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2008-12-31 21:07:08

『魔宮の凶鳥 (2) 選ばれた民』〈真実の剣8〉

テーマ:海外SF・ファンタジイ
リチャード&カーランと、至高秩序団の戦いは続く。
この敵の嫌らしいところは、なんといっても、自分たちが唯一の正義と真実に従っていると狂信的に信じている事で、そのためにはどんな暴行も厭わないという事だろう。

なんだか非常に皮肉なシチュエーションのように思えるが、
実のところ、この至高秩序団の社会が非常に社会主義的であり、そこから誕生したファシズムに通じるところがありそうなのは、読むほどに、あからさま。

だとすると、今回登場しているバンデカーの帝国とは?
本巻で少しその実態が明らかになるのだが、これはあどちらかというと、宗教団体に似ているだろうか。
狂信的という言葉は、政治団体にも、宗教団体にも、発生しやすい心理状態を指す事だし。

別にどこの国のいつという事でなく、いずれも、「社会の現代病」のひとつみたいなものと考えれば、作者は、読者にとって比較的身近な社会的問題を物語の中に持ち込んでいると言える。
本作が、ファンタジイでありながら、おそらくは普段ファンタジイを読まないような層をも巻き込んだ人気作として本国で大ヒットしたのは、そのあたりが影響しているのかも。


魔宮の凶鳥〈2〉選ばれた民―「真実の剣」シリーズ第8部 (ハヤカワ文庫FT)/テリー グッドカインド
2008年12月25日初版
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2008-12-30 22:21:03

『サンタクロースにご用心』

テーマ:ミステリ
クリスマスの話題に始まったシャンディ教授のシリーズ。
その後のシャンディ教授のクリスマスを描いた短編をもって、紹介終わりという事になる。
もちろん、この時点でのピーターはすでにヘレンと結婚しており、ふたりと、猫のジェーンと一緒に、すてきなクレッセント通りの家に住んでいるわけであるが……。

但し、本巻はこのシリーズの短編集というわけではなく、マクラウドが編纂したクリスマスミステリの書き下ろしアンソロジーなのだ。
面白いぞー?
なにせ、作家が作る書き下ろしアンソロジーというのは、その作家のコネがものを言うわけで、
ひとつには、その作家と同じような趣味傾向の作家が集まる事があるし、
もうひとつには、編集者なら引き出せそうにない、面白いネタが引っ張り出される事がある。
ここらへんが、作家の編むアンソロジーの醍醐味という事じゃないかな。
……もちろん、全ての作家にできるというわけではないけれど。

その点、シャーロット・マクラウドは、アンソロジスととしても達人であるらしく、ここに集められたクリスマス・ミステリは、いずれも極上。
有名なキャラクターもいれば、無名のキャラクターもいるけど、ハートフルであったり、スパイシーであったり、コージィなものから本格まで、バリエーションに富んでいながら、その全てが、存分にクリスマス気分を(いろいろな角度から)味わえるように出来ている。
物語の舞台は、アメリカのものもあり、イギリスのものもあり。
土地によって当然味わいは違うけれど、その全てが、クリスマスという共通項でリースのようにつながっている。

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『贋札造りのクリスマス』 シャーロット・マクラウド
『鹿狩り』 レジナルド・ヒル
『私立探偵リズ・ピーターズ』 エリザベス・ピーターズ
『赤い髪の天使』 メードラ・セール
『もつれた糸をほどくには』 ジョン・マルコム
『バーゲン品につき……』 ドロシー・キャネル
『サンタクロースにご用心』 ビル・クライダー
『ファミリー・クリスマス』 パトリシア・モイーズ
『ミス・メルヴィルの好運』イーヴリン・スミス
『俺たちの福音』 エリック・ライト
『ニックが街にやってくる』 ミッキー・フリードマン
『イヴの罠』 ロバート・バーナード
『鍋いっぱいのササゲ豆』 マーガレット・マロン


サンタクロースにご用心―クリスマス13の物語 (扶桑社ミステリー)
1991年11月28日初版
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2008-12-29 21:30:18

『牛乳配達退場』〈シャンディ教授シリーズ10〉

テーマ:ミステリ
牛乳配達というと、いまいち無味乾燥な感じがするが、英語では、milkman 。ミルクマン、なのだ。
……ちょっと親しみがわくね。
実際、この「牛乳配達」は、毎日大学の畜舎から、小さなブリキの蓋付きバケツに、クリームをたっぷり入れて帰る。
そう、彼の名はジム・フェルドスター教授。
バラクラヴァの(女人禁制な)ありとあらゆる友愛団体に加盟していて、いつも、そのバッジをじゃらじゃらとぶらさげている、背が高くてやせっぽちのあの人物だ。

普段は、悪妻ミレールの影に隠れてそれほど目立つ事もなかったこの人物が、なんと不思議な状況下で誘拐されてしまう。
その影には莫大な財産、というか、国際的な企業を運営する、ある名家の後継争いと思える問題と、血なまぐさい殺人事件が絡んでいた……!

おそらく、シリーズ中最もスプラッタと思われる死体。
その一方、ジムの身にまつわる摩訶不思議な物語に、目を白黒させるピーターだが、実は、事件を解く鍵は、ジムの多面的な経歴にあったのだ。

莫大な遺産が絡むところは、ウィニフレッドが登場した事件と同じように思えるが、焦点が女性に対して男性、大学に来る者と去る者、かなり明確に対照的な配置をしているが、そういうあからさまな違いを含め、かなり巧妙なミスディレクションが行われていて、最後のクライマックスにつなげられていく。


『牛乳配達退場』〈シャンディ教授シリーズ10〉(シャーロット・マクラウド作 高田恵子訳 創元推理文庫246-26)
1999年12月24日初版
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2008-12-28 22:15:56

『水のなかの何か』〈シャンディ教授シリーズ9〉

テーマ:ミステリ
水は人間が生きていくうえで、必要不可欠なもの。
そのためか、それとも自然のなかでの現れ方にインパクトがあるためか、精霊とか神などのような存在と結びつけられる事が多いし、水そのものに、何やら神秘的な力がある、とされてる事もある。
実際、温泉とか鉱泉など、効能のある水というのもある事だし。

今回も、タイトルにある通り、謎めいた泉(鉱泉なのだろうか?)が登場し、ミステリアスな雰囲気を濃厚に漂わせているのだが、実はその水、物語にとって、直接重要な存在というわけではない。
むしろ、その水のように、
「目に見えないけれども、とても大切な、”なにか”が存在する」
という事が、いろいろな意味で重要なのだ。

見かけからはわからない本質、そこから呼びさまされる何か。
その場でおこる様々な、事件についても言える事なのだが、不思議な泉の主のところでピーターがみつけた素晴らしい絵、これまた本筋とは全く関係ないような感じで登場するのだけれども、実は、水のなかにある何かと同様、この絵の中にあるなにかが、物語をキリっと引き締める役割を果たしている。

今回は、舞台がメイン州の海辺だし、そういう意味では、スヴェンソン学長でさえ(!)登場せず、メイン州在住の二人の他はかろうじてヘレンが登場するくらいにとどまって、ちょっと番外編的な感じもするが、そのかわり、「雰囲気がある」という事では、シリーズ随一のように思う。

絵が登場するからというのではないが、全体的に、いくつもの絵画を見ていくかのような、そんなイメージがわき上がる。


『水のなかの何か』〈シャンディ教授シリーズ9〉(シャーロット・マクラウド作 高田恵子訳 創元推理文庫246-20)
1995年3月17日初版
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2008-12-27 22:46:05

『フクロウが多すぎる』〈シャンディ教授シリーズ8〉

テーマ:ミステリ
『風見大追跡』の事件でピーターとクロンクが巡り会った、ミステリアスな、ビンクス家の女相続人ウィニフレッド。
いやまあ、ミステリアスといっても、少女では、いや、娘ですらない、言うなれば(女性陣にはご寛恕を願うとして)オールドミス……というやつなんだけど、それでも、彼女は仕立てのいいスーツで決めると、驚くほど気品に溢れる、美しく教養溢れる婦人なのだ。
そんな彼女は、めでたくバラクラヴァ大の一員となり、今は莫大な財産をつぎ込んで、環境と健康に良いことを中心とした生活というものについて人々を啓蒙するべく、なんとローカルテレビ局を開設しようとしているところ。

ところが、ところが。
なんと、今回はこのウィニフレッドが事件の焦点に!
何しろ異常な状況で凍結されていた資産が、劇的に継承されたわけで、新聞沙汰にならないわけがなく、ウィニフレッドが悪いやつらに狙われやすい状況にあったのは間違いない。
従って、このシリーズとも思えない、いささか企業ものっぽい要素すら出てくるのだけれど、そこはそれ、事件の解決にあたるのが、農夫の中の農夫たる、バラクラヴァ大の面々だから、嵐に耐える草木のように柔軟かつ力強く、持続的かつ忍耐強く、こんぐらかった謎を解きほぐしていくというわけ。

催眠術が出てくるあたりは、めずらしくけれん味に溢れていたりするのだが、氾濫した川をスヴェンソン学長の操縦するボートで下っていったりなど、かなりのスリルが盛り込まれていて、本編も、私としては、シリーズ中ベスト3に数えたい。(ちなみに、残りの2つは、『にぎやかな眠り』と『風見大追跡』だ)。

ところで、ウィニフレッドがお熱になったゴールデン・アップルズ直営レストランで出される珈琲は、チコリ・珈琲だそうな。これも、タンポポ・珈琲も、上手に煎れてあれば、なかなかうまいと思う。
(ティーバッグ形式のやつは、基本、だめ。まあ、これは珈琲豆を挽いた珈琲も同じだし)。
だから、ピーターが絶賛(?)する、チコリとタンポポ両方を配合したウィニフレッドの珈琲は、ぜひとも試してみたい。
しかし、アマランスのパンケーキとか、サッサフラスのゼリーとか……うぅん、どういう味なんだろう。ここらへんは、食べてみたいような、みたくないような(笑)。


『フクロウが多すぎる』〈シャンディ教授シリーズ8〉(シャーロット・マクラウド作 高田恵子訳 創元推理文庫246-12)
1992年6月19日初版
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2008-12-26 23:13:02

『ロシア好色昔話大全』

テーマ:神話・伝説・民話
昔話というと、どうも、炉端などでおじいさんやおばあさんが子供に語って聞かせるというイメージを抱きがち。
もちろん、そういう性格のものもたくさんあると思うのだけど、
テレビもラジオもなかった昔は、外に出られない季節とか、夜半ともなれば、楽しむのはやっぱり歌や話術というわけで、実は本来、大人向けの昔話というのもたくさん、あったわけだ。

なんで子供向けのイメージが定着したかって、それはやっぱり、ペローとかグリム兄弟とかあのあたりの人々が、昔話を童話にアレンジした「功績」のせいだと思うのだが、それとは真逆に、大人のための昔話というと、かの『千夜一夜物語』(アラビアン・ナイト)などは、まさしくそれ。

これに類するものは、本来、ヨーロッパだろうとアジアだろうと、どこにでもあったのだろうけれど、まあ、なんですな……。
大人のためのというと、なぜか即座に浮かんでくるのは、やっぱり、「えっちぃ話」だろう。
さすがにそういうのは、子供は厳禁だし(笑)。

その点、小話でもお色気ものや下ネタに強い国柄はやっぱり幾つかあって、そのひとつが、ロシア、であるらしい。
そんなロシアの、その手の昔話を集めた本が、なんと、存在した。(おーっ!)
しかも「大全」ですよ、「大全」。
もちろん、値段も「大全」なりの値段だから、図書館へGO、が正解かもしれないが、こういう大人向け昔話が好きな人になら、一読の価値はあると思われる。

いきなり冷え込んだ今日この頃、寒気団がロシア方面から張りだしてきているのなら、雰囲気たっぷりに暖かい部屋でこういう本を読むのも、いいかも。


ロシア好色昔話大全/A.N.アファナーシエフ
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2008-12-25 21:22:20

『風見大追跡』〈シャンディ教授シリーズ7〉

テーマ:ミステリ
今回は、いつにもまして、女性が大活躍する本巻、その分少々シャンディ教授の生彩に欠ける気はするが、それでも、シリーズ中、一、二を争う面白さである事は間違いない。
バラクラヴァの誇る風見職人、プラクシテールズ・ランプキンの手になる、さまざまな、ユーモラスな風見だが、今ではなんと骨董的価値が急上昇してる。
その風見が今回の獲物。

ひょんな事からその風見の資料を集めるはめになったヘレン。
一方、次々、風見のある建物が火事になり、風見は喪われていってしまう。
その連続事件の影には、何があるのか?

荒れ果てた土地に巣くうサバイバリストどもは何なのか?
(日本ではあまり聞かないと思うが、アメリカには、あちこちに、いざという時に自活自衛するための準備とか訓練をするという、準民間軍事グループみたいな、サバイバリストの団体がある、らしい)。

一方、真のサバイバリストというか、自然の中で自給自足しながら、ある時節を待っている、ビンクス家の女相続人の、ミステリアスな魅力(おおーっ)。
この、ウィニフレッド・ビンクスという女性は、ただちに、シリーズにとって重要な人物になるので、記憶にとどめておくこと。まあ、とどめようとしなくてもとどまっちゃいそうだけどね。

そもそも、屋根の上でくるくるまわる風見というものが、それ自体魅力的ではあるけれど、ふつう、矢印とか雄鶏の形をしていると思われる風見、バラクラヴァでは、風呂桶の中の老人とか、ロバと人参とか、ひとつとして平凡なものがないのだ。
ヘレンやピーターと一緒にそんな風見を追いかけるなんて、なんて楽しい事だろう。
それに、ヘレンとイドゥーナという魅力的なご婦人方に加え、彼女らの昔からの友人、カトリオーナもまた、魅力的。ステキな赤毛で、どうやらミステリ作家かなにからしく、凄く古いステキな家を、住まいに選んで、猫と一緒に住んでいるのだ。

溺れた人をすくう、微笑ましいクジラのエピソードなどもあり、シャンディ教授の物語としては、いつになく波瀾万丈で、そして当然、最後はハッピーエンドなのだ。


『風見大追跡』〈シャンディ教授シリーズ7〉(シャーロット・マクラウド作 片岡しのぶ訳 扶桑社ミステリー文庫マ4-3)
1991年7月29日初版
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2008-12-24 22:50:42

『ポテト・スープが大好きな猫』

テーマ:絵本・児童文学
猫好きにはちょっとたまらないこの絵本が、なんと文庫になった。
村上春樹訳、だからかな。
うん、たぶん、いや、きっと、そうだ。
でも、この絵本って、そもそも、大人向けの内容だと思うのだけれどね。

なぜなら、これは、とっても気むずかしいおじいさんと、
とっても気むずかしい年寄り猫の物語。
おじいさんがいて、猫がいる。
それがごく自然な日常。
どちらかがいなくなって、初めてわかる、すてきな日常。
そのことを、淡々と、描いている。
ストーリーとしては、ただそれだけ。
でも、それがなんとなく、じんわりと沁みてくる。

テキサスの片隅の小さな家に暮らす、おじいさんと猫。
なんの変哲もないふたりの日々の、ある数日の物語。


ポテト・スープが大好きな猫 (講談社文庫)/テリー・ファリッシュ (作)
2008年12月12日初版(文庫版)
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2008-12-23 23:31:14

『ウーザック沼の死体』〈シャンディ教授シリーズ6〉

テーマ:ミステリ
シリーズの舞台となっているバラクラヴァ郡は、バラクラヴァ・バギンズという男が切り開いたといえる土地、という事になっている(もちろん、この男が、バラクラヴァ農大の創建者でもある)。
まあ、この土地には、いろいろな、「土地の名家」があるjのだけれども、じゃあバギンズ家が一番の名門かというと、どうやらちょっと微妙で、2系統あるバギンズ家のうち、かたっぽは、「ろくでなし」という事になっているんだな。
同じバギンズでも、片方は地道に真面目に、地の塩たる農夫としてがんばる一方、もう片方は……根無し草になたtり、酒を密造したりしながら生きてきたと、そういうわけ。
もちろん、人をからかうのも大好きというわけで、生身の人間としては、かなりトリックスターに近い存在もいたようだ。

で、そういう人たちが残した文献を、シャンディの妻、ヘレンが整理しているわけですな。
貴重な地道な資料から、詐欺すれすれの作品まで、何人かのバギンズの残したいろいろな文書の山が!

さて、なんと今回、バラクラヴァ郡の年中行事のまっただなか、発見された死体は、このバギンズの歴史に関係するものだった。
しかも、バギンズ家VS大学という、かなり、いや~んな身内の争いに発展し、なんと農大の門前町からセブンフォークスまでがたちまち火薬庫に!

前巻同様、シャンディ教授とオッタモール署長、そして新聞記者のクロンクが、協力してことにあたるわけだけれど、大切な銃後は、バギンズコレクションを一手に握るヘレンが、獅子奮迅の働きで、護る事になってしまった。

このシリーズとしては、かなり生臭いどろどろとした話になっているのだが、それだけに、いつもと違ったスリルと面白味があるうえに、当然、その土地を愛する人々と、人々の思いやりがあちこちに溢れたコージー・ミステリになっている。
正直、一度読んでしまえば、ネタとしてはすぐに記憶に残るというか、ミステリ慣れした読者なら、最初からでも「ん?」というポイントはあるのだけれど、それとて、相互に微妙に似通ったバギンズ一族が過去から現在まで、いれかわりたちかわりあらわれてミスリーディングしてくれるから、興ざめする事はないと思う。


『ウーザック沼の死体』〈シャンディ教授シリーズ6 シャーロット・マクラウド作 片岡しのぶ訳 扶桑社ミステリー文庫マ4-1〉
1989年8月25日初版
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2008-12-22 22:32:44

『猫が死体を連れてきた』〈シャンディ教授シリーズ5〉

テーマ:ミステリ
おおっ。猫。
シャンディ教授と猫といえば、夫婦の秘蔵っ子、ジェーン・オースティン?
いやいや、これは、ベッツィ・ローマックス(そうあの家事のプロフェッショナル)の飼い猫、エドマンドが活躍する話。まあ、彼とジェーン・オースティンは遠縁にあたるらしいんだけどね。

オッターモールのところでジェリードーナツ(なんとアメリカ的な食べ物)をご馳走になるのが大好きなエドマンドが、ある人物の「かつら」をくわえてきたところから、話が始まる。
かつら。
そう、かつら!
禿げ隠しのためのかつら!

その様子が、いかにも猫がやりそうな事に見えて、ほほえましい。

しかし、久しぶりに今回は凄惨な殺人事件が連続するのだ。
凍るような夜にある老教授が、そして大学のキャンパスで嫌われ者の女性が……。

しかも、なんと今回はじめて、今まではどちらかというと対立的であったオッターモール署長とシャンディ教授をはじめとする大学の面々が協力して事にあたるはめになり、ちょっととんでもない犯罪人たちを相手取るというのが面白い。
〈その点で、本巻はシリーズの、ひとつの転機となる)。
結局のところ、郷土愛万歳、そして農地の接収はもとより、コングロマリット化も反対!

古き良き農業国アメリカ合衆国万歳。
(まあ、アメリカに限った事ではないが……)。

大学の職員食堂で供される、ミセス・ムーズーカの料理が絶品であるごとく、食べ物は人間が生きていくうえで、基本的な要素じゃないか。

おそらく、このシリーズがとっても「コージー」なのは、そのあたりの感覚が強く打ち出されているからなのだろう。


『猫が死体を連れてきた』〈シャンデイ教授シリーズ5〉(シャーロット・マクラウド作 高田恵子訳 創元推理文庫246-06)
1989年20月27日初版

※ シリーズ再読にあたり、外伝的なポジションにある4巻目『オオブタクサの呪い』(創元推理文庫)は今回割愛しました。
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