2005-09-27 21:53:23
『王妃の離婚』
テーマ:歴史・時代小説
離婚。そこには、裁判がつきものだ。
そう、裁判だ!
小説には、法廷ものっていうジャンルが確かにあるが、ふつー、それは刑事裁判だよね。離婚裁判を小説にしたものなんかあるだろうか。
それが、ここにひとつあります。
佐藤賢一の『王妃の離婚』、これは離婚裁判の話なのだ。
なんつか、目の付け所がすげえな、と思う。
まあ、離婚裁判をとりあげる、という事そのものがスゴイんだけれども、
ここに登場するフランスの王と王妃は、当然、カトリックだ!
カトリックつぅことは、タテマエとして、離婚はできないのです。
離婚なんてものは、そもそも、どろどろしたものだけれども、王様の離婚だから。
政略結婚とか、そういうものも絡んでいる。
それに、国中の注目の的に(笑)。
こういう、どろどろしていて、なんか危険な香のする裁判で、被告となった王妃の弁護をするために立ち上がる、一弁護士が主人公なんだけど、これがまたいいキャラなんだ。
むっちゃ頭がいいけれども、ちょっとしたつまづきがもとで、パリ大学を追放され、エリートコースからドロップアウトした、地方の弁護士なんだよな。
頭が良すぎ、しかも経歴があいまって、はすにかまえていて、
それじゃあ、かなりのニヒリストだろう、と思いきや。
若い頃から中年の今にいたるまで、カラダは貧弱かもしれないが、精神的にはすげーマッチョで、熱血で、反骨精神の塊で。
燃えるだろ?
すげー燃えるだろ?
こういうキャラだから、どろどろとした、政治と愛憎と陰謀渦巻く(言い過ぎのようだが言い過ぎじゃない)、王家の離婚裁判という泥沼を、スパッと快刀乱麻、不利きわまりない王妃を助ける事ができるわけだ。
その過程が、また、痛快。
さらには、主人公の、「若気のいたり」の恋と、その結果も、ストーリーに密接にからみつき、法廷もののはずなのに、恋あり、冒険あり、アクションあり、陰謀あり……
いいのかこれで!(笑)
王妃は美人じゃないぞ。
法廷を構成する法曹界の連中は、主人公も、検事も、判事も、傍聴人も、ともかく全て、禿頭、もとい、河童頭だぞ!
(そうです、例のトンスラです。ただし、ここでは、「コロナ」とフランス風?に呼ばれているもよう)。
どっちを向いても、黒、白、灰色、茶色、どっちを向いても禿頭(違うって)。
なのに、なぜか魅力的で、わくわくどきどきで、熱血で、面白い。
直木賞受賞作だけれども、そんな肩書き、むしろない方がかっこいいな、とも思う。
なぜって、ねえ?
主人公が反骨の人だからね(笑)。
佐藤 賢一
王妃の離婚
集英社文庫
直木賞受賞作
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