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2006-08-31 20:45:06

『平凡キング』 ごくふつうの猫だから

テーマ:自然と科学
猫っていえば、何猫が好きか。
そりゃあ、ペルシャだ、シャムだ、アメショだ、ロシアンなんたらだ、と猫にも品種(?)がある事は知っているけど、私は和猫が好きだ。
毛色は、黒が一番好きだが(烏猫というやつか)、それほどはこだわらない。
虎縞もいいし、三毛猫もいいし、単なる赤猫も、白猫もナイスだ。
でも、できればしっぽは、すらりと長いのがいいかな。
とらみたいに。

さて、本作は、「ニャンちゃって漫画」とうたっているが、別にコミックスというわけではない。
どちらかといえば、写真いりエッセイという方が近いかな。
(漫画というのは、メディアではなく、心づもりを言っているのだろう)。
室井家の猫たちを中心に、ともかく登場するのはほとんど、血統書とは縁のなさそうな和猫ばかりだ。

そう、まさしく、平凡ぼんぼんな猫ばかり。

楽しいのは、それぞれの写真に、おもしろげなキャプションがついていることだ。
最近は、猫なブログでよく見るスタイルだと言えば言えるが……(笑)。
しかし、作者の、猫たちに対する愛情と、飾らない文章があって、余計にそのキャプションが生きてくる。

面白いよ(笑)。


室井 滋
平凡キング―ニャンちゃって漫画


本記事に対する海外から頻繁にTBスパムが送られるようになった為、やむなく本記事に限り、TBの受付を停止しています。
TBご希望の方は、ご面倒ですが、左の「メッセージを送る」または
トップページ 上にリンクのある掲示板でご連絡下さい。一時的にTB受付を可能にする用意があります。(2006/09/28)
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2006-08-30 22:03:10

『サライ (16) 』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
思えば、これも柴田昌弘作品としてはずいぶんな大長編になってしまったものだ。
すでに16巻目。
戦うメイドさんのSF、と書くと、なんかいかにも
「萌え?」
というイメージが湧くが、読むとやはり「萌え」要素が感じられないのだよなあ(笑)。

それは、やはり、柴田昌弘作品の特徴として「父性愛」というものが、強くあらわれているからなのかもしれない。
しかも、主人公サライの「過去」が物語られる本巻では、それがことさら、顕著となっている。
いや、ほんと、父親なら、これくらい、妻と子供を守ってみたいなんて、ちらっと思ってしまうんだよな。

サライの「父」は、世界的に知られた学者で、自由に研究できる環境を求め、某国の秘密研究所に所属する事となった。
しかし、いろいろあって、愛妻(職場結婚)と、愛娘(研究の成果)を連れ、決死の脱出をするわけだ。
いや、ここまでは、冒険小説などでもありがちな話だろう。
問題はこの後だ。
追っ手に見つからないようにしながら、しかも生活していかなくてはならない。

「世界的に高名な」学者が、身元を隠して、一介の営業マンとして暮らせるか?
そのために、どれほど、自分を殺さなくてはならないか?
しかも、おそらくは一生、そのまま自分を殺していかなくてはならない……はず。
もちろん、「娘」への贖罪という事もあるのかもしれないけど、おそるべき勇気と決意がなくては、出来ない話だ。

そういう意味では、これって、まさしく、
「もはや年齢的には少年ではないが、近い将来結婚したり、父親になったりする年齢層」
が読者対象層となっているのだなあ、と強く感じる。
もちろん、作者の年齢とか家庭環境というものも、影響しているのかもしれないけどね。


柴田 昌弘
サライ 16 (16)
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2006-08-29 21:59:19

『樹海の歩き方』 青木ヶ原へ行ってみたい?

テーマ:自然と科学
樹海……。
ワールドワイドでは、アマゾンを思い浮かべる人もいるだろうが、日本で樹海といえば、当然、青木ヶ原をさすだろう。
富士の裾野に広がる、あの大森林の事だ。

しかし、この「樹海」、ふつうの森とはだいぶ違う。
それは、溶岩の上に生い茂ったものという点だ。
このため、樹海と言いながらも木を支え、保水する土が乏しく、大木は滅多に育たないのだそうだ。
同様に、動物相も、薄い。

さらに、樹海の中では磁石が狂う、
多くの自殺者がいる、
野犬の群が徘徊している、
といったような、さまざまな噂が取りざたされている。
「呪界」と表現する人もおり、足を踏み入れたら生きて帰れない(かもしれない)と言われる青木ヶ原。
不老不死伝説のからむ「富士山」と対比するかのように、それは、暗い噂のつきまとう世界でもある。

そんな特異な地であるからこそ、強い興味をいだく人もいるのではないか。
何を隠そう、私も樹海には興味がある(笑)。
うーん、自殺者や野犬の群には興味ないが……
(遺体と遭遇するスリルを求めて樹海に入る人も、いるという話だが)
一面苔に覆われた、山ではない部分に広がる森林、という景色を見てみたいと思っている。

さて、そんな神秘的でダークでスリリングな樹海を探検というか取材した人がいるのだ。
著者は、もともと、廃虚の探検家として世に出た人だそうなのだけど、本書のために、相当の期間を費やして、何度も樹海に足を踏み入れたという。
そして、そのかいあって、本書には、
樹海に関する噂の確認、
実際の樹海の様子、
そこで自殺者の遺体(中には遭難者とおぼしきものも)を発見したらどうなるかについてのレポ、
樹海に入る場合の準備について、
なかなか詳細に書かれている。

驚かされたのは、あの有名な
「樹海に入るとコンパスの針がぐるぐるとまわってしまう。それは溶岩に含まれる磁力のせいだ」
という迫真的な噂が、真実ではないという事!

著者も(かなりの期待感をもって)毎回コンパスを確認したのだそうだけど、針はまわらなかったのだという。
また、探検中遭遇した訓練中の自衛隊レンジャー隊の教官も、そのような経験は全くない、と語ったのだという。

針がまわらないなんて……!
ちょっと残念(笑)。

コンパスの件ほど有名ではないが、樹海の中では携帯電話が「実は通じるかもしれない」という噂についても、しっかりと検証しており、現実には、「樹海外からの声が到達する事はあっても、樹海内からの声は届かない」事を、図入りで説明している。

野犬の群についても否定的な結論が出されており、いや、これは、別にいてほしいわけではないんだけれども(笑)、
やはり噂というのは、あてにならないものだなーと実感。

しかし、本論はやはり自殺者の事。
いやまあ、それが本論にならざるを得ないくらい、多数の遺体と遭遇したという事なのだろう。
本書にも、平均すると、1日に1体くらい発見した事になった、と書いてあるほどだ。
(もちろん、遭遇しない日もあっただろうし、逆に、複数の遺体と遭遇しちゃった日もあるわけ)。
遺体の状況がどのようなものであったか、
発見した事を警察に通報するとどうなるか、
このレポは、ほんとうに詳細だ。

ちなみに、遺体関連の部分は、文章だけでもそれなりにグロいため、そういうのに弱い人は、食事中あるいはその前後に本書を読まない方が良い。
また、巻末には、「かなりヤバい写真」も袋とじになっている。(興味のない人は、もちろん、開く必要はない)。

しかし、メインであるそれらをおいたとしても、
本書は、探検ガイドとしてもなかなか優秀だと思う。
アウトドアでの位置確認、仲間とはぐれた時の対処法、道しるべをつける場合のやり方と後始末の必要性などは、実践的な情報がたくさん述べられている。
野外での探検が好きな人には、おすすめ。


栗原 亨
樹海の歩き方
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2006-08-28 22:55:20

『薔薇色myハニー (3)』

テーマ:その他
彼は社長で虎憑きである。
彼女は平社員で虎使いである。
まったく普通ではない二人だが、憑きものである虎、「虎丸」を通じて深く結びあい、愛し合い、ついに結婚する事になったのだった。
しかしそれはいかにもな「玉の輿」であるため、彼女はちょっとばかり、苦労をするはめになる。
いや、それでも、ちゃんと、とっても幸せになるんだけどね。

えーと。
私がい~かげんに把握している(ていうかこれが限界)、
この物語のあらすじは、だいたいこんなところ。
本来の対象年齢のわりには、けっこう、「えっちぃ」シーンも入る、いやしかしそれが最近の少女漫画というものだ、と言われればそうなのかもしれないが、まあともあれ、ハッピーエンドの恋物語だ。

ストーリー的には全く私向けではないのだが(笑)、
ただただ、「虎見たさ」に、完結する第3巻まで読みました(笑)。
正直に言うと、虎の出てくるコマだけ追った。

虎丸は、あかとくろ。
きいろとくろではないけれど、
とってもふっかりふかふかです。
あかい色合いは、憑いている人間(彼)の気分によって変わるらしい。
(この色合いというところに、物語のミソがあるようだ)。

ラインにちょっと「え?」な部分がたまに出てくるが、ともかく、すごく「ふかふか」である事が、ダイレクトに伝わってくる虎の絵でありまして、でか~くなったり、猫サイズくらい小さくなったり、自由自在である(まあ実体ではないしね)。
彼女(と、彼)の危機には獰猛に立ち向かうが、普段は実にやんちゃだったりする。
とくに、彼女に対しては、めろめろのもふもふなのであった。

いやあ、なんか……
(ネットでの)俺に似ているかもしれない(笑)。
親近感ありまくり!

ともあれ、がんばって虎を描いていると思います、この作者。
しなやかで、ふかふか。
ふかふかであることが、重要なのだ。


大海 とむ
薔薇色myハニー 3 (3)
2006年9月20日初版(発売中)
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2006-08-27 19:43:21

『魔教の黙示 (2) 』 忘却の彼方へ

テーマ:海外SF・ファンタジイ
致命的な傷を負ったカーラン!
彼女の回復のため、リチャード(そしてカラ)が山奥で努力する一方、指導者を失ったダーラ軍は、じりじりと追いつめられつつある。
しかし、邦訳は原書の1冊を分冊しているという事情もあり、本巻は主にカーランの回復に重点が置かれ、アメリカのホームドラマっぽい展開となっている(笑)。

だが、後半、ようやく、回復したカーランを、更なる危機が襲うのだ。

この物語、最初から、ともかくリチャードがひどい目に遭いまくるのだが、艱難辛苦を経てその妻となったカーランも、
「さあ、きみはもうリチャードの奥さんなんだから、同じような運命を味わってね」
とばかりに、どしどしとヒドい運命にみまわれる事になっているようだ。
(いやまあ、最初からカーランも悪運続きといえば、そうなんだけどね)。
そんな中、一服の清涼剤(ほんとか?)となっているのが、モルド・シスのカラ。
いやあ、いいキャラです。
つか、おいしすぎる!

モルド・シスといえば、シリーズの最初から、思い切り悪役~ぅな形で登場していたわけだし、ダークン・ラール支配下のダーラではすご~く恐れられていた存在なのだが、(なんつっても、拷問から生まれて拷問のために生きている女性たちっていう設定)、ひとたびダーラがリチャードによって「変化」させられるや、非常にいい役回りとなったわけで、その代表格がカラなんだよね。

最初、彼女と一緒にダーラからやってきたモルド・シスの他の面々が、登場しなくなってしまったのはとても残念だが、カラはずっと、常連キャラとして活躍するみたいなので、嬉しい。

そして、『魔教の黙示』あたりから、ぐぐっとのびてきた成長株のキャラが、”闇の姉妹”の一人である、ニッキなのだ。
ジャガンの支配からもはずれつつあるニッキは、なんだか闇の姉妹としても道を踏み外しつつあるようで、現時点では、いったいどう転ぶのか全くわからない。
しかし、彼女の先導によって、リチャードは、今回、〈旧世界〉の中心へ向かう事となるので、この物語世界が、また新たな側面を見せてくれそうなのは、期待がでかい。

さて余談なのだが……。
リチャードに関わる女性キャラって、なんかこう、めっちゃ美人が多いような気がするのは、「気のせい」?(笑)
それほど美人ではない、とされているシスター・ヴァーナなど、キャラとしては面白いし、常連キャラになっているはずなのに、いつのまにか出番がぐんと減ってしまっている。……惜しい(笑)。


テリー・グッドカインド, 佐田 千織
魔教の黙示 2 (2)
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2006-08-26 23:16:15

『本当にいる世界の「未知生物」案内』

テーマ:自然と科学
←どうですかこの表紙!
なんかいかにも「俗悪」っぽく、昔懐かしい「少年誌のグラビアとかふろく」を思い出させないか?

実際、これ、完全にペーパーバックでして、中の紙質も、雑誌っぽいのですな。
今でいうと、コンビニで売っている廉価版のコミックあるだろ、あんな雰囲気。

いかにも「狙っているな」という感じがする!
いや、絶対に狙っていると思う。

著者は末尾の著者紹介によれば、1960年生まれだそうで、
しかも冒頭では怪獣大好きとうたっていて、
(その証拠は、中身のそこ、ここで散見されるが)
なんかこう、全体の雰囲気が、「そういうの好きなやつ」(たとえば私)にとっては、とことん、「いい!」のだ。

しかも中身は、よくまあ集めたり。
表紙にも、「全世界73カ国&地域から寄せられた891体のUMAを大公開!!」などとうたっているが、それは嘘ではない。
その道がちょっとは好きな人なら、
「ああ、それ聞いた事ある!」
とか、
「××年代の雑誌のグラビアで」
「△△年頃のテレビで」
たしかに見たーっ!
と、少し興奮してしまいそうなメジャー(?)なものから、
「いや、そんなのはぜ~んぜん、知らねえ(汗)」
レベルのものまで。
まずは日本、その後は世界、詳しく地域別に掲載してるんだよ。
可能な場合は写真つきで。

じゃあ、この手のテーマではありがちなことに、どんなUMAでも、牽強付会したり、「いる」という結果ありきで語っているのかといえば、全然そうではないのだ。
一蹴すべきものは一蹴しているし、
ニセモノとわかっているものも、ニセモノとして紹介し、
逆に、実在が照明されたものについても記事とし、
推定されている正体があるものは、もちろん、それについてもふれている。

UMAというものについて、非常にフェアな態度で、かつ面白く書いていると思う。
(文章のスタイルは、比較的、ブログのうまい文章と近いような気がする)。

面白いのだ。
実に面白いのだ(笑)。

しかし、こうして「891」ものUMAを追っていくと、それらの半分以上が、水辺か、水中に属するものである事に、(かんたんに)気づく。
たしかに、水中は浮力というものがあるし、生物は陸上よりも大きくなりやすいそうだ。
また、陸棲動物である人間にとって、水中がまだまだ未知の世界である事だって、言うまでもないだろう。
だから、見知らぬ生物が水中に由来するのは、ある意味、自然な事だ。

(でも、日本の湖のUAMが、ことごとく「×ッシー」であるのには、辟易する。本書中でも、それについては、安易すぎるというコメントがある。それだけ、ネッシーがメジャーだという事なのだろうけどな)。

また、北アメリカには、鳥系UMAが多いというのも、面白い。
地勢的な問題なのだろうか。
(しかし、こちらは、概してビッグバードと呼ばれているそうな。人間ってやつはまったく、東でも西でも……(笑)。もちろん、そのビッグバードは黄色くてセサミストリートに出ていたりはしないぞ)。

陸上のUMAは、これまた圧倒的に、「原人タイプ」が多い。
好例は、やはりヒマラヤの雪男だろう。
さもなければいきなり爬虫類にいっちゃっていて、あまり哺乳動物のUMAがない事にも気づく。
哺乳類なら原人なのか?(笑)
……ちょっと納得いかないぞ~。

だが、これまた不思議なことに、哺乳動物のUMAは、ネコ科が多いのです。
オセアニアでは、タスマニアタイガーとは別の、有袋類のネコっぽい大型動物について語られているそうだ。
南米だと、ヒョウっぽいやつ。
スマトラあたりにも、なんと、きいろとくろじゃなくて、あおとくろの虎の目撃例があるんだそうだ。<う~ん、個人的に微妙
イヌ科のものはいないわけではないけど、ネコ系より少ないみたいだ。
ネコ科の方が、「魔女に黒猫」じゃないけれど、神秘的で謎めいたイメージが強いのかな?

これらのUMA,気持ち悪いものも含まれてはいるが(ジャイアントなヒルやミミズみたいやつのような)、
やっぱ、幻の動物っていうのは、冒険心をそそるというか、夢があるよなあ。


天野 ミチヒロ
本当にいる世界の「未知生物」案内
2006年9月7日初版(発売中)
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2006-08-25 21:52:21

C.M.バーカーの、花の妖精画

テーマ:神話・伝説・民話
英米で、「妖精の絵」と一言言えば、必ず、この人の名前があがるのではなかろうか。
いろいろな花や草、木の妖精を描き続けた「妖精画家」なのだ。
日本にもファンが多いだろうと思う。
カレンダーとかも出ているし(笑)。
また、それぞれの絵に英語の文章が添えられていたとしても、読めなくてOK。
おおまかな事は、絵を見るだけで伝わってくるからだ。

しかし、なによりもこの人の絵に好感が持てるのは、
それぞれの妖精が、薔薇とか百合とかひまわりとか、要するに園芸用に交配された花ではなくて、野山にある、自然の植物であるという事かなあ。
もうちょっと、日本語には訳せません、というような、「雑草」である事も多い。
柳の精なんて、日本では幽霊、イギリスでも魔女と関連が深い木なのに、実に清楚で可憐で、惚れちゃいそうな少女として描かれていた。
いやいや、女の子ばかりではない。
植物によっては、ほっぺたがまっかな、少年妖精である事もある。
いずれも、きらびやかというよりは素朴。
それらの植物が、ほんとに
「人の姿をたまたまとってみました」
というような感じなのだよ。

もうじき、来年のカレンダーやダイアリーが発売されるシーズンになるのだが、妖精好きの人ならば、一度はバーカーの絵が入ったものを使ってみてもいい。

……え。
もったいなくて使えない(笑)?
そういう場合は、やはり画集が良いね。


Cicely Mary Barker
The Complete Book of the Flower Fairies (Flower Fairies Collection)
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2006-08-24 23:05:47

『世界の日本人ジョーク集』

テーマ:人文・社会・ノンフィクション
日本人は、いまひとつ、遮光の席でジョークを飛ばすという習慣になじまない。
むしろ、「号」つまりペンネームのもとに、川柳などを発表するという方面に、そういう才能は開花されるようだ。

とはいえ、世界の多くの地域では、社交の場でジョークが語られるのが普通っちゃ普通で、その中でも人気のあるテーマが三つある。
ひとつは、「お色気もの」。(小難しい言葉をわざと使うなら、艶笑譚)。
もうひとつが、「政治もの」。とくに抑圧されている地域では、秀逸なものが多いみたいだ。
そして、最後に、「民族もの」。
エスニックジョークと言われるもので、世界のいろいろな国や民族の特徴をネタに、笑い話とするものなのだ。

もちろん、本書は、そういうジョークのうち、日本人が登場するものを集めました、という趣向。

まあ、笑い話なので、いずれの「民族」「国家」も、それなりにカリカチュアされている。
たとえば、フランス人はグルメでワイン好き、ドイツ人は法律好き、みたいな(笑)。
逆に、日本人はそれらの中でどう扱われているかを見れば、世界のなかで、日本人がどのようなイメージを持たれているか、わかるというわけだ。

また、政治ジョークなどでしばしば浮き彫りにされる事だが、ジョークは、人の本音をかいま見せてくれるところでもある。
公には、あるいは面とむかっては、いろいろな事情で言いにくい事も、ジョークの中でならぽろりと言ってしまえるんだな。
さらに言うと、1冊の本ができるくらい、日本人が登場するエスニックジョークがあるということは、それだけ、世界の中で、日本は関心を持たれているという事でもあるね。

これ、単にジョークを集めたというだけではなく、実際にルーマニアや中近東などを自分の足で歩き、目で見て、耳で聞いてきた著者が、現地の事情を伝えながら書いているという体裁なので、ジョーク以外の部分でも、今、日本がどう見られているのか、日本人はどうイメージされているのかというのがわかる。
なかなか面白くて、ナイス。

見方を変えれば、著者は、自分が訪れていない国の事は話題にしていないから、それはちょっと、偏っているとも言える。
そのかわり、ルーマニアとか、ユーゴスラビアとか、イラクとか、
ふつー、日本人があまり訪れず、知識もない国の話が多いので、それらの国で、意外にも日本人がとても好意的に思われていたり、それでもアジア人蔑視をする人はやはりいる、という事もあったり、
イラクなどでは日本人に対する過剰な期待感があり、それが自衛隊派遣の時、悪い方に作用しちゃったなど、
一般的な「国際情報」の記事では見られないような情報も盛り込まれている。

ところで、本書に集められたジョークは、最新が2005年らしい。
ほとんどは2002年以降のようで、現時点では「最新」と言って良さそうな感じだ。

エスニックジョークでは昔から定番の、
「もし、スープに蠅が入っていたら?」
というのは、私が好きなジョークなのだが、それの最新版は、だいぶん長いものになっていた。(新書の1頁分だ!)
以下、本書のp123から。

レストランで出てきたスープに蠅が入っていた時の各国の人々の反応。
ドイツ人……「このスープは熱いので十分に殺菌されている」と冷静に考え、蠅をスプーンで取り出してからスープを飲む。
フランス人……スプーンで蠅をおしつぶし、出汁をとってからスープを飲む。
中国人……問題なく蠅を食べる。
イギリス人……スプーンを置き、皮肉を言ってから店を出ていく。
ロシア人……酔っぱらっていて蠅が入っていることに気がつかない。
アメリカ人……ボーイを呼び、コックを呼び、支配人を呼び、あげくに裁判沙汰となる。
アイルランド人……捕りだした蠅を片手で摘みながら、こう蠅に叫ぶ。「吐き出せ、吐き出せよ、ちくしょう!」
日本人……周りを見回し、自分だけに蠅が入っているのを確認してから、そっとボーイを呼びつける。
韓国人……蠅が入っているのは日本人のせいだと叫び、日の丸を燃やす。

ひとむかし前なら、ロシア人の行動は、もっとソビエトをイメージさせるものだっただろうと思う。
アメリカは裁判社会というのが、今は前面に出てるんだね。
韓国が登場するのは、前世紀にはひとつも見た事がない、と思う。
しかし日の丸を焼くって……(笑)。
(国際的なニュースにのぼるからなのか、北朝鮮が出てくるジョークも幾つか本書の中でみつけた)。

これらのジョークは残念ながら、著者がどの国で聞いたかについては明記されていない。
もっとも、いろいろな国のジョーク集を見ていると、国や民族は違っても、わりかしネタは共通だったりする事もあるので、日本人をテーマにしたエスニックジョークの場合、あまり採取地域は問題にならないのかもしれないけどね。


早坂 隆
世界の日本人ジョーク集
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2006-08-23 09:53:28

『おまえうまそうだな』 愛情と捕食関係

テーマ:絵本・児童文学
私は『あらしのよるに』がキライだ。
その理由の大部分は、メイの自分勝手さにあるのだが、実はそれだけでなく
「捕食する側が、捕食対象と愛情/友誼をはぐくむというのは、どうなのか?」
と思うからだ。

もちろん、作者の意図としては、
生来敵対関係にあるものでも、チャンスと努力と状況次第で、愛情や友情をはぐくめるのだ、という、人類平和に向けた一種のアナロジーなのだろうと思う。

しかしね、それを突き詰めてしまうならば、
たとえばガブはメイ以外の羊を食えるのか? 食っても良いのか?
メイはそれを受け容れられるのか?
という問題が出てくるよね。
(事実、『あらしのよるに』は、先の方でそういう話題も出てくるわけだが)。

アナロジーなのだからそこまでは考えない、という意見もあるだろうが、
架空世界内にもある程度のリアリティがないと架空世界そのものが論理的に存在し得なくなるため、やはりこれは、物語上の弱点と思う。
まあ、すくなくとも、「友情」は残念ながら、このシチュエーションには、いささか弱いと思うんだな。
まして、その後ずっと彼らが一緒に暮らすのだ、という結末を導くには、弱すぎるものがあるのだ。

さて、本書も子供向けの絵本であり、似たようなケースを扱っている。
物語の舞台は「恐竜が生きていた時代」。
肉食恐竜の主人公が、卵の殻を割って出てきたばかりの、草食恐竜の赤ちゃんと遭遇してしまう。
「ちゃ~んす! ごはんめっけ!」
な状況ですよ(笑)。
ところが、赤ちゃん恐竜は、生まれて初めて見た彼を、自分のお父さんだと思ってしまうのな。
主人公が発した「うまそうだな」という言葉が、自分の名前だと勘違いしちゃう。
「おまえうまそうだな」
うまいだろうなあ、ではなくて、
「おまえは『うまそう』という名前だな」
と解釈しちゃうんだね(笑)。

なし崩しに、主人公はこの「うまそう」くんをしばらく養う事になるんだけど、生態の違う子供なので、なかなか大変です。
それに、最後は、
「このままではお互いにいけない」
と判断して、同種の親らしきカップルを発見した時点で、子供をそちらに返すようにする。

その時には、もちろん、お互いの間に、愛情が育っているわけなんだけど、だからといって、無理矢理一緒に暮らすという選択肢はとらないのだ。

『あらしのよるに』よりも良いと思う理由はそこにある。
異種の生物の間に友情なり、愛情なりがはぐくまれる、それが可能だというところまでは良いのだ。
しかし、だからといって、ずっと一緒に暮らすというのには、やはり無理が生じる点も、考えなくてはいけない。

本来は全く違うものを、強制的に同一基準で扱うよりも、
協調しつつ、お互いの「違う部分」を受け容れ、かつ必要あるいは可能な場合には、「別れることもできる」セルフコントロールが存在する世界の方が、少なくとも個人的には、好感が持てる(笑)。

そういう意味で、『あらしのよるに』を読んだ人には、こちらも読んでみてほしいなあ、と思うのだ。

さて、それはそれとして。
表紙画像でわかるとおり、主人公の肉食恐竜は、あとあしで立ち上がったスタンディングタイプとなっている。
これ、現代の恐竜学にはそぐわない、レトロな想像図なのですな(笑)。
今のはね。
ティラノサウルスを含め、USAゴジラにあるみたいな、地面に対して頭と尻尾がほぼ水平にあるというようなスタイルとされている。
頭、ていうかでかい口が前に突き出されているせいか、非常に攻撃的に見える。
昔ながらのスタンディングタイプは、それに比べてどこか優しく懐かしいイメージを感じてしまうのは……
不思議なものだなあ。


宮西 達也
おまえうまそうだな
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2006-08-22 20:18:50

『ぐりとぐらとすみれちゃん』

テーマ:絵本・児童文学
『ぐりとぐら』といえば、ともかくこのふたり(2匹)の焼くホットケーキみたいな「かすてら」が、むっちゃくちゃうまそうで、そのシーンしか浮かんでこないほどなのだが、シリーズのうち、本巻で登場するのは、かぼちゃ。

ひとしきり、菜園での作業とおぼしきものを終えたふたりが、
もう自分たちは立派な農夫だと思うけれども、ならば次に何を植えよう?
かぼちゃなんか、いいかな?
と、考えるところから始まるのだ(しかし、その前段で登場する、にんじんの「葉」入りのオムレツがまたまたうまそうな感じがする)。
でもな、かぼちゃを植えよう、と思いついたとたん、考え始めるのは、かぼちゃ料理の事なんだよな~(笑)。

それもそのはずで、ぐりとぐらは、料理が大好きなのだそうだ。
……あのカステラを思っただけで、深く納得する(笑)。
そして、作物から育ててそれを料理したら、そりゃあもう美味しいだろうなどと思う。

ならば、後半はそういう話になるのかというと、ちょっと違うのだ(笑)。
とつぜん、おみやげのかぼちゃを背負った女の子、すみれちゃんがぐりとぐらのもとを訪れるのだけれど、
このお客さまとぐりとぐら、そして同じ森に住むなかまたちが、実にほのぼのとしていて、良い。
かぼちゃも料理もおいしそうだが、それらは、決して(例のカステラ同様)ひとりじめはされない。

しかし、
「なんでもみんなとわかちあいましょう」
などという説教臭さは、みじんもないのだ。
ただもう、そこから伝わってくるのは、
「みんなで食べるからこそおいしい」
という、料理の醍醐味なのだ。

うん。
たしかに、ぐりとぐらは、料理好きに間違いない!


なかがわ りえこ, やまわき ゆりこ
ぐりとぐらとすみれちゃん
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