【小説】いしかべ、強敵 | にかいからかすがい

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くじっの日常なんやかんや

 白い鎧が立ち上がる。

 四人は、夜雨が後ろに立ち、残る三人が前に立つように並ぶ。

 夜雨は再び矢を放つ。

 放たれた矢は、ここん、と鎧に弾かれる。

 白い鎧は、顔の部分も全て覆っている。目の位置には金属製の網がはめ込まれている。

「矢では少し難しいでしょうか」

 夜雨が小さな声で言う。

 再び矢を番え、鎧の関節の隙間を狙う。

 鎧も黙って攻撃を受けてはいない。腰の剣を抜き、シルエルに向かって歩き出す。

 シルエルは剣を構え、自分から鎧へ攻撃を仕掛けようとする。そのとき、鎧は強く、大きく踏み込み、シルエルへ斬りつける。

 間一髪、両手の剣で、上段から振り下ろされた攻撃をシルエルは受け止める。重い。片手では受け止めきれなかったであろう。

 鎧は二回、三回と斬りつけてくる。速い。

 シルエルは下がりながらなんとかそれらを受け止める。受け止めるので精一杯だ。反撃することができない。

 シルエルが受けに回ったのを見て、流進とレカラスドが鎧へ攻撃を仕掛ける。シルエルの両脇に立つ二人の左右からの攻撃だ。レカラスドが槍で突き、流進が長剣を上段から振り下ろす。

 鎧は後ろへ跳び、二人の攻撃をあっさりとかわす。

 後ろへ下がった鎧へ、夜雨が矢を放つ。首の部分の隙間を狙う。

 鎧は剣を前に出し、盾のように使いながら着地と同時に体を左へと動かし、矢を避ける。矢は鎧の肩の部分に当たる。

「強いな」

 シルエルが言う。武器を扱う技術、体の動き、四人の中の誰よりも鎧の方が上だと判断する。

「四対一でよかったよ」

 流進が言う。

 シルエルが火気、流進が水気、レカラスドが土気、夜雨が風気を集め始める。