2011-08-28 09:20:15

『新宿魔族殺人事件』〈耳袋秘帖7〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

本巻、面白いのだが、タイトルのつけかたがちと無理矢理だなあ、と思う。
魔族というと、どうしても、妖怪とか魔物とかそっちを連想しちゃうよねえ。また、『耳囊』がそういう怪しげなものにまつわる噂について多く書かれているものということもある。

いったい江戸時代の新宿にどういう魔物が出たのか?
こういう先入観がわいてしまう。

しかし、「こんな魔物とか化け物が出て」というような話が出て来たりするのではなく、むしろ、魔物や化け物の噂関係なしに、連続殺人事件なので、足をすくわれちゃうんだな。

そして、そういう先入観を抜きにすると、とても面白いため、「このタイトルはちょっと」。

さて、それではどういう連続殺人事件かというと、江戸に近い宿場町である新宿で、やくざの抗争があるわけだ。
まあ、それ自体はありがちなのだが、新宿からのびているというと、甲州街道。
甲州は北条氏、武田氏と縁が深く、それ以外ではふたつの点で時代ものにはよく登場する。
まず、「金の産地」であった、ということ。
もうひとつは、風魔という忍者がいたということ。
本巻の物語も、実にこの2つに関係するのだ。
忍者、そして、金。
かなりわくわくしてくる。

江戸の西郊から甲州にかけて、大名の封地ではないというのも影響し、過去発生した一家惨殺事件が、やくざの抗争と結びつき、連続殺人事件に発展するという仕掛け。

しかし、このシリーズ、どの事件も、なにかしら、過去に別の事件がねっことして存在するという設定が多いようだ。これは、従来の捕物帖がシャーロック・ホームズばりの検証主義をとらないための方策なのかもしれないが。


耳袋秘帖 新宿魔族殺人事件 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年12月15日初版
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2011-08-26 16:58:44

『両国大相撲殺人事件』〈耳袋秘帖6〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

今はいろいろと不祥事などがあって、大相撲人気が落ちているというけれども、江戸時代は五本の指に入る娯楽だった。
まあ、そうなのだが、その理由が作中述べられているのが面白い。
松平定信の奢侈禁止令により、芝居もダメだしあれもこれもダメといったなか、大相撲はOKだった。
そこにもってきて、強い人気力士が次々に出た。
だからだ、というんだな。
なるほど~。
ここに登場する雷電為右衛門も、連接の力士といっていい相撲取りだ。

今は企業がスポンサーになったり、国が助成金を出したりというスポーツや藝術の世界であるけれども、近世まではどこの国でも、こういったものにはパトロンが存在し、活動を助けていたわけだ。
日本の大相撲も例外ではなく、雷電のような関取にも、パトロンがいたわけなんだね。
そうすると、千代田のお城では、いろいろな事で張り合う間柄もあったりするため、庇護される方のギョーカイも面倒な事になっちゃうんだね。

まあ、根岸肥前の時代は松平定信の改革あとの事、支配階級の台所事情がとっても苦しい時代でもある。
リストラされた遠国の武士たちの悲哀も今回の事件に絡んでくるが、これまた、お家騒動とかかわってしまった不運な人々で、全体に、やるせなさといったものが濃厚だ。

そのなかで、諸侯の鞘手というくだらなさ(そしてそれに振り回される人々の悲哀)をはらすかのように、根岸が愛玩犬を使った悪戯をするエピソードでしめるのが、よきかな。
やるせないままだと、読後感がちとつらいし。


耳袋秘帖 両国大相撲殺人事件 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年11月15日初版
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2011-08-26 16:43:00

『谷中黒猫殺人事件』〈耳袋秘帖5〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

黒猫というと、「不吉~」というイメージがあるようだが、本来、これはヨーロッパでの事だという。
魔女の使い魔とみなされる事が多く、イタリアではとくに黒猫が迫害されたなどという話もある。
ところが、日本では元来黒猫が幸運を招くとされていたようで、水夫に好まれたり、招き猫でも黒いのがあったりする。
化け猫騒動のお玉は黒いじゃないかという意見もありそうだが、あれとて、実は主人を殺された猫が敵討ちした話、と考えれば、立派な黒猫ではないか。

本シリーズの主人公、根岸肥前が飼っている愛猫のお錫も黒猫であるけれど、今回は、25匹もいる猫のほとんどが黒! 家中にある置物の猫も黒! という、すごい猫屋敷が登場する。
……凄いだろうなあ。
だいたい、真っ黒な猫というのはそうはいない。
野生の猫は、虎とか豹がそうであるように、模様入りであるものだ。
つまり、しましまとか斑点がついてるのだ。

では、なにゆえこの猫屋敷の猫は黒いのか?
前当主が黒猫好きで、飼い猫も黒いのが生まれるようにかけあわせて、などという話が出てくるが、猫、それも黒い猫が持つ不思議な力というようなものにつつまれ、実はとても悲惨な過去の、そして今につながる殺人事件が主題となる。

そもそもが猫屋敷のため、「あそこの猫がたくさんいすぎて困りますっ」という近所からの苦情などもからんでくるが、主題の殺人事件も、こういった近所の苦情も、いろいろt裏があり、面白い仕立てになっている。

根岸肥前は非常な生き物好きとして描かれているのだけれど、この「猫がいすぎて……」という苦情の解決方法も、ちょっとほほえましい部分がある。
まあ、根岸でなくとも、「あんなに猫がいると邪魔だから始末を」なんて意見はちょっとねえ。
うちも猫を飼える環境であれば、ペットショップではなく、保健所で殺処分待ちの猫に手をのばすところなんだけどな。


耳袋秘帖 谷中黒猫殺人事件 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年8月15日初版
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2011-08-25 11:35:34

『深川芸者殺人事件』〈耳袋秘帖4〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

江戸で女遊びをしようといえば、吉原、各所の岡場所、四宿、あるいは足を伸ばして大山参りの帰り道精進落としで……というのが、定番のようだ。
それぞれい違う味わいがあるのだろうけど、やはり一番に名前があがるのが、官許の遊郭である吉原だろう。
実際、吉原はいろいろな飯豊別格のようだ。

もちろん官許の遊郭というのが、まず江戸界隈ではここ一カ所だけ。他は、黙認またはもぐりということになる。
たとえば有名な四宿にしても、瞑目は「飯盛り女」(ウェイトレス)で、建前としては春をひさいではいけないということになっている。
もうひとつ、ここは、兵に囲まれた「別天地」だった。
吉原だけのしきたりがあり、行事があり、言葉もいわゆる「ありんす言葉」を遊女が使っていて、これはどこのお国なまりでもない吉和r独特の言葉だそうだ。
創立の時に、島原遊郭をモデルにしたと言われているが、それより更に発展して、「非日常の異世界」を創り上げたのが吉原だ。
当初、それがいかに夢を売る街をめざしていたかというあたりは、小説だと、『吉原苦界行』などが名高いだろう。

しかし、ここでは、もはやそういう姿は過去のものとなってしまった、という形であらわれる。
但し、過去といっても、わずか一世代もたたない前の過去。
だからこそ、台頭してきた深川との勢力争いなんて話が成立するんだね。
今に伝えられる吉原と深川は、同じ遊所でも、雰囲気は真逆だ。

主人公である根岸の恋人が深川芸者の売れっ妓であるから、物語もおおむね深川視点で語られるが、事件の背後にいる者たちがすがる吉原の夢の残骸が、美しくも哀しい。
これとて、すぐ過去にあたるものなので、ますますそう感じるのだろうが、事件の解明にあたり、「いま現在」の吉原を描くことで、さらにこれが際立つわけだ。

ストーリーそのものは、最初からかなり怪奇仕立てだ。
もちろん、これもちゃんと仕掛けは解明されるおだが、それでも、夜、川辺、流れてくる人形、呪いめいた言葉、とここまでえかなり、「うわあ」。
そしてまず力丸が、さらには栗田の新妻まで行方不明になってしまう。
途中で巻を置けない推進力もある語り口だ。


耳袋秘帖 深川芸者殺人事件 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年7月15日初版
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2011-08-25 11:20:30

『浅草妖刀殺人事件』〈耳袋秘帖3〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

妖刀村正にからむ事件。
などとぴうと、「鞘をはらえば血を見るまではおさめられぬ」といったシーンや、普通の侍だったのにいきなり気が狂ったかのように暴れ出すというのを想像してしまうのだが、なんせ、一見怪しげな噂の影に、事件があるという仕掛けの本シリーズであるから、そう簡単にはいかない。

村正に関する、そういった伝説を前提に、かつて、ある事件が発生した。
そう、あくまでも、まず、「かつて」なのだ。
そして、現代(物語の中の現代という意味ね)。
巧みかつ残酷な連続強盗殺人事件が発生する。
まず、根岸たちにとっては、これを解決するのが腕の見せ所というわけだ。

しかし、本巻の面白いところは、そこにもうひとつ別の要素がある事だ。
長年まじめにつとめていた男が、ふとしたことで、悪いカネに手をつけてしまう。
まあ、そこにも、よんどころのない事情があったわけだ。
しかし、いくら事情があったとはいえ、また、表沙汰にできないカネであったとはいえ、他人のものに手をつけてしまった男は、どういう気持ちになるものだろう。
また、その人生はどのように変わってしまうだろう。
本筋から派生する部分なのに、ここがとても面白い。

また、それら相互に関係する複数の事件に、結局は、村正(の伝説)が影を落としたかっこうになっているわけ。

さらに、今回は、それら一連の事件が、未来の事件につながることをにおわせるという複雑な構成になっていて、シリーズ3冊目にして、がっちりと読者をつかみ、脂がのった感じがする。


浅草妖刀殺人事件―耳袋秘帖 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年4月15位置初版
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2011-08-24 20:25:04

『八丁堀同心殺人事件』〈耳袋秘帖2〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

警官殺しというのは、警察小説のシリーズなら一度は取り上げてられそうなテーマだ。
市井を取り締まるべき警察官が被害者になった。
しかも、もしかしたら「警官だからこそ狙われた」ということになると、警察側の面子がかかってしまう。

思えば、時代小説の中でも、奉行所や火盗改めに所属する者が主人公になっているやつは、時代物のなかでも、この警察小説に相当する。
ゆえに、根岸はシリーズ2冊目にして、ふんばりどころとなってしまうわけだ。
江戸の町奉行は、南と北の二本立てだから、当然、競い合う部分もある。
当然こんな事件は、そういう競争におおきな影を投げかける。
また、時代として、田沼時代→松平定信時代を経過した直後にあたり、いまだ、旧田沼派と定信派の対立が、水面下に残っている状態でもある。
これもやっぱり、影響しちゃうのな。

怪しげな、前世占いの坊さんまでからんで、相変わらず、「なんだか怪しげな噂」の裏に、いろいろと生臭いものがからんでいるという仕掛けなのだが、それを解決するにあたっては、根岸が若かりし頃、いろいろと悪いこともやり、あっと驚くような金稼ぎもした、そこに由来する人脈(!)がものをいう。
ここらへんは、池波描くところの鬼平と相通じるものがあるが、『耳囊』などという市井の噂などを集めた随筆をものした根岸であるだけに、むしろ下情へ通じているその深さ、根岸は鬼平を上回っていそうだ。


耳袋秘帖 八丁堀同心殺人事件 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年3月15日初版
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2011-08-23 22:20:52

『赤鬼奉行根岸肥前』〈耳袋秘帖1〉(だいわ文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

かの『耳囊』をあらわした根岸肥前守とはどのような人物だったのか。
江戸で町奉行をしていた人である(うんうん)。
町奉行になったのはなんと還暦を過ぎてかrである(え、それは現代でも異例なほど高齢では?)。
実は非常な軽輩の身から出世した人である(まあなんというかちょっと古いけどオグリキャップみたいな)。
肩に赤鬼の彫り物があったという(えええ?)。

彫り物のある奉行としては、あの有名な遠山より前、なのだそうだ。

なかなか面白そうなプロフィールだ。

この第1巻では、まず、根岸肥前がまさしく奉行を拝命したところから、始まっている。
彼がのぼってきた出世の階段についても少しふれられていて、勘定吟味方→勘定奉行→町奉行、という(定番の)ルートをたどっており、今は老中を退いているがまだ隠然たる勢力をもつ松平定信と関わりがある。

そして、奉行を引き受けたしょっぱなが面白い。
いきなり、「ものいう猫」の噂が奉行所内でたちはじめる。
江戸時代は、けっこう、猫にまつわる怪異が語られていたようで、『耳囊』にもいくつか載せられているのだけれど、それにしても、ものいう猫。
しかも、仔猫とはいえ黒いのだから、なんとなく「魔物っぽい~」と感じる仕掛けだ。

しかし、もちろん猫がほんとにものをいうわけではなく、いったい何者が、なぜ、そういう仕掛けをしているのか、なぜ猫が話しているように思えるのかを解き明かすところから、背後にある実際の事件も浮かんでくるわけで、まさしくこれが、本シリーズのスタイルというわけだ。

しかし、作者はよほど猫が好きなのだろうなあ、と思う。
主人公の根岸肥前が動物好きだと途中で語られもし、前述のとおり、江戸時代には猫の怪異譚がそれなりに多かったとはいえ、まず猫。
文春文庫にうつった時もやはりしょっぱなが「うしろ猫」の話だった。
格別、すごい活躍をするわけではないが、この猫(たち)、猫好きにはちょっとばかり、にやっとさせられるところがあるかもしれない。


耳袋秘帖 赤鬼奉行根岸肥前 (だいわ文庫)/風野 真知雄
2007年2月15日初版
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2011-08-22 23:24:39

『楊令伝 2 辺烽の章』

テーマ:歴史・時代小説

楊令が、呉用が、かつて梁山泊に集まった英雄たちが、理想と建国について大いに語る。
なるほど。

『水滸伝』の根幹は、言うまでもなく、腐りに腐った宋という国に対し、理想をかかげた英雄たちが対抗するというところにあった。

ならば、梁山泊が陥落したあと、生き残った者たちの心の動きはどうであったのか?
もちろん、前巻でもそのきざしは語られていたわけだが、ここにきて、梁山泊陥落後、各人がどのような思いを抱いてきたのかというところが、吐き出されることとなった。
しかし、その多くが「屈託」であることも否めない。
とくに大きな屈託をかかえていた武松に抜本的な解決を与えることで、楊令はさりげなく、ひとつの方向性を示したとも言える。

単なる『水滸後伝』ではなく、タイトルが『楊令伝』なのだから、これは自然な流れととるべきなのだろう。

一方、いよいよ江南では怪しげな宗教王国が胎動してきているのだけど、その動きを呉用先生が正確に読み切れないというところも、ちょっと面白い。
宗教にかかると、ごく普通の人でも、予想外の行動をとったりする。
しかし、呉用がおさめた学問は、そういったイレギュラーなものを取り扱わない。
軍学とて、人間を「一定の常識をもって行動する」という前提でシミュレーションするわけだし。
そして呉用自身、生き残ってしまったことへの屈託をかかえており、それとあいまってどのように動くかとても興味深い事になっている。

また、更には岳飛(もちろん、若き日の!)なども登場してきて、今後どのように梁山泊勢とからんでいくのか、楽しみでもある。


楊令伝 2 辺烽の章 (集英社文庫)/北方 謙三
2011年7月25日初版(文庫版)
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2011-08-21 15:28:21

『D-冬の虎王』〈吸血鬼ハンターD23〉

テーマ:日本SF・ファンタジイ

Dの世界観は、意図的にいろいろなところがぼかされている。
貴族(吸血鬼)の支配が千年単位どころか、万年にわたり続いている事は示されているが、たとえばこの舞台が地球であるのか、それとも、異星であるのかも、はっきりとしていない。
まあ、1万年も先のことなら、異星も同然なんだけども。

開拓時代のアメリカを思わせる荒野、ヨーロッパの昔を思わせる村や古城。
そのうちの幾分かは、貴族の趣味による演出とされている。
しかし、それらと退避してひきあいに出される「都」は舞台となった事がなく、どのような場所なのかも曖昧模糊としている。

だからこそ、「D」という男の神秘性とスーパーヒーロー性がきわだっているのだろうと思う。

実際、新宿区を舞台とした魔界都市シリーズ(群)は、舞台となった場所のなりたちを含め、詳細な世界設定が明らかにされていると同時に、そこで活躍するキャラクターも、多種多様だ。
シリーズの主人公をになうキャラだけでなく、脇役も、いつ主人公になってもおかしくないようなくせ者がそろっている。

ある意味魔界都市新宿ものは、微に入り細をうがって描写される新宿そのものが魅力であるように、Dの世界は、得体の知れぬその神秘性が魅力なのだ。
その神秘性を解き明かす鍵は「D]という男だが、この男自身、得体が知れないというのが面白い。
もちろん、「神祖」と呼ばれるのが誰なのか、おおよその暗示があるし、その神祖とDの関係も、強くにおわせるものがあるのだけれど、あえて書かない。
この、見えそうで見えない魅力というのは、新宿の方でも、一部で駆使されているテクニックで、菊地秀行お得意の手法だとも言えるだろう。
「チラ見え」の魅力が「D」の真髄というわけ。

しかし、本巻は珍しくも、貴族の視点から物語が展開されている。
だからといっていろいろな謎が明らかになるというのではない。
千年、下手すれば万年も生きているかもしれない貴族という存在の異質さが、貴族の側から語られているのだ。
不死であれば、定命の人とは、当然、ものの見方が変わってくるはず。
かつては残酷な「虎王」とおそれられた老貴族と、その息子たち、そして彼の愛した女を通して、人間ならざるものが今までより生々しく描かれていると言える。
とはいえ、これは難しいテーマでもある。
曖昧模糊としたところを残しながら、人間ではないもの(異質な存在)の視点から物語を再度語る事になるわけだから。

一方、Dとしてははじめての別主人公のシリーズがノベルスから刊行され、このこともあわせて、描き方の方向転換が行われているように感じる。
人間だけではなく、より、貴族の世界にも目が向けられ始めているのだ。
はたしてそれが成功するのかは、もう少し待ってみないといけないのだろう。


吸血鬼ハンター23 D-冬の虎王 (朝日文庫)/菊地秀行
2011年8月30日初版(発売中)
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2011-08-17 20:00:37

『王子狐火殺人事件』〈耳袋秘帖5〉(文春文庫版)

テーマ:歴史・時代小説

このシリーズ、最初はだいわ文庫(大和書房)から出ていたものなのだが、その後、文春文庫に移り、主人公の片割れが変更になっていた。
新しい読者をおもんばかっての事だと思うが、文春版でも、本巻から状況がかわった。
まず、タイトルから「妖談」の2文字がなくなっている。
そして、イノシシ武者脇田から、シリーズ当初の主人公、栗田が帰ってきたのだ。
しかも、身重の妻、雪乃をきづかうシーンからというのは、ちょっといい雰囲気でもあり、だいわ文庫版から読んでいる読者は、ちょっとにやりとするかもしれない。

勿論、だいわ文庫版は知らない場合でも、問題なく読めるのだけど、栗田と雪乃についてはだいわ文庫版で読めるので、いいキャラだな~とか思ったら、だいわ文庫版を一読してみるのもよさげ。

そんな栗田が出てくるタイミングで、発生した事件は祝言にのぞむ花嫁が失踪しちゃったというものだ。
狐憑きがからみ、女性ばかりが犠牲となる連続殺人事件となると、これまでの4巻より、サスペンス風味は薄れているように思う。
その分、ミステリ風味が強い。
ラストも、どことなく、時代小説というより、名探偵もののラストを思わせる。


王子狐火殺人事件―耳袋秘帖 (文春文庫)/風野 真知雄
2011年5月10日初版
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