「サバイバルサロンぷれぜんと」主宰

ヤマトミライ

 

京都府警、被害者支援担当者の研修。講演も笑顔で。

 

 ヤマトミライさんは、性暴力被害の当事者の立場から、性暴力被害当事者の談話会「サバイバルサロンぷれぜんと」を主宰し、講演や相談の活動を続けている。

 「傷と共に生きる術を身につけて、幸せになる」という彼女のメッセージとは? 被害からの回復とは? ミライさんの思いを聞いてみた。

 

納得できなかった「和解」

怒りのエネルギーが起点となって

 

 「事故にあった人が復帰して元気に活躍していたり、不運な環境に育った人が大成すると『困難や逆境を乗り越えて』と称賛されるでしょう。被害者だってずっと不幸なままでなく、回復して、『今、幸せに生きている』と胸を張っていいはず」

 ヤマトミライさんはそう話す。20歳の時に性暴力被害に遭った。3人の男に強姦され、裁判に訴えた。それまで漠然と、和解というのは良いものだと考えていたが、実際に体験してみると違っていた。「これ以上傷つきたくない」という気持ちから怒りを抑え込んで選択しただけで、十分に納得して選んだ結果ではなかった。その怒りのエネルギーを持てあまして何かしようと思い立ち、被害者が集まる当事者グループに参加してみて、被害も、傷も、望む支援も、人によってまったく違う。被害者を一律に支援するマニュアルはないことに気づいた。いつか自分で発信できるようになりたい。被害を受けた人や生きづらさを感じている人の社会復帰を応援したい、と考えるようになった。

 有言実行。以来、手探りで活動を始めた。ブログに綴った自身の被害経験を読んだ被害者からメッセージが届くようになった。

 実はミライさんは、「被害に苦しんでいない」ことに罪悪感を感じていた。フラッシュバックに苦しむとか、薬が手放せないとか、思い出して泣くといったことがないのは、「人として欠落してるからではないか」と考えたりもした。被害にあっても回復して幸せに生きている人はいるはずなのに、「幸せです」と公言する人に会えないもどかしさ。同じ気持ちの人とつながりたいと言葉にしたところ、「私もそう思っていた」という人が連絡をくれて、「サバイバルサロンぷれぜんと」の活動が始まった。

 

同じ思いの人とつながりたい

当事者の談話会がスタート

 

 集まって、思いの丈を語り合った。「被害に遭ったけど、今は幸せ」。再犯されてまた傷ついたり、仕返しされる怖さがなくなるなら、「加害者にも幸せになってほしい」。経験したことは違っても、そんな気持ちは共通していた。加害者を許すのかという意見もあるが、罪自体を許すのではない。嫌い、憎いというのは、その感情に支配されているからで、忘れるわけではなく、気にしなくてよくなって初めて「被害者」を卒業できるのだ。

 ミライさん自身も「被害者だから、傷ついたから」と自暴自棄になったり,周りに迷惑をかけてもいいと攻撃的になったことがあった。ある時、車にひいてもらうつもりで道路に寝転んだ。ミライさんが「ごめんなさい。殺してもらおうと思った」と言うと、急ブレーキをふんだ運転手は、怒鳴り散らしてもおかしくない状況で、「めっちゃ酒飲んでるやん。これだけ飲む元気あったらやっていけるで」と返してくれた。励まされた。事故になっていれば、運転手もその家族も悲しませることになったのに、自分の加害者は許せないなんておかしいことに気づいた。加害被害のサイクルを感じるようになると、やられたらやり返す、犯罪をしたら刑務所に入って終わりで良いのかと考えるようになった。加害者にも、しっかり更生してもらわないと、困る。

 

福島県警察学校での講演を終えて

 

被害も加害もなくし

過去を笑いに変えるアドバイザー

 

 今、各地の講演で被害体験を話している。警察の研修などで被害者の立場や気持ちを伝えることもある。被害者が誰でもみんな声を出せるわけではないが、自分に伝える力があるなら、代弁者として発信していきたいと思う。

 コーチングの視点での相談活動も続けている。「被害者」を抜け出すのは、自分の力。傷ついた自分を理解し、自分自身をそれ以上傷つけないようにする術を知ってほしい。人は傷があっても、その後の生活から過去を意味づけしていけば、傷と共に生きていくことができる。二度と自分を傷つけないように回復してほしいと願っている。被害者だけでなく、「なぜ彼女がそんな行動をするのか」理解できずに悩む被害者のパートナーの男性からの相談も受けている。

 性教育の充実も必要だと思う。性被害に遭ったことのない人の言葉は、時に暴力になることがある。無理解や無知から来る態度や言葉で被害者が傷つくと、暴力を受け続けている気持ちになってしまう。 そして、加害者と対話するようになって、加害者自身が被害者であることが多いことなど、加害と被害は連鎖していることを痛感した。ミライさん自身は幸い、事件の時に対応してくれた警察官や関係者、周囲の人間関係に恵まれたから、加害に至らず、犯罪者にならなかったのだと、今は思う。

 被害も加害もなくしたい。暴力の連鎖を止めたい。そのためにできることを、一つずつやっていきたいと思っている。

 

ヤマトミライ

090-7961-8433

ブログ http://ameblo.jp/kamui198

email mirai@yamatomirai.com

 

取材・文 如月オフィス 川畑惠子

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