浜田桂子 作
福音館書店
けんちゃんは にらめっこでお兄ちゃんにまけるので 夜寝る前に
鏡に向かって「あしたはぜったいにわらわないように」
とおまじないをした。
そして、次の日、けんちゃんはお兄ちゃんが
どんな変な顔をしてもまったく笑わなかった。
学校に行く途中、みんなに「おなかでも痛いの?」と聞かれた。
ななみちゃんから花をもらったけんちゃんはうれしかったが、
ななみちゃんから「よろこぶと思ったのに」と言われた。
こんな調子で、けんちゃんはうれしいことや楽しいことに、
十分その感情を感じているのに、周囲からは
「楽しくないの?」「元気がないね」「笑っていいんだよ」と言われる。
家に帰ったけんちゃんは鏡に映る自分の顔を見てみたら
悲しそうで、つまらなそうで、怒っているような自分の顔があった。
けんちゃんは自分の顔を見て、こんな表情だからみんなに
自分の気持ちがまったく伝わらなかったのだとわかった。
そこで、けんちゃんは鏡に向かって
「あしたはぜったいにわらえますように」 とおまじないをした。
次の朝、お兄ちゃんとにらめっこをしたけんちゃんは大笑いした。
その様子を見て、ママもパパもお兄ちゃんもみんなが大笑いした。
みんなで笑って、けんちゃんもうれしくなった。
笑うって とても素敵なことです。
今 その笑いにあらためて チャレンジします。
その世界に 真剣に挑む若者たちと同じ気持ちです。
全力で 笑かしたいです。