2017年05月03日

今森光彦写真展 ~琵琶湖の便り、里山からの贈り物~

テーマ:お知らせ

5月になりました。

皆さまどうお過ごしでしょうか?

五月晴れ 意外に強い 向かい風

どうも、続きまして僕です。

 

今回は皆さまにおすすめしたい展覧会がありますので、紹介させていただきます。

東京都江東区東陽町にあります竹中工務店東京本店1階のギャラリーA4(エークワッド)にて5月18日(木)まで開催されている展覧会です。

今森光彦写真展 ~琵琶湖の便り、里山からの贈り物~

http://www.a-quad.jp/exhibition/082/p01.html

 

 

「里山」」という言葉を意識し始めたのは数年前、1冊の本がきっかけでした。それからも里山には常に興味を持っていましたが、特別調べたり勉強したりするわけでもなく日々を過ごしてきました。

今年の初めにギャラリーA4(エークワッド)から今森光彦写真展とシンポジウム「里山の力」の案内状が事務所に届いた時、これは是非行きたいとすぐに宣言し、4月中旬に開催されたシンポジウム「里山の力」に参加し、今森光彦さんと生物学者の福岡伸一さんの対談を聞いてきました。

 

ところで皆さま、里山という言葉を普段から使いますか?

里山という言葉を今森さんは、「人と生きものが共存する、日本古来の農業環境のことを言う」と定義されています。そして福岡さんは、「里山とは、場所というよりは”状態”であり、もっといえば”行為”なのである」とおっしゃっています。

そもそも里山に興味を持った理由の一つは、里山という環境が自然に人の手が加わって初めて成立するということを知ったからです。人間の行為と自然というものは対極のもので人の手が加わればもう自然ではない、という先入観がどこかにあったのだと思います。

里山について対談を聞いて理解を深めることができました。自然と人間の行為というものは絶妙にバランスをとりながら共存することができるのです。このバランスは絶えず変化していて、それが福岡さんのおっしゃる”動的平衡”というものだと思います。そしてバランスの取れた”状態”やバランスを取っているまさにその”行為”を福岡さんは里山と定義されているのだと思います。対談では「生態系を邪魔しないように入っていって、何かをもらう」という表現をされていました。

建築産業は環境を最も破壊している産業です。これは建築に携わる全ての人が考えるべき問題です。そのことを考えると人間の行為と自然とがバランスを取りながら共存している里山というものは、これからの建築のあり方を考える上でとても重要なヒントになるのではないかと思います。

対談の中で最も印象的だった言葉の一つが「見えないあらゆるものがつながっている」というものです。

このことを今森さんは土門拳の仏像写真を例に出して語っていらっしゃいました。土門拳は仏像の顔のアップの写真を撮るときに、まず何時間もかけて仏像の裏にも何度もまわって隅から隅まで見てから撮影していたそうです。「写真は理解、認識能力の産物」と今森さんはおっしゃっていました。対象物の全体を理解して初めて、写真を通して何かを伝えることができるのです。今森さんは里山の写真をたくさん撮っていらっしゃいますが、里山全体は1枚の写真に収めることはできませんので1枚1枚の写真は里山の断片です。それでも今森さんの里山の写真が魅力的な理由は、今森さんが里山という環境を深く理解していて何を伝えたいかがはっきりしているからなのでしょう。

見えないあらゆるものがつながっているということを考えると必然的に長いスパンでものごとを考える必要が出てくると思います。近代以降の建築というものは、生産性をあげるために効率化や合理性を追求してきました。その副産物と言えるものが環境問題です。短いスパンでものごとを考え目先の利益を追求するあまり、見えていなかった部分が環境だったのではないでしょうか。人間の行為である建築産業は常に自然環境と繋がっていたのです。この問題を根本から解決するためには、里山のように人間の行為と自然環境のバランスがとれる建築を目指すべきではないでしょうか。短いスパンで表面的にものごとを捉えていては何も解決しないと思います。長いスパンで考えて、生態系の邪魔をしないように、自然のサイクルの中に建築という人間の行為を入れ込んでバランスをとることは不可能ではないはずです。

そのヒントとなりえる言葉を耕木杜のトップページに掲載しています。

是非読んでみてください。

「生産しない建築」 http://koubokusha.co.jp/

 

長くなってしまいましたが、最後にもう一つシンポジウムで印象に残った言葉を紹介したいと思います。

それは、「感性の栄養」という言葉です。

今森さんは子ども時代に自然からたくさん感性の栄養をもらったことが、今の仕事につながっているとおっしゃっていました。福岡さんはレイチェル・カーソンのセンスオブワンダーという言葉を例に感動することの大切さをおっしゃっていました。

これらの経験はやはり子ども時代に経験することが大切だと思われますが、大人になってからでも感性の栄養を摂取し続けることは大切だと思います。

耕木杜では大工さんが木を扱う工房や作業場があり、常に木のにおいがし、木を加工する音がしています。庭には魅力的な植物が植えられ、鳥や虫がたくさんやってきます。つい先日も、いただいた美味しいジビエを使ってバーベキューをしました。そして事務所は耕木杜の理念を形にした居心地の良い、雰囲気をもった空間の建物です。このような恵まれた環境で感性の栄養を摂取し続けながら、これからの建築について考え、その考えを形にしていければと思います。

 

 

(KYUMA)

 

 

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