2010-03-09 22:09:13

『時空の扉を抜けて』〈ダーコーヴァ年代記・外伝〉

テーマ:海外SF・ファンタジイ
手当たり次第の本棚-時空の扉を抜けて

本作はもともとダーコーヴァものとして書かれたのではない(むしろ、先行して世に出された作品)。
しかし、その世界観はダーコーヴァと共通しているし、ダーコーヴァの物語の中で惑星ウルフの名があげられるように、ここではダーコーヴァの名が、交易相手としてちらりと出てきたりする。
そう、これは、コロニスに位置する惑星ウルフの物語。
この惑星もまた、低レベルの文化を持つとされる閉鎖世界のひとつで、非人類が何種類か、存在する。

もうひとつ、本作におけるウルフは、ダーコーヴァといろいろな点で似ている。
たとえば、赤い太陽に照らされた惑星である、というのもそのひとつだ。
また、ここにもドライタウンが存在し、幾つかの地名やその特徴が共通でもある。
都市、シャインサでは、最も身分が低いものをのぞき、女は飾り立てた手枷をかけられているし、アードカランは悪名高い花街なのだ。

主人公はこの惑星で育ち、現地調査員となった男レイス・カーギル。
親友でもあり、不倶戴天の敵ともなった幼なじみのドライタウン人、ラカール・センサー、ラカールの妻となった妹のジュリ、そしてヒキガエル神に仕える美女と、その双子の妹。

背景となる地球帝国は、(ダーコーヴァと)全く同じでもあり、本作によって、マグダやピーターの仕事がおぼろげに、わかるような気がする。
もっとも、レイスの仕事内容は、マグダらのものより、ハードではあるのだが。

ドライタウンの設定がダーコーヴァのドライタウンとそっくりなので、ダーコーヴァではとんど描写される事のないドライタウンに興味のある人には、とても面白く感じるかもしれないな。
また、メローラやロアーナ、そしてジュエルが嫌悪した手枷が、ドライタウンの女にはどのように思えるのか、ドライタウン的な視点から物語られているのも興味深い。

手枷をかけられたドライタウンの女たちは、たとえば『ドライタウンの虜囚』を見ても、なんとなく、東洋のハレムを連想させるが、実は、エジプトから日本(大奥もハレムである)に至るまで、隔離されて自由のないように見える高貴な女性たちが、実は意外なほど、君主などを通じて世俗にも権力をふるっていた事を思い起こすならば、ドライタウンの手枷がいかほどのものか、なんとなく想像つくかもな。

さて、ダーコーヴァにはラランがあったように、惑星ウルフでも、地球帝国にのみこまれる事を防ぐため、切り札となるものが探し求められた。
それが、表題にある「時空を抜ける扉」なのだ。
これを巡って、レイスとラカール、それ以外の人々が策謀し、あるいは争う事になる。

しかし、その扉のカギを握る非人類の男、トイメーカーのエヴァリンについては、最後まで正体がよくわからない。


時空の扉を抜けて (創元推理文庫―ダーコーヴァ年代記・外伝)/マリオン・ジマー ブラッドリー
1987年8月7日初版
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