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2007-02-28 23:10:04

『ヴィンランド・サガ (4)』 今あかされるアシェラッドの秘密!

テーマ:歴史・時代小説
北欧の民によるヴァイキング行為(混同されがちだが、ヴァイキングとは本来、民族ではなく、貿易-略奪を目的とする航海を意味する言葉なのだそうだ)と、その歴史は、日本人にはもうまったくと言って良いほど、なじみのないものだ。
北欧といえば、思い浮かぶのは、ふつー、北欧神話と、漠然とした「ヴァイキング」のイメージであって、
ならばたとえば、『グレティル』などのサガは読んだ事ありますか、と問うた時に、「もっちろ~ん」と答えられる人は、非常に少ないはず。
ましてや、デンマークから人がどのように、イギリス諸島に侵攻したかという「歴史」に興味のある人は、もーっと少ないだろうと思う。

つまり、本作の舞台設定は、ほんとのほんとに、日本人にとってマイナーなものなのだ。

なのに、なぜ、こんなに面白いのか(笑)。
ひとつには、まず、いろいろな意味でこれがリアルな物語であるということが、あげられると思う。
『プラネテス』で、デブリに満ちた宇宙や、外惑星の探査の困難さをリアルに描いた作者は、ここでも、全く妥協を許さず、「この時代の北欧と、イギリス諸島の人々」を描き出している。

本巻では、主人公たちがセヴァーン川を渡って、ウェールズに入るのだ!(さあ、修道士カドフェルのファンはここで喜べ)。
しかも、すでに伝説となっているブリテンの英雄アルトリウスが、物語に大きな影を落とし始めるのだ(さあ、アーサー王伝説が好きな人は喜べ)。
え? ( )内がよくわからん?
まあ確かに、コアなファンが熱狂的に支持するかわり、あまりメジャーじゃないものなのだが……(笑)。
それくらい、マニアックな部分をくすぐられるものだということかな。
これも、『プラネテス』の時と同様。

じゃあ、マニアックな趣味の人にしか面白くないのかと言われれば、もちろんそういう事は全くない。
別に、背景となる地理や歴史の知識がなくとも、キャラクター造形と物語展開が実に秀逸であるために、問題なくめいっぱい楽しめるからだ。

とくに、これまでトリックスター的な風味を感じさせてきたアシェラッドが、本巻では、さーらーに、大活躍(!)するのだ。
なんつっても、この味わい深い人物の、出生の秘密が明らかになる。
しかも、
「えええ、ほんとですかっ」
と言いたくなるような、なかなかすごいものなのだよ。
なお、彼のお母さんが擬せられている伝説の美女グウェンフィヴァル、「白き女神」とルビがふられているが、より一般的には、「グウィネヴィア(ギネヴィア)」という名前で知られている。

それにしても、出生の秘密が明らかになった事で、アシェラッドが何を企んでいるかも、おぼろげながら見えてきたわけで、ますます、先が楽しみになってきた。
いったい、物語はどこへ転がっていくのだろう。

おそろしいほどの戦バカ、トルケルは、はたしてアシェラッドに追いつけるのか?
深窓の姫君のような王子は、今後どこかで「化ける」のか?
この時代、まだまだヨーロッパに浸透しているとはいえないキリスト教は、どう影響してくるのか?

……続きを待て!


幸村 誠
ヴィンランド・サガ 4 (4)
2007年2月23日初版
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2007-02-27 23:34:06

〈神曲奏界ポリフォニカ〉インフィニティ・ホワイト

テーマ:日本SF・ファンタジイ
ポリ白の特徴のひとつは、これが「学園もの」でもある、という事だろう。
1巻目では、「意地悪なお嬢様と、優しいお嬢様と、下働きの主人公」という、ある意味「王道」の、少女学園ものの様相を呈していたわけなのだが、2巻に入ると、それなりに友人も出来、自分の制服も出来、そのかわり新たな「敵」も出てくるけれど、味方もいるので、心強いという、またまた「王道」の展開になっているようだ。

イメージとしては、『まりみて』と『のだめ』を足して2で割ったところへ、ポリフォニカという炭酸をどーっと注いだという事になるんだろうか。
(ちょっと、違うかもしんない)。

物語的には、主人公スノウドロップの、失われた「過去」にも、ぐんと近づいて、しかもそれが、精霊島の「巫女姫」の選出に、大きく絡んできそうだというのが、先への期待感を煽る。

ともあれ、主人公(そしてまわりの人々)が、着実にステップアップをしていくところが見られるのは、成長物語としても良い作品になっていると思うのだ。

ステップアップといえば、ジョッシュのストーカーをしている精霊の正体は、2巻で明白になる。
いやあ、なかなかの設定がありました、という事なのだが、今回は、彼女に限らず、けっこうな大物ぶりをにおわせる精霊が、何柱も新登場し、人間・精霊とも、一挙にキャラクターが増えている。
その中で、スノウの契約精霊となっているブランカよりも、なぜか目立っているのが、牛のミノティアス。
それもそのはず、作者は牛萌えらしいという情報が、ポリ赤のあとがきに出てきてたり……。
牛萌えですか。そうですか。
……ポリフォニカは牛がトレンドらしいよ。

いやまあ、それは、半ば冗談としても(たぶん……たぶん、冗談……)、ミノティアスというキャラクターが、シリアスにヘヴィになりがちな部分を、うまく解きほぐしていると言っても、過言ではない。
彼が気に入ったなら、親愛の情をこめて、「ミノティー」と呼んであげましょう( ‥)/


高殿 円, きなこひろ
神曲奏界ポリフォニカ インフィニティ・ホワイト
GA文庫
2006年11月30日初版
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2007-02-26 21:58:49

"Destroy All Humans!" 地球人どもをぶち殺せ!

テーマ:ゲーム
『宇宙戦争』は好き?
トンデモ本にツッコミくらわすのは好き?
往年の特撮ドラマ(たとえば、『宇宙猿人ゴリ』)は面白いと思う?
映画『ブレードランナー』なんか、どうですか。

とにもかくにも、30代~40代の、
「子供の頃からSFが好きで好きで」
という世代には、好適なゲームを紹介してみたい。

それが本作、"Destroy All Humans!"なのである!

あー。と。
もともとは米国産なのだが、このたび、めでたく日本語版が発売される運びとなった。

正直な話、単に英語で見るならば、
「グレイ型宇宙人が、『宇宙戦争』よろしく地球に飛来して、ガンガンと人間を狩りまくるゲームだぜ!」
という、ちょっとコミカルかもしれないアクションゲームでしかない。

しかし、日本語版はそうじゃないのだ……(笑)。
「あの青い惑星を手に入れよ!』
と、本来シリアスにすごむはずのところ、宇宙人(そして手先となるクローンども)は、みーんな、関西弁でしゃべるのだ。
「成功したら小遣いあげてや~」
「どれくらい」
「2倍や!」
「……ぼるなあ~」
まあ、こんな感じ。

で、別にSFネタを知らなくても、それだけで笑えるという話はあるのだが……。

いましも、ロケットの打ち上げをしようか、という宇宙基地の、目と鼻の先に落下する飛行物体。
そこから這い出すグレイ型宇宙人(クローン)。

「あっ……火星人!」
「だれが火星人やねんっ!!」
……もちろん、このあたりは、おもいっっっっっっっっっlきり、『宇宙戦争』冒頭のパロディなわけだけど、ゲーム開始の、ほんの短いプロローグの中で、それ以外に、あれやこれやと、危険な小ネタが満載になってたりする。
ここで、アメリカの宇宙ロケットが、ナチスのV2ロケットの研究をベースにしていたとか、
UFO関係の有名なあれとかこれとか、
『ブレードランナー』の、日本人ファンにのみ超有名なあるセリフがまねられてるとか、
はっきり言って、抱腹絶倒なのだ。

但し、日本のゲームでは通常、「決定」のためのボタンが「」なのに、
このゲームでは「×」を使うとか(ふつー、これ、日本では「キャンセル」だよねえ?)、
「もとに戻る」が「」だったり、
カメラの首振りが、デフォルト設定だと、R1キーで右ではなかったりとか……(これはオプションで設定を変えられる)、
最初は、操作にちょっととまどう部分もある。

しかし、基本的にオートセーブが使えるし、気軽にやってみてもけっこう相手を倒せちゃったり、
ともかく楽しめる。
つか、笑える。

ただし、『ブレードランナー』のDVDを見たくなったり、
ついでに『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』を読みたくなったり、
『宇宙戦争』を久しぶりに再読してみたくなったり、
表紙も色あせているであろう、円盤とか宇宙人グレイとかキャトルミューティレーションとかの本とかムックを引っ張り出したくなったりしても、責任は一切とらないので、そのつもりで。
(いやむしろ、推奨する)。



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2007-02-25 22:42:10

〈神曲奏界ポリフォニカ〉エターナル・ホワイト

テーマ:日本SF・ファンタジイ
「ポリ赤」、「ポリ黒」に続く、3シリーズ目のポリフォニカは「ポリ白」。
しかし、物語中の時代はぐんとさかのぼり、まだ「精霊島」がポリフォニカ大陸の上空に浮かんでいた頃のことだ。
いや……その精霊島が、まさしく「落ちかけている」という、そういう時代の話。
(精霊島云々については、ポリ赤で一度触れられている)。

従って、人間のキャラクターは共通しないが、精霊のキャラクターに関しては、一部、ここにも顔を出すものがあるし、神曲と精霊のかかわりについては、新たな側面をぞんぶんに見る事ができる。

まず第一に、ポリ赤(そしてポリ黒)世界では神曲楽士の必須アイテムである単身楽団は、登場しない(笑)。
おおやったね。
この時代の神曲楽士は、それぞれ、機械的な支援装置のない、アコースティックな楽器を使って神曲を奏でているのだ。
(しかし、声楽ではそれができないとされており、その発想は、後の単身楽団での新曲展開に通じていくものがありそうだ)。
そして、神曲楽士を養成する学校は各地にあれど、その最高峰が、精霊島にある学校。
そこに入学するためには、選抜試験に勝ち残っただけではなく、
「神曲によって、花を育て、その花から虹の橋を精霊島に出現させなければならない」
という、メルヘンでありながら、かなり過酷な関門が設けられているのだ。

もうひとつ、画期的な要素は、ポリ白にして、初めて、読者の住むこの世界と、ポリフォニカ世界が、
「もしかすると、一種の並行世界かもしれない」
という示唆があることだろう。
それが、今後どうポリフォニカ・ワールドに影響していくかはわからないが。

さて、以上を前提にして、この物語そのものは、名門の神曲楽士の家に仕える、身寄りのないメイドを主人公にしている。
(そうですメイドです。GA文庫ってメイド好きだよねえ……)
メイドで、剣(つか、刀!?)を使い、しかも眼鏡っ娘であり、さらにいえばドジっ娘であるという、
「萌えてくださいーい!」
と言わんばかりのキャラなのだけれども(笑)、このいかにもなキャラ設定にかぶさるのが、
「そのメイドは、創世の楽器を演奏するために選ばれた人」
であるということ。

もちろん、彼女にはとんでもない才能が隠されているというわけだが、それは発現するのが非常に難しく、
おかげで、その楽器と切っても切れない縁を結んでいる、ある上級精霊(かなりのイケメンなのだが、とある事情により、常に梅干の壺を携帯)との間で、ドタバタが演じられてしまう(笑)。

こう書くと、ポリフォニカ各シリーズの中で、最もコミカルであるかのように思えるが、
一方では根深い嫉妬と愛情という、どろどろの人間関係、楽士の卵それぞれがかかえる様々なコンプレックスなど、人間ドラマも、かなーり、てんこもりである。

だが、何よりも面白いのは、主人公が演奏しなくてはならないはめになった楽器が、コントラバスだ、ということだ(笑)。
(そして、この楽器が、重要な、創世の楽器のひとつなのだ)

コントラバスといえば、まず滅多に、単独で演奏される事のない、マイナーな楽器だ。
イメージ的には、オーケストラの、弦楽パートの「うしろ」に並んでいるでっかいやつ。
オーケストラスコアを見ても、ほとんど、激しいボーイングを要求されない(もちろん、ヴァイオリンなどと比較して)、そういう楽器なんだよなあ。

もちろん、この楽器、完璧な大人サイズであるから、子供には演奏できない。
(ちなみに、ヴァイオリンなどは幼児からでも練習させる事ができるが、体格が大人に近くなるまでは、子供用の小さい楽器を使うんだよ)。

まあ、大人向けの、しぶ~い楽器だと思えば、間違いない。

こういう楽器を主人公に演奏させますか、というのが、まず意表を突いていて面白いわけだけれども、
そもそもコントラバスの、オーケストラでの位置というのは、曲全体のベース(基)を支えるという事で、実に、これがなくては、楽曲が成立しないのだ。
家の基礎部分と同じ事なのだ。

ゆえに、この楽器が、「創世」楽器のひとつであり、
かつ、現時点で、ポリフォニカ世界の、一番時代的に古い部分を担当しているというのは、興味深いところだ。

ついでながら、そもそも「ポリフォニカ」という名前。
クラシック用語としては、対位法を意味するポリフォニーから来ているように見えるが、
おおもとの意味は、「多数の音」。
そして、音が多数あるなら、それを統合するために必要なのが、バス、というわけなのだな。
まあ少なくとも、西洋音楽的な発想では、そうなる。


高殿 円, きなこひろ
神曲奏界ポリフォニカ エターナル・ホワイト
GA文庫
2006年7月31日初版
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2007-02-24 22:22:58

〈神曲奏界ポリフォニカ〉スパーティング・クリムゾン~ストラグル・クリムゾン

テーマ:日本SF・ファンタジイ


本来、1巻1話形式となっているらしきポリフォニカだが、この2巻は、例外的に、連続した1つの物語となっている。

都のまんなかにどかーんと広がっている巨大な公園の、地下には、古代遺跡が眠っている……!
都市伝説かと思われていたその噂が実は真実で、ツゲ事務所と関係の深いオミテック社が、実際にそこから「コア」と呼ばれる、「あるもの」を掘り出してしまう。
それをオミテックの研究所へ輸送する際の護衛を依頼されたツゲ事務所だが、1巻、2巻でも登場した謎の敵に「コア」を奪われ、壮絶なカーチェイスと、奪還作戦が展開される!

これが中心のストーリーであり、ここに、
・ 新進の若手神曲楽士ばかりのツゲ事務所を敵視する、老人世代の神曲楽士たちによる敵意
・ コーティの謎の変調
・ カティオムとシェルウートゥの絆の進展
などが絡むという寸法。

敵方にも、コーティだけでなく、(ポリ黒では主役を張る)マナガ警部補とも「わけあり」らしい、髑髏顔の精霊などが登場し、物語は非常に盛り上がっている。

とくに、前半のカーチェイスはなかなかの迫力なので、アクション好きな人は充分楽しめるだろう。
ただし、この巻のラストでコーティの変調が確定してしまい、後半はそれをずうっと引きずるため、(だからこそ、ストラグルというタイトルになるのだろうけど)、ちと重苦しくはある。

とはいえ、ラストでは、前半のカーチェイスに匹敵するアクションがどどんと展開されるし、きっちり、ハッピーな終わり方になってるので、心配する事はない。
つか、悲劇風味や、クリフハンガーな終わり方が苦手な人は、必ず、2冊通して読む事をお奨めする。

ところで、表紙画像にご注目。
最初の2巻では、かわいらしいブラウス・スカート姿だったコーティなのだが、今回の2冊では、なぜか服装が白に!
実はこれ、ツゲ事務所の新機軸、スタッフ用の制服なのだ。
制服ができた経緯、お披露目されるシーンなどはなかなか面白い(笑)。
また、これにあわせて、レンバルトの隠れた趣味が出てくるのも笑える。

そのレンバルトといえば、最初は、フォロンの同期生にして、めちゃくちゃ多数の下級精霊(ボウライ)などを引き寄せ、応用力の高い仕事をするという、フォロンのグズさ加減を「ひきたたせる」天才ぶりがクローズアップされていたのだが、彼には彼なりの、
「契約精霊を持つ事ができない」
という個人的な悩みと、それを吹っ切るプロセスが盛り込まれている。

また、アルバイトの双子姉妹も、まだまだ未熟であるがゆえの悩みと対比して、終盤近く面白いアクションを見せてくれる。
このあたり、フォロンだけでなく、他のメンバーの成長ぶりも、しっかり描かれていて、物語として非常に好印象である。

しかーし!
ここまでポリ赤を読み進めていて、どうしても気になる点は、ある。
物語の性格上、神曲楽士同士が対決するシーンが最も多いのが、今のところは、このポリ赤なのだが、その際、ぶつかりあう精霊どうしをフォローするため、神曲どうしもぶつかりあう事になっている。
その際、
「相手の神曲におされて、自分の神曲が契約精霊にうまく届かない」
というような形になってるんだな。

敵方の方は、複数の神曲をアレンジして組みあわせたりとか、ダークな神曲をもってして、フォロンたちの神曲を「崩す」という技は使ってくるんだけれども……さてさて。

複数の楽曲を複数の楽士が同時にその場で演奏すると、曲と曲はぶつかりあって、「音楽」ではなく、「騒音」を作り出す事になってしまう。
なんなら、複数のプレイヤー(ラジカセでも何でも良い)を用意して、同時に別の音楽をかけてみたまえ。
あるいは、デパートやスーパーなどのCDショップにでも行けば、デパートやスーパー自体が流している曲と、CDショップで流れている別の曲がぶつかりあう現象を容易に味わう事ができると思う。

もちろん、集中すれば、そのうちのどちらかを聞こうとする事は可能だが、
楽士と楽士の戦いという意味では、単にひとつの曲をひたすら演奏する、それをスピーカーなどの機械的な手段でどうにかするというだけでは、あまりにも、拙い。

むしろ、即興演奏によって相手の曲を利用し、飲み込む方向で戦えないものだろうか?
まがりなりにも音楽を戦いに使うのならば、その方が、より効果的なはずだ。


榊 一郎, 神奈月 昇
神曲奏界ポリフォニカ スパーティング・クリムゾン
GA文庫
2006年9月30日初版
神曲奏界ポリフォニカ ストラグル・クリムゾン
GA文庫
2006年10月31日初版
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2007-02-23 22:19:11

『メカざわくん』 漫画からスピンアウトされた絵本!

テーマ:その他
昨年完結した『魁!! クロマティ高校』には、へんな外伝的作品がある。
それが、絵本『メカざわくん』なのだ。

漫画からアニメ、
漫画からゲーム、
漫画がノヴェライズ、
なーんてあたりは、しばしばある事だし、『魁!! クロマティ高校』も、アニメと実写映画になった。
このあたりは、言ってみれば、普通のマルチメディア展開だ。

しかし、絵本になった漫画というのは、とても数少ないのではないか?
ああ、いや、もちろん、『ドラえもん』みたいな作品だってあるとは思うけれど、ことさら幼児向けではない漫画作品が絵本になるというのは、ちょっとないよなあ?

さて、『メカざわくん』は、2巻まで出ており、画像は2巻のもの(残念ながら1巻の画像はないようだ)。
しかし、1巻と2巻では、だいぶ雰囲気が違う。

1巻は、絵本の体裁をとりながら、メカ沢を主役にした、クロマティ高校そのままの作品になっている。
ラストにちゃんと、オチ(?)もある。
もちろん、クロマティ高校なりの「オチ」だが(笑)。

しかし、メカざわがパリに行くという趣向の2巻目は、そういうところがない。
むしろ、こちらは純粋に、絵本として展開されていると言っていい。

1巻と2巻の共通点といえば、「メカざわ」というキャラクターと、
それらが、時に、実写的な画像を含めて絵本の中で動いているということだ。
う~んそれが、野中作品らしいシュールさではあるんだけどね。


のなか えいじ, ミシマ・フィクション
メカざわくん (2)
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2007-02-22 23:18:40

〈神曲奏界ポリフォニカ〉プレイヤー・ブラック

テーマ:日本SF・ファンタジイ
ポリ黒というのは、もしかすると、ポリフォニカを構成する各シリーズの中で、最も、神曲に関するギミックに凝ったシリーズであるのかもしれない。
その反面、音楽性という意味では、最も低いのだが(笑)、それはそれとして……ギミックはなかなか面白いのだ!

2巻目では、楽音ですらない、異様な叫び声という形の「神曲」を登場させたポリ黒、本巻では、またまた面白い仕掛けを見せてくれる。
ある意味で、最もオートマティック化されたものであり、かつ、意図せざる行動が一種の音楽を生み出すというのは、音楽というより、むしろ「ししおどし」のようなもので、音そのものはきれいだったり、不思議だったりするのかもしれないが、演奏者の創造性は全く無視されている。

そこから引き起こされるとんでもない事件が今回の物語となるわけなのだけれども、
ポリフォニカという世界にあって、こういう形の神曲というのは、本当に「あり」なのか、と悩まされるものでもある(笑)。

まあ、そういう部分も、音楽を奏でて精霊の力を得るというポリフォニカの「お約束」を、裏返して見せているようなもので、「黒」の名にふさわしいと言うべきなのだろう。

まあ、それもこれも、ポリ赤で繰り返されているとおり、この世界での「神曲の定義」が決まっていない事から、展開する事ができるわけで、あえて「定義しない」としている点が、ポリフォニカは、シェアード・ワールドとして、非常にすぐれているのだと思う。


大迫 純一, BUNBUN
神曲奏界ポリフォニカ プレイヤー・ブラック
GA文庫
2006年12月31日初版
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2007-02-22 23:07:08

〈神曲奏界ポリフォニカ〉サイレント・ブラック

テーマ:日本SF・ファンタジイ
ポリフォニカの世界において、神曲は、基本的に、
「音が複雑であること」
を是としている。
そのために、わざわざ、楽器の音を機械で増幅し、かつ我々で言うところのレコードとかCDとかにあたるような封音盤なるものを用いて、他の楽器の音による「補完」まで行う。

ポリ赤の記事でもちらっと触れたように、
西洋音楽(そして、アコースティックな楽器)を学んできた身としては、これには異論がある(笑)。
機械による増幅、すなわち、演奏した音を機械的に処理させる事で、本来の「音」が持つ余韻は歪められてしまい、その分、演奏者の意図するものとは違ってしまう可能性があるからだ。
また、別の楽器の音を機械によって自動演奏(つか、自動伴奏?)させるというのも、演奏者の表現力を高めるどころか、むしろ制限する事になりかねない。
なぜなら、人間が演奏する時に、無意識あるいは意図的に打ち出される、タッチやテンポの揺らぎに、自動演奏はついてこられないからだ。
ついてこられない以上、演奏者の方があわせなければならないという、いや~な状況が生じてしまうのだ。

もちろん、ポリフォニカの世界の技術は、そういう事を克服しているのかもしれないのだが……(笑)。

しかし、そういう疑問点に、ある意味で本巻はひとつの答を出しているとも言える。
すなわち、この世界ではいまだ定義が見出されていない「神曲」の、ネガティヴな形(のひとつ)として、本巻では、「異様な叫び声のようなもの」を持ち出しているからだ。

これは、音楽の世界より、どちらかというと、召喚魔術の世界に相通じるものがあるように思う。

神曲楽士が演じる神曲が、複雑な手順を踏まなくてはならない儀式魔術であるとするなら、
ここで登場する異形の「神曲(叫び声)」は、人間の発声器官では発音できない(かもしれない)とされている、「野生の声」、ゲーティアと呼ばれる魔術を彷彿とさせるからだ。

ある特定の、常識はずれの異形の音は、人間が迂遠な手法を経て織りなす音に匹敵し得る。
いずれも、人外のものとの交信を可能とするという点で同等であり、本質的にも共通の何かがあるのかもしれないが、プロセスは全く違うものだ。

ここでは、その現象を中心とする「事件」が語られているにとどまるが、あるいは、これ、ポリフォニカの設定の根幹にも関わる要素なのかもしれない。


大迫 純一, BUNBUN
神曲奏界ポリフォニカ サイレント・ブラック
GA文庫
2006年8月31日初版
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2007-02-22 22:51:39

〈神曲奏界ポリフォニカ〉インスペクター・ブラック

テーマ:日本SF・ファンタジイ
シェアード・ワールド作品〈神曲奏界ポリフォニカ〉のメイン作品である「ポリ赤」を、補完するような形で展開しているのが「ポリ黒」こと、本シリーズであるらしい。
ポリ赤を主旋律とするならば、こちらは対旋律なのだ。

主人公は、警察官。
神曲楽士と精霊二人組の警官で、所属は精霊課。
すなわち、精霊が関係する犯罪を捜査するのが役目というわけだ。

ならば、これは警察小説なのかといえば、必ずしもそうとは言えない。
勿論、犯罪事件が中心だからといって、ミステリでもない。

というのは、本シリーズのスタイルとして、まず、
「犯人が犯行をおかしたその場の情景」
これが、犯人視点から語られるからだ。
つまり、読者は、はなから、犯人が誰であるかを知っている。

しかし、犯人視点はずうっと続くわけではなく、あくまでも主人公は二人組の警官なのであって、彼らの考える事、感じる事、そして行動が物語を紡ぐという仕掛けだ。

これはどういうことかといえば、ポリフォニカ各シリーズの中で、本作が最も、人間と精霊の入り交じった「社会」の有り様を描こうとしているのだ、と言う事ができそうだ。
音楽そのものでもなければ、楽士そのものでもない。
ポリフォニカの世界は、あくまでも、音楽を糧とする精霊という存在が、ごく日常的に、人間と入り交じって暮らしているというのが、我々読者の世界とは異なる点だ。
しかし、それは大きな違いなわけで、そこから、どういうケースが発生しうるのか、という切り口で攻めているのがこのポリ黒になるわけなのだ。

しかし、ミステリーもある。
それは、楽士と契約精霊のなれそめが、本作は各シリーズ中、もっとも「語られていない」ということ。
彼らがどのようにして巡り会ったのか、
精霊警官の過去には、いったい、何があったのか、
それらが明かされるのは、だいぶ先になりそうだ。
あるいは、物語が語り終えられるまで、触れられる事はないのかもしれない。
黒のイメージにふさわしく、本シリーズの主人公たちは、一種の「影」を背負っており、それもまた、魅力のひとつとなっている。

さて、他のシリーズとのかかわりあいで言うと、本作で扱われている事件は、ポリ赤のユフィンリーが警察と関わる事になった、まさしくその事件だ。
ポリ赤でも、何度かそれとなく触れられている事件の全貌が、ここで明らかとなっている。
ユフィンリーの人となりも、ポリ赤では見られない一面が見られるという点で、ポリ赤しか読んでいない人には、
「まあ、1巻だけでも読んでおいたら?」
とお奨めしたいところ。
より一層、ポリフォニカを楽しめるようになることは、請け合いだ。


大迫 純一, BUNBUN
神曲奏界ポリフォニカ インスペクター・ブラック
GA文庫
2006年6月30日初版
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2007-02-21 23:44:37

〈神曲奏界ポリフォニカ〉ロマンティック・クリムゾン

テーマ:日本SF・ファンタジイ
「ポリ赤」第2弾は、前巻に比べてちょこっと成長した主人公フォロンから、ちょっと視点をずらして、彼が所属する神曲楽士派遣事務所の面々を、もうちょっといろいろ紹介していく……というか、ツゲ事務所としての活動がより中心になった感じがする。

それはいいのだが……。

ど甘いロマンスから始まるため、その方面がいささか(いや、すごーく)苦手な私には、半分くらいまでは、苦痛であった(笑)。
ラブコメはんたーい!

しかし、フォロンが(少し)成長した分、契約精霊であるコーティカルサは、ようやく本領発揮し始める事ができている。
いやまあ、コーティカルサの素性を考えると(彼女が本来どういう存在なのかは、別作者による「ポリ白」にちょこっと出てくるが)、まだまだこんなものでは、本領発揮とは言えないのだろうが、表紙のような「少女姿」ではなく、「大人の女性」にみごと変身、無敵!
……というあたりは、アニメの魔女っ子もの(魔法使いサリーとか、メルモちゃんとか、アッコちゃんとか、ミンキーモモとか)を彷彿とさせるところもあるかと。
普段は、可憐な少女。
いざとなると、大人の魅力のスーパーレディ。
う~ん、ある意味、反則ですな。

本巻の後半は、警察まで交えてのアクションドラマ的展開になる。
なお、本巻で事件に関係して登場するシャドアニ刑事は、「ポリ黒」との共通キャラ。今回の事件も「ポリ黒」で言及されている。
ていうか、同じ時代、同じ地域が舞台となっているため、「ポリ赤」と「ポリ黒」は、ある程度補完関係にあるようなので、両方読んでおくと、余計に面白いと思う。


榊 一郎, 神奈月 昇
神曲奏界ポリフォニカ ロマンティック・クリムゾン
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2006年5月31日初版
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