久しぶりに、大勢の歌手の皆さんとご一緒する。




こんこん。


楽屋のドアがノックされ、聞き覚えのある声が。




あ。恵ちゃんだ。






ドアをあけると。



めちゃくちゃ忙しいだろうに、すっきりと笑顔の恵ちゃん登場。





「チェルノブイリやお母様タイヘンでしたねえ」



と、いつものようにあったかい気遣い。






うちの母親、今日恵ちゃん出てたよって教えてくれるよ。

恵ちゃん恵ちゃんって。





「わあ、じゃあ今度お訪ねしますよお」




まったく、恵ちゃんはマダムキラーだ。



こんな優しい顔で、優しいことをいってくれる。








客席からは「恵ちゃんコール」が、ますます大きくなっている。



私と同じ、あるいは、それ以上の年齢の人も。


みんなそれぞれが、それぞれの事情を抱え生きている。



家へ帰れば、シンドイことだってたくさんあって、それらと向かい合って日々を生きてるんだろう。





恵ちゃんは、明るくて礼儀正しくて、人を気持ちよくさせる。


恵ちゃんを見るだけで、元気になる、そうして恵ちゃんファンは増える。





そうだよなあ、そういうことだよなあ。




これは芸能の一つの王道だなあ。



恵ちゃんは、救済の王子かもしれないなあ。






そんなこと思いつつ、缶ビール片手に帰りました。