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2011-06-05 09:49:26

『イタリア異界物語 ドロミーティ山地 暮らしと伝説』

テーマ:神話・伝説・民話
ケルトというと、いまだにイギリス諸島を思い浮かべる人が多そうなのだけれど、実はヨーロッパの非常に広い範囲に広がっていた民族だそうだ。
もちろん、ひとくちにケルトといってもまとまりのあるものではないのだろうが、たとえばアルプスのあたりにも分布していたと言われている。
本書はまさしく、アルプスのイタリア側、ドロミーティ山地(ドロミテ山地。有名なスキー場などがあるところ)に伝わる民話を集めたものだ。
ちなみに、この地域、イタリアの民話を集大成したカルヴィーノが、「あそこはイタリアじゃないからスルー」と言って省いた地域なのだそうだ。
イタリア的ではない、文化圏として別のとこ、という認識だったわけだね。
実際、この地域はすぐお隣がチロルだし、鉱脈を求めてドイツ側から多数の鉱夫が移住してきた土地でもあるという事が、解説されている。

前から、イタリアの妖精譚とはどんなものかと興味が深かった私にとって、カルヴィーノの『イタリア民話集』は面白くはあるが、妖精譚がほとんど含まれていないことが不満だった。
その不満を解消してくれたのが本書だ。
確かに、非常にケルト的な部分もある。たとえば、イギリス諸島のケルト的妖怪と共通するものもある。黒犬などがそうだ。
また、多数言い伝えがあるという夜の騎行、そもそもヨーロッパじゅうにある言い伝えだという事だが、ドロミーティに到来する夜の騎行は、ドイツの方からやってくるらしい。
また、アーサー王伝説ですら、この地に及んでいるのだ。

しかし、そっくりそのままイギリス諸島やドイツの妖精譚と同じわけはない。
やはりそこには、どこかイタリア的な要素も入っているように思う。
小人の王ラウリンが支配する薔薇の園は、イギリスの妖精界のような薄暗さはない。
また、その園に咲き乱れる深紅の薔薇は、戦いで死んだ戦士たちの魂だという話があるそうで、これらの戦士はいずれ蘇る暗示もある。
オーディンが支配するヴァルハラと基本的なコンセプトは同じでも、イメージがだいぶ違うよなあ。

また、美しい高山の花々が咲き乱れる地のためだろうか、花にまつわる民話が大変に多い。
カワウソの娘と恋に落ちた羊飼いの物語は、悲恋であり、魔法の眠りもからむケルト的要素の強いものだと思うんだけど、そこには最初から最後まで、わすれな草が群れ咲いている。

一方、山間の王国にまつわる物語などは、ケルト的、イタリア的などというより、むしろアルプス的というような、ユニークかつ美しいものだと思う。
山を支配する石の民の女王と人間の恋物語なども人間の数え方で二世代にわたるもので、興味深い。

また、この民話集は単に民話のみを集めたというより、それぞれの背景に触れた、著者のアルプス紀行文があるところも面白い。
採話した地の状況などがわかるのだが、ここらへんは『遠野物語』に通じる面白さがある。
そういえば、この地ではカワウソが人間になったり人間がカワウソになったり、あるいは魔王がカワウソに変身したり、カワウソ自身が変幻的な力をもって人間とかかわったりする話がけっこうあるのだそうだ。
著者は日本の、狐や狸の話と簡単に比較していたが、日本でも地方によっては、狐や狸と同様の機能をカワウソが持っている地域がある。
別にだからといって、日本とこの地にむすびつきがあるわけではないだろうけど、カワウソという獣が人間と関わりやすい(たとえば、生活圏が重なっているなど)というところもあるのだろう。

また、南イタリアの妖精とこの地の妖精を紀行文の中で比較しているところもいくつかある。
そうそう、やはりイタリアにも独自の名前をもった妖精はいっぱいいるわけだよ。
直接紹介されているわけではないが、そこらへんも楽しく読める部分だ。


イタリア異界物語―ドロミーティ山地 暮らしと伝説/増山 暁子
2006年2月12日初版
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2011-04-11 20:28:53

『耳袋の怪』

テーマ:神話・伝説・民話

『耳袋』といえば、江戸町奉行の養殖にあった武士が知人などから聞いた噂話などを書き留めたもので、かなりの大部だ。
一人でよくもまあ、と思うほど、凄い。
これを読み通すには、ちょこっと根性が必要かもしれない。

しかし、不思議な話のみをピックアップした抜粋版である本巻ならば、現代語訳にもされているし、気楽に読む事ができる。
あくまでも不思議な話であって、怖い話ではない。
そこを心配するには及ばない。

原題の都市伝説などもそうだと思うが、こういったものにはある程度はやり廃りがあり、それらを知る事で、その当時の(また、その国の)精神世界の片鱗が見られるところが面白い。
また、本編には、実際に江戸時代の都市伝説だったのではないかと思われる、「同じタイプの話」が重複しておさめられていたりもする。


耳袋の怪 (角川ソフィア文庫)/根岸 鎮衛
2002年7月25日初版
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2011-03-09 21:45:34

『朝鮮の神話伝説』〈世界神話伝説大系 12〉

テーマ:神話・伝説・民話
戦前の、1929年に上梓された本著、朝鮮半島はまるごと朝鮮だった。
今は半島が南北に分かれていていろいろややこしいことになっているが、朝鮮という国号は、なんとも綺麗だよね。他に、鶏林という呼び方もあるそうだ。
その由来についても、本著の中におさめられている。

さて、(本著の表記に従い)朝鮮の神話というと、日本の記紀に相当する『三国遺事』や『三国史記』という書物があるが、本著にも、そこからとられた建国神話が一部おさめられている。
しかし、正直いうと、遺事も史記も、いまひとつ面白くは思えない。
一国の起源を示すために編纂されたような神話は、だいたいそうだと言っても違いはないかもしれないが、それにしても、「あそこを支配してみたいよ」という思いから発する建国起源が多すぎるのだ。
わかりやすくまとめてしまうと、
「あの緑の大地を手に入れろ」
ということだ。

しかし、そこをよくよく考えてみると、天界だろうが外国だろうが、どこかからやってきた人々が「緑の沃野を手に入れ国を作りました」というのは、つまるところ、フロンティアに到来したという意味になるのだろう。
ただ、日本の天孫降臨のように現地の神々なり、人々なりと争ったという経緯がなく、ただもう、やってきて入植して国を作っているイメージだ。
朝鮮の建国神話は、つまり、フロンティア神話なのだ。

一方、地方に伝わる伝説は、孝心にまつわるものが多く、夫婦の情にまつわるものはやや少なめに思われる。
と、申しますか、夫婦の情があつく感じられるのは、羽衣伝説くらい。
七夕伝説でさえ、朝鮮のバージョンは、あまりにも二人がらぶらぶだったために仕事をおろそかにして……という経緯ではない。
夫婦よりはひたすら子が親を思う愛情であり、母親が子を思う愛情が語られる(残念ながら父親は枠外)。

もうひとつ、ちょっと面白かったのは、朝鮮各地に、米のあふれる穴を持っていたお寺がある、というところ。
必ず、住持が暮らしていくのに充分なお米が寺内の特定の場所から毎日あふれてきて、欲をかいた人が、「もっと出てくるかもー?」とその穴を広げてしまうと、お米は出なくなって、清水がちょろちょろと出るだけになる。
(但し、清水はどんなひでりの時も絶える事がないというおまけがつく場合もある)。
そして、なぜか、お米があふれてくるいわれは、全く語られていないのだ。
これって何なのだろう。ちょっと気になる。


世界神話伝説大系〈12〉朝鮮の神話伝説 (1979年)/著者不明
1929年1月29日初版
1979年12月20日改訂版
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2011-03-07 19:49:08

『スコットランドの神話伝説』〈世界神話伝説大系39〉

テーマ:神話・伝説・民話
ケルトの神話とか民話とかいうと、どのあたりの地域を連想するだろうか。
アイルランド。
そしてウェールズ。
たぶん、そうだろう。
このふたつの地域のものが、最もメジャーなのは、アルスター神話やマビノギオンなどがあちこちに紹介されているからなのだろう。

ケルトの足跡は、ヨーロッパに広く記されているという事だけど、イギリス諸島に限っても、イングランド、ウェールズ、アイルランド、スコットランドで、それぞれ少しずつ(どころではなく)内容が異なっている。
そう、地方差があるのだ。
イングランドまたはブリテンのものは、少ないし、そっくりそのままではないが、古く『ガリア戦記』や『ゲルマーニア』などが断片的に伝えてくれているみたいだ。

そして、スコットランド、この地方は?
小さな島々なども独特のものを伝えているというけれど、スコットランドはもっとうんとでかい。
なのに、スコットランドのものを中心に扱っている本って、不思議とない事に気付く。
本書は、珍しくも、スコットランドに焦点をあてているところが、まず、興味深い。

さて、ケルトというか、ヨーロッパの異教は、おおむね、夏と冬の対比が神話に反映されている。
海外ファンタジイが好きな人ならば、そういう神々や妖精の勢力が活躍するファンタジイを思い浮かべる人もいそうだ。
夏の王と、冬の女王。
そうそう、『ナルニア国物語』にも、投影されているよね。

そのルーツともいうべき姿が、本書で紹介されている。
冬の女神ベーラは、季節のめぐりに従って、美しい女神からおそろしく醜い老婆へと変身する。
彼女は残酷であり、夏の王とその妃に嫉妬している。
しかし、スコットランドの名だたる巨人や神々は、このベーラから生まれた。
夏の王アングスですら、ベーラの息子として育った。
ベーラとアングスの間の確執、また、ベーラの子供たちの間の争いなどが、可能な限り系統だてて並べられているのは嬉しい。

北の海の人魚の伝説も、幾つもおさめられている。
アイルランドや北欧の伝説にあるように、アザラシに変身する人々もいれば、南の海にいる人魚とよく似た姿の者もいるけれど、そのふるまいは、アイルランドの同類と似ているようでありながら、独特の詩情を持っている。
アイルランドの妖精世界が、イェイツが語ったように、黄昏の美しさではなく、スコットランドの神話や伝説は、月光に照らされた海や野原の美しさがあるように思う。


世界神話伝説大系 39 改訂版/著者不明
1929年7月18日初版
1981年2月20日改訂版
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2011-02-22 11:04:19

『新編世界むかし話集 10 アメリカ・オセアニア編』

テーマ:神話・伝説・民話
正直に言うと、この最終巻は、「残りを全部入れたのかなー」という気がしてしまう。
南北アメリカからオーストラリア、ニュージーランドまでとは、あまりにも地域が広い。
しかし、この広大な地域には、ひとつの共通点がある。
それは、ヨーロッパ人によって植民地化され、多数の白人が入植し、白人によって多数の黒人も連れてこられた。
そしてもちろん、もともとそこに住んでいた人々もある。
人種的にも、文化的にも、大変複合した地域だという事なのだ。

さて、一般に、南北アメリカやオーストラリアなどの民話、というと、最近では自動的に「原住民の伝えた民話」がぱっと思い浮かぶものかと思う。
アメリカだと、かつて奴隷として連れてこられた「黒人の民話」というカテゴリが別にある。
しかし、白人とて入植してすでに年数がたっており、その中にはかつての故国からもってきたものではない、現地で育てた民話が伝わっていたりするわけだ。
そうそう、有名なところでは、北アメリカにはポール・バニヤンという木こりの物語があるよね。
だいたい、トールテール(ほら話)なのだけど、これも、キャンプなどで語られた物語だとすると、わかる気がする。

本巻のおもしろいところは、原住民の民話のほか、そういった外来の人たちの民話も、人種グループごとにわけて採択しているということだ。

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《北アメリカ》

インディアン

世界のはじまりとお爺さん
どうやってコヨーテは人間を助けたか
海の人間と結婚した娘
雲のところへ行った娘
トウモロコシおばさん
太陽と月
年とった栗毛のウマ
最初の人間と世界の秩序
死んだ恋人を訪ねた娘
ヒューロン湖の魔術師
クマ祭りの起こり

エスキモー

カラスの話二つ
白鳥の話
クジラの魂と燃える心臓
一角クジラはどうしてできたか

白人系

口まがり一族
口をきく卵
大男のジョン・ボーリング

黒人系

タールの人形
しっぽ

ハワイ

カネの宮の生き水
月にのぼったヒナ
プニア少年とサメの王さま

《南アメリカ》

インディオ

カメと天のお祭り
カメと人間
森の精と三人の娘
死人の花嫁
ワルラウ族の起こり
アマオ
なぜイェルバの茂みは枯れないか
七つ星
虹の鳥
マニオカの始まり
貧しい母親と三人の娘
太陽とエーデルワイスと赤い実
なぜボアは人間を食べないか
死んだ太陽
大洪水
動物のお祭り

ヨーロッパ系

天への道
魚の子供たち
どくろの復讐

《オーストラリア》

南太平洋諸島

ワニの穴
月の中の乙女
ハエとミツバチ
人間とカ
太陽の子
白人の起源
鳥と魚の戦争
なぜ火食い鳥には翼がないか
なぜわれわれは死なねばならないのか
アロイェラと彼の娘

オーストラリア

太陽の誕生
ツルとカラス
スバルとオリオン
花々がまた世界にもどってきたわけ
マウイ
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新編世界むかし話集〈10〉アメリカ・オセアニア編 (1977年) (現代教養文庫)/著者不明
1977年4月15日初版
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2011-02-21 23:34:11

『新編世界むかし話集 7 インド・中近東編』

テーマ:神話・伝説・民話
この地域は、昔話の宝庫だと言われている。
たとえば、『千夜一夜物語』(アラビアンナイト)が、この地域のものだ。
コーヒー店などでは、こういった物語が専門家によって語られていたというし、隊商が旅をする時は、野営地で物語が語られたともバートンなどが記している。
インドには、これまた有名な『ジャータカ』をはじめ、さまざまな物語集が伝わっている。
いずれも多数の物語を含むわけだが、海外でも訳出され、日本でもメジャーといっていいだろう。
そもそも、この地域の人は、「たとえばなし」が好きなのかもしれない。
『千夜一夜物語』のなかでも、しばしば、登場人物は、たとえばなしをもって誰かを説得しようとしたり、誰かの教訓になるだろうという前置きのもとに自分に関するエピソードを語り始める。
そういえば、『聖書』をみても、イエス・キリストはしばしばたとえばなしを用いていたように思うが、これまた地域的にはこのあたりのものになるわけだね。

編者山室静は、この地域の民話集を編纂するにあたり、あえて、『千夜一夜物語』と『ジャータカ』に含まれるものを排したと述べている。
このふたつがあまりにも名高いため、なかなかの苦労ではなかったかと推察される。
イスラム圏では愛されている道化者、ナスレッディン・ホジャの無数の話からも、1つしか採られていないのは、杉尾(おそらく同様の理由で1つしか採らなかったのではないかと推察する)。

従って、この地域の物語にある程度なじみがあっても、「え、こんな話があったんだ!」と思うような物語が中心であり、かつ、いずれもメジャーなものに劣らぬ面白い民話だと思う。

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インド

青い山犬
三人のいたずら者
年とった母親と娘
罰する前にしらべよ
王子と飢えたトラ
おしゃべりのカメ
ハリシャルマン
ルビーのできるわけ
玉ねぎどろぼうのうけた罰
胃袋の使者
おべっかと真実
サヴィトリ姫と死神
床屋のおかみ
どろぼうの親子

イラン

お百姓と三人のいたずら者
アリ・ムハメッドのお母さん
医者の親子
金の燭台
ムハメッドと妖精のお姫さま
三人の先生
ミツバチ娘セネマーの話

アラビア

ダマスクスの商人カシムの話
二人のごろつき
貧乏人と卵
なまけ者のボンシーナ
上等なふろ屋の話
女の智恵と男の智恵

トルコ

笑いリンゴと泣きリンゴ
どろぼうの名人
ナスル・エド・ディンの晴着
子ジカの王子
掃除夫とカディ
親指小僧
毛皮むすめ
荷かつぎ人足の話

イスラエル

巡礼と彼のロバ
なまけ者の国
けちんぼの金持ちと恵み深い靴屋
だれが姫の病気をなおしたか
正しい問いと正しい答え
モスルの干魃
正義の人ノアのただ一人の娘
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新編世界むかし話集〈7〉インド・中近東編 (1977年) (現代教養文庫)/著者不明
1977年 3月30日初版
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2011-02-20 23:43:20

『現代民話集 12 写真の怪・文明開化』

テーマ:神話・伝説・民話

写真の怪といえば、ぶっちゃけたはなし、心霊写真。
なぜか、カメラというものには人間の目には見えないものが写るとされているらしい。
松谷みよ子による現代民話シリーズは、もうそれなりに前のものとなるから、ここに集められたものは、ほとんどがフィルムを用いた写真になるわけだけれど、ヴィデオカメラにも写ることは、夏のテレビの怪奇特番などにも出てくるとおりで、今改めて募集したら、写真については、デジカメのデータが多くなってくるのかとふと想像した。

しかし、心霊写真を文章で見て見ると、ちょっと面白い事に気がついた。
その写真にからむ人物が亡くなっている時、水辺であること、水面に「なにか」(しばしば、手だけ)が待ち受けていることがとても多いことだ。
確かに、心霊写真としてはある意味定番、かもしれない。
だが、よくよく考えてみると、だ。

水の怪といえば、特に海では、舟幽霊が有名だよね。
これは、「たくさんの手」が出現して、ひしゃくなどを借りると、水をくみこんで船を沈める(人を殺す)と言われている。
また、西日本などにいるらしい「ミサキ」という海の幽霊は、一人取り殺すたびに、メンバーのうち一人が成仏するらしい(つまり、成仏するためには一人取り殺さないといけない)。
(もともと、中国の水死した人の霊に、そういう性格があるようだ)。

これね、水辺の心霊写真の特徴と、とてもよく似ていないだろうか?

後半、文明開化の章は、20世紀以降の新技術がテーマだけれど、これも、今なら携帯電話、インターネットなどが入ってこなければならないだろう。
しかし、ここ20年のうちに、こういうメディアはどんどんうつりかわっている。
はたしてどれだけ、「現代民話」となり得る話ができているのか、ちと興味が湧く。


現代民話考 12 写真の怪・文明開化/松谷 みよ子
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2011-02-19 23:28:51

『新編世界むかし話集 9 アフリカ編』

テーマ:神話・伝説・民話
アフリカといっても、かなーり広い。
だから、ほんとは薄手のこの本一巻では、とうていカヴァーしたとは言い切れないのだろうけれど、滅多に紹介されることのないアフリカの民話の雰囲気が、やはり概観できて良いなあ、と思うのだ。

北アフリカは地中海に面しており、エジプトとかチュニスとか、古くから栄えた土地柄だけれど、それ以外の、かつて「暗黒大陸」と言われたような部分は、やはりなにかこう、魔法というか、呪術でむっと息詰まるような、暑い雰囲気が伝わってくるような気がする。

また、こういう土壌は、トリックスターが活躍しやすい風土だと思うのだけれど、北アメリカのコヨーテのように、アフリカに特徴的なトリックスターは、どうやら、蜘蛛であるらしい。
蜘蛛が活躍する物語がたくさん登場するが、なぜそういった蜘蛛話が多いのかという由来話があるところなど、とても面白いと思う。

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北アフリカ

フリージアと二人の娘
あるサルタンの話
アズビンの馬
麦つぶ小僧イレッド
ロバの数
最初の争いと民族の成立
お姫さまと七人の兄弟
泥棒の話

東アフリカ

かしこい医者
いなくなった妹
ネズミとカエルとトカゲ
二人の友
人食い鬼と少年
ライオンと九ひきのハイエナ
野鴨とキツネとカラス
神々のお気に入りのサブラナ
魔法の角
ハチとサソリの毒くらべ

西アフリカ

動物の恩がえし
なぜ人間は生きいあけれないか
クモの話二つ
どうして戦争がこの世におこったか
ムカデ
どうして夜ができたか
なぜカバは水の中にすむか
ウァガド王国史
チンパンジーがもう人間といっしょに暮らさないわけ
どうしてクモ話が生じたか
象とクモ
月と太陽
カニにはなぜ頭がないか
思いあがった娘
双子の兄弟

中・南アフリカ

父親とどろぼうの息子
怪物コーロモドモ
イマナ神とうまず女
陸ガメとカバとゾウ
タバコのおこり
家づくり
だれが一番大食いか
二人の兄弟

マダガスカル

カッコウ
野ブタろカメレオンのかけくらべ
タンガリイとドソ
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新編世界むかし話集〈9〉アフリカ編 (1976年) (現代教養文庫)/著者不明
1976年12月30日初版
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2011-02-18 09:39:34

『新編世界むかし話集 8 中国・東アジア編』

テーマ:神話・伝説・民話
山室静という人の専門はドイツ・北欧の方面であるので、実はこのシリーズも、多くをドイツ語の原書から採っているもののようだ。
そりゃそうだ、一人の力で世界各国の(それも中近東やアフリカその他、マイナーな言語のものまで)民話をそれぞれの国語から翻訳編集できたとしたら、超人的な技になってしまう。

まあ、そういうわけであるから、この中国・東アジア編も、アルファベットの国を通しているのだけれど、それでも中国のものに関しては、そもそもいろいろな古典のなかに幻想的な話などがあって、そういうところから採られたものまるようだ。
あるようなのだが……ということは、わりとメジャーな話が並んでしまうということでもあり、面白味がやや減じる結果にもなる。

このため、やはり東アジアの物語の方が目新しく、面白く感じたりする。
とくに、日本ではあまり紹介される事のない、ベトナムやタイ、ビルマの話は面白い。

----------
中国

少女イェーシxcエン
花の精たち
板橋店の三娘子
おきあがりこぼし
ナシ売り仙人
天の川とたなばた
カタツムリ娘
竜王の娘
アリのつまったつぼ
知りたがりやのトラ
都のネズミと田舎のネズミ
足の大きい女
ヘビとムカデとオンドリ
鳳凰と二人の兄弟
ふしぎなかめ
お米はどうしてできたか
大工のいたずら
カッコウの見合い
かわいい子牛
海の宮の起こり
ガンの湖
愛はお墓の中まで

朝鮮

ニンジンっ子
コウノトリの裁判
少年の望み
馬のしっぽの話
病気のトラ
カメの恩返し
百日紅
娘タエと竹

モンゴル

金と銀のサイコロ
フルンショボーという鳥のこぶ
親孝行の若者
北の勇士と南の勇士
山のヤギのお話
いなくなったラクダの話

チベット

アリの話
罰せられた欲深さ
わるい継母

ベトナム

米つぶ
ふしぎな女房
くいしんぼうのおかみさんと嫁
馬と結婚した娘
十頭の象
銀の墓場

ビルマ

かぜをひいたウサギ
なぜカラスはカッコウの卵の世話をするか
金のカラス

タイ

金のハゼ
夢の話
ヒヨコ星
小さい割籠

マレーシア

トラとその影
豆シカとワニ

インドネシア

だれの罪か?
ミツバチ女房
南の島のシンデレラ姫
鳥の王さま遊び
牝牛と三人の娘
じぶんの妻をなにものよりも愛した男
二羽のシャモ
サルとカメ
動物のおしゃべり
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新編世界むかし話集〈8〉中国・東アジア編 (1977年) (現代教養文庫)/著者不明
1977年1月30日初版
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2011-02-16 22:13:43

『新編世界むかし話集 6 ソ連・西スラブ編』

テーマ:神話・伝説・民話
ソ連という名称に凄い古さを感じさせるわけだが、まあ、要するにロシアなわけで、グリム兄弟なくとも、ロシアには民話を集め、立派な仕事をした学者が何人もおり、その結果、民話の宝庫みたいなことになっている。
(もっとも、よくよく考えれば、民のいるところ民話はあるのであって、それをどれくらいたくさんあつめた人がいるかによって、宝庫かどうか呼び名が変わるように思う)。
とはいえ、味わい深かったり、美しかったりする民話は数多いのは、大地の広さもあいまって、事実なのかもしれない。

ここには、ロシア民話として有名なものもおさめられているが、神による応報の物語でありながら、不思議な美しさのある、『神の水車はゆっくりとめぐる』が私の気に入りの1編。

さて、ロシアと西スラブが文化的に近縁関係にあるとするならば、三人姉妹のうち、末娘が男(兵士)になって父親のかわりに出征するという物語が複数入っているのは興味深い。
思えば、失われた夫を捜すために男装して旅に出る女の物語が、中近東にはいくつかあり、これと似て非なるというか、違うようでいて似た味わいだと思うのだが、コーカサスなどを通じてふたつの文化圏の間に交流もあったかと思うと、もしや互いに影響し合った物語なのかもしれない。

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ロシア

火の鳥
カマスの命令
山姥ババ・ヤガー
兵隊になった娘
あかだらけの男
シラミの皮でつくった上靴
うそつきの百姓
兵隊さんと魔女
親指小僧
母親と死んだ息子
やさしい子供たち
強情っぱりのおかみさん
ハエのお城
金持ちマルコ
将軍と賢い百姓
魔法のボダイジュ
神の水車はゆっくりとめぐる

トルキスタン・シベリア

スイカの種
底抜けに気前のいい男
いたzぅら者のナスルッディン
大ガラスとネズミの一家
魔法くらべ
木挽きの三人の娘
木彫りの女
メジカの夢

コーカサス・アルメニア

処女王
漁師の息子
アレグナサン-男になった娘
ロバとラクダ
お百姓と下男
なまけ者
オオカミとキツねとラクダ

ポーランド

ヘビの王さまの冠
オンドリと風
継母のねたみ
風にのる人
魔法のつぼ
月へ行った聖ゲオルグ
ノミとハエ
バルト海の女王

チェコ

十二の月
塩は黄金よりも尊し
飲んべえと死人の骨
鉱山の王さま
悪魔とケーテ
智恵と運
山の賢い娘
貧乏神について
----------


新編世界むかし話集〈6〉ソ連・西スラブ編 (1977年) (現代教養文庫)/著者不明
1977年2月28日初版
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