2005-08-03 23:45:30

『江戸の生薬屋』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション

実は、医者にかかるのが嫌いなのだ。
なぜって、他人に体をいじられるのがなんだか怖いんだよな。
具合が悪くなったら(滅多にそんなことはないけど)、寝る、喰う、どうしてもだめなら、ちょこっと薬を飲む。
「医者にいけば?」
「やーだよ」

さて、江戸時代の人々も、そんな感じであったらしい。
医者ではなく、具合が悪くなると、まず、売薬に頼ったのだそうだ。
もっとも、理由は、私のとは違う(笑)。
単純に言うと、医者の代金が、すごーく高かった!
つまり、医者っていうものは、庶民が気軽に頼めるものではなかったということだ。

では、「売薬」あるいは「薬屋」というのは、いつ頃から登場したのだろう?
これが、意外と遅く、ようやく江戸時代に入ってからなんだって。
それまでは、大抵の人は、おまじないや神頼み、巷間に伝えられたさまざまな民間療法に頼っていたというわけだ。
かといっtもちろん、薬が知られていなかったわけではないよな。

それまで、薬とは。
医者が調剤して与えるもの、それ以外は、
特定の家や寺社などが、「一子相伝の(家伝の)もの」として伝えていたということだ。
これを、一般に開放しようという政策をさだめたのが、徳川家康。

そうです。
薬屋が誕生したのは、徳川家康(そして、後には徳川吉宗)の政策によるものだったのだ!(笑)

売薬というものが誕生した歴史について、このように述べた後、本書では、どんな薬が広く使われていたかを紹介し、そしてもっと面白い事実に目を向ける。
それは、人気の戯作者(たとえば、滝沢馬琴や式亭三馬)や、商人階級から出たさまざまな文人の多くが、生薬屋を副業(または、こっちが本業)にしていたということ!
ええ、この人も?
あの人も?
一人、二人は、薬を商っていたって知ってはいても、こうも次々、
「薬屋だったんですよ~」
と言われると、なんだかびっくりしてしまう。

彼らが、なぜ、生薬屋をいとなんでいたのか。
また、どうやって商売していたのか。
そして、戯作者だけに、どのような宣伝を打っていたのか!(これが日本の、売薬CMの事の始め)。

最期に、店舗営業の薬屋ができる前から、商いをしていた行商の薬売りについて。
これまた、江戸時代にはいろいろと面白い方法で、行商をしていた事が述べられていて、楽しい。
有名な、「藤八~ 五文~ 奇妙ッ」の藤八薬売りとか。
「どんなものにもききやしないが、あかぎれだけにはよくきくそうだ」の徳平膏薬。
行商風俗は、読むだけでも面白いものだ。
そして、この中の一人が、もしかするととんでもない人物だったのかもしれない、というロマンティックな説まで、ひとつ紹介されている。(どんなものかは、読んでのお楽しみ)。


吉岡 信

江戸の生薬屋

コメント

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1 ■私が子供の頃

富山の薬売りが毎年来ていました!(古っ)
紙風船をくれるので憶えているのです。
えっと、たしか昭和60年代。。。(←見栄見栄)

>もしかするととんでもない人物だったのかもしれない、というロマンティックな説

スパイではなくて、ロマンティック?
なんだろなんだろ、気になりますね^^;。

2 ■クスリ

とらさん、おはようございます。

> 単純に言うと、医者の代金が、すごーく高かった!
> つまり、医者っていうものは、庶民が気軽に頼めるものではなかったということだ。

現代でも、アメリカ合州国では、これと同じ状態のようですね。
公的な健康保険というのが、ほとんど存在しないので(低所得者向けのものがあるけれど、利用するのが難しくなってきているそうです)、おカネがない人は売薬に頼ることが多いそうです。
これは結構ツライと思います・・・。

3 ■こんにちは

お暑うございます。ヨレヨレバテバテでございますが、とらさんにおかれましてはお元気でおすごしでいらっしゃいますか。
閑話休題。この本、おもしろそーーです。
そーそー「トリガーマン」アマゾンの古書から買いました(^^v(でも、まだ、読んでないっす(--;)

4 ■ネタバレというほどでもなし

ぐたさん、いらっしゃいませ。
気になりますか(笑)?
う~ん、まあ、ネタバレってほどじゃないですから、種明かしをしましょう。
徳平こうやくを売っていた徳平という男、蝦夷地にまで行商をしていた、というのです。その土地鑑をかわれて松前藩に召し抱えられ、徳内と名を改めて蝦夷地探検に貢献したというのです。
徳内という松前藩士は実在の人物ですが、徳平との関係は、「?」。
一種の巷説なのかもしれません(笑)。
でも、ちょっと面白いでしょう?

5 ■売薬に頼る

喜八さん、いらっしゃいませ。
確かにこれはつらいですよね。
二流のハードボイルドで、主人公の探偵が二日酔いをさますためにアスピリンをむさぼりくうのとはわけが違います(^^;
意外と、現代日本の医療福祉は、悪くない方なのかもしれませんね。

6 ■あつ~いさなか

ahahaさん、いらっしゃいませ。
炎天下の買物お疲れ様でした(謎)。
喉が渇いた時は、伊勢丹地下入口のジュースバーを昔はよく利用してました(笑)。
この本、なかなかいいですよ。
ハードカヴァーとはいえ、すぐに読めてしまいます。馬琴や三馬、山東京伝などの事が、たくさん出てくるのです。

7 ■ちょうど

先日古本で「彩色江戸物売図絵」(三谷一馬/中公文庫)という本を買ったので、興味を引かれました。とらさんはこの本ご存知でしょうか?
「彩色~」は絵がメインで説明文があまりなかったので、この本とあわせて読めば面白そう。「藤八五文薬売り」の絵もありました。(有名なんですね。全然知りませんでした…)

8 ■江戸物売図絵

rizwordsさん、いらっしゃいませ。
江戸の物売りは、ほんとに、いろいろな工夫をこらしていたようですね(笑)。
この本の話題は、5月に記事にしました。
http://ameblo.jp/kotora/entry-10001926062.html
時代劇を注意して見ていると、この『江戸物売図絵』のとおりの風俗の通行人を見る事があり、
「おおっ。××だ!」
と新たな興味が湧いたりします(笑)。

9 ■失礼しました…

しかも最近の記事ですね。検索してからにすればよかった…。
古本屋の3冊100円コーナーで発見して、それこそカラーの絵につられて購入しました。自分にとってはラッキーでしたが、いい本なのに安売りされてちょっとかわいそうな気もします。

10 ■温々寒々

暑いときに熱いものを、寒いときに冷たいものを、っていうのは昔の人の生活の知恵だったみたいですねー。
 
昔の薬屋といえば、詳細は忘れてしまったのですが幽霊に教わった薬。と言うのがどこかに伝わっているそうです。

レシピの原本は幽霊が持って返って現存しないそうですが。 教わった人が書いた写本は残っているんだそうです。
 
今でもみやげ物として売っているという話でしたが。

肝心要の地名や人名が全く思い出せないのが困ったものですが、PLが小学校低学年の頃に聞いた話なのでさもありなん、ですね(苦笑

11 ■カラーのはそれ一冊

>rizwordsさん
いえいえ、とんでもありません。
だいたい、アメブロのブログ内検索って、ほんと役に立たないですから、どうかお気になさらずに。
ところで、この人は他にも江戸のいろいろな風俗を「図絵」として上梓しているのですが、カラーのは、rizwordsさんがあげられていた、それ一冊だけのようです。
たしかに文章は少ないのですが、とっても貴重だと思います。
見ていても、楽しいですよね。

12 ■異界の薬

明雷さん、いらっしゃいませ。
幽霊の薬とは、珍しいですね。
河童の伝えた薬というのは、わりと日本各地に言い伝えが調合法とともに伝わっていたりするそうで、こちらは、たいてい、傷薬らしいです。

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