家へ帰って 驚いた



テレビの画像を 見ることは なかったから



そうか こんなことになっていたのだ





私は 私の三日間を



ただ 懸命に やってきた



と いうしかない





当日



生協主催コンサート前の楽屋  



ごおという 音に 電車が通ったと思った



でも ここに 電車はない



「地震だ!」



バンドメンバーはもう舞台の上



地下には 事務所の3人



団子のように 柱につかまり ただ震える




会場の文化会館は 私のコンサートの後



取り壊しときいていた  そんな古い建物



だから こわかった



すべてが 崩れ落ちたら



すぐに  そんなことが 起きる気がした




ただただ震え 叫びたい口を押さえ



やっと外に出た  



メンバーと再会する



震える足と涙がとまらない



よく無事で






サイレンが鳴り響く



重い音だ




津波がくる  高台に上がれ





裏山があったことは 奇跡に思えた



雪のなか  ひたすら歩く



振り返ると



会館は 水のなか



車がぷかぷか 浮いている



背筋が  冷たくなる




裏山は 採石場だった



ハンバの建物を 避難所に



ずぶぬれのオジイチャンが 抱えられてくる



オバアチャンを 水の中で見失ったという



息が苦しくなる  胸が痛くなる



そう多い人数ではない人たちだが



やはり狭く居場所はない



ストーブはあるがいられそうにない






外に出た



車の中で ヒザを抱えた



ガソリンが少ないので  時々 エンジンをかける



ラジオの音だけを聞く



誰も  なにも いわない



寒い 



でも  月と星が 輝いている



これを しっかり見ておかなきゃと 思う



オトコたちは  ドラム缶で火をおこす



キャンプファイヤー  そんなコトバは



あんまり楽しすぎるけど



朱色の火は  生きてることを  思い出させてくれる



ココロが どくどく音をたてる





翌日  ハンバの建物に 行く



私たちが遠くからきたと きいた女性たちが



慰めてくれる



こんなことに 巻き込まれちゃってねえ

気の毒にねえ

石巻 きらいにならないでね



なんてことだ


なんてすばらしい人たちだ





私  化粧のはげたひどい顔で 笑う



ありがとうございます!




午後



主催者のひと 地図を手に



これは 賭けですが  もしかしたら  出られるかも



見れば 仙台までの 迂回路



いちかばちか



やってみることにする




ハンバの人に挨拶できず あわてて




でも  戻ってくる可能性も大きい




とりあえず  出る





増水した川  緊張が一気に



沈黙





4時間後  仙台に着く



地元のスタッフ 心配な家族のもとへ



私たち9人  探し当てた駅前のホテルへ




布団もない 



大理石の床の ロビー



でも  また



あったかい人



布団分けてくれた  もう一枚ありますから




その一枚に 6人が横たわる



後の3人は 椅子と 椅子のしたに



かけるものは ない



だんだん冷えてくる



これからどうなるんだろ



それぞれが  遠くをみているのが わかる



でも



みんな  いたわりあってる



私 しあわせだな





でも



どうやって帰るんだ



新潟 へ出よう



タクシーに聞いたら  ガソリンがないと





今度は   



庄内空港 があるらしい



タクシーつかまえなきゃ



うろうろする



ガソリンスタンドに行けば良いよ



運転手さんが教えてくれる



えっさえっさ



たどりついた ところで  みつけた一台



でも 行ったことないって 庄内空港



地図片手に 悪戦苦闘



走りに走って




そして3時間後 到着





羽田に着き



途中 実家に寄り



両親の 顔を見て



部屋に戻る




行く時は  重い荷物が 今はなにもない



でも


 

家を  家族を  なくした人たち




すさまじい 映像に 苦しくなる



帰る家を 持った自分が



いままでいた場所



ああ



でも



私は 明日 大阪に行かねばならない




どこへだって いかねばならない




そこで  懸命に  生きねばならない





 

 

いま



どうも 口がまわらない



いろんなコトバが うまくでてこない



ココロがゴムみたいに 伸びてしまったかんじだ




でも



明日は 来るんだ



さあ