2006-02-02 21:15:40

『ジャガーになった男』 鎖国寸前に日本を飛び出した男

テーマ:歴史・時代小説
本作は佐藤賢一のデビュー作であるそうだ。
なるほど、そう思って読むと、確かに、後の『傭兵ピエール』を思わせるところもあれば、『カエサルを撃て』を思わせるところもある。

つきつめて言うと、佐藤賢一は、
「英雄を、ナサケナイ男に魅せる」
作家なのだ。

もちろん、ナサケナイというのは、非情であるという意味ではない。
一代の英雄を、
女に弱い、女を不幸にする、
ダメな男として描く。

だが、それが不思議と魅力的なのは、なぜだろう?
たとえば本作でも、ミゲル・トラキチ・サイトウ・デル・ハポンこと、斉藤小兵太寅吉は、
まず日本を出る時に婚約者を捨て、
夢を抱いて渡ったイスパニアでも、一人の女を狂わせ、
ペルーでも、また、ある女を不幸にする。

そう、確かに、何人もの女を不幸にしてしまう。
そうなのだけれど、実はそれって、あくまでも、男の眼から見ての話だと思うのだ。
もっと限定すると、主人公が、そう、自責の念に駆られるのだ。
(描写されている女性を冷静に見れば、不幸なようで、いや、事実不幸なのだが、男が想像するより、それらの女達はずっとしたたかに生きているようだ)。

実は、このように、ほんとうはしたたかな(またはしたたかに生きようとしている)女を、
「不幸にしてしまった」
そう感じて、なお、幸福にする事ができないと自覚するナイーヴさが、佐藤賢一の描く「英雄」の魅力なのではないかと思う。

本作は、そのような図式が、非常にわかりやすい形で描かれている佳作だ。


佐藤 賢一
ジャガーになった男
新潮文庫
第6回小説すばる新人賞受賞(但し大幅加筆)
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コメント

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16 ■興味深い佐藤賢一

garberaさん、いらっしゃいませ。
おー。お読みになられたのですね!
さっそく、拝見にうかがいます(笑)。

15 ■佐藤作品読みました!

とらさん、こんにちは。
佐藤作品が入手できたので、読んでみました。記事にしてみましたのでTBさせていただきました♪。なかなか興味深かったです。それでは。

14 ■モンテ・クリスト伯爵とジャン・バルジャン

ああっ。
両方とも底辺から這い上がって、いわば復讐を原動力にしたかのような話ですし、混同するのはわかります。
私はどちらも好きですが、どちらかといえば『モンテ・クリスト伯』の方かなあ。なぜかというと、これは全巻持ってるけど、『レ・ミゼラブル』は現在手元にないからです。

13 ■む

押されているー。笑
私ですね、「モンテ・クリスト伯」の方が燃えたはず!と思ったのに、どこかで「モンテ・クリスト伯」と、「ジャン・ヴァルジャン」が混ざってたことに気付きました・・・。駄目駄目・・・。涙

12 ■三銃士(だめ押し)

しかも、手元に全巻そろってたりとか……(謎)。

11 ■三銃士(便乗)

いつ読んでも面白いですから!(笑。
単に好きともいう……

10 ■三銃士

つなさん、いらっしゃいませ。
よしっ。
今からでも、読むのだ!(笑)

9 ■三銃士の

予習を忘れて、うっかり読んでしまいました・・・。ガーン。
*トラバ、いたしました。

8 ■たくさん読んでブックに

>蝶蝶雲さん
(ふっかふっかふっかふっか)
眠っちゃってもOKですよ~。ちゃんとベッドまで送り届けて、とらまくらになってあげましょー。

7 ■ぬふぬふ~

今の私の盛り上がりから考えたらカルチェ・ラタンかなぁ。でも、無かった時に我慢するのも嫌なので、あったものからにします。たくさん読んで、ブックに載せるんだい!
とらさんの背中は気持ちいいで~す。このまま眠ってしまいそう…。

6 ■背中にしがみつかれている

蝶蝶雲さん、いらっしゃいませ。ブックへの参加ありがとうございます。
お。背中ですか?(ぬふぬふですよ~)
では、蝶蝶雲さんを載せたまま、3作品の間を、のそのそのそのそ>どれにしようかな~?
とりあえず書店や図書館で見つかったやつから読むというのもありかも。

5 ■漫画のジャガー

ひらさん、いらっしゃいませ。
おー、そんな漫画が出ていたのか!(笑)
いや、漫画は漫画で良いじゃないですか。

4 ■色っぽいシーンで、トラ

主婦いちみさん、いらっしゃいませ。
いや、自分でも「トラ?」「トラちゃん?」出てくるたびに内心で大笑いしていたのですが、色っぽいシーンより居合とかしているシーン希望です(笑)。
私が、ことさら、寅吉やピエール、あるいはカエサルなどの行動に、男のなさけなさを感じてしまうのは、あるいは自分が同じように感じるところがあるからなのかもしれません(笑)。あんな英雄じゃあないけど……。そして、
「そうだ。そうなんだよなー」
と、そこはかとなーく共感してしまうのです。

3 ■読みたいです。

ブックに参加させていただきました~。まだ1冊しか読んでいないので、これからどんどん読んでいきたいです。
この本のタイトル、メチャカッコいい。まだフランソワしか知ら無い癖に生意気かもしれませんが、とらさんの仰る事分かる気がします。情けなくてナイーヴ・・・、もろストライクな主人公!この本も読みたい~~。
次はカルチェ・ラタンにしようか、カエサルを撃てにしようか迷ってたんですけど、もう一つ選択肢が広がっちゃいました。うーむ、どれにしようって・・・なんて贅沢な悩み!!(とらさんの背にしがみついてみる)

2 ■ジャガー

と聞いても、これしか浮かびませんでした。
いかんですな、もうちょっとマンガじゃない本を読みます。

http://jump.shueisha.co.jp/jaga/

1 ■ようやく記事をUP、、、とおもったら

やはりとらさんには先を越されていましたね(^^;)
う~ん。私は寅吉が"ナサケナイ"とか"ナイーブ"っていう印象が、あまりしませんでした。その辺、男性と女性との見方の違いとかあったりするんでしょうかね?

話はかわりますが、作中で寅吉が「トラ」と呼ばれたりしますよね。おもわずきいろとくろのふわふわな画像がボンッ!と思い浮かんでしまうことが、よくありました。
、、、色っぽいシーンとか(笑)

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