2007-06-28 21:18:36

『竜と竪琴師』〈パーンの竜騎士10〉

テーマ:海外SF・ファンタジイ
5~6年前に、ペーパーバックで出たのをざっと読んでしまってたのだが、やはり日本語で読むのは良いだろうなあ、と待望していた訳がこのたび出た。
シリーズでも人気のキャラ、竪琴師ノ長、ロビントンの半生記である。
そこで歓声を上げている君!
……いくらでも歓声をあげたまえ。
読んで後悔する事は、絶対にないはずだ。

さて、若きレサを主人公とする三部作、及びメノリの三部作(竪琴師の工舎)を別とすれば、パーンのシリーズは、おおむね、1作1話であり、そこだけ独立して読んでも楽しめる作りとなっている。
本巻もそうなのだが、それでもやっぱり、もともとのパーンのシリーズ、とくにメノリの三部作が好きな人には、めちゃくちゃ嬉しい内容だ。
というのは、レサやメノリと、ロビントンとの、年の差を考えればわかる話で、レサが小娘だった時、すでに竪琴師ノ長だったロビントンなのだ。
当然、当のロビントンが若い頃というのは……。
今までシリーズで語られてきた時代より、ちょうど一世代前の話という事になるんだな。

たとえば、あのグロギ太守の若い頃なんて想像できますか。
(なんか、かっこいいんだぜ。信じられるか?)
メノリの師匠だったペティロン、彼はロビントンの父である事がわかってるのだが、父子の確執の大きさにもびっくりするだろう。
そしてもちろん、ロビントンが若ければ、メノリの時代に竪琴師として工舎で教えていたような、あの先生、この先生の若い頃も、た~っぷりと登場するぞ。
グロギ太守だけでなく、ショナガー師の若き日の姿にも、絶対びっくりするはずだ!

また、メノリから見たメノリの時代の竪琴師の工舎が、その一世代前を見る事で、ますます深く、理解できるようになる。
人間関係に深みが増しちゃうのだ。
今まで語られなかった人間関係も、ばしばしと登場するので、ある意味スリリングですら、ある。
えー、あのキャラが実は!
……なんてのが、山ほどあるのだぞ(ぼそ)。

いやもう、シリーズが好きであればあるほど、おいしい話だと思う(笑)。

さて、その中で、ひとつ面白い事があった。
それは、ペティロンが、メノリから見たドミックのように(いやそれ以上に)作曲コアな人、としつこいくらいに描写されているのだが、その中でぽつりと、
実はペティロンも良いバリトンの声なのだけど、独唱はしない。合唱ではバリトンの中で歌っている、というのがある。
どうやら、ペティロンは、自分の声が、独唱向きではない、と諦めたようなのだ。

ペティロンにも挫折の瞬間があったということで、そこが、今回語られる息子との確執にも影響していそうだし、
あるいは、後に、メノリを後押しした要素のひとつにもなっているようだが(勿論、彼女を後押しした主要素は別)、
マキャフリイのファンならば、もう一人の人物を連想しないわけには、いかないだろう。
シリーズは全く接点のない、別のものだが、そう、クリスタルシンガーのキラシャンドラだ。
彼女もまた、ソリストをめざしていたのに、「声に瑕があり、合唱のパートリーダーにしかなれないだろう」と冒頭で宣告されてしまうんだよな。
ペティロンの若い頃の話というのは、もちろん、まだ語られていないわけだけれど、なんか、キラと共通のとこがありそうな気がしている。


アン・マキャフリイ, 小尾 芙佐
竜と竪琴師
ハヤカワ文庫SF
2007年6月25日初版
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