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2011-08-08 19:12:34

『テレビの大罪』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

(んほんの)テレビ局ってひどいよね、というのはもうだいぶん前から、特にネットで言われているように思う。
ネットばかりではなく、もう一般的にも、大きな災害や事件があるたび、テレビの報道姿勢が問われるなんて事が発生している。
3月の大震災でも、毎日毎日、津波襲来シーンをリピートしているだけだという非難があったのを思い出す。
私はその時、テレビといえば、一部NHKを見ていたくらいなのだが、それでも、ネットで流れるニュースと、テレビで流されるニュースに情報の差があった事に非常な違和感があった。
たとえば、自衛隊やアメリカの海兵隊が派遣されて現地の人をこんな風に助けてるよ!
……というニュース、海外のニュースなどでは流れているのに、日本のテレビにはほとんど映像がのらなかったようだ。
救援に駆けつけてくれた各国の救助チームの活躍も、テレビにはほとんど映されていなかったらしい。
原発に関しても、テレビでは政府発表をそのまんま受けて、特定少数の解説者をまじえて談話しているだけという感じ。
ともかく、ネットがメインだった私と、テレビがメインだった母とで、把握している情報に大きな違いがあった事に、がくぜんとした。

そんな事もあって、本書を手にとってみたというわけだ。

さて、前置きが長くなったけれど、本書は決して、テレビ局を単純にバッシングするという内容ではない。
まず、導入が面白い。
「テレビに出演している女性タレントのスリーサイズ、あれは大嘘ですよ!」
始まりはここから。
えースリーサイズが嘘というかサバ読んでるのはだいたいわかってるって、と一瞬思うが、医師である著者が、洋服のサイズと、実際の胴回りのサイズの違いを説明し、かつ、自身の家族に言及し、話を進めていくあたりで、「ふむふむ、だから?」と身を乗り出すような感じになる。
そして、著者が導き出す結論に「うぁっ?」と意表を突かれるのだ。
しかも説得力がかなりある。

テレビの罪というと、冒頭で述べたような偏向報道とか、一連の捏造事件などをすぐに思い浮かべてしまうが、全く違うところから読者をアプローチさせるわけだ。

むしろ、その後に論じられる事の方が、「あーそれテレビ悪いよねえっ」と大いに納得できるテーマが並ぶ。
医療事故に関する報道とか。
しかし、あえてそういうものから入らないところで、逆に、読者をうまくつかんでしまうのだ。

つい先月、テレビ放送は津波被災地のうちの3県をのぞき、いっせいに地デジに切り替わったけれど、地デジを放棄した世帯もそれなりに残っているという。
新聞を定期購読する家庭が徐々に減っている今、テレビも、もしかしたら、それに続くかもしれない。
テレビはテレビで、長所がいろいろあると思うが、そこに安住するわけには、今後はいかないのだ。
昔と違っていろいろなメディアがある現代だからこそ、もう一度、「テレビ」というメディアを再検討するのは、悪くないと思う。
そのためにも、本書のような意見に接する事は、大切。
そしてもちろん、本だろうとテレビだろうと、そのまんま鵜呑みにするのは厳禁。


テレビの大罪 (新潮新書)/和田 秀樹
2010年8月10日初版
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2011-01-04 20:22:59

『極北クレイマー』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

本作は小説であるけれども、ほとんどあからさまに、実際に起きた事件 をテーマにしていると思われる。
事件の詳細は、最も第三者的視点できれいにまとまっているWikipediaのページにリンクしたが、シンプルに言えば、「手を尽くしたはずだけれど、おそろしく低い確率で起こってしまったケースのため、妊婦の方とお子さんが亡くなられ、これについて医師が業務上過失致死として刑事裁判にかけられた」というものだ。

海堂尊作品は、まず、『チーム・バチスタの栄光』からの流れで、人の死と医療に関するテーマを扱った。
そして、『ジーン・ワルツ』からだと思うが、その真逆に位置する、受精と出産、つまり、人の生を扱うラインが登場した。
『ジーン・ワルツ』は昨年3月に上梓された『マドンナ・ヴェルデ』へと、直接つながっていくのであるが、本作は、「死のライン」と「生のライン」を部分的にひっつける役割を海堂尊作品群のなかで果たしている。
但し、本作中、上記の事件に酷似したケースが中心に据えられている一方、単に「生」の問題のみならず、地方医療における問題点が前面に置かれている。

舞台となる極北市の現状は、桜宮市の黄金地球儀以上に、地方行政における失政をカリカチュアしているかに見えるすごさなのだが、(一見笑えるが、よくよく考えると全然笑えない)、いささか道化芝居的な展開であるにもかかわらず、登場する事件と人間像が非常にリアルで、医療の現場には全然素人である読者でも、大いに楽しみつつ、いつのまにか啓蒙されているという事になる。

本作を単独で見ると、内容は二部に分かれていて、前半では姫宮が、そして第二部ラストでは世良が、(そしてほとんど名前すら出ないが、極北市にある別の組織で速水が活躍しているらしき様子が)、伝わってくるのが楽しい。
あえて念のため注釈しておくなら、姫宮は白鳥の部下の氷姫であり、『螺鈿迷宮』のあとこちらに来たとなっている。世良は『ブレイズ・メス』のあと、なんと病院再生請負人という肩書きをひっさげるようになっていて、もちろん、極北市民病院にも救世主として登場する事になる。
(速水は言うまでもなく、かのジェネラル・ルージュだね)。
一方、この事件そのものは、『アリアドネの弾丸』直前にあたるわけで、極北市民病院を破滅に追い込んだ「医療事故事件」は、裏で、白鳥と対立する筋の者たちが動いており、自分たちのために事件を利用しようとしていた、と語られているわけだ。

なお、この事件については、「生」ラインの方でも触れられているので、エーアイと同様、海堂尊の中では非常に大きな事件だったんだろうなあ、と思う。

作品自体は、このような(他の作品がらみの)陰謀を含むのだけど、特にミステリというわけではなく、小説ではあるが、「人文・社会」に入る作品かなあ、と判断した。
小説なのにここまで啓蒙度が高いのは凄いというべきなのか、それとも、啓蒙書なのにこれほど面白くエキサイティングな物語はないというべきなのか。
いやまあ、そのはざまにあるのがいつも海堂尊作品なんだよね。


極北クレイマー/海堂 尊
2009年4月30日初版
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2010-11-27 19:32:30

『大江戸地図帳 時代劇副読本』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

何年jか前に時代劇ブームと言われるようになってから、けっこういろんなヴァージョンが発売されている古地図帳だけれど、今回のは他にない特徴がひとつある。
それは、文庫本サイズだという事だ。
しかも、使い勝手は、文庫本サイズの都市図とだいたい同じ。
地区ごとに分かれていて、広域図と番号で照合できるようになっている。
さらに、やや簡素ではあるけれども、現代の地図ともだいたい比較できる作りなので、これをポケットに東京を歩いてみようか、というのもわりとたやすくできそうだ。
そう、従来の、B5サイズあたりだと、それが難しいんだよね。
ページごとに、その地区の重要ポイントについて、一行解説があるのも見ていて面白い。
さすが、時代小説や時代劇でよく耳に(目に)する地名や施設名が、連続しているからだ。
もちろん、この手の(現代の)地図帳と同様、巻末には、地名のインデックスもついている。

これと同時に、ちょっとした小技がきいているのは、この文庫本専用のしおりだったりする。
紙製のものだが、なんとそのサイズに、江戸時代に使われた方位、お金の単位、度量衡、そして目盛りつきの長さの単位が表示されてるのだ。
ぱっと参照するにはとても便利だし、なんといっても、長さが、ぱっと見ですぐわかるのは秀逸だ。
1寸は何センチで……と憶えている人でも、瞬間的に、センチメートルとの差が見てわかるのはいいと思う。

時代小説や時代劇が好きな人は、1冊持っておいて損はないぞ。


大江戸地図帳 時代小説副読本/著者不明
2010年12月1日初版(発売中)
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2010-10-16 20:36:11

『神話の力』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

著者は、比較神話学の研究者として有名な学者であり、したがって、その著書で訳されているものは多分全てハードカヴァーだと思う。
もちろん、本書も最初早川書房からハードカヴァーとして出されたのだが、今年になって、文庫化された。
大変、ありがたい事だと思う。

さて、本書は著者の弟子でもあるジャーナリストと、著者との対談集だ。
テレビシリーズを、対談集として読みやすいように編集したものだという事だが、実際、対話で話が進められるために、通常の専門書としてより、内容が頭に入りやすいという利点がある。
ぶっちゃけ、茶菓子を手元に楽しもうが、寝転がって読もうが大丈夫な、カジュアルな本なのだ。
うん、だからこそ、文庫化が嬉しいわけなんだよな。

しかし、カジュアルであるからといって、決して薄い内容ではない。
とんでもない話だ!
これは、現代社会における神話の作用というものをわかりやすく説いたものなのだ。

神話といえば、日本人にとってきっとまっさきに思い浮かぶのがギリシア神話なのだろうと思うし、実際、世界で最も有名な神話なのだと思うが、これにプラスして、聖書に書かれている事が、最も多く「例」としてとりあげられている。
もちろん、この場合、聖書も、神話のひとつという扱いになっている。
まあ、対談している二人が欧米のキリスト教文化圏に属する人たちなのだから、この二つをベースにするのは全く不思議ではない。
しかし、それと同じくらい、仏陀の言葉やウパニシャッドの内容にも触れられているし、もっとずっとマイナーな神話も、あちこちに顔を出す。

それらの豊富なソースを用いながら、キャンベルが説明する内容は、とても興味深い。
たとえば、まず、個人にとっての夢に相当する、社会にとっての夢こそが、神話であるという話が出てくる。
社会にとっての夢とは、どのような作用があるのか、というのがキモであるわけだ。
その事を前提として、神話を祖型(アーキタイプ)として、それが個人についてはどのように作用していくかを説明するのだ。
たとえば、英雄とはどのようなものなのか。
愛と結婚とは本来どのようなものであるのか。
人間にとっての人間らしい生き方を、神話の面から説いていくのが面白い。

そして、それらを通して著者が主張するのは、「自分が好きで楽しいと思う事を追求して生きるのが良い事だ」という点だ。
なんだか、とても、聞いた人をスポイルしそうなイメージの言葉だけれども、決してそのような意図がない事は、本書を読んでいけば頭に入る。
とくに、後半、愛と結婚をテーマにしている時に、トリスタンとイゾルデの物語を引き合いに出し、そこに「苦しみ」がどう関わってくるのかを語る部分が、すばらしいと思う。


神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)/ジョーゼフ キャンベル
2010年6月25日初版
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2010-09-20 20:12:41

『真実の「日本戦史」』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

俺は戦術とか研究してるんだぜ! というような人は別として、軍勢というものがどうやって動いていて、どうぶつかりあい、どんな結果にあんるのかというのが、とてもわかりやすく書いてある本だ。
もとがムックだったからだと思うが、図版などが豊富なのも良いところ。
とりあげられているのは、鎌倉時代から太平洋戦争にいたる期間の、有名な戦闘。
長篠の戦いもあるよ。
かと思えばガダルカナルとかミッドウェいの名前も見える(おー)。
真実というかなんというか、実際にそれを職業としている人が考察すると、たとえば元寇はこうであったはずだ! というのが読者にとっては知的に面白い、そういう本ということだ。

しかし、面白いところをつきますな。
元寇なども、いかになんでも、「神風が吹いたために(つまり神様の力によって)モンゴル軍は撤退した」と信じている人は、多分いないだろう。
しかし、漠然と、台風の季節にモンゴル軍が攻めてきたため、その気象条件のせいで……と思っている人は、わりといるかもしれない。
ほんとにそうだったのだろうか。
答は、本書で。

いや、実際、この、元寇の考察は本書の中でもとくに面白かったと思う。

架空戦記が好きなタイプの人は、やはり後半の、近代の戦争に関する部分に興味津々になると思うが、逆に、「そんなのはもう承知」かもしれず、ちょっと好みが分かれそう。
やはり総合的に楽しめるのが元寇と、楠木正成かなあ。
まあ、後半は個人差がありそうというのが読後の印象だな。


真実の日本戦史 (宝島SUGOI文庫 A い 2-1)/著者不明
2008年10月4日初版
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2010-07-01 20:46:15

『朝鮮紀行』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

イザベラ・バードといえば、20世紀初頭、極東を広く旅行して自らが見聞した事を文章に遺した人で、それらは、当時の東アジアを知るための、貴重な資料だとされている。
私がその中でとくに興味を持っていたのが、こちら、『朝鮮紀行』。
実は、同じ時代の朝鮮(このころは、韓国ではない)については、朝鮮総督府が編纂した資料などもあるのだけれども、イザベラ・バードの紀行文が素晴らしいのは、政府がらみの調査ではないから、より公平な第三者的視点であると考えられること、そして本人が女性であるため、男ならあまり着目しないような事も、書かれているという事だ。

もちろん、紀行文である以上、そこに何年も住み暮らしての見聞とは全く異なる。
悪く言えば、上っ面のものになっているのだろうが、逆に、深い考察があるという事は、それだけ個人のフィルタによって偏向した意見になっているという事でもあり、その点これは、「通り過ぎる人が見たまま」の情景をうかがえるという利点にもつながるわけだね。

たとえば、朝鮮女性の洗濯シーンが描かれている。
井戸や川など、水辺という水辺で日常的に朝鮮女性が洗濯をしている風景がある。
当時の朝鮮人はほとんど、普段、白い服を着ていたため、朝鮮家庭の主婦は「洗濯の奴隷である」、と書かれている。
白い服は汚れやすく、従って、それを白く保つためには頻繁に洗濯しなければならない。
そして、綿服であっても、あたかも絹のような光沢を出すために、長い時間かけて、砧で叩く。
洗濯物も棒で叩くし、その後、砧にかけて布を叩く。
著者の筆からは、その音まで、聞こえてくるようだ。

朝鮮半島の民話には、実によく、棒でものを叩いたり、棒でものを叩くような音が聞こえてきたりするシーンが登場するが、それは、まさしく、著者が本著の中にのこした、こういう情景と根っこで深く結びついているのだろう。


朝鮮紀行 (講談社学術文庫)/イザベラ・バ-ド
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2010-05-13 21:45:58

『バチカン:エクソシスト』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

エクソシスト……悪魔祓いは、人気のあるキャラクターだ。
つまり、どういうタイプの技を使うのであれ、魔物を追い払い、撃滅する(!)というのが、かっこよく見えるからだ。
ひとつには相手が人間はおろか、いかなる生物でもなく、どれほど叩きのめしても、全く良心が痛まない。
しかも超常的な存在であり、非常に強い「魔」と戦うのならば、必然的にヒーローも同等以上の強さを持っている必要がある。
逆に言うと、敵が「(悪)魔である」と設定するだけで、自動的にキャラクターが凄く強いというイメージを作る事ができるのだ。
おまけに、虎の威を借る狐ではないが、神とか聖なるなにかとか、そういう正義の力めいたものを行使する権利を持つという、エリート的な含みもある。

しかし、現実のエクソシストは、まったく違うものだ。
たとえば……。
エクソシストは実在するし、非合法の存在でも影の存在でもない。
逆に、エリート(高位の聖職者)というわけでもない。
エクソシストは正式な司祭が任命されるもの、あるいは正式な司祭が行う事のできるものだ。(しかも、実施についてはいろいろと規則がある)。

本書はアメリカ人のジャーナリストが、イタリアにおけるエクソシストの現状について取材し、著したものだ。
いわば、エクソシストが活躍する本場であるイタリアの状況を、一応同じキリスト教国ではあるがカトリックが国教というわけではない外国人が、外側から見たものを記しているわけだ。

ほとんどの日本人にとって、イタリアといえば、ファッションの最先端を発進する都市があるところで、
音楽と美術と映画、美味しい料理と酒がある国というイメージだろう。
まあ、学校で、カトリックの総本山であるヴァチカンがローマにある、というあたりは憶えている人もかなりいるかもね。
しかし、日本はカトリックどころか、キリスト教国ですらない。
キリスト教徒はいるけれども、我々の日常の中でメジャーな存在ではない。(近親者がキリスト教徒だったりミッションスクールに行っているのでもない限りは)。
イタリアも、カトリックも、馴染みがうすいものだと言える。

ゆえに、実際のエクソシストについて知ろうとこの本を読む場合は、こういった文化的な差は念頭においておかなくてはならないだろう。
(逆に、本書を通して、イタリアの一面を知るという事もできるのだが……まあ、それは副次的な事だね)。

読めば読むほど、日本との違いに驚かされる。
登場するエクソシストは当然、全て司祭であるから、彼らが神学の致死kにてらして、悪魔祓いについて、とくに悪魔と、悪というものについて述べる内容は、肌で感じるのが難しいし、日本には縁がないもののようにも見える。

しかし、「悪魔にとりつかれた人々」は、本人やエクソシストたちが語っているとおり、精神疾患とどこが違うのか、判断がとても難しそうだ。
ならば……。
イタリアで近年急増している「悪魔にとりつかれたと主張する人々」と、日本でも増え続けている鬱病やその他の精神的な悩みを抱えている人々とは、何か共通点があるのだろうか?
……あるいは、イタリアでそのような悩みを抱えている人々のごく一部に、エクソシストたちが、「本当に悪魔にとりつかれていると認められる」とみなす人がいるように、実は日本にも、そうした悩みを抱えている人の中には、超自然的な原因による悩みを御和佐荒れている人がいるのだろうか。
それを、悪魔と呼ぶかどうかは別として。

リアルなエクソシストの現況を知ると同時に、どうしても、そんな想念が心をよぎってしまう事は否めない。
ともあれ、イタリアrとか、カトリックとか、悪魔祓いにちょっとでも興味があるならば、大いに知的な刺激を受けるものと思う。


バチカン・エクソシスト (文春文庫)/トレイシー ウイルキンソン
2010年4月10日初版
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2009-12-14 19:15:54

『韓国は不思議な隣人』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

韓国は、不思議な国だ。
もうちょっと、非好意的に言ってしまうと、理解しがたい。

うん、なんでいきなり、非好意的などと言ってしまうかといえば、こういう事だ。
もともと、「教科書問題」が騒がれるようになるまで、私は韓国にさほど興味がなかった。
う~ん、さほどというか……全然。
だから、教科書問題って、寝耳に水だったんだよな。

は?
何いってんの?
なんで他国の教科書に口を出すんだ?
残念ながら、侵略したされたという話は、世界中どこにでもあるわけで、それについて自分以外の当事者国が教科書でどのように書いているかなど、外交の場で持ち出したなんて話は聞いた事がなかった。
ついでに言うなら、歴史なんて国がある程度口を出すメディアなら、たいてい、その時の権力者につごうのいいように書かれるものだ。
学問的にはそれじゃ困るんだけどね、確かに。

つまりね、
まったく興味がなく、となりに韓国という国があるみたいだな~くらいの感覚でいたところに、いきなり、強烈な言いがかりをつけられた、というのが当初の印象なのだ。

そして、その後、残念ながら、「韓国のいいところ」という情報に比べて、「いやなところ」だという情報の方が、はるかに大量に入ってきた。

韓国では、そういうことに気づいているのだろうか。
常識的に考えて、今まであたらずさわらずだった相手に、いきなり強烈にクレームをつけ続け、感情的にヒステリックにかかっていって、仲良くできると思うだろうか?
単に仲が悪くなる、「てめえとなんか挨拶したくねーよ!」で終わるならまだいい。
日々けんか腰で接していたら、そのうち自分が痛い目にあう事も、あるかもしれない。
……そんな風には考えないのだろうか?

そこまでいかなくても、感情的な態度では、まともな話し合いはできないよな。

それを外交で執拗にやる韓国とは、どういう国なのか。

勿論、それを知るためには、韓国がどういうところで、一般の韓国人はどんな風に暮らしているのかを知らなくてはわからない。

もちろん、料理や映像作品といった文化的な一面からアプローチするのもいい。
日韓が登場する近代史について調べてみるのもいい。
なんなら、領土問題とか、最近の政治について学ぶのもいいだろう。

だが、残念なことに、それだけでは、「なぜ韓国人がそんなことしてるのか?」についての答は、なかなか得る事ができないのだ。

そこで、このような、韓国評論が登場するが、もちろんその手の本も、スタンスはいろいろあって、選ぶのが難しい。

その点、本書の著者は70年代からずっと、産経新聞ソウル支局員として彼の地に滞在する韓国通であり、「嫌韓」でもなければ「媚韓」でもない。
時に、かの地の不条理に皮肉っぽい視線も投げながら、鍛えられた目で、「不思議な韓国」についての疑問を、解き明かしてくれるのだ。

たとえば、なぜ韓国はこうも執拗に反日を叫び続けるのか。
なぜ、今、竹島(韓国では、独島-ドクト と故障する)なのか。
反米、親北朝鮮、親中国の裏にあるのは何なのか。

出版年こそすでに4年前、掲載されている文章が最初に発表されたのはさらにその数年前のものとなるが、韓国という国の根本を知るという意味では、決して古くないと思う。
文章も読みやすく、冷静なので、無用に感情面を刺激される事もない。

「あの国はまったくみおー、なぜ?」
と感じた事のある人には、お奨め。


韓国は不思議な隣人/黒田 勝弘
2005年7月30日初版
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2009-12-06 21:28:52

『ロンドン 食の歴史物語』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

ファンタジイをやっているとどうしても気になってくるのは、
彼らはどんなものを着てどんなものを食べているのか? ということ。
定番のファンタジイといえば、たいてい、ヨーロッパの中世~近世あたりがモデルの世界なのだが……。

まあ、でも、何を着ているかについては、絵画などで残っている分、わかりやすい。
問題は食べ物だ。
どんなものを食べている?
これがわからない!(笑)

もちろん、文献などに登場するものから追っていくしかないわけだが、今のように紙も印刷技術も廉価な時代ならいざしらず、媒体が高価であった時代に、そのような日常的な記録は望めるものではないのだ。
運良く、なにかの会食について汁さえrたものがあったとしても、そこに書いてあるものは?

著者は、当然、そういう文献をベースに、まず中世イギリスの食卓を再現しながら、このように述べる!
中世では肉料理が中心で、野菜はほとんど食べられていなかったかのように思われがちだが、それは間違いである、と。

まず、中世では宗教的な規則としての断食日が多数あった事があげられている。
断食日といっても、これは、「肉食べちゃだめだよ」という意味なので、何も食べなかったわけではない。
じゃあ肉のかわりに何をといえば、魚。
さかなさかなさかな~さかな~を食べていたというわけ。

日本人にとっては、イギリス人といえば時代にかかわらず肉食べてるというイメージが強いけれど、あにはからんや、彼らは魚もた~くさん、食べていたのだ!

しかもそれだけではない、と著者は述べる。
野菜もたくさん食べていたのだよ、と言うのだ。
野菜がことさら、文献で言及されていないのは、こういうことだ。

たとえば、あなたが!(ぴしっ)
本日食べた印象的な料理を日記に書いたとしよう。
彼女が作ってくれた料理でもいいし、レストランで食べたというのでもいいし。
しかし、その時、書くのはどの料理、または食材?
メインディッシュではなかろうか?
あるいは、デザートか。
ここで、あえて、みそ汁とか漬物について長々と書く人がいるだろうか?

そういう事だ。
つけあわせについて書いたものなど、まずないのだ。
どれほど野菜がたくさん使われていたとしても、メインではない。
ゆえに、書かれていない。

なんというか、まさしく、盲点だね。

そういうところを鋭く突きながら、まずはみごとに、中世イギリスの食卓について述べ、時代を追って、食の変遷について語っていく。

たとえば、大都市ロンドンでは、実は有る程度金持ちでなければ、自宅で料理ができなかった。
えええ、なんでー?
それは、まず第一に、燃料が確保できなかったから。
薪も炭も遠くから運ばれてくるので、高い。
料理をする設備も、高い。
ゆえに、総菜店が発達し、あるいは、食材を持ち込めばレストランなどでも、一定料金で調理してもらう事ができた、という。
……なるほど。

もちろん、その背景には、ロンドンが貿易の中心地として発展を遂げていて、そのため世界中からいろいろな食材がやってきていた、という事もある。
こうして、ロンドンの外食産業は急成長を遂げた。

それぞれの時代の食事情を解明するために、いろいろな文献から、あの手この手からめ手で、著者はまるで謎解きでもするかのように、さまざまな食卓を再現していくのだ。
実に面白い。

中世のイギリスの食卓が知りたくて手にした本だが、なかなか楽しく最終章の現代まで読み進んでしまった。

料理といえば、文化における重要な要素でもある。
本書を通して、初めて見る事ができるイギリスの顔も、あるかもしれないよ。


ロンドン 食の歴史物語―中世から現代までの英国料理/アネット ホープ
2006年3月25日初版
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2009-09-29 23:00:59

『刑務所のすべて』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

刑務所というと、あたりまえだが、犯罪者が集められた場所。
どことなく(いや、濃厚に?)漂う、ノアールの香り。
怖いと思うか、嫌悪感を感じるか、ある種の浪漫を思うかは、人と状況次第だろうが、漠然と、
「しかし、自分とはなんら関係がない」
と思っていないだろうか。

しかし、よくよく考えてみれば、
あまり意識せずに犯罪を犯してしまうかもしれないし(極端な話、職場の備品を私物化したら横領罪に問われる……かも?)
かつては交通刑務所に送られたケースでも今は刑務所に収監されるかもしれないし
自分は罪に問われるような事がなかったとしても、何かのひょうしに親類縁者友人知人の誰かが、という事があるかもしれず
それでなくとも、世の中には、「冤罪」というものだってあるのだし、
今では、もしかして裁判員になってしまう事もあり得るわけで、
もしそうなれば、自分が「有罪」と判断した人が刑務所に送られる事になるわけだな。

しかし、日本の刑務所って実際のところどうなってるのか?
人権運動家(とくに、外国の人権団体)が非難するような行為は行われているのか?
マスコミが「暴いた」塀の中の生活は、真実その通りか?

さて、本書はタイトルに「元刑務官が明かす」と添えられている。
つまり、刑務官という、「刑務所という政府の施設で働く職員」の視点で、刑務所という施設やそれに関する制度、内部ではどのような事が行われており、どういう風に一般の人が刑務所に関わってくるかという事を、書き表した本なのだ。

たとえば、「面会日だからといって、必ず会えるとは限らない」という事は、知っていた?
しかも、事前に会えるのかどうかを刑務所側に電話確認する事は、できないそうなのだ。
どんなものが(無事に)差し入れできるか知っている?
相手の手に届くまで時間がかかったり、事実上届ける事ができなかったりするものがあるのだが、それはなに。
(答。たとえば、洋服や布団)。

普通接するチャンスがないものだけに、「これは意外」と思う事が、いろいろと含まれていて、興味深い。
まあ、できることなら、ずっと「他人事」ですませておきたいものだけれどね。


刑務所のすべて―元刑務官が明かす (文春文庫)/坂本 敏夫
2009年9月10日初版
ニチブンMOOK『刑務官しか知らない 刑務所のルール』文庫化(加筆訂正あり)
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