勝部元気のラブフェミ論

コラムニスト・勝部元気の公式ブログ。恋愛、結婚、性などの男女関係をより満喫できるヒントとなるよう、男女関係における様々な問題点について解説しています。

【書籍化決定】 初の著書『恋愛氷河期』 (扶桑社)が2015年8月19日全国書店にて発売。

◆取材、執筆、講演、番組出演等のお仕事のご依頼は ktb.genki@gmail.com までご連絡ください。


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 これまで2度開催して大好評を頂いているイベント「女性の自分らしさと生きやすいを考える」(朝日新聞社WEBRONZA主催)の第3回が、6/18(土)に開催になります!

 今回は女性と職場の問題に詳しい新村響子弁護士をゲストにお招きして、女性が感じる職場の悩みと働きやすい環境についてトーク&ディスカッションを行います。参加費は無料で、席に限りがあるので、お早めにお申込みください!



 



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 今月(2016年5月)発覚した沖縄女性遺棄事件に絡めた元大阪市長・橋下徹氏の発言が波紋を呼んでいます。

 橋下氏は3年前に「性犯罪予防としての風俗活用案」を提案し、様々な批判を浴びた末に撤回したのですが、今回「やっぱり撤回しない方がよかったかも」とTwitterに投稿しました。彼に限らず、「性犯罪予防のための風俗活用」が良い案だと思っている人は後を絶ちません。



 ◆セックスワーカーを危険に晒して良いのか?

 ですが、「予防としての風俗活用案」は最悪の愚策だと思います。それには2つ大きな理由があります。

 一つ目は、セックスワーカーを危険に晒すからです。性暴力と殺人を同時に犯す人たちというのは、性欲と同等かそれ以上に強い支配欲・加害欲・嗜虐欲・殺人欲を有していることがほとんどです。

 つまり「彼らの欲求をセックスワーカーで解消すれば良い」と主張するのは、性欲だけでなく、強い支配欲・加害欲・嗜虐欲・殺人欲の矛先も彼女たちに向けることになってしまいます。

 セックスワーカーではない女性の安全が担保されれば、セックスワーカーの命は蔑ろにしても良いというのでしょうか? それはあまりにセックスワーカーの人権を軽視しており、女性蔑視と職業蔑視が酷い提案だと言わざるを得ません。

 なお、今回のケースは容疑者には日本人の妻がおり、犯行は単純な性欲だけではない衝動が強かったと想像するのが妥当でしょう。



 ◆行くべきところは風俗ではなく病院だ

 「予防としての風俗活用案」が最悪な二つ目の理由は、実効性の問題です。橋下氏は、自分の案を「きれいごとではない実効性の伴った対策」と思っているのかもしれないですが、それは大きな間違いです。潜在的な性加害者に行かせるべきところは風俗ではなくて病院です。

 彼らのエネルギーの多くは女性に対する性欲ではなくて、女性に対する強い支配欲・加害欲・嗜虐欲・殺人欲なのですから、性風俗産業を利用させたところで、その犯罪欲求が止まるわけでは決してありません。衝動を抑えるためには事前に治療をしっかりと受けさせるべきでしょう。

 以前、医学系の学会で性依存症加害者の治療を専門にしている先生の講演を拝聴したことがあり、倫理観では通じない加害者たちの性加害衝動を抑えるソリューションをいくつも持っていることに大変驚かされた経験があります。また、性加害者は認知の歪みを起こしている場合も多く、その場合は認知行動療法による治療も有用であるとのことでした。

 もちろん彼らはその分野の専門家ですから、そのようなスキルをたくさん持っているわけですが、セックスワーカーは決してその手の専門家ではありません。

 実際、性風俗産業の充実と性犯罪発生件数の間には一切相関関係は無いということは、様々な事例で証明されています。このように、予防のための風俗活用法というのは危険なだけでなく、効果が得るための対策としてもあまりに筋違いなのです。



 ◆再発防止が上手く行かない原因は日本にある

 米軍基地問題が影響するために、米軍関係者による強姦事件は大きく報道されますが、そもそも日本人男性による日本人女性への強姦事件も、認知件数だけで毎年1,000件以上と、いまだに数多く発生しています。

 にもかかわらず、日本の対策はあまりに不十分と言わざるを得ません。いまだに親告罪のままであることなどは明らかに政治家と官僚お怠慢ですし、二次加害をする人が多いせいで被害者が泣き寝入りをしてしまうケースが後を絶たないことなどは社会全体の欠陥です。

 ですが、そのように性犯罪問題を放置しているために、性犯罪を劇的に減らすノウハウを日本社会は持ち合わせていません。出てきたとしても、橋下氏の「性犯罪予防のための風俗活用」のように愚策ばかり。

 それゆえ、今回のような事件が起こっても、アメリカに対して効果的な対策を示すことができず、単に「再発防止を!」とだけしか叫べないわけです。

 自国の問題を放置している国には、同様の問題で他国に解決するようまともに議論できるはずがありません。つまり、米軍関係者による性犯罪の再発防止がうまく行かない原因は、日本国内にもあるのです。

 全世界では本当に数多くの性犯罪対策が存在しています。アメリカ国内でも「ミーガン法」等が存在しています。日本はありとあらゆる効果のある対策を徹底的に輸入するべきでしょう。そして「それらと比べて不十分である!」という具体的な内容でアメリカに訴える必要があると思うのです。



震災




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 先日の2016年5月18日、政府が「骨太の方針」の素案を発表し、今年は少子化対策が最重要課題として盛り込まれることとなるようです。確かに少子化はそれ自体が問題であるばかりでなく、子供を産みたい人が産めない社会であるということが何よりも問題でしょう。
 
 ですが、資料に目を通してみると、本当に表面的なことしか書かれておりません。「保育園落ちた死ね」のブログの広がりによって、ようやく保育政策の充実が大きく掲げられたようですが、実際に少子化対策に概ね成功した国々の施策(たとえば無償化や所得控除等)に比べると小規模で、明らかに見劣りするものばかりです。
 
 政府は合計特殊出生率1.8を目指すと宣言していますが、本当に打開する気があるのか、大変疑問に感じてしまいます。少子化対策を本気で行うならば、表面的な対策ではなく、もっと抜本的な構造改革が必要不可欠です。 
 
 では、抜本的改革に必要なものはいったい何でしょうか? その柱をなすのが、以下の「少子化対策における三本の矢」であると私は考えています。
 
(1)子育て政策の充実と社会全体で行う子育てへの大幅な転換
(2)婚姻制度や家族制度の抜本的改革
(3)女性の経済的自立へ向けた抜本的な社会改革
 
 そして、これら3つの根底となる土壌が「結婚・出産・子育て・家族に関して、女性にいろいろと口出す人と女性を叩く人を全員黙らせること!」です。書きたいことは本が何冊も書けるほどたくさんありますが、今回は2つの論点に絞って述べて行きたいと思います。
 
 
 
 ◆あるべき姿の押し付けという規制が産みにくい社会を作る
 
 まず、「規制緩和が自由競争を促進して経済を活性化させる」という原則は、新自由主義的な考えを持っている政治家であれば誰もが知るところでしょう。もちろんそれによる市場の失敗、過当競争、労働環境の悪化等の問題を防ぐ手立てが絶対に必要ですが、なるべく規制は無いほうが良いに決まっています。
 
 それは少子化対策も同じ。経済と同様に、子供を産みやすい環境を整えるためには、それを阻害している様々な規制を緩和・撤廃することが必要です。たとえば、合計特殊出生率を改善させたフランスでは「PACS(民事連帯契約)」、スウェーデンでは「Sambo」という新しいパートナーシップ制度の導入によって、従来の結婚をせずとも子供が産みやすい社会を実現しました。「あるべき家族の姿」という規制を緩和させたのです。
 
 ところが日本はどうでしょうか? そのような新しい仕組みはまともに検討すらされていません。そもそも夫婦別姓すら許されていません。標準モデル世帯という概念や、家父長制の名残が強い戸籍制度もいまだに存在します。従来の男性稼得中心主義に貢献している103万円(および130万円)の壁等も残っています。
 
 さらに制度的な問題だけではありません。たとえば、日本ではいまだに結婚・出産・子育て・家族に関する古い価値観を押し付ける人が後を絶ちませんし、子供がいる母親に対しても何かにつけて「(母)親の躾がなっていない!」「○○するなんて母親失格だ!」と叩く人も至るところに存在しています。
 
 社会から「女性としてあるべき姿」「母としてあるべき姿」「妻としてあるべき姿」を押し付けられれば、当然のごとく女性はリスクを怖れて慎重に行動するようになり、自由な選択を制限せざるを得なくなります。つまり文化的な「見えない規制」が無数に存在しているのです。
 
 このように、日本は結婚・出産・子育て・家族に関して自由に選択できる環境が乏しく、規制がとても厳しい国であると言えます。このような国では子供が産みにくく、少子化が進むのも当然ではないでしょうか?
 
 
 
◆正攻法を真似せずに成功するはずがない
 
 新しいパートナーシップ制度の導入という「婚姻の規制緩和」が少子化対策に資することは明確ですが、他にも「元父に対する養育費の強制徴収制度」「強過ぎる親権の緩和や共同親権の検討」「長時間労働の抑制による男性の家庭進出の推進」「エコノミックマリッジからの転換」等、やるべきことは目白押しです。
 
 スポーツや芸能の分野等でも、まずは上手い人の技術を研究して真似をすることから始めるのが原則だと思いますが、それと同様に、本気で少子化を打開したいのであれば、まずは概ね成功している国々の施策を単純に真似することから始めるべきでしょう。
 
 にもかかわらず、家族のあり方等の古い価値観に拘泥する人々には、西欧の成功者たちが実施した抜本的な構造改革は頭の中で自動的にふるい落とされているのか、常に少子化対策関連の素案からはすっぽりと抜け落ちています。そして婚活支援事業等のように、制度や文化を変えようという方法ではなく、当事者の行動を変えようという方法の施策ばかりが出てくるのです。
 
 ですが、よく考えて欲しいのですが、婚活ブームが起きたにもかかわらず、結婚する人は一時期を除いてほぼ右肩下がりで減り続けています。つまり、婚活では何も解決しません。それは、そもそも現行の結婚自体が、もはや時代に合わなくなっている部分が無数にあり、今後合わない人はますます増えて行くことでしょう(詳しくは拙著『恋愛氷河期』をご参照ください)。
 
 婚活支援を携帯電話に例えるならば、いまだにガラケーを必死になってはやらせようとしているのと同じです。他国ではスマホが普及してアプリ開発で盛り上がりを見せている中で、日本はガラケーを売ろうと必死。これぐらいの時代錯誤だということを是非理解して頂ききたいものです。
 
 
 
◆当事者不在の議論では上手く行くはずがない!
 
 これらを踏まえた上で、政府・与党には「少子化対策における三本の矢」と、その土壌である「規制を強めている人々への規制で自由な生き方を促すこと」を是非実施して欲しいのですが、残念ながら現状のままでは抜本的な改革はまず不可能でしょう。
 
 というのも、政府が少子化について話し合う場に、独身者や若者世代の人はほとんど参加しておらず、結婚・出産・子育て・家族に関するこれまでの価値観に合わないとは感じない人たちばかりで構成されているのですから。それゆえ表面的なマイナーチェンジしか起こせないのだと思います。
 
 本気で少子化を改善しようというのであれば、当事者像に近い人物や当事者の価値観および現代という時代背景に詳しい専門家を政策意思決定過程に参加させるべきです(是非私のことも呼んで欲しいです)。
 
 もうすぐ夏の参議院選挙が迫ってきていますが、各政党は是非そのようなアドバイザーを迎えて、本当に問題を解決できるような公約を作って欲しいと思います。

震災




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