事故当時、約二十年前

ちょっと変わった精神科の先生に「縞状記憶障害」と診断されたけど

自分が記憶喪失だってことに疑いを持っていたので信用してなかったんだけど

最近大体同い年の人達の会話を見ていて「あれ…おかしいな」と思った。


お母さんに、自分が会社に勤めてた時のことを話しているうちに

私という五歳の子供がいきなり社会に放り出された状態だった事に気が付いた。

大変大人達に迷惑を掛けただろうと思ったけど

記憶喪失なんて誰も信じないだろうと思ってたからずっとひとりで抱え込んでたんだ。


そして、私はまだ子供のままだ。


背伸びして箇条書きにしていたり

なんとなく正しそうな文章を書いたり

丁寧な言葉を心掛けてみたりしてたけど

心は学校に行ったことのない子供だ。

妹や弟より遥かに年下の心。


そう認めたら涙が出た。

苦しかった、何もわからなかったと叫びたかった。

お母さんは、聞いて、受け止めてくれた。

「頑張ったと思うよ」って受け止めてくれた。


これからは背伸びしないで

無理しないで生きようと思った。