自動車メーカーがディーラーに支払う販売奨励金は必要なのか? | 経営コンサル愉快日記~サルを超えちゃった僕たち~

自動車メーカーがディーラーに支払う販売奨励金は必要なのか?

日経ビジネスの記事中に、2009年にアメリカを抜き世界最大となった中国の自動車市場において台風の目とされているBYD(投資家のウォーレン・バフェットが投資していることで有名です)が、2010年7~9月期の決算において売上高が横ばいで純利益が約99%減に落ち込んでいると書かれていました。

BYDはディーラーに多数の在庫を持たせ、高い販売台数目標を与えることで販売を拡大してきました。そして、これを可能にしていたのが台数目標を達成したディーラーに支払われる多額のインセンティブ(報奨金)であるとされています。

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※写真は2009年に中国で最も売れたBTDの「F3」

このようにメーカーがディーラーに対してインセンティブを支払う形態というのは、BYD特有のものではなく、世界中で行われているものです。
しかし、同時にこのインセンティブがメーカーの収益性を圧迫しているのこともまた事実としてあります。

そこで、「なぜインセンティブを支払う必要性があるのか?」と考えた場合、

①価格(=低価格)や瑣末な「機能の違い」しか顧客に訴求できるものがない
②売り手(メーカー)と買い手(購入者)間の情報の非対称性


の2つがあるように思われます。

つまり、

製品(=車)に取り立てて特徴がないために、ディーラーに一生懸命自社の車を売り込んで貰わなければ製品が売れない。

売り手(メーカー)が製品の付加した価値が、必ずしも買い手(購入者)に伝わっていないため、その中間に価値情報の伝達者(伝道師)というディーラーが必要

ということです。

要するに、

①´製品に明確な特徴があり
②´その特徴を明確に購入者に伝える手段が構築できれば


インセンティブは必ずしも必要というわけではなくなり、インセンティブ分だけ収益性は向上しそうです。

次回は、製品ライフサイクルの観点から、日本車メーカーの採るべき施策について簡単に考えてみたいと思います。