

もう警察車両は視界の遠くを爽快に動いていて

悲しげな友達の顔だけが、ぼくの脳裏に焼きついていた。



ぼくらはカフェの娘さんに通訳をお願いし

タクシーと交渉し、

すぐに警察署に行くことにした。



ピーナッツ好きの友達に
さし入れを用意し

ぼくらはすぐに警察署に着いた。



ナマステと彼らにあいさつをしたあと、

ロシア人2人と日本人が警察車両に乗っているのを見つけ

彼らに会いに追いかけてきたと、こちらの考えを伝えた。


中に通されたものの、

彼らは別の中央署に連れたいかれたとのこと。


ぼくは外でタクシーと交渉し

知らない町並みを走りさり、教えてもらった警察署についた。



ベーカリーの女の子が

うまいこと警察官と話をつけてくれたおかげで

ぼくらは面会に通された。



警察署の中央奥に向かうと、

鉄格子で中が丸見えのタコ部屋のなかに

見たことのある顔が床に寝ていた。




逮捕された経緯を聞くと

お金を節約するために、山でテントを張って生活していたら

警察が来ていろいろ調べられ、大麻をもっていたとのことで

逮捕されたのだという。



「逮捕」は、いわゆる悪い経験だと思われているけど

だからといって、ぼくらが悲観な顔をしても

彼らのためにとって、なんにもならない。


だから、ぼくはめちゃくちゃ明るく、

彼らを笑って、握手をした。



「人生何事も経験。大丈夫大丈夫。なんとかなる。」

そういってピーナッツを差し出すと、


ロシア人の男の子が嬉しそうに

でも、警察に見つからないように一瞬でどこかにしまったので

ぼくは思わず笑ってしまった。



水が欲しいという彼らに

ぼくらのもっているペットボトルを全て預け

ぼくらは鉄格子越しに、楽しいひと時を過ごした。



あの悲観そうな顔をしていた彼らが、笑っていた。

もうあの警察車両の隙間から見えた、悲しげで不安な顔は

どこかにいってしまった。



ぼくはなんだか、幸せだった。




帰りに、お疲れ様ということで

おいしいものを食べよう!と

ぼくらはベーカリーの女の子を連れて

日本食を食べに行った。



人生、いろいろ。



Blowing My Mind



翌日のこと。


朝の面会時間に彼らに会いに行くために

ベーカリーに集まって朝食を食べていたときのこと。



きのう床に寝潰していたロシア人の男の子が
目の前をあるいてるじゃありませんか。


話を聞くと、

罰金も罰則もなく

ただポカラを離れるように言われ、朝釈放されたとのこと。



彼らは、なにも損をしていない。

一日、ネパールの監獄を経験することができた。

自由のない生活を、味わうことが出来た。



その晩、湖沿いでやっていたPARTYに顔を出すと

今朝釈放されたばかりのロシア人2人と日本人の男の子が

すごく楽しそうに踊っていた。



不自由を経験することで

きっと彼らは自由を味わうことができたんだ。



人生、なんでも経験です(笑)



では、みなさんも人生の一日を
素敵なものにしてください。



LOVE


Blowing My Mind