2006-04-11 20:09:15

『世界は密室でできている』 ちょっとシュールな青春小説

テーマ:ミステリ
一応、これは、ミステリという事になるのだと思う。
だが、本質的には、青春小説だ。
かつて中学生男子だった読者であるならば、
「うーん」
「そうだなー」
「あー……そゆこと」
などと、かしこでうなずいてしまうんじゃなかろうか。

女の子のパンツに、いやおうなく興味があるというか、惹かれるというか。
いや、もちろん、その中身にはもっと興味があるし、ナニしたいな~などと夢想するのだが、そこまで踏ん切るには、かなりの勇気が必要な気もする。
同級生の女は、ある意味、身近すぎて、97%どうでもよかったりするが、近所のお姉さんは、みょ~にまぶしく感じたりとか(ただし、高校生くらいのお姉さんという意味だ)。

ある意味、そういう、赤裸々な男子中学生の二人組が主人公なのだ。

どういうわけか、彼らのまわりでは、奇妙な殺人事件が幾つも発生する。
そのひとつひとつを、深刻に解いていくというより、
事件そのものが、そもそも、なぜかシュールであって、
「いや、それはありえねーだろ?」
と思わせるようなシチュエーションを、あり得ん偶然と奇妙な人物(の行動)の重なり具合で、すごくヘンなものにできあがっているという方が、謎解きよりもインパクトが強い。
また、この謎解きが(主人公の相方が名探偵なのだけど)、
どうにもこうにも、
パズル的なんだよな~。

実際、ものによっては、パズルの本を開いたら出てきそうなやつまで、あったりする。

でもって、それらのヘンな事件が、全て、密室と関係があるのだ。
密室殺人事件の、コラージュ作品だ。
惜しげもなく次々と、密室殺人が起きてしまう!
主人公視点での時間の流れでみても、最初の事件から最後の事件まで、8年かそこら。
(といっても、いきなり3年ほどジャンプしているので、実質は5年くらいか)。
その間に、びしばしと、ヘンな密室殺人事件が起こってしまうのだ。

そのヘンさにのれない人には、きっと、本作は面白くない。
ありえねーような、ギャグ的かつシュールな状況が楽しめるならば、なかなかイケると感じるかも。

しかし、読後感としては、なんとなくやるせない、甘酸っぱい、熟しきれていない、青春のもどかしさみたいなものを、ひしひしと感じてしまうんだよな~。
「うん。こういう中学生の頃が、たしかに、あったね」、と。


舞城 王太郎
世界は密室でできている。―THE WORLD IS MADE OUT OF CLOSED ROOMS
講談社文庫

コメント

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1 ■なるほど青春小説

普段ミステリを読みつけない私は、この人の作品がミステリかどうか、余り気にしないで読んでたんですが、、、なるほど死体がいっぱい出てくるのを気にしなければ、青春小説なのかもしれませんね。
、、、ちょっと炭酸系?で好き(^ ^)

2 ■死体がいっぱい

いちみさん、いらっしゃいませ。
ほんと、死体だらけですよね(笑)。
しかも、その死体でいろいろやっちゃう、という。
そこらへんがポップでシュールな感じがしたのです。
炭酸系。言い得て妙だ!

3 ■はじめてお邪魔します

この小説、カバーに惹かれて書店で手に取りましたが
そのままカバーを見つめること数十秒…。
「どんなジャンルだ???」
と首をかしげたまま戻してしまいました。

青春のさなかに偶然起こる殺人事件…てカンジでしょうか?

舞城 王太郎さんの作品は未読ですが、タイトルが変わってますよね?
一度トライしよぅと思いつつ忘れてた…。
これを機にGWにでも読んでみよぅと思います。

4 ■奇妙なカバー

りかさん、いらっしゃいませ。
いや、ほんと、この文庫版のカバー、内容と合っているのか? と思ってしまいます(笑)。
なんとも奇妙です。
殺人事件は、偶然起こるとも思えますし、強引に発生しているとも取れます。

5 ■殺人事件が起これども

青春物であると。笑 変形ミステリは数あれど、ちょっと珍しい作風ですよね。
記事中、リンクさせて頂きましたので、トラバ送りまーす。
舞城作品、手に取ろうかどうか迷っていて、とらさんの記事で触発されて読んでみました。も少し、この作家さん、色々読んでみようかな、と思います。

6 ■触発された?

つなさん、いらっしゃいませ。
おー。この記事がもとで、『阿修羅ガール』、だったのですね。
そうか~。
私も、この本は、もらいものなのです。でなければ、手に取らなかったと思います。
なんとも不思議な作風です。

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