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2010-09-30 13:17:45

『ゾアハンター 2』

テーマ:冒険・アクション

ヒーローものであるならば、ヒロインの存在は不可欠と言える。
しかし、欧米と日本では、広いのスタンスに違いがあるように思う。
欧米のヒーローが、もともと、騎士道をベースにしていると考えるならば、そこにはおのずと、ヒロイン=理想の恋人という図式ができるわけで、その女性像のために、ヒーローは戦う事になる。
この場合、ヒロインがどのような性格や能力を持っていても関係ない。
また、どのような大義のために戦おうとも、それは、ヒロインの存在を通じて実現されるとも言える。

これに対して日本ではどうなのだろう。
山内一豊の妻ではないが、ヒロインには、まず内助の功が要求されているように思う。
これまた、単なるお姫様だろうと、くのいちだろうと、彼女らの能力は、まず、ヒーローを助けるために使用される。一方、ヒーローはあくまでも己の力でなすべきことをなそうとしつつ、ヒロインの内助の功を信頼し、認めていなくてはならない。

本シリーズでは、2巻目でヒロインが交代する。
もっとも、交代というより、第1巻で登場する美咲は、音緒の登場をサポートするための前座にすぎないとも言える。
美咲の死がなければ、ヒーローである丈は、ヒロインの存在を認める事ができないだろうキャラクターだからだ。
さて、その音緒は、まず、単なる保護対象ではなく、ヒーローを助ける事のできる能力を持つ、というとこrごあアピールされる。
彼女はこのまま、内助の功タイプのヒロインになっていくのだろうか?

ヒーローというものを突き詰めていこうとしているかに見えるこの作品において、ヒロインがどのように描かれていくかというのも、また興味深い一面なのだ。


ゾアハンター2 (GA文庫)/大迫 純一
2007年12月31日初版
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2010-09-29 21:35:43

『ゾアハンター 1』

テーマ:冒険・アクション

かつてハルキノベルスで展開されていながら、長らく絶版だった本作が、GA文庫に再録された、という事は、だいぶ前に気付いていた。
しかし、不覚にも、再録版には加筆がある事に気付いていなかった!
……昨今、ライトノベルも漫画本同様開けられなくなってる事が多いからねえ。
作者が亡くなられ、いきなり入手が難しくなっていたのだが、このたびなんとかGA文庫版を全て揃える事ができた。

ノベルスからカウントすると10年前の作品という事になるが、それでも、ほとんど違和感なく、面白く読めた。
作者がめざしたという、スピード感に富むアクションについては、実現できているかどうか正直なんとも言えないが、それでも、この人独特のアクションは充分楽しむ事ができるので良し。

しかし、それにつけても思うことは、
スーパーマンよりもバットマンかスパイダーマン、
ウルトラマンよりも仮面ライダー(昭和)
そういう好みが作品を形作っているのだなあ、という事だ。
取り返しのつかない傷を心身に負い、周囲に理解されることなく、それでも立ち向かうべきものに対して立ち向かう。
つまり、それこそが、大迫純一の描くヒーローの、神髄なのだ。


ゾアハンター (GA文庫 お 2-6)/大迫 純一
2007年9月30日初版
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2010-09-28 21:47:15

『尾張ノ夏』〈居眠り磐音江戸双紙34〉

テーマ:歴史・時代小説

長いシリーズであり、当然、主人公たちの運命には浮き沈みがあるのだが、それにしても物語の展開でまた一区切りがつき、養父母が亡くなって道場も奪われ、だいぶん、暗い雰囲気だったのが、ようやくここへもってきて、上向いてきたようだ。

タイトルからもわかる通り、当面、磐音たちは名古屋に滞在する事となる。
廻国する、佐伯時代小説の主人公たちが、しばしばそうであるように、磐音はここでもまた、名古屋城下の有力な商家と交わりを結ぶ事になる。
どのような作家も、ある程度マンネリは免れないものであり、多数のシリーズを持っている作家ほど、どうしてもそういう傾向は出てしまうのだと思うが、やはりそこは、単なるマンネリではなく、きちんとひねりがある。

一方、誰もが知るとおり、尾張徳川家は、最初の最初から、徳川家の鬼っ子みたいなものというか、しばしば、将軍側と対立するものとして時代物には登場する。で、磐音が今直面している時代は、田沼時代に入っており、事実上、将軍側=田沼という事になってしまっているわけだ。
従って、今、磐音が名古屋入り(尾張に入った)という事は、とても今後の展開に重要な要素として働く事になる。
実際、既に刺客は磐音を付け狙ってきているんだけど、名古屋で地盤を作れるかどうか、どう作っていくのかというのが当面の展開となりそうだ。


尾張ノ夏ー居眠り磐音江戸双紙(34) (双葉文庫)/佐伯 泰英
2010年9月19日初版
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2010-09-27 21:00:40

『オリュンポス 1』

テーマ:海外SF・ファンタジイ

『イリアム』に比べて今度の『オリュンポス』は、3分冊なのだそうだ。
ううん、さすがにダン・シモンズ、長いな。月イチで出してくれるそうなので、わりといいペースで読めるのかもしれない。

さて、『イリアム』は、機会生命体であるマーンムートたち、学師であるホッケンベリーたち、そして古典的人類であるアーダたち、3つの視点が絡み合いつつ物語が展開されていた。
一応、機会生命体とホッケンベリーは、『イリアム』で出会っているのだが、いよいよ本巻では、その3つの視点がどんどん接近してくることになる。

なによりも、まず、オリュンポスそのものが、凄い事になってしまう!
トロイア戦争の物語を知っている人は、そもそもあれが、神々の代理戦争みたいになっていたという事を、記憶しているのではないかと思う。
ここでは、いろいろと運命がねじまがり(いや、そもそも、この物語でのギリシアの神々ってなんか作り物らしいのだが)、ただでさえ生々しく愛憎もつれあうギリシア神話より、もの凄まじい展開になっていくのだ。

と申しますか、ギリシア神話を現代の作家が現代的な視点で描くとこうなるのかもしれない。うんうん。

もうひとつ、大きな要素となっているらしきシェイクスピアの方にちなむ、謎の悪意ある知性体が、地球に牙を剥いてしまう。
『イリアム』で、ハーマンたちが見た、エルサレムの青い柱が、地球のあちこちにそそり立ち始めるのだが、それは、古典的人類の敗北を意味する事となる。
古典的人類は、ゆりかごの中から、ほんとにどんどん、つらい世界へと追い落とされていくが、はたして反撃の隙はあるのか。

序盤でかなりぐちゃぐちゃになっているため、どう転がっていくのか、続きが非常に楽しみ。


オリュンポス〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)/ダン シモンズ
2010年9月15日初版
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2010-09-26 19:55:38

『トラークル詩集』

テーマ:詩・叙事詩・戯曲
秋といえば、読書の秋という。
秋といえば、芸術の秋という。
あえて組み合わせれば、詩を読むのに適した季節ということになるだろうか。
実際、ヨーロッパの詩人も、秋をうたった詩は、多いよね。
詩の好きな人なら、たちどころに、詩人や、詩のタイトルが幾つも浮かぶに違いない。

もちろん、ヴェルレーヌだ、ハイネだ、リルケだ……と、定番をあげることはいくらでもできるのだが、なぜか、秋と詩人という組み合わせで、私が最初に思い浮かべるのは、トラークルなのだ。

すごくメジャーではないかもしれない(少なくともヴェルレーヌのように即座に名前があがるとは思えない)この詩人を知っているのは、中学か高校の頃、ともかく図書室の本を読み尽くしていた頃の話だからだ。
つまり、図書室にあったわけだな。

もともと軍医であったというトラークルが書く詩は、不気味で、どこか病的なものすら感じさせるのだが、青や冷たい黄金に彩られた、トラークルの秋の詩は、奇妙にも、心に残るものだった。
そうだなあ、この詩人が描く世界というのは……。

ファンタジイのファンなら耳をそばだてるかもしれない。
タニス・リーの世界と、一脈通じるところがあるように思うのだ。
もっと広くとるなら、ムアコック以降の、イギリスのSF・ファンタジイ作家の描く異世界と言ってもいいだろうか。


トラークル詩集 (双書・20世紀の詩人 13)/トラークル
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2010-09-25 20:32:51

『本陣殺人事件』〈金田一耕助ファイル〉

テーマ:ミステリ

日本が生んだ名探偵といえば、一に明智小五郎、二に金田一耕助。
どちらもよく映画などになっているけれども、金田一耕助ものでは、やはり、『八つ墓村』あたりがやはり最もメジャーだろうか。
しかし、私が最初に読んだ金田一耕助ものが、この『本陣殺人事件』で、その猟奇さは、中学にあがる間際だった幼かりし日、ともかく凄いインパクトであった。
そういや、その当時は文庫の表紙がもっと不気味だった。

この、猟奇というものなのだが、昭和半ばくらいまでのものなのだろうか。

単に、エログロではいけないし、エロだけでも、グロだけでもいけない。
普通なら、気味の悪い情景、たとえば流血しているとか、臓器の一部が露出しているというような情景が、あくまでもエロティックに見えなければならない。
そこには、なんらかのマニアックな心理状態が必要とされるのだと思う。
または、異常な状態への「偏愛」と言ってもいいだろうか。

乱歩も、猟奇という点では人後に落ちないのだが、横溝の金田一耕助ものについては、「地方」と「因習」が大きなキーワードとなっている。
その分、泥臭さもあるが、背景に、歴史として示されたものが、都会とは全く違う闇を示唆しており、物語全体にまとわりつく恐怖をかもしだす。

本作は、地方の、しかし「本陣」という、伝統も格式もある家を舞台とすることで、その効果がいやましていると思う。


本陣殺人事件 (角川文庫―金田一耕助ファイル)/横溝 正史
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2010-09-24 20:32:06

『これなら憶えられる!! イタリア語単語帳』

テーマ:その他

かつて英語の論文購読を師事した先生は、きっぱりはっきり、「良い例文の暗記が一番」とおっしゃったのであった。
事実、いかにも良く使いそうな、そして応用のききそうな短文で、がっちり憶えたものは、会話にも英文の読解にも、もちろん、書く方でも、大変役に立った。
実行するには努力しかないが、それだけのことは絶対に、あるのだ。
勿論、それは、他の外国とにもあてはまる。

とはいえ、英語であるなら、星の数ほどそういう本が出ているのに比べ、他の外国語ではあまりそういうものがない。
そのなかで、イタリア語ならこれがいいかなあ、と思ったのが本書。
いかにも日常、よく使いそうな単語を、これまた応用できそうな例文とともに出してあるのだが、その時の自分の気持ちや状態にあった言葉を覚えるのが、なんといっても、一番よろしい。
たとえば今年の夏はともかく長く暑かったから、
Fa clso! (暑い!)
もっとも、今日あたりは全国的に一気に冷えたらしいから、Fa fresco(さむっ)になってしまうな。
一家のお母さんならこれが切実。
Il costo della vita e aumentato. (生活費が上がりました)。「増やす」「増える」という言葉、aumentareの例文にあがっている。

1ページ目から几帳面にやる必要などまったくないので、こうして、「いまこのとき!」使えそう、あるいは使いたい言葉をひろって覚えてしまえばOK。
会話で実践的に使うなら、もちろん、CDもついているのだ。


これなら覚えられる!イタリア語単語帳 (CDブック)/武田 好
2008年3月20日初版
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2010-09-23 20:38:14

『アリスへの決別』

テーマ:日本SF・ファンタジイ

山本弘の短編集、なのであるが、第一印象は、「これはSFの原点かもしれない!」という事だった。
すなわち、SFとはその初期、「読者を啓蒙する」という役割を負っていた。
ちょうど、科学技術が発展していく時代であったため、すぐにそれは、科学技術について人々を啓蒙する、というふうに変わっていったわけだが、SFの祖先ともいうべき西洋の古典では、月旅行だの、空中を飛ぶ島だのといった、一種荒唐無稽な架空の国を登場させつつ、社会風刺を行っていたわけだ。

本巻に収録されている短編は、たとえば、児童ポルノ規制法、ネット社会など、ここ10年くらいの間に話題になったり、発達したものをテーマにしている。
いずれも、「kろえがいくところまでいくと、どうなるのか?」という可能性を見せたものだから、読むとなかなか背筋が寒くなる。
可能性とはいえ、いzぅれも、容易に想像できるものでもある。
勿論、この傾向がエスカレートすれば、というところが問題なので、たとえば、児童ポルノ規制やネットそのものを否定しているわけではない。
そこは、踏まえておく必要があるだろう。

但し、『七歩跳んだ男』だけはそういった風刺色はなく、オーソドックスにSFミステリをめざしたもののようで、純粋に楽しめる佳品だと思う。

また、後ろの2篇は世界観を同じくする作品で、シュレディンガーの猫的に、存在と非存在が重なり合う、不安定な悪夢を舞台にしている。
こちらも、前半収録の作品のような風刺性はほとんどないのだが、夢という世界で「夢の中にいるのと夢を見ているのとどっちがどっち?」的な、いささか古くなった演出ではなく、あくまでも、そういった世界での「存在」をかけた物語になっているのがとても面白い。


アリスへの決別 (ハヤカワ文庫JA)/山本弘
2010年8月15日初版
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2010-09-22 19:23:48

『エンドブレイカー公式ルールブック』

テーマ:ゲーム


PBWを主催しているTomy Walker、第3弾のゲームも当然のようにTRPG化しました、というわけなのだが、正直、前の Silver Rain より良くできていると思う。
前作では、PBWとTRPGでキャラの互換性が非情に低かった印象が強かったけれど(TRPGではできる事がPBWではできない、などなど)、今回は、まず、PBWのステイタスシートがそのままキャラクターシートとして使用可能!
これはすごーく便利だ。
とりあえずTRPGからという人も、とりあえずサイトでキャラを作って、自動的に作成されるシートを印刷しちゃえば、手書きする必要がゼロなのだ。なんて楽なんだ~(感涙)。
だってめんどくさいよね、シートに書き込んでくの(いや、それが醍醐味だという人もいるだろうけれど)。

一方、EBはキャラが集うコミュニティ「旅団」用の掲示板に、さいころをふる機能がつけられているのだ!(SRにもつけてもらいたいなあこれ)。
ていうことは、おそらく、公式サイト内にありながら、この「旅団」内で、有志がTRPGで遊ぶ事もできるはず。

この本を買って添付のはがきを出す事でもらえるジョブが1個ある、というのも魅力だと思うが、500円なのも良いよね。
しかし、新書版にするなら、いっそ文庫版にしてくれれば良かったのに。


エンドブレイカー! 公式ルールブック (TOMMY WALKER TRPG)/江川 晃
2010年9月17日初版
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2010-09-21 19:49:11

『天空のリング』

テーマ:海外SF・ファンタジイ

最小単位は2人。最高は5人。
フェロモンによって思考や経験を交換し、共有する事ができるそのグループは、ポッドと呼ばれる。
これだけなら、さほどユニークな設定とは思えない。
ちょっと変わった超能力ものくらいの認識になってしまいそうなのだが、本作の凄いところは、ポッドが出現する前段階として、10億の人々がネットワークにワイヤヘッドとなって接続する「共同体」と呼ばれるものが存在したという点だろう。
この共同体は、あるとき、地球に残った「それ以外」の人々の前から、忽然と消えた。
彼らは、共同体を作る事で、飛躍的に科学技術を発達させており、その精華が地球軌道上に残るリング上の構築物(通称、リング)にまだ残されているのだ。

この「リング」と、ポッド、そしてリングが残したさまざまな科学技術が渾然となって、だんだんと、ひとつの謎が現れてくる。
そう、謎がまずある、というのではない。
しかも、主人公である5人のポッドが、冒頭から命の危険にさらされるというところをスタートとし、物語は5人のそれぞれが語り継いでいくという形式を取るので、全く読んでいて飽きるという事がない。
とても面白い構成だ。

最終的には、共同体、ポッド、リングの科学技術、科学技術を否定する一派、ポッドではなく、普通の個人として行動する事を選んだ独人。
これらのグループが入れ替わり立ち替わりで物語を展開していくことになる。

実は、最後まで解かれる事のない謎もあるようだが、とても面白い物語だ。


天空のリング (ハヤカワ文庫SF)/ポール メルコ
2010年8月15日初版
ローカス賞
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