2006-05-19 21:07:49

『テコンドー・バイブル』 はたしてテコンドーは実戦に使えるか

テーマ:武道・武術
武術の本といえば老舗の愛隆堂、なんと最近はDVD付らしい。
もちろん、今までのように動きの分解写真プラス解説文というスタイルなのだが、これだと実は素人や、はじめたばかりの人にはわかりにくいものなので、DVDで動画が見られるなら、格段に「理解しやすくなった」と言えるだろう。
価格もそれなりにリーズナブル。

しかし。
こうして通し見てみても、テコンドーというのは、摩訶不思議な「武術」である(笑)。
まずは、冒頭にかかげた表紙の画像を見てもらいたい。
右側でハイキックをはなっている人物だ。
なんと両手は軽く握ったまま(握り込んでいるようにはあまり見えない)、
肘ごと、上に上げている。

これは、洋の東西を問わず、どのような武術・格闘技でも、ちょっとあり得ない事だと思う。
なぜか?
それは、弱点である脇が、がら空きになるからなのだよ。

なんなら、ボクシングでも、K-1でも、見てみると良い。
こんなに、どばっと脇をあけた格闘家は、まず、見る事はできない。

こういう写真を、堂々と、表紙にのせて恥じないのが、テコンドーなのだ(笑)。

本の中身を見ていても、このように隙の大きな写真は、容易に見つかる。
とくに、ハイキックや跳び蹴りを行う場合は、そうだ。
もちろん、高い蹴りを鋭く放つ事で、攻守一体としているのだ、と考える事は可能だろう。
だが、それは、
「常に敵は正面から来る。自分の足より遠い間合いを持つ武器を持つ相手はいない」
と考えている、としか思えないんだよねえ。

たとえばだよ。
正面に敵がいます。
だが、相手は必ず一人であろうか。
あるいは他の奴が横あいから攻撃をかけてくるかもしれない。

または、正面の敵は、長い棒を持っているかもしれない。
足は腕より長いものだが、たとえば、六尺棒(なんなら、箒やモップでも良い)よりも、短いんだよ?

私が棒でテコンドーの相手をするならば、ハイキックをはなった瞬間を狙って、横打ちするかな。
空手を使うならば、足を振り上げたところを狙って、横に転身し、脇を狙うか、相手の蹴り足を上げ受けで更に上へはねあげ、バランスを崩すか、間合いをさっと詰めて軸足を蹴る。
一時期、テコンドーの「かかと落とし」は有名になったものだが、実は、
「そういう技がある」
という事が知られていれば、対抗するのは全く難しい事ではない。
別段、武術の達人でもなんでもない私ですら、この程度の対策は即座に思いつく(笑)。

実際、映像を見ていても、テコンドーの攻撃というのは、適切にさばくならば、実に崩しやすいと思う。
隙も多い。

これはなぜなのか?

個人的な「感想」だが、それは、テコンドーが「実戦」で錬磨され、工夫された「武術」ではないから、じゃなかろうか。
もちろん、テコンドーの原型となった空手については、そうではない。
※ テコンドーは朝鮮半島の古い遊芸、テッキョンから生まれたという説があったが、現在では、韓国のテコンドーの偉いヒトが、松濤館空手などを学んだ韓国人がテコンドーを作ったという事を公にしている由。
しかし、テコンドーそのものは、たとえば中国のいろいろな武術や琉球の武術のように、民衆が護身のために編み出し、工夫してきたものではないし、日本の槍術、剣術その他のように、武士が合戦や闘争のために工夫してきたというような歴史は、ないのだ。

「ここを防いでおかなければ、こういう攻撃を受けた時に痛い」
という経験を、テコンドーはしていないのだと思う。

また、美容整形その他いろいろな美容グッズが発達しているというように、見栄えを非常に大切にするという民族性も、影響しているのかも。
実際、テコンドーのハイキックや跳び蹴りは、見ていて非常に美しく見える。
(時々、カカトがあがってますけどね<武術としては、あり得ない)。

あるいは、朝鮮民族というのは、どういうわけか、「蹴る」という事が好きなのだ、というのも、あるか。
サッカーなんかも熱狂的だものなあ。
韓国のアクションドラマを見ていても、また、韓国在住の方のブログなどでの報告を見ても、喧嘩の時、たとえば日本人と比較して、「蹴る」事がとても多いようだ。

ともかく蹴ろう、それもなるべく美しく蹴ろう、とした時に、それ以外の防御がおろそかになってしまうのではなかろうか。
同じ事をめざしているテコンドーの使い手どうしなら、問題ないのかもしれないし(事実オリンピックの、テコンドーの試合中継では、ボディはお互いノーガード、ひたすらキックを出し合うという試合展開がほとんどであった)。

ゆえに、もし、テコンドーを、テコンドー以外の武術や格闘技を使う相手との実戦で用いるのならば、一にも二にも、スピードがなくてはならないだろうと思う。
なにしろ、ハイキックも跳び蹴りも、動きが大きく、かつ次の動きにうつるまでの時間がかかるため、自分の身を守り、かつ相手に痛撃を与えるためには、ほんとに、速度がなくてはだめだ。

なにしろ、試合でなく、「実戦」だったら。
表紙の右の人のようなハイキックをはなった時、相手はそれを左右にちょっとよけつつ、中段蹴りを繰り出せば、なんとハイキックした人の股間に、それが命中するのだぜ?
(もちろん、試合なら、たいていのルールでは反則になる事だろうから、その心配はほとんどない)。
単純に比較しても、斜め上に蹴上げるより、相手の腹あたりの高さにまっすぐ蹴る方が、速い
従って、そういう相手の攻撃よりも速く、蹴上げる、望むらくは、その蹴りがはずれても自分が蹴られる前に最低限カカトを相手の上に落とせるだけのスピードが必要だろう、というわけ。
しかし、そこまでやったとしても、私が最初考えたように、蹴り足を受けられてしまっては、もはやどうにもならないはずだ。
受けられる事を避けるためには、もっともっとスピードが必要になるだろう。

あ。
ただし、蹴って上にあがってる足を「受ける」のは、言うだけは簡単だけど、
脚ってとても重い物なので、受ける方もそれなりの鍛錬をしていなければ、やっぱり、危険は危険(笑)。
しかも、「かかと落とし」の場合、カカトという、硬い部分を武器にするため、これが当たったら、もちろん、シャレにならない。


黄 進
DVDでマスター テコンドーバイブル
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2006-01-22 16:49:07

『八卦掌戦闘理論-優雅さに隠された強猛な正体」(さてほんとかうそか?)

テーマ:武道・武術
八卦掌(はっけしょう) というのは、ふつうはあまり聞き慣れない言葉かもしれないが、中国武術の一種だと思えば良いだろう。
「でも、中国武術ってたいてい、ナントカ拳って名前なんじゃないの? なんで、掌?」
単純に考えれば、掌を使う武術だということになるね。
実際、八卦掌は、文字通り、拳ではなく「掌」を多用するらしい。

さて、この本で著者は、八卦掌が踊りのように優雅な動きで名高いながら、実は非常に実戦的な武術である事を強調するあまり、しばしば、海外の華僑の間で、「アンダーグラウンドの実戦部隊が八卦掌を学んでいる事が多い」と繰り返すのだが、それはほんとなのかどうか知らない(笑)。

また、八卦掌そのものにとっては、どうでも良い事、でもある。

本書の価値は、八卦掌のなりたちをわかりやすく解説しているということ、
八卦掌の基本技を写真で分解しているということ、
それに尽きる。

ただし、全く武術や武道の素養がない人が見ても、たぶん、イマイチわからないという事になると思う。
この手の本は、おおむね、ある程度経験や知識のある人でなければ、動きが連続して見えない。
というのも、写真は動画とは違うからね。
1枚目の写真から2枚目の写真の形へ、どのような動線を描いて体が動くのか。
これは、全くの素人だと、わからない、という結果になる。
もちろん、この本を買いました、写真を見ながら解説も読みました、じゃあ独習できるね?
なーんてのは、絶対無理だぞ(笑)。

八卦掌をやってみたかったら、やはり、自分の通える範囲内で教えている場所がないか、探すのが先決だ。

でも、それは本と直接関係がない事なので……
話を戻そう(‥

八卦掌が、なぜ、優雅に、踊りのように見えるかというのはポイントが2つあるようだ。
ひとつは、円を描く動きが多いということ。
これは、本書の中でも解説されているとおり、相手の死角(ストレートに言うと、相手の背中)にまわりこもうとする動きなんだな。
そもそも、基本の稽古に、走圏(そうけん)という、円周上を動きながら行うものがあるのだけれど、
本書の中で紹介されている「ワザ」も、相手の側面から後ろへまわりこむ事をとりいれているものがほとんど。そもそも、紹介されている歩法(足の移動のしかた)も、それを想定したものになっているのがわかる。

もうひとつは、「手足に力をこめない」ということ。
車でいうと、ギアをニュートラルに入れている状態というわけで、そこからなら、いかなる方向へも即座に動く事ができるっていう考え方だ。
体のどこかに力が入っていると、しばしば、別の形へ体を持っていくために、
「Aのポーズ」→「Aのポーズを解く」→「Bのポーズ」
という段階を踏まなくてはならないよね。
はなからニュートラルな状態にしておけば、「Aのポーズ」であろうと「Bのポーズ」であろうと、一挙動でなしえるというわけだ。
これが、はたで見ると、非常に柔軟な動きになる、ということなのだろう。
もちろん、他の武術がそういう事をしていない、というのではないけれど、八卦掌の場合は、特にその事が顕著なのだと思われる。

ところで、掌だけでほんとに戦えるのか?
いや、あまりバカにしたものではないのだぞ。
たとえば、沖縄の上地流系に属するうちの流派でも、貫手(ぬきて・指先をそろえた形でその指先を使う)、掌底(しょうてい・掌の下半分)、手刀(しゅとう・手の側面、小指側)などをしばしば使用する。
これだけで3種類だね。
八卦掌は、本書で見ると、それ以外に、手の甲なども使っていくようだ。

また、小手(前腕)の部分全体を「刀のように」使うということで、
基本的な動きを、素手と、刀と、両方使って分解写真を対比させているのが本書の面白いところでもある。
あ、ちなみに、この場合の刀は日本刀じゃなく、中国の刀(だお)な。

握りしめた拳と違って、重量的な威力は、確かになさそうではあるが、
手指が充分に鍛えられていると、実は、これって怖いと思うよ。
なぜなら、指というのは、細長い。
そこに力が集中すれば、「ハイヒールに足を踏まれる」のと同様、あたると痛い事になる。

ただし、これは本書には(行間にしか)書かれてないことだけれども……(笑)。
鍛えていないと、あてた方が更に痛いのも確実。
つまり、八卦掌は、すごく実戦的かもしれないのだが、ほんとうに実戦で使おうと思ったら、相当の修行が必要そうだ。

あと、これは中国武術に共通の話だけれど、足腰が弱いとどうにもならない。
それは、本書に入っている分解写真を見てもよくわかる。
具体的には、ほとんどの技は、軽く膝を曲げた状態の姿勢を保つ事が必要だし、
しばしば片足で体重のほとんどを引き受けなくてはならず、
かつ、その状態で中心軸をずらすことなく、体をくるっとまわす必要があるわけだ。
これは、膝のばねが必要になるのだ。

逆に、足腰を鍛えるため、八卦掌を少しずつ修練していく、という考え方も、あるかもな( ‥)/


青木 嘉教
八卦掌戦闘理論―優雅さに隠された強猛な正体
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2005-06-08 12:01:58

『基本レッスン 女子柔道』 柔道の基礎知識を知るのならば

テーマ:武道・武術

タイトル、「女子柔道」となっていて、確かに女性特有の問題などについても触れられているのだけれども、
「柔道ってどんなん?」
という疑問に、的確にこたえてくれる本だ。

たとえば、柔道衣のこと。
着方、たたみ方、各部位の名称。こういう事って、意外に解説している本は少ない。いや、それどころか、
「適切な柔道衣の選び方」まで書いてあるとは脱帽。

あるいは、ストレッチングのこと。
ストレッチっていろいろなものがあるけど、準備運動として考える場合、本目的の武道やスポーツによって、使う体の部分が違うので、それぞれ適切なストレッチがあるわけだ。
むむ。「エアロビクス柔道のすすめ(by 山口香)」……え、えあろびくす、っすか……。

また、昇段審査について。
どの程度で受験できて、どういう審査項目があるのか、初段~3段について書いてある。

試合や大会への参加のしかた。
ルールや審判の判定法だけでなく、服装についても載っている。
「相手を傷つける可能性のあるアクセサリーなどは全てはずし、髪が長い場合はしばる」
おおっ。女性特有の問題とは言わないけど、普通はここまで書かれていないような(‥

で、本題の柔道そのものについてだが、写真を多用して説明しているのは現代のこのテの本としては当然。他の本より私が優れていると思ったところは、単に技の解説、やりかたの説明をしているだけでなく、
「悪い例(もちろん写真つき)」と、
「その技の練習方法(もちろん写真つき)」
これが必ず併載されているという点だ。
実際に柔道をやっている初心者、柔道をやろうと思っている人には、大いに参考になるだろうと思う。

ところで、なぜ私がこの本を買ったのかといえば、空手には、「女子空手」みたいな本がなかったんだよな。
うちの(空手の方の)道場には、小中学生の中に、女子がいます。
彼女たちの相手をする時、女子は男子とどこが違うのか、知っておかないと、ちょっと怖い。
そう思ったのが、この本を手に入れたきっかけだったりする。

柔道にしろ、空手にしろ、基本的にやる事は男も女もかわりがないはずだけど、それと同時に、
「肉体的に差異がある」
これは無視できない。
「知りませんでした」
じゃ、すまない事も、あるからなあ。


著者: 柳沢 久, 山口 香
タイトル: 基本レッスン 女子柔道
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2005-06-02 23:31:00

『武術事典』 武術全般あれもこれも

テーマ:武道・武術
「武道と武術の違いって、何ですか?」 あるいは。
「剣道と剣術って何が違うの?」 あるいは。
「柔道と柔術って同じもの?」

さあ。答えられるだろうか?
武道・武術を実際にやっている人でも、ちゃんと答えようとすると、窮する場合がほとんどじゃないかと思うんだが、どうかな?

この本は、まさしくそういうベイシックかつ答えるのがなかなか難しい疑問に、ずばりと答えてくれるものなのだ。

剣道、柔道、空手、弓道。それぞれの武道(または武術)ごとに、そりゃあもういろいろな本が出ている。
でも、それらはほとんど、
「うちの流派のなりたち(またはその武道のなりたち)はざっとこんな感じですよ」
「うちの流派の理念は、こういうようなものです」
「基本はこういうのがあってこれこれ」
「型にはこんなものがあります(たいていは分解写真つき)」
こんな構成になってるのな。
なので、たとえば、こういう疑問には、こたえてくれません。
「黒帯っていつからできたもの?」
「免許皆伝って、なに?」
「武士以外の人って武道はやらなかったのかな」

こういう、武道・武術の技法以外のところも、この本はきっちり、おさえていてくれるのだ。

事典というタイトルにあるほど、細かく、用語ごとに解説をするという感じではなくて、100の項目を設定し、武術に関するさまざまなことがらを説明するという形式になっている。
しかも、他の項目に関する言葉は、項目番号でリファレンスしてあるというていねいさ!(これは探しやすいぞ)。

普通の本として、最初から読んでいってもいい。
日本の武道がどういう風に発展してきて、どんな道をたどってきたのかが、よくわかります。
現在も全国各地で修練されているものだけでなく、
十手とか、
鎖鎌とか、
手裏剣とか、
忍術とか。
もはやすたれてしまったものについても詳しいというのは、嬉しい話だ。

武術用語なんかいっさい知りません!
でも武術についてはちょっと知りたい。
そういう人でも、この本なら苦労なく読めると思うし、特定の項目を探して読むのも、らくちんなはず。

しかもたった1900円というのは、反則な気もするね(‥
あ、いや、私は、決して、新紀元社のまわしものじゃないぞ(笑)。


著者: 小佐野 淳
タイトル: 図説 武術事典
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2005-05-12 10:13:07

『棒術』 棒といっても国によって違う

テーマ:武道・武術
棒術、なんていう言葉があって、武道に興味のない人は、
「なにそれ?」
と思うような感じなのだけど、簡単に言うと、
「棒を武器にして戦う術」
なのだ。

棒というのは、古代から人間の手元にあったものなので、世界のあちこちに、棒を武器として戦う術というのは、構成され、残ってもいるわけだ。
ところが、面白いことに、国(民族)によって、棒の使い方は違うんだな。

たとえば、日本、中国、琉球という三つの地域があって、そのいずれにも、棒術が伝わっているわけだ。
ここらへんの武術というやつは、やれ、いつどこから何が伝わってどうなった、みたいな事が、侃々諤々、言われていたりするのだけれども、由来を問うのは、いまひとつ、虚しい(笑)。
たとえば、中国から日本に渡ってきた人が、中国の棒術を披露して広めた事はあったかもしれない。
琉球などは、中国と独自に通交していたのだから、中国から入ってきたものは、もっと大きかったかもしれない。
ところが、それらは、そのままの形で広まらなかったのかもしれないし、あるいは、来るには来たが、すたれてしまったのかも。
というのは、今現在、この三地域の「棒術」を見ると、それぞれまるで違って見えるからだ。
むしろ
「多少の交流はあったかもしれないが、基本的にそれぞれの地域で独自に発達を遂げたもの」
と考えた方が、良いのではないか、という気がする。

残念ながら、書籍データにどれも写真がないんだけど、それぞれの地域の棒術を解説した本を1冊ずつ、文末にあげておこう。
いずれも、写真や図などで、棒を使っているところを、見る事ができる本だ。

おおざっぱに特徴をあげてみる。

日本の棒術は、九鬼流をはじめ、いくつかの棒術を例に挙げたりして、いわば現代の日本棒術を編み出した(らしい)初見良昭によると、
「まず、突く事を基本とする」
と、ある。これは他の棒術の本を見ても、おおむね同様。
棒は、「棒術」といって使う場合、通常六尺のものを用いるのだけど、そのまんなかを中心に、肩幅くらいのところを持つ。
構えは、槍術と比較的似ているかもしれない。
これって、日本の棒術が、
「侍の武芸」
ここから発達したものだからじゃないかな。
実際、初見良昭が、九鬼流棒術で解説している部分に、
「薙刀の先端(刃物)を叩き落とされても、ただちに柄部分の持ち方をかえ、棒術を駆使して戦う」
なんて事が書いてあるのだ。

そういう意味では、他の武器がない時、あるいは、槍とか長刀の先端部分を失った時、代替の武器として用いるものだったのかも。
で、基本的、突く事を主体とするけれども、薙ぎ払う、叩くという事も、やる。
この形は、どちらかというと、薙刀や刀で同様の事をする動きを応用したものに近いみたいだ。

中国のものはこれと全く違って、棒の端を持つのが基本らしい。
日本の棒術のようにまんなかを持つ事もあるけれども、基本、端です。
ここを持ったまま、ぶんぶんといろいろな形・方向に、回転させるのだ。
もちろん、突く事もするけれども、ともかく、大きな弧を描いて振り回す!
これは、ひとつに、棒という間合いの大きな武器の「間合い」を最大限に活用しようとしているのだと思う。
で、振り回す動きが多いというのは、棒をもって「叩く」事がメインなんだな。
もちろん、「突く」動作もあるけれども、ほとんどは、水平、斜め、上から、棒をぶん回して、相手を叩く。
ところで、邱不相の本、技の名前と動きの説明はあるのだけど、
「なぜその動作をするのか」
について書いていないのが、ちと、苦しい。
術理も説明してください、邱老師(汗)。

さて、最後に琉球の棒術ってことになるんだけど。
持ち方は、日本の棒術同様、基本的にまんなかのところを肩幅くらい、両手を開いて、持ちます。
で、「突く」と「叩く(払う)」が半々くらいかなあ、という気がする。
棒を回転させる動作も多いのだけれど、中国の棒術のように、端をもって全体を「ぶん」と回すのではなく、
まんなかあたりを持って、棒の両端が体の両側でまわる(棒自体は、∞のような感じでまわる)ようにするのが基本のようだ。

非常に端的に、動きの特徴を言うと、棒を使う者の体を中心として見た時に、
日本が直線。
中国が円。
琉球が∞型。
こんな風になる!

これは、「同系だよ」と言われても、納得できないでしょう(笑)。
私は別に研究家でもなんでもなく、ちょっとばかり琉球古武道をやっていて、かつこういった武道書を読んでいるだけなんだけれども、それでも、
「この三つは共通点があるようで、全然違う」
と感じる。
交流はどこかであったのかもしれないけれども、別のもんとして考えた方が良さそうだ。


著者: 初見 良昭
タイトル: 棒術
著者: 邱 丕相, Qiu Pixiang, 中国・人民体育出版社, ベースボールマガジン社
タイトル: 棍術・槍術
著者: 村上 勝美
タイトル: 琉球棒術
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2005-05-10 17:20:56

『武道選書 槍術』 槍はなぜ廃れたか?

テーマ:武道・武術

日本には、武道ってものがある。
今現在だと、
「武道やってます」
なんていえば、

剣道!
柔道!
あとは……?
空手とか弓道とかなぎなたとか……。居合って事もあるかな。
でも、世の中圧倒的に、剣道と柔道。
そして、
「槍術やっています」
なんて人には、まず、お目にかからない。
そもそも、「槍道」なんて言葉すらできなかったほど、マイナーなのだ。

どうしてか?
それは、たぶん、江戸時代には、もう、槍が廃れ始めていたからじゃあないかと思う。

槍というのは、古今東西、広い戦場……バトルフィールドで活躍した武器だ。
とくに、馬に乗ってる奴、分厚い甲冑を身に纏った奴をしとめるには、槍が一番。
遠いところ(たとえば、馬上)にも穂先が届くし、全力を一点集中して「突く」事で、鎧を貫く事だってできるからだ。刀とかを防げる鎧でも、槍にぶすっとやられたら、たいてい、もちません。
貫かないまでも、倒される事は、まず、間違いない。
だからこそ、戦国時代の武士は、「一番槍を競った」んだな。

ところが、なんつっても、槍は長いのだ。
今、棒術なんていうと、いわゆる六尺棒が主流で、これはおおむね180cmくらいあるんだけど、それよりも槍の方が長いのです( ‥)/
戦場でこそ大活躍だが、屋内では使えないだろ?
持ち歩くのも、槍ってのは不便だ。
ゆえに、槍をふるう戦場が出現しなかった江戸時代には、だんだん廃れていったわけだ。

とはいえ、まるっきりなくなったわけではないので、ちゃんと、こんな本も出ている(笑)。
近代武道になり得なかった槍であるから、もちろん、古武道という事になりますが、これは、いろいろな武術をおさめたとされる著者の、
「武神館道場槍術」
となっているので、それら古武道の槍をもとに、著者自身の創意工夫があるのかもしれない。
そこらへんは、詳しく語られていないので、わかりません。

本の方は、ほとんど全ページ、槍の型が写真で説明されている。
淡々と、ひたすら、それだけ。

で、それらをずっと見ていくと、棒術と槍術はどこが違うかというのが、見てとれるのだ。
極論すると、
「槍は突く。棒は打つ」
これだね。

もちろん、槍の手元の方(石突という)をはねあげて、背後の敵を攻撃したりする技もあるし、棒の方も、勿論「突き」はある。
でも、槍の場合、鋼鉄の穂先がついている分、棒のようなバランスは望めないから、ともかく、
「突く」
ここに槍の動作はきわまるのだ。
角度の違いはあるものの、ともかく、正眼(正面または中央)からでも、上段からでも、下段からでも、そのまままっすぐに、突く。
いかに速く、体重を乗せて突くかが、ポイントなのだろうなあ、と思う(そこまでは書いていないが、写真で追える動きからは、そのような感じ)。

ところで、型を解説する写真の合間に、「スナップ」が挿入されているのは、ご愛敬(笑)。
奇をてらったか、と思えるようなキャプションがついていたりするんだけど、型とか、槍術の説明とはなんら関係なし(‥

著者: 初見 良昭
タイトル: 槍術
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2005-05-05 19:33:15

『絵説 空手道』 独習できるか?できないか?

テーマ:武道・武術
「空手ってどういうもん?」
という、一般的な疑問に答えてくれるのが、この本だと思う。
拳の握り方から、基本動作、基本技、入門~初・中級くらいまでの型、空手の歴史まで、1冊の中でわかりやすく説明されているからだ。

著者は、稲門会会長をつとめる内藤武宣であるから、従って、これは松濤会の空手。なんなら、全空連の空手、と言ってもいい。
フルコンタクト制をとる極真会とは違い、寸止め空手とも言われる。
あ。松濤会だとかは、本には書いてありません( ‥)/
著者の来歴、本の内容から、そのように判断されるんだけど、間違いはないはずです(笑)。押忍。

さて、著者は、序文で、空手は一人でも練習可能な運動である、と述べる。
う~む。そうですかね……。
著者の論拠は、
「空手は、野球などのように多人数で行うものではない」
「空手は、剣道やゴルフのように、特別な用具を必要としない」
「空手は、四畳ほどのスペースがあれば、型を独習する事ができる」
というところにある!
また、ひとつの型を演じるには1分ほどしかかからないため、運動する時間のない現代人に最適である、ともいう。う~む~む~。

正直に、言おう(笑)。
多少なりとも、道場で直接空手を習った事があるならば、それは、まったく、正しい!
別に、空手着を着てなくたって、型はできるんだしね。
襟を取る必要のある柔道と違って、空手の場合、道着を用いるのは、あくまでも、耐久性が問題だからだと思う。激しい動きだから、服、消耗するんだよ。
実際、私は、1年半くらいで空手着をかなりボロボロにしました。

でも、全くそういう経験のない人が、この本だけを頼りにして、空手を独習するのは、かなり大変だ。
それこそ、文章を何度も熟読して試行錯誤する必要があるだろう。
不可能、とは言わない。
でも、自分じゃ気づかない点も多いので、やはり、空手をやるなら、まず、どこかの道場の門を叩くべきだな。

空手をすでにしている人が参考書にするには、良いと思うよ。
段をめざして練習しています、という白帯~茶帯くらいのレベルだったら、絶対、有用なところがみつかるはず。
「型」のところで説明されているのは、当然、松濤会の型であって、他の流派には通用しないけれども、型の動きの説明は、参考になるところだって、ある。

型以外の基本動作、連続技の構成、組手の応用などは、流派にこだわらず、読んで損はない。

いずれにせよ、大切なのは、
「読む」
「記憶にとどめる」
「実践してみる」
この段階を全部踏む事だ。


著者: 内藤 武宣
タイトル: 絵説 空手道
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2005-04-28 20:36:52

『テコンドー』

テーマ:武道・武術
テコンドーは、去年のオリンピックの時に、話題になったよな?
その前から、
「蹴り技の豊富な韓国の格闘技(または韓国空手)」
という事で、ちらちら噂を耳にしたりして、興味を持っていたのだ。

で、オリンピックのテコンドー、見たわけですが。
正直、実戦的な格闘技であるとは、到底、思えなかった。
でもまあこれは、国際競技にするため、ポイント制とかウェイト制をとるなど、
「スポーツ風にあわせた」
からかな、とも思った(笑)。
防具もつけていたしね。

一方で、本を見たから、わかるというものでもないだろうけど、とりあえず。
「立ち」「蹴り」「突き」「受け」、簡単な約束組手のようなものまで載っているという事で、この本をつらつらと、見てみる事にした。

ところで、韓国という国は、遺憾ながら、なんでもかんでも
「これは我が国(うりなら)起源のものだ!」
と、主張する悪いクセがある(笑)。
とりあえず、自分のところが起源という主張を支持する為に、史実を無視したり、歪曲したり、証拠を捏造したりして声高に叫ぶという事が、いろいろな方面から言われていて、なんだか、と学会がとりあげる「ちょ~」な本の著者たちみたいなのだが……。

テコンドーも、
「始祖が松濤館空手を学び、それを参考にして作り上げた」
これが定説であると思うけれど、逆に、今、
「日本の空手はテコンドー起源だ」
と主張をしているらしい(笑)。

武士文化のあった日本(本土)、薩摩の支配に抵抗して独自の武術をはぐくんだ琉球のような文化に比べて、儒教思想が強く、肉体労働(武術も含む)をさげすんだ韓国文化が、こういったものを
「自分とこが先」
と主張するのは、そこからして無理があるように思うのだが。
さて、内容はどうだろうか?

立ち方、拳の握り方は、ほとんど空手と一緒。
手刀、足刀なども使う模様。ほうほう。
「指先(ソンクッ」というのがあって、
「これはテコンドー特有の部位」と説明してあるのだけど、はい、ここは間違いですぞ( ‥)/
写真にある手の形からしても、これは間違いなく、貫手です。
空手でも、中国武術でも、貫手は使う。
うちの流派(沖縄空手・上地流系)などでは、むちゃくちゃ多用します(笑)。

う~ん、こういうミス(なのか?)を見つけると、内容に懐疑的になってしまうが、続けて見ていこう。
まずは、蹴り技。
バレエのバーレッスンのごとく、バーを利用して練習するようです(‥
これは、なるべく、高い蹴りを出そうとするためなんだろうか。
いや、まあ、練習方法にケチをつける気はないんだけど(笑)、巻頭に、
「また攻撃や防御した瞬間は、後ろのカカトを上げてはならない。なぜなら、バランスを失い、攻撃や防御の部位が目標に亜tっする瞬間に最大の力を出せなくなるからだ」
と説明してあるにもかかわらず、
「カカト浮いてます浮いてます!」

カカトを上げてはならない、というのは、空手でもうるさく言われる。
理由は、この本の巻頭で書いてある通りで、カカトが浮くとバランスが崩れやすくなるし、蹴りの力も出ないのだ。
なのに、様々な蹴り技の解説で、使われている写真に、あちこち、カカトが浮いているものがあるのは、なにゆえ? やはり、なるべく高い蹴りを出そうとする努力の結果なのだろうか。

蹴りを出す時に、上半身が後ろへ傾くというのも、うちの流派などでは、
「蹴りの力が発揮できない」
という理由で堅く禁じられるのだけど、テコンドーの場合、そこらへんはどうなのかな?
ほとんど全ての蹴りで、状態は後ろへ傾いている模様。
実際、上半身を後ろへ傾ければ、その分、蹴りは高く伸びます。
……やっぱ、高く蹴る事を最優先にしているのか……?

う~む。
じゃあ、突きはどうよ?
見てみると、空手をやってる者の視点では、どうもテコンドーの突きって腰高のように思える(笑)。
なんでだ?
いや、腰高でもそれはそれで、術理にあっているのなら、いいのではないか?
そう思いつつ、さらに写真を見る。

……突きを出す時。
空手でいうと、正拳の中段突きにあたる基本の突きをする時に、前足の膝がのびてますね(‥
つまり、これ、腰が入っていないんじゃなかろうか。

朝鮮半島の舞踊は、日本舞踊が腰をかなめにして踊るのとは違い、肩をかなめにするという。
舞は武に通ずというが、ここでも、両文化の差が出ているのか?
しかし、やはり気になる(笑)。
前足の膝が伸びているという事は、そこに下段蹴りをくらったらオシマイではなかろうか?
「膝が伸びていると、怪我の原因になる」
とは、古武道でもよく言われる話。
実際、膝が伸びてると、足をすくわれやすく、蹴り折られやすいと思う。

あ、まてまて、ルールによっては、これを反則ととるのもあるかもな>下段蹴りで膝を攻撃する
確か、空手の大会でもそういうルールをとる場合がある、と聞いた憶えもある(‥
しかし、そいつは、破壊力が高いから、試合で使う事は禁じられているってことで、当然、実戦的な思想からは、回避する事を考えておかなきゃならないものだよなあ?

テコンドーは、演武を見るとなかなか派手やかでカッコイイのだけれど、本を見て、考えていった場合、どうもイマイチ、実戦的ではないように思える。
テコンドー同士で試合した場合はともかくとして、他の国の武術と他流試合をしたら、どうなるんでしょう(‥
テコンドー選手の体勢は、少なくとも、非常に崩しやすく見えるのだが。

もちろん、あくまでも、オリンピックの映像と、テレビなどで放映された資料映像と、この本をつらつらと読み、写真を見た感想でしかないのだけれども、テコンドーって、武術または格闘技というより、もっとスポーツ性に偏重しているように感じられるなあ。
あるいは、武術が発達する文化的下地がなく、ことさら、「外見の良さ」を重視するように思われる、韓国文化の生んだものとして、典型的なものなのかもしれないけど(笑)。

残念ながら、現時点で、(私にとって)
「やってみようか~」
と思える「武術」でない事は、確か。


著者: 黄 進
タイトル: テコンドー
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2005-04-12 15:32:09

『五獣拳』 中国武術と上地流空手

テーマ:武道・武術
武術というと、真っ先に、中国武術を連想する人も、世の中には、いる。
確か、『武術(ウーシゥ)』という名前の中国武術の雑誌もあったと思う。
でもって、実際、アジアのこちら側で、もっとも早く、武術というものを発達させたのは、中国なのだと思う(笑)。

もっとも、だからといって、
「アジアの全ての武術は、中国から発生し伝播した」
と考えるのも、それはそれで間違いだろう。

たとえば、武術で用いられる武器にしたところで、必ずしも全て中国でのみ発達したものではないらしい。
「棒」なんかが、それこそ中国だけでなく、日本でもタイでもフィリピンでも……アジアのどこででも、武器として使われ、場所によっては、それぞれ独自の武術を発達させているのは別格としても、
「日本刀」は中国の刀が日本に入ってきて、太刀として発展し、剣術が編み出され、それが今度は、刀も剣術も中国に逆輸入された、なんて話がある。
今の中国武術には、そのまま残ってたりはしないようだけど、「倭刀(日本刀)」が中国でも作られたり、それを使うために、日本の剣術を中国の武術家が研究したり、なんてことが、宋以降、なされていたそうなのだ。

剣自体、一時期中国ではすたれて、朝鮮半島に伝えられ、残っていたものが、逆輸入されたなんて話もある。

先日、ちと「トンファー」について調べた時も、
本とか、サイトとか、あるいは中国に詳しい人の話などで、
「中国にこれこれという武器があって、それが原型らしい」
「いや、東南アジアにも似たような武器があったらしい」
琉球武術の本に書いてあった通り、諸説紛々なのだが、これなどは、
「昔、中国でも武術としてトンファーのような武器を使ったものがあったらしいけれども、現存しない」
そして、今、トンファーに関してのみは、沖縄(琉球)の古武術を修行している者しか使っていないようだ、という結論になった。

トンファーについて。
本部朝基先生は、著書の中で、沖縄の生活の道具から発達した、としか述べていない。
だが、たとえば、
こちらでは、諸説紛々であるとしながら、
「中国の『坊』という武器が原型」ではないかと言っている。
ところが、坊ってのがどんなのかは全然わからないのだ。
むしろ、拐(カイ、クァ)という把手のついた杖のようなやつのが、原型なんじゃないかと思うが、これは、かつて福建の方で使われていたという説がある。でも、残っていない!(笑)
トンファーという言葉自体、拐(クァ)と関係がありそうだが、いずれにせよ「トンファー」という今の名前は琉球武術の言葉といっても良さそう。

総じて見ると、武術界において、中国というのは、相当な巨人的存在であるけれども、決して、
「中国一辺倒、なんでもかでも、中国」
というわけでは、ないらしい(笑)。

ところで、私が通っている空手道場の流派は昭平流(沖縄空手道協会)といい、上地流の系統にあたる。
この流派は、例外的に、中国武術との関わりが明確な沖縄空手なのだ(笑)。
というのは、流派を開いた上地完文先生が、福建に渡り、周子和という人に虎形拳などを学んで認可をもらったという事が、わかっているからだ!

先日、福建人民出版社から出されている『虎形拳(フーシンクァン)』という本を手に入れた。
(さすがに中国の本はAmazon.comで検索できないね)。
末尾に、上地流の事が書いてある。
漢文をそのまま書き写すのは面倒なので、かいつまんで書くと、
「1897年に上地完文が日本の琉球より来て、周子和に学び、中国の南拳を修めた。上地完文は1910年琉球に帰り、周子和のもとで学んだ拳術と、琉球で固有に伝えられた拳術を結合して、上地流を開いた」
こうある。

武術の世界では、中国をゆるやかな中心とし、武器や技術の交換をしつつ、アジア各地でいろいろなものが発展していった、とみるのが、いいのかもなあ。

ところで、上地流系については上のような事がわかっているので、私は虎拳にも前からかなりの興味を抱いているのだ(笑)。
でもさすがに、漢文で『虎形拳』を熟読するのは、かなーり大変だ(笑)。
そこで便利に参照するのが、冒頭に画像を掲げた『五獣拳』だったりする。(ここにも、虎形の項目で、上地流との関わりがちょこっと書いてある)。

そうそう、ちょっと中国武術に興味のある人は、おおまかに、北派と南派に分かれるのは知ってるだろうな。
私は、日本での中国武術についてはよく知らないが、どうも、北派武術の方が、人気があるらしい。
でも、これまた格闘ゲームなどで人気の高い、形意拳(動物の動きや形からヒントを得たとされるいろいろな拳術)は、主として南派のものだと思う。少なくとも、ここで「五獣拳」と言われてる、虎拳、蛇拳、鶴拳、龍拳、豹拳は、南のもの。

『五獣拳』の著者は、南派がイマイチ嫌われる理由として、
「中国武術は、空手などのように筋力がなくても、やれるというイメージが日本では強い」
という事を、あげてる。
これに対して、南派は、概して「剛」のイメージが強く、
「中国武術っぽくない」と思われがちなんだそうだ。(なんじゃそりゃあ)。

確かに、上地流系も、ガシガシお互いの体を打ち合う、激しい空手ですが……(笑)。

南派であろうと北派であろうと、基本的には同じであって、筋力がいらないなんて事はないし、逆に、どちらの拳術をやるのでも、マッチョになる必要はない、という事を述べているのが、大変面白い。
ところで、この著者が「真面目」であって、かつ、面白いとこはもうひとつある!

この本、写真を多用して技を解説しているので、一見、独習者向けのものに見えるんだよね。
でも、著者は、繰り返し、
「実際に、師匠から実地で学ぶ事は、想像以上に大きい。なるべく、独習は避けましょう」
と述べているのだ!
いや、これは、実際に空手をやってる者としては深くうなずける事だけど。
でも、こういう本を書く人としては、そこまで言っちゃって、いいのか(笑)?
……それだけ、著者が、武術に関して真摯な姿勢でいるという事だね。

ところで、そういう本だから、たとえばゲームの参考などにするには、あまり役には立たない(と、思う)。
でも、別に中国武術をやるのではなくとも、なんらかの運動をしている人とか、しようとしている人には、参考になる事が、いろいろ文章の中に含まれているとも思う。

著者: 青木 嘉教
タイトル: 中国拳法 五獣拳
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2005-04-07 20:56:43

『武器と防具 中国編』 中国を舞台とした小説やゲームを楽しむ時に

テーマ:武道・武術
今、このゲームが私の周辺では、流行っているのだ。

メーカー: コーエー
タイトル: 真・三國無双4 TREASURE BOX

このシリーズ、私はプレイした事ないんだけど、三国志の(ほとんど)ありとあらゆるキャラが登場するそうで、ハマるらしい。
で、三国志だけでなく、中国を舞台にした小説とかゲームとか。
読んだりやったりしてると、わけのわからん武器が出てきたりした。
そういう経験、ない?

そういう場合に、とてもお役立ちなのが、『武器と防具 中国編』。
新紀元社の〈Truth In Fantasy XIII〉となっているだけあって、そもそもは、TRPGをやる人向けの、一種の「事典」として出されたものなんだけど、バカにはならないぞ(笑)。

武器の性格ごとに章を建ててあるので、用途によって、参照しやすい。
で、ひとつひとつの武器について、
・ 名称
・ 使い方
・ 特徴
・ 構造
・ 歴史
と、順序立てて解説してあるのだ。もちろん、図もついています( ‥)/

巻末の参考資料を見ても、ほとんどは中国で出された専門書や論文をベースにしているようで、そんなものは手にも入らず読めもしない私にとっては、中国の武器ときたら、これに頼るしかない!
そういう本(笑)

ところで、これを通して読んでいると、
「考えてみれば当たり前の事だけど、気づかなかった」
重要な事がある!

どうも、中国武術のイメージが強いせいか、中国にはいろいろな武器があって、周辺諸国にはものみなすべて中国から伝えられたっていうような考えを、ついつい、してしまうよな?
ところが、ものによっては、
周辺諸国に同様の武器がある(必ずしも中国から伝えられたというのではなく、周辺でも考えだされた)とか、
いったん周辺諸国に伝えられながら中国ではすたれたものが逆輸入されたとか、
そういうものも、あるそうだ。

日本刀が、宋~清の時代に、盛んに輸出されていた事は、日本史でも勉強するくらい知られている事実だけど、「倭刀(つまり日本刀)」が、刀剣としてすぐれていたために清時代には軍隊に制式武器として採用されていたとか、中国でも倭刀が作られるようになったとか、
中国の武術家が(倭刀を使う為だろうけど)、日本の剣法を大いに研究し、そこに独自の工夫をこらしていたとか!
へええ(‥

武術といえども、決して、中国から一方的に輸出していたわけではないようです(笑)。

また、この本には、攻城兵器や火器についてもそれぞれ章を建てて取り上げているので、西洋の攻城兵器と比較しても面白い。
虎の形をした攻城兵器とか、鳥の形をした一種のミサイルとか、そういうものもあるんだよ。

中国ものの小説やゲームが好きな人は、一度中をのぞいてみると、きっと面白いと思う。

著者: 篠田 耕一
タイトル: 武器と防具〈中国編〉
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