患者を最初に診察する医師の「プライマリ・ケア(1次医療)」を充実させ、医師の「質」向上を分かりやすい形にする取り組みが4月から始まっている。3つの学術団体が合併して活動を一本化したほか、国内最大の医師組織「日本医師会」(日医)も医師の生涯学習制度を改定した。医師免許は一度取得すれば更新することがなく、患者側の医療不信の一因となってきた。「学ぶ医師を増やせ」をテーマにした取り組みで、医師の質への疑念を払拭(ふっしょく)できるか。(大谷卓)

 近畿のある総合病院に勤務する40歳代の小児科の男性医師は、知り合いの開業医の紹介で来院した子供を診て驚いたことがある。

 「風邪と聞いていたが、ぜんそくだ。しかも肺に傷がついているかもしれない」。すぐに治療を施した。大事には至らなかったものの、開業医には早く連絡するよう注意した。

 最初の診療が十分でない例は少なくない。「顔がむくんでいる」と連れてこられた男児が、腎臓疾患のネフローゼ症候群だったこともある。放置すれば腎不全につながる危険な病だ。最初にかかった病院では血液検査を行っていなかったという。プライマリ・ケアにあたった医師や看護婦らの知識や能力不足が原因だ。

 こうした失敗を防ごうと4月に発足した「日本プライマリ・ケア連合学会」(東京)は、日本プライマリ・ケア学会▽日本家庭医療学会▽日本総合診療医学会が合併して誕生した。

 合併の目的の一つが各自で設けていたプライマリ・ケアに関する認定制度の統一だ。当面、日本家庭医療学会のプログラムを基に「プライマリ・ケア専門医認定制度」を実施。専門にかかわりなく臓器別の診断▽幼小児期と終末期のケア、患者とのコミュニケーション能力▽患者やその家族、地域医療にかかわれるかなどを問い、5年ごとに更新する。

 一方、日医も独自に行う医師向け生涯学習制度を変更。これまで医師会誌の感想文などで取得できた単位に学習を義務付け、1時間以上を1単位として30単位の取得を必要とした。また幅広く最新の知識と診療能力、医療倫理を問うためのカリキュラム取得も要求してハードルを上げた。日医生涯教育課は「医師が学ぶ姿を一般に見える形にできるはず」とする。

 新しい連合学会の副理事長で、東京・台東病院の山田隆司病院長は「学ぶ医師を増やす努力が医学界に求められている。患者が相談できる『かかりつけ医』を増やせば、医療への安心感も高まる」と話している。

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