【あの人はいま】

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皆さん、あの【漂流男】 のその後、気になりますか?

ちょいネタができたので、報告します。
今日、オフィスに電話がありました、漂流男から。

私ではなく【病弱な彼女】 が出たのですが、彼女によると、こんな内容。

「あーもしもし、漂流センター(仮名)の漂流男ですけど」
「あ!お、お久しぶりです!」 ← 思いがけない事でホントにびっくりしていた。
「教えてほしいことがあるんですけどね、・・・・・・・・ですが、わかりますか?」 ← いたって事務的。
「はい、それは・・・・・・・・・・です」
「あ、そう。ありがとう」

・・・以上です。
以上で電話終了です。


彼の最後のスピーチの内容を覚えてますか?
そうです、「コミュニケーションの大切さ」ですよ。
内部でコミュニケーションを図れないようでは、外部ともうまくやっていけるわけがない、そういうことを大切にしていかないといけない、みたいなのね。

このスピーチの信憑性、ますます薄れましたね。
今日の電話の会話、かなりコミュニケーションが不足してます。

最後にありがとう、と言えたところは評価しましょう。
しかし、これは、職場を離れて初めての電話です。
お久しぶりです、とか、お世話になりました、とか、新しい職場でがんばってます、とか、最初になにか言いますよね。
唐突に用件だけ言いません。
そして、電話を切るときも、部長によろしく、とか、皆さんはお変わりないですか、とか、ちょっとくらい言いませんか?

もちろん、電話を受けた彼女は、何か少しは挨拶的な会話をしようとしました。
そして出来れば、新しい勤務先の配属部署名や連絡先を聞こうと思いました。

しかし、漂流男はやはりこちらに質問する間も与えず、聞きたいことだけ聞いて、電話をさっさと切ったのでした。


そういうわけで、【あの人はいま】とタイトルをつけましたが、今、具体的に何処で何をしているのかは不明です。

とりあえず、元気そうです。
でも、まだコミュニケーションの正しい意味は理解していないようです。
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3月31日、漂流男は最後の出勤をした。

全体会議で、部長から漂流男の出向解除について発表があった。
最終日にして、初めて出た正式な発表だ。

漂流男の挨拶を前に、花束とお菓子を贈った。
送別会が出来なかったからだ。

そう、盛大な、どころか送別会自体が行われなかったのだ。


漂流男が赴任特別休暇を取っていた日、部長の口から、漂流男が会社を去る事をきちんと発表しようとしない理由が語られた。
内示が出た際に、部長にももちろんそれは伝えられた。そしてその時に、部長が送別会の話を持ち出したそうだ。
すると漂流男は、自分が皆さんのに行ってないんですから、私のはやっていただかなくて結構です、というような発言をしたという。


日程的にも厳しかったが、本人からの辞退するような発言もあって、結局、送別会はなかったというわけだ。
しかし、何もしないのはなんだか、寂しすぎるし、こちらとしても後味が悪い。そういうことで、花束とお菓子を贈ることになったのである。
職場を去る人に花などを贈るのは普通だと思われるかもしれないが、この部署では異例である。送別会をして、最終出勤日は花束なしでお見送り、というのが今までの慣例だった。


去り際の漂流男の挨拶に、様々な出来事が思い出された。
いつも彼は旅費の計算で小言を言っていた。
旅費規程で決められた基準なので仕方ないと反論したら、旅費規程について物申したいと人事部へ乗り込み、一緒につき合わされたこともある。
その時は大変苦痛だったが、今となってはいい思い出かもしれない。


お別れの挨拶のしめは、コミュニケーションの大切さについてだった。
内部でコミュニケーションを図れないようでは、外部ともうまくやっていけるわけがない、そういうことを大切にしていかないといけない。
そんなようなことを言っていた。


最後まで、ツッコミを入れたくなる男だ。
めったにない宴会、歓送迎会くらいしかしない職場の集いにも参加したことがないのは誰?
それに、彼が談笑する姿などほとんど見た事がないし、彼が口を開く時は、人に威圧的に指示する時や、厳しくダメ出しする時だけだった。
シゴトとプライベートはきっちり分ける、という考え方もあるが、多少のコミュニケーションは必要だ。
お分かりになっていないのかと思っていたが、こんな挨拶をするなんて!


変なあだ名までつけて、散々、彼の挙動を面白おかしく書いてきたが、やっぱり今までいた人が居なくなるというのは、なんだか寂しいものだ。
それがたとえ、何かと困らされていた人であっても・・・。


さようなら、漂流男。

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謎は解明された。
意外とあっさりと。
しかし、発表があったわけでも、噂で聞いたわけでもない。

漂流男がおもむろにあたしのところにやってきて、1枚の紙を差し出したのだ。

<赴任予定表>

以前、ひっそりと打ち出していた用紙だ。

「このような予定で赴任します。人事部にはもう提出済みですから、これはあなたの控えです。これで、服務の取扱をお願いします。」

そう、あたしは出張や休暇などを出勤状況を管理しているのだ。
几帳面な彼は抜かりなく、3月の出勤簿のためにを知らせてきたのだ。


この用紙によって、あっさり全ては解決してしまった。
引越し先も、新しい勤務先も。

漂流男はまた新たな場所に漂流するようだ。
もともとの身分のある出向元には、今度も帰れなかった。
しかも新しい勤務先は、確か、今の会社に来る前の前にいたところではなかったか。
たらいまわし・・・!?


そういえば、あたしはこの用紙を、ノーリアクションで普通に受け取ってしまった。
「えー、異動なさるのですか!?」くらいの演技をすべきだっただろうか。



あ、ひとつだけ解決していない問題があった。
漂流男が去るということが解明された今となってはどうでもいいが、秘密にしている理由がわからない。
<赴任予定表>によると18日には内示が出ていたのに。

はっきりと発表されていないので、送別会等のお見送りの計画は全く立てられていない。
もしや、あたしは今回入手した<赴任予定表>の情報を皆に周知して、計画を立てなくてはいけないのだろうか。
いや、しかし実際、今頃から計画を立て始めても、もう送別会などできる日はない。

漂流男はもう28日と31日しか来ないのだから・・・。




次回は【ファイナル 漂流男】として、漂流男とのお別れのお話することになると思う。
何か突発的な刺激的な事件のない限り。


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漂流男、今日は出勤してきた。
挨拶もそこそこに、開口一番、あたしにこう言った。
オフィスの皆が、漂流男の発言に聞き耳を立てている。

「18・22日の休みは、普通の休暇ではなく、異動に伴う特別休暇で申請しますから」

待ちに待った『異動』というキーワードが出た。

「携帯番号を教えておきます。引越しとか異動の手続きとかで、また休むから。横浜に行ったり来たりしなければならないんで」

横浜・・・。
新しいキーワードだ。
しかし、昨日の電話と同様に、こちらから質問をする間も与えられずに会話が終了したため、具体的な勤務先等を知ることができなかった。
しかし、横浜に引越しということは、この会社を去ると言うことだ。通勤圏内ではない。

具体的な話は聞けなかったが、まだ希望はある。
今日は、部署の人間が全員出席する全体会議があるのだ。
これで発表するんだろうと期待した。

しかし期待は裏切られた。会議中、発表はなかった。
部長も何も言わない。


漂流男は、なぜゆえに、ここまで秘密にするのだろうか。
3月もあと来週で終わるというのに。
出向元や引越し業者などから電話も多くかかってくるし、バレバレなのに。

悪い癖が出て、またいろいろ想像して理由を考えてみた。

秘密特殊能力を持っていて、秘密の特殊任務に就くことになった。
そんなわけないか。特命係長のドラマの観過ぎだ。

それか、実はすごいエライ人で、今度は理事級の役職に就くことになり、バレると命を狙われるかもしれない。
ありえない。そんなエライ人が各地を出向し歩くわけがない。

もっとリアリティのあることを考えなくては。

敵対する関係筋に引き抜かれため、それが会社の人間に知れると消される。
全然リアリティないじゃないか!映画の観過ぎだ。

送別会をしてもらいたくないとか!?
昨日の話にもチラッと書いたが、彼は職場の飲み会にはことごとく来ない。
他の人の歓迎会も送別会も一度も参加したことがない。
宴会嫌い?さよならは苦手?
だから、企画されないように、計画できないようにギリギリまで言わないつもりなのか?


そんなことを考えながら、ひたすら自分の席でパソコンに向かう。
何か発表や噂が聞けるかも知れないと思うと、なかなか席を外せないのだ。


しかし、まったく動きがない。
というか、何も言わないのでは、周りは動きようがない。
そういうわけで、明日続きを書くかどうかは、お約束しない方がいいだろう。
今度、漂流男が登場するのは、最終出勤日かもしれない。

【漂流男はどこへ行く】

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連休中、ひっぱってきた漂流男の話だが、残念なお知らせをしなければならない。
今日も彼は休んだ。

相変わらず詳細は不明だが、こんな証言が出た。
本日の欠勤を知らせる電話で、漂流男はこう言った。

「今日は引越しなので、休みます」

引越し。・・・引越し!?どこかに行く!?

電話を受けたのは、控えめでおとなしい病弱なN嬢だ。
漂流男は引越しをするとは言っていたが、どこに行くとか詳細は告げなかったらしい。
そしてN嬢は質問する間も与えられなかった。

漂流男の電話はいつも早口で、人に威圧感を与えるような話し方で一気に用件のみ告げるのだ。
今回もやはりそうで、あの書類をメイルで送れとか、どこに連絡を取っておけとか、自分の用件を一気にまくしたて電話を切ったのだった。

そういうわけで、今日も漂流男の行き先は判明しなかった。
しかし引越しは事実だ。
いよいよ異動なんだ。出向解除だ。オフィス内は活気づいた。

「やっぱり送別会をしなくちゃいけないよね?」
「でも、今まで人の歓迎会とか送別会とか絶対参加しないじゃない、これどうよ?」
「だからって、やらないわけにはいかないよ、ね?」
「っていうか、細かい異動の話、聞いてないんじゃ、計画も何も・・・」
「部長には話しているんじゃないか?部長、今日出張?部長にも聞けないのかよ」

チームリーダーが口を開いた。
「異動ではなく、移籍ってこともある」

皆の顔が一気に曇った。
「えっ!?移籍って、出向からうちの職員になるってこと!?」

そういう事例を忘れていた。
そう、時々あるのだ。出向者が出向元の所属から、うちの会社に身分を移して、出向者から正職員になることが。
事実、うちの職場にはそういう人がいる。チョコレートと紅茶を愛するステキな紳士。
彼はいい人だから、大好きだ。
でも、漂流男はノーサンキューだ。

珍しく地味マツケンが発言した。日頃は自己主張のない彼だが、やはり漂流男に対して思っていることは同じだったようだ。
「でも、その場合、引越ししますか?」

地味マツケン、その通りだよ!そのまま残るんだったら引越ししないはず。

「いや、この会社に骨をうずめる覚悟で、棲家も変えるかもしれない」
どこまでも不吉なことを言うチームリーダーだ。ますます嫌われてしまいますよ。
あ、チームリーダーの話になってしまった。



漂流男は休んでいても、オフィス内を引っ掻き回し、我々を動揺させる。
この期に及んで、まだ引っ張る気か!
明日こそ、来てくれ!そして詳細を発表してくれ、漂流男よ。