『鋼の錬金術師(13)』 | 手当たり次第の本棚

『鋼の錬金術師(13)』


ハガレン前巻は、ひたすらアクションシーンという感じだったのだが、今回は違う。
いやあ、ファンタジイのマニアとしては、こういう展開を待っていたのだよ。

なんでも喰っちゃうグラトニー。
なんと、こいつの体は、前面がぐわっと開くのだけど、肋骨に縁取られたその「口」に喰われたものは、いったいどこへ行くのか?
なんといっても、グラトニーは、何をどれだけ喰っても、その分、排泄するという様子がなかった。
ゆえに、生物が食物を消化するようには、なっていないと考えられる。
(もちろん、漫画なのだから、単にそういうものへの言及は避けていただけ、という可能性も残るが)。

その回答が、今回みごとに提示されるのだ。
しかも、グラトニーに飲まれた先にあったものが、なかなか凄いのだ(笑)。
いや、グラトニーの存在意義が、興味深いと言った方が良いかもしれない。

もうひとつ面白い展開は、大総統支配下の国が、実はどのようになりたち、軍部が今どうなっているのかというのが、とうとう明らかになる。しかも、その過程で、キング・ブラッドレーの過去まで語られちゃうのだ。
それは、SFファンとしては、いささか陳腐ではあるものの(笑)、
「ふぅん、そうか、そういうことか」
とうなずける部分も多い。

ここまで来たら、物語のクライマックスまであと一歩!(かもしれない)。
のぞむらくは、もう3ひねりくらいしてほしいのだが。
しかし、グラトニーの事といい、かなり期待できる事は確かだ。

うん、今回のハガレンは、なかなか面白いよ。

ところで、最近は人気の漫画は、DVDでもあるかのごとく「初回限定版」が出ることになってるようだ(一部の出版社だけかもしれないけど)。
ハガレン、今回の初回限定版(右の画像)は、トランプだそうな。
私は別にトランプなどほしくはないので、通常版を購入したが、こういう付録も、コレクターズアイテムになっていくのかなあ。


荒川 弘
鋼の錬金術師 13
鋼の錬金術師(13) 初回限定特装版
2006年4月22日初版(発売中)