「太陽を抱く月」を見ていて、なんともいえない心地良さがあると思ったら、MBCの撮影班は、この作品でさらに一歩進化したようだ。日本の大河ドラマが先にやればよかったのに、と惜しまれることを「太陽を抱く月」はやっている。
わたしたちは、なぜ無意識に、「太陽を抱く月」の映像に快さを感じるのだろうか。
その理由は、次の画像を見るとわかるはずだ。
「柔らかいトーンの紫色」と「柔らかい色の黄色」が建物の内装、と衣服に使われており、アクセントとなる強い原色は、青色と赤色に、選択的に配色されていることがわかる。とくに、黄色の選択が、他の時代劇作品にはないこの作品がはじめて選択して成功した色彩と言える。
ここで、現実よりも、ロマネスク的に紫が選択配色されていることがわかる。いわば、これは、この作品では、「官僚以外の男の色」というべきものだ。
貴顕、と宮中には、基本的に薄い黄色が使われて爽やかさ、軽さを与えて、時代劇の重苦しさから視聴者を救っていることがわかる。
このように、明らかに薄い黄色が基調として選択されていることがわかる。これは、この「太陽を抱く月」がはじめて積極的全面的に拡大した手法だ。
これは、同じ様に、色彩に意を凝らした成功作のイルジメと比べてみるとわかる。
イルジメでハン・ヒョジュは、以下のように、配色を凝らして衣裳替えをしていることがわかる。
「太陽を抱く月」は、「イルジメ」の配色実験の試みのような演出から、とくに薄い色が上品さと解放感を与えることに気がついた過程があるのかもしれない。
これは、日本のドラマにはない、韓国時代劇のお家芸のようなもので、とくにハイビジョン時代になってから初めて確立された特徴だ。