1 | 2 | 3 | 4 |最初 次ページ >> ▼ /
2006-12-31 20:49:49

『もやしもん (2) 』

テーマ:自然と科学
1巻ではいきなりの菌三昧を見せた本作、2巻ではうってかわって、農大の奇怪な学祭が中心。
そういう点では、1巻のインパクトは2巻には感じられないが、ただ、
「いつ始まるかわからず、開催中は学外へ出る事ができず、謎のルールを解明して条件を達成したら祭り終了」
という、なかなかとんでもない学祭は、面白い(笑)。
それがメインの流れとするなら、傍流で面白さ満杯なのが、なぜか常に防疫部隊を出動させてしまうUFO研だろう。
インフルエンザに次々と会員がかかっているのに、そこで豚と鶏を飼っているという、なんつか、「もやしもん的に基本のお約束」のシチュエーションには、笑ってしまった。

そんな中、醗酵の強烈さを本巻で体現しているのが、海外遠征からようやく帰国したという、樹ゼミの唯一のゼミ生、武藤女史。
すごい美人なのに、二週間くらい風呂に入っても、着てるものを洗濯もしてなさそうな姿で、おまけに、半分以上はダメになってる発酵食品を山ほど背負って登場!

もやしもん的インパクトは、本巻に関しては武藤女史につきる。


石川 雅之
もやしもん 2―TALES OF AGRICULTURE (2)
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006-12-30 23:26:54

『もやしもん (1) 』

テーマ:自然と科学
『もやしもん』を思わず買ってしまったのは、この表紙……つか、腰帯を見たからだ。
インクは大豆インク。
紙は古紙100%。
う~ん。
この手のフレーズはどこかでしつこく見たおぼえがあるのだが……。
1秒後、きっちり脳裏に浮かんだのは、東京農大の学祭であった(笑)。

そして、中身はまさしく、東京のとある農業大学に入学した「菌が見える少年」を主人公とする、醗酵を学問する人々の(ほんとかね?)、物語なのである。

あー、ほんとか、なんて疑うような事を思わず書いてしまったが(笑)。
研究してるんだか遊んでいるんだかよーわからん、というのは、昔から、普遍的な学生の姿だろうから、まあ、いいのか。

菌、とひとくちに言っても、バイキンばかりではないわけで、なかには、とても役立つやつもいる。
メジャーリーグ代表格は、乳酸菌だろう。
人間を含む、生物の体表には、聞いたら卒倒しそうな、天文学的な数の菌がいるんだそうで、主人公のように、菌が見える能力があったなら、世界は確実に「菌のかたまり」に見えるのだろう。
たとえば、1巻のラストのコマのような光景に遭遇しちゃうと、その数字を聞かなくとも卒倒もんだと思うのだが(笑)、どうなんだろうなあ。普段は、きっと、それが日常の光景になっているのだろうと想像しつつ、うーん、やっぱあまりうらやましくはない主人公の境遇だ。
しかも、見えるだけじゃなく、特定の1菌を「つまめちゃう」というのはすごすぎ。
……小さいんだよね? 菌って?

などと、かなりシュールなところもあるが、意外にもスリリングで面白い。
1巻のインパクトは、ともかく、
「世界中は、無数の菌に満ちている」
ということを、絵で表現したところにあると思う。


石川 雅之
もやしもん 1―TALES OF AGRICULTURE (1)
AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2006-12-29 22:46:18

『逆境戦隊バツ[×] 2』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
本作、SF的にも非常にすばらしいセンスなのだが、それよりなにより、戦隊ものドラマのツボを、ことごとくおさえているというところが、実に良い。
「これは、お約束だよね?」
の、連続なのだ。

基本、
「逆境にあればあるほど、強いヒーローになる」
というコンセプトなため、主人公は、ハゲでチビでオタクだし、
仲間(?)にしたって、悲惨な借金だるまとか、
ヒドイ鬼嫁に日々いじめられてるボール式デブとか、
ほんとに、かっこよくないのだが……。

しかし、それでも、不思議と(変身しなくてすら)、どこか、かっこよく見えてくる。

逆に、恵まれている環境の人は、ある条件を満たすと、もれなく怪人(ノエシス)になってしまうのだし、たいていは海産物関係で、めっちゃグロテスクなのだが、これがまた、不思議と、悲憤とか哀愁が漂う状況で、妙にドラマチックに、かつ「かっこいい敵役」に見えてきたりする。

話は二転三転し、だらけるところとてなく、ラストまでつっぱしっていくので、読んでいても飽きない。

SF的な仕掛けについては、ひとつだけ触れておこう。
本作に登場するエイリアンは、他に類をみないものだ。
その侵略方法は、実にユニークであり、もし、ほんとにこんなやつらがいたならば、人類は、まじやばではないかと思う。
とりあえず。
アルテミスみたいに万能食品になれそうなものでなくとも、はなからクラゲを食う、東アジア人は、危ない(笑)。

イロモノだけど、面白いよ。


坂本 康宏
逆境戦隊バツ「×」〈2〉
ハヤカワ文庫JA
2006年12月15日初版
AD
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2006-12-28 22:42:30

『聖なる暗号』 ダビンチ・コードより面白い

テーマ:ミステリ
世界的に大ヒットして、めちゃ面白いと評判をとる一方、いろいろと物議をかもしたダビコーなのだが、便乗本もたくさん出たよな。
なにを隠そう、本書も便乗して平積みになっていたものなのだけど、さて、どのくらいの人の目にとまり、どのくらい読まれたのか、気になるところ。

こういうタイトルで、
かつ、こういう表紙だったりするが……
ダビコー(の、内容)とは、一切、関係はない(笑)。

あえて言うならば、カトリックとプロテスタントの勢力争いにまつわるお宝の物語、ということで、そのあたりがダビコーと同類ってところか。

しかし、面白さで言えば、こちらの方がずっと知的で面白い。
華やかさでは負けるけれど(笑)。

さて、どういう話かというと、
昔むかし、まだ、ジョン・ディーという名前の博士がイギリスの宮廷にいた頃のこと。
ヨーロッパは、カトリック勢とプロテスタント勢が熾烈な争いをしていたのであります。
この争いの根本は、ひとえに、
「ローマ教会と俺とこと、どっちが偉いか! 俺だ!」
というもので、あまりにも強大な権力を持ちすぎ、かつ、腐敗してしまったカトリックに、世俗の(つまり、ローマ法皇より権力を持つ事ができないはずの)勢力が反発したことから始まる。
で、ちょうどその時、ローマでは、カトリックの牙城で、暦の改正が行われていたのだ。
まあ、昔の事だからね。今ほど正確な計測機器があるわけでなし、古代に制定された暦は、当時、だいぶ、実情(季節)と、ずれてきていたのだ。修正する必要があったわけだ(笑)。

そこらへんは、東洋でも史上なんども行われてきた事なのだけど、キリスト教圏には、重要なポイントがひとつあった。
それは何かっつぅと、イエス・キリスト関連の祝祭が、正確に巡ってくるようになっていること。
これだ。
そして、そのためには、暦の計算方法が正確(そしてなるたけ簡単)であるだけでなく、
「重要な子午線が通っている地をわがものとしておくこと」が、
とても重要だった、というのだ。

おりしも、ジョン・ディー博士は、ローマのよりもはるかにすぐれた暦を開発し、その暦と子午線通過地点をものにすれば、当時のプロテスタントの牙城であったイギリスは、ローマにかわって世界を支配する事ができるかもしれない!
うおーっ。

ゆえに、その地点へ先に到達し、支配するという事が、非常に重要な遠征であったわけだ。

物語は、その当時の事を書いた個人の手記を通じて、まさしくその時代と、現代を揺れ動く。
主人公たちが手記を読むという形で、過去の冒険を追体験すると同時に、
現代でも、その手記をめぐって、ある宗教グループの過激派が、主人公たちをつけ狙い、襲撃するという寸法。

過去でも現在でも、誰が味方で誰がスパイなのか!
最後まで、物語の振り子は、あっちへこっちへと大きく揺れ動くのだ。

ここまで濃厚に、政治と宗教が結びついている世界観というのは、現代の日本人には、いまひとつ理解しにくい部分もあるが、過去の冒険も、現代の物語も、双方、手に汗握る面白さであるのは間違いがない。


ビル ネイピア, Bill Napier, 三角 和代
聖なる暗号
ハヤカワ文庫NV
いいね!した人  |  コメント(1)  |  リブログ(0)
2006-12-27 21:55:16

『探偵宣言』 あるいは森江春策というキャラクター

テーマ:ミステリ
世の中には、古典だ、本格だ、新本格だ……と、そりゃあもう、いろいろなタイプの「名探偵」がいるのだが、思えば森江春策というのは、不思議なキャラクターだ。
というのは、初期の短編では、まったく、その社会的背景がばらばらだからなのだ。

学生である、というパターンは、
「ああ、もしかして前日譚的なやつ?」
と、解釈できなくもないが、ある時は新聞記者、ある時は弁護士、またある時は……
そう二転三転されてしまうと、混乱しそうにならないか?

それは、作者が、いろいろな媒体に、書き散らしたせい、らしいのだが。

さて、本書は、森江春策が出会った事件を年代順に並べて再構成したもので、
あたかも連作短編か、ひとつの長編のようにさえ受け取る事ができる作りになっているのだが、
おそるべきことに、全く、最初からそのように予定されていたわけではなく、
本書の形にまとめるために、あくまでも「再構成」されたものなのだ!
ただし、このために、もともとの掲載誌では年代などが特定できるような要素を含んでいた記述は、削除訂正されているそうだ。

しかし、そうとは言っても、
ある時は新聞記者、ある時は弁護士、またある時は(略)
という、はなはだ不安定な身分のキャラクターを、非常に上手くつじつまあわせしてしまっているところは、実に面白い。
もっとも、考えてみれば、芦辺拓という作家は、こういった、「ばらばらんところにあるばらばらな事実を、月日あるいは場所というひとつの共通点を使って、うまくひとつのはめ絵にしてしまう才能を持った」作家なのだ。
それゆえ、楽しいパスティーシュも、幾つも手がけているわけで、
そう考えてみるならば、全て自分の作品であり、かつ主人公が森江春策である、という共通項があるのならば、
「それら全ての事件を包括する、大きなストーリー」
として作るのも、お手の物だったのかもしれない。

面白いよ。
しかも、基本的には、短編集として扱う事ができるため、忙しい時にも、ちょこちょこ読む、という事が可能なのだ。
年末の、忙しいような、だらだらしているような、そんな時にお奨めの一作。


芦辺 拓
探偵宣言―森江春策の事件簿
講談社文庫
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006-12-26 20:58:29

『PLUTO (4) 』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
本巻は、おそろしく旧式の犬型ロボットを、なんとかして救おうとするお茶の水博士のエピソードから、始まる。 どちらかというと、今のAIBOなどに近いような、ロボットロボットしたその犬。
お茶の水博士の孫が持っているかなり本物そっくりのロボット犬とは、凄い差がある。
(しかし、孫の愛犬ですら、ニューモデルとはずいぶん差がついているのだと説明される)。

このエピソードは、当然、まず第一に、お茶の水博士が何よりもロボットを愛する人であるということ、
人間と同様に、ロボットの命も大切であるとみなしている人であることを、サポートするエピソードだ。
実際、そのエピソードは、お茶の水博士が、アトムの命も、大量生産品であろう「ロボット兵」の命も、戦いに費やす事を、強く拒否するシーンを含む。

しかし、それだけではない。

この世界では、見るからにロボットっぽい、旧式の、あるいは安価なロボットと、
アトムやゲジヒトのように、ほんとうに人間そっくりのロボットが混在して「生活」している。
だが、そこで、誰が見ても一目でロボットとわかるような存在が、
ロボットの「原則」と、製造された「目的」に、忠実無比な行動を取るという事で、実はアトムやゲジヒトのような高性能な/人間とみわけがつかないようなロボットであっても、ベイシックな部分で、そこは共通なのだと語る役目も果たしているのだ。

皮肉なことに、その「制限」は、「ロボット性善説」とも取れるが、反面、「人間による偽善」ではないのか、とお茶の水博士は指摘されてしまうのだ。

そう、アトムやゲジヒトといえども、実は、もっと原始的なロボットと同様、人間によってプログラミングされた基本原則からはずれる事は、ないはずだ。

だが、それならば。
限りなく人間に近いロボットを作ろうとするのならば、いったい、どうすれば良いのか?
そういう「制限」をはずしてみたら、いったいどうなるのだろう。
アトムを創った天馬博士の目標は、どこにあったのだろう。

あるいは、天馬博士が考える、「間違う頭脳」……あるいは、憎悪を感じる頭脳こそが、完璧な頭脳なのか?
そう唱える天馬博士によれば、アトムは失敗作だという。
間違うこと、あるいは憎悪は、ロボットにとっての「失楽園の木の実」となるのだろうか。

「偽善」と「善」の境目に線を引くのは、とても難しい事だと思う。
お茶の水博士は、まさしく、そのラインをぎりぎりに感じている科学者として描かれているのだ。


浦沢 直樹, 手塚 治虫
PLUTO 4―鉄腕アトム「地上最大のロボット」より (4)
2007年2月1日初版(発売中)
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2006-12-25 20:49:05

『アブホーセン 聖賢の絆』〈古王国記 III 〉

テーマ:海外SF・ファンタジイ


三部作みごと完結!
完結編にふさわしく、思い切り波瀾万丈だ。
あのキャラが、このキャラが、死んだり実は死んでいなかったりよみがえったりあるいは死んだり、
追いかけたり追いかけられたり、
あれとこれとそれの正体がいよいよ判明したり。
息つく暇なんか、全然ないのだ。
モゲットと不評の犬の正体も、もちろん、期待を裏切らないものだったりする。

さて、ファンタジイではえてして、超越的な二大勢力が、人間をコマにして丁々発止とわたりあう、なーんてな物語になったりするのだが、あえて言うなら、そういう部分を、いかにうまく、古くさく見せないかというところが、作家の腕の見せ所だろう。
ガース・ニクスの場合、うまいこと人間臭さを出しつつ、神話的な要素もきっちり織り込んでいる。
それは、まさしく、「ある血筋につらなる人間」というものを、神話的古代と、物語の中での現在を結びつける「絆」にしているからだろうと思う。

また、個人的に好感が持てるのは、全くフェミニスト臭さを感じさせず、ほんとにうまいこと、男女が同等の立場で物語に参加しているということだ。
過度に男や女が、その性別を強調する事もなければ、自分の性別をかけはなれてしまう事もない。
その「さりげなさ」は、実のところ、性別の問題だけでなく、いろいろな、他の要素にも共通して言える事のようで、これがまさしく、ガース・ニクスの持ち味なのかもしれない。
さりげなく自然体であること。
肩に力が入っていたりは、しないのだ。

本巻のみに関して物語を見ると、ひときわ面白いのは、やはりモゲットだろう。
彼の動きは、ずばりトリックスターだ。
もしかすると、本当はアブホーセンの敵なのでは、と、これまでもはしばしに匂わせてきたモゲットなのだが、今回は、その「不審さ」が最高潮となっている。
そして、それだけにラストでの行動が印象的になるのだな。

不評の犬は、それよりずっと地味だが、ラストシーンでの味わいは、モゲットに数倍まさる。
じんわりと、いい余韻を残しているのだ。

しかし……。
この物語、ほんとうに終わっているのだろうか?
確かに、大いなる敵は、本巻の最後で、みごとに打ち払われているのだけれども、一方で、物語の途上に浮かんできたいろいろな問題は、未解決のまま、残されているようにも思える。
もちろん、「歴史とは、けっして完結することなく、流れていくものなのだ」と考える事もできるのだけれど。


ガース ニクス, Garth Nix, 原田 勝
アブホーセン―聖賢の絆〈上〉
アブホーセン―聖賢の絆〈下〉
主婦の友社 文庫
2007年1月20日初版(発売中)
いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)
2006-12-24 16:13:24

『とりぱん』 野鳥と日常とほのぼの

テーマ:自然と科学

都市部でも、ちょっと郊外に出ると(いや、出なくてすら)いろいろな野鳥がいる。
田舎へ出れば、さらなり、だろう。
だからこそ、バードウォッチングなんて趣味もなりたつのだが……。

小学館とかヤマケイあたりの、フィールドガイドを片手に、そしてもちろん、もう片方の手に望遠鏡を持って、やみくもに野山を歩き回っても、慣れないとなかなか野鳥を見つけるのは難しい。
見つけても、なんて鳥なのか、わからなかったりするのだ。
なぜなら、フィールドガイドは(いや、図鑑も)、野鳥を前後左右四方八方上下からまんべんなく見せてくれるわけではない。
照合しにくいんだよね。

それでも!
「野鳥を見るのはいいよね」
と思う人は、たくさん、いそうな気がする(笑)。

さて、そんな野鳥たちが主役の漫画が、ここにある。
その名も『とりぱん』。
現在、2巻まで刊行されており、春あたりには次の巻が出そうな気配。

作品の舞台は、東北の、北部にあたるのだが、いちおう、住宅街だ。
庭に、餌台を作り、そこにやってくるいろいろな野鳥と、かれらをとりまく自然を、主人公(語り手)である女性と、その母が、ときに優しく、ときにお茶目に、たいていは静的に、たまには動的に、観察するのだ。
すなわち、鳥に餌をさいそくされながら、家の中から窓越しに見守っていたりとか、
あるいは池に出かけて白鳥にひどい目にあわされたりとか、しちゃうわけだな。
鳥たちの、笑える生態も、含む。

日本には、こんな、いろいろな(面白い)鳥がいたんだなあ、と一読してみるのは一興。
おもしろいよ。
もちろん、フィールドガイドもいいけれどね。


とりの なん子
とりぱん 1 (1)
とりぱん2
いいね!した人  |  コメント(3)  |  リブログ(0)
2006-12-23 09:35:20

『花々のゆううつ』〈うるわしの英国シリーズ4〉

テーマ:その他
波津彬子が英国もの(舞台はおおむね、ヴィクトリア朝ちょい後くらいか?)を描き続けている事は知っていたが、こういうシリーズ名がついていたとは、不覚だった。
うるわしの英国シリーズ。
そうか。
うるわしいのか。

内容的には、「ロマンス未満」というか「恋物語未満」のストーリーで、その本領は、(不覚にも私が知らなかった)シリーズタイトル通り、
ともかくもこの時代の英国という世界を楽しむぞ!
……と、いうことに尽きる。

で、この時代の英国であるから、正統派メイド出まくりなので、邪道ながら、そういう楽しみ方も、充分にできるものと思う(笑)。
決して彼女らは主役ではないが、あちらにも、こちらにも、そちらにも、メイドさんたくさん( ‥)/

しかし、それよりなにより(邪道とは言わせないぞ)楽しいのは、おもしろーい犬と猫が出てくる事だ(笑)。
波津彬子の描く犬猫というのは、単にかわいいのではない。
実は、「おまえそれはかなり不細工だろ!」と指弾したくなるような、すごいご面相のものがしばしば登場する。
本書にも、エリザベスという名の、不細工な犬が出ている(笑)。
また、その不細工さが、どういうわけか、非常に味があって愛らしい。

しかし、真打ちは猫。
表紙にいるこの猫なのだが、名前はウィルヘルムというそうだ。
別に猫が主役というわけではないはずなのに、存在感ありまくりの猫。
しかも、あとがき漫画によれば、どうも妙に人気が高いらしく、
「ウィルヘルムで○○を4ページ」
という依頼が頻々とある(あった?)のだそうな。
そういうウィルヘルムものが、作品の間に挿入されているが、ものはそれぞれ、「妖精もの」「ホラー」「SF?」となっている。
で、最後の「SF」。

そうかーこの時代だと、イギリスには「あの人」が活躍していたんですねえ!
ウェルズのファンは注目せよ(笑)。
もちろん、SFネタとしては、小説ならばショートショートのレベルで高いとは言わない(そういう事を求めるな)。
しかし、笑えます(笑)。
いや、なんつか、ウェルズが「同時代の注目作家」として作中話題にされている、というのが良いのだ。

で、そういうとこが、このシリーズの楽しみ方ってわけなのだよ。


波津 彬子
花々のゆううつ
2007年1月20日初版(発売中)
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
2006-12-22 21:51:20

『魔教の黙示4 希望の消えた町』〈真実の剣6〉

テーマ:海外SF・ファンタジイ
リチャード、アルトゥラングへ到着する!
アルトゥラングというのは、「旧世界」でも重要な都市だという事なのだが、これは、全体主義の国家という事なので、描写がまるで、伝え聞く昔のソ連のようだ。
そう思って見ると、リチャードの言動というのは、「強き、善き(または独善的な?)アメリカ」そのものに思えてしまうのだが、まあ、それはそれとして。
リチャードの性格は、「頑固に個人の自由を求める」というものなので、仕方がない(笑)。

リチャードが全体主義国家で苦労をしている一方、カーランたちはじり貧の戦いを強いられているという寸法(もっとも、本巻では、あまりカーランたちにはスポットがあてられない。まあ、分冊だからね)。

主に、カーラン側の視点から、ジャガンと秩序団の軍勢が、想像を遥かに上回る大軍勢であり、ほどなくアイディンドリルもダーラも、その前に敗退するであろうというのが語られる。
だが、実はその大軍勢があとにしてきた「旧世界」では、そこ、ここに、叛乱が芽吹こうとしているのであった。こちらはもちろん、リチャード側の視点から語られるのだ。すなわち、本巻の勘所は、そこだ。
実は、ジャガンの支配している年数というのは、一世代をまだ上回っておらず、従って、全体主義に毒される前の「古き良き時代」を覚えている市民は、かなり多い。
だからこそ、鬱屈した不満は、だんだんと大きくなっていく、という寸法。

つまり、今後、「新世界」の方は一種のゲリラ戦にもつれこみ、
「旧世界」では徐々に叛乱の火の手があがっていく。
そして戦争は、みごとに、泥沼化!<2006年夏時点での本国最新巻参照

ハヤカワ文庫で展開されている、もうふたつの大河ファンタジイ(海外)とは、別種の大風呂敷が広げまくられてるわけだが、いやー、収拾つくんでしょうかね(汗)。
まあ、当座は、リチャード視点とカーラン視点を覚えておけば、ストーリーは追えるはずだ。

さて、蛇足。
今回の表紙は、カラとカーラン。
カーランは表紙搭乗率が非常に高いわけだが、カラはたぶん、はじめて。
普段は茶色の革の服を着ているはずが、ここでは赤になっております。
演出ってことだろうな(笑)。
私は、カラのファンなので、今回の表紙は、かなりのところ「らぶ」だ。
でも、表紙のこのシーン。
本巻の中では、ほんとのほんとに重要性は低いシーンだと思うんだけど?

いや、でも、そんな風にちょこっとしか登場しなかったカラが表紙に出てるってのが良いなあ。
おいしいキャラだよね。カラって(笑)。


テリー グッドカインド, Terry Goodkind, 佐田 千織
魔教の黙示〈4〉希望の消えた町―「真実の剣」シリーズ第6部
ハヤカワ文庫FT
2006年12月15日初版
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
1 | 2 | 3 | 4 |最初 次ページ >> ▼ /

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。