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2006-07-31 22:11:23

どこまでいくのか、大人の塗り絵

テーマ:その他
ひさしぶりに、もよりの書店の塗り絵コーナー(というのがあるのだ!)を見てみると、なんだかまわりから妙に浮いているものがまんなかに鎮座していた。

これだ( ‥)/



もう、思い切り、「ど」少女漫画だ。
なんつっても、『ベルサイユのばら』ですから!

いやまあ、それはそれでいいのかもしれないが、まわりにあるのは、季節の花とか鳥とか日本画とか西洋の名画とか、そういうのを塗り絵にしたのが多いわけで、そのどまんなかに、これだ。
すげ~めだつ(笑)。

しかし、よくよく見ると、そういったラインナップの中に、しばわんこであるとか、ダヤンであるとか、明らかに、
「それまでとは異色の塗り絵」
が、まじっているのだ。

今までの、花鳥風月ラインでは、はたから見ていると、購入していくのがたいてい、人生の現役を終え、第二の人生を楽しんでいる年齢層の人だったと思う。
具体的には、60代以上の人。
でも、ベルばらとかしばわんことかダヤンとか、そういうのは、どう考えても、その年代の人には、マッチしない。

ということは、一定の年齢層に塗り絵ブームが定着したところで、さらに、ユーザー層を広げようとしているのではないか、というのが見えてくるんだな。
今度のラインナップとしては、30~40代を狙っているんだろうか?

すると、ちょっと面白い事に気づいた。
50代以上の人にとって、「絵」とは、基本、油絵とか日本画とか、よーするに、美術館にかけられるようなものというイメージが強いのではないかと思われる。

しかし、30~40代くらいの人にとって、「絵」を描く、見る、などというシチュエーションで真っ先に思い浮かぶのが、漫画なのでは?
でもって、女性にとっては、その中で最も印象が強いのが、ベルばらなのかも。

ジェネレーションギャップというより、これは、世代によって明らかに文化が違うのだ。

同じ塗り絵というツールであるのに、そういう差があらわれるのは、なんだか面白い。



本記事に対する海外から頻繁にTBスパムが送られるようになった為、やむなく本記事に限り、TBの受付を停止しています。
TBご希望の方は、ご面倒ですが、左の「メッセージを送る」または
トップページ 上にリンクのある掲示板でご連絡下さい。一時的にTB受付を可能にする用意があります。(2006/09/28)
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2006-07-30 21:20:05

『BLEACH (10) 』 TATOO ON THE SKY

テーマ:日本SF・ファンタジイ
BLEACH 10 「大空の刺青」:

少年ジャンプの通例でいうと、物語はここからめちゃくちゃ面白くなる、という部分。
実際、ルキアを奪い返す(処刑から救う)ために尸魂界入りした一護たちを阻むため、本巻で、瀞霊廷を守る護廷十三隊の隊長が(正確に言うと十三番隊の隊長を除き)顔を見せる事になるのだ。
読者の前に。

あるゴールに向かって突き進む主人公たちの前に立ちふさがり、死闘を演じ、後には「同じ側に立つ者」となっていく存在だ。
わかりやすく、ジャンプ黄金期の作品にあてはめるならば、
『キャプテン翼』で翼の前に立ちふさがった全国のサッカー部主将たち、
『北斗の拳』でケンシロウと戦った南斗の拳士たち、
『聖闘士星矢』で星矢たちの前をふさいだ黄金聖闘士たち。
そういう役どころなのだ(笑)。

また、その「本命」が出てくる前に、ゲームでいうと小ボスクラスの敵が登場するというところまで、本作は、非常に忠実に、ジャンプのストーリーの王道を歩いている。

しかし、そこに一点の特異さがあるとすれば、志波空鶴の存在だろう。
一護たちを瀞霊廷に送りこむため、とんでもない花火を打ち上げる花火師(女)なのだが、志波家とは
「かつては瀞霊廷の貴族の一門だったが、今は貴族ではなく、(瀞霊廷の周辺である)流魂街に住む」と説明されるのだ。
だが、いったいなぜそうなったのかについての説明は、まだ、ない。
彼らが夜一さん(この猫もまだまだ謎が多い)と、どういう関係なのか。
それについても全く不明のまま。

しかも本巻では、浦原喜助の前身についても、ちらっと(ほんとうにちらっと)登場する。
……いったい、奴は何者なのだ……?

伏線はられまくりなんだよなあ。


久保 帯人
BLEACH (10)
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2006-07-30 20:46:03

『BLEACH (9) 』 FOURTEEN DAYS FOR CONSPIRACY

テーマ:日本SF・ファンタジイ
BLEACH 9 「陰謀の14日間」:

いよいよ、ソウル・ソサエティへの突入。
いや、尸魂界と書いた方が良いか。
というのは、このソウル・ソサエティ=尸魂界は、ともかくやたらと、漢字だらけだからだ(笑)。
いちおう、漢字として筋が通った(意味のある)使い方をされているとは思うが、わざわざそんなもん使わなくても、と思うくらい、凝り過ぎなところもある、と思う(笑)。
まあ、気になる人はいちいち漢字辞典を引いてみれば面白かろう。

いちおう例をあげておくと、尸魂界の中心である瀞霊廷の四方の門は、
東門-青流門
南門-朱洼門
西門-白道門
北門-黒陵門
と名付けられていて、これ、一応、四神・風水と相応しているのですな。
東は青龍、水の流れ、
南は朱雀、広がる水(海とか池とか)、
西は白虎、広い道、
北は玄武、盛り上がった地(山)、
というわけ。

作者がかなり遊んでいるとも言えるのだろうな(笑)。


久保 帯人
BLEACH (9)
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2006-07-30 15:53:18

『BLEACH (8) 』 THE BLADE AND ME

テーマ:日本SF・ファンタジイ
BLEACH 8 「刃と俺」:

物語として、まず、本巻は、非常に少年ジャンプ色の濃い部分だと思う。
すなわち、主人公が最初のデッドラインに立たされ、それをもって、大きく生まれ変わる。
その後も、いろいろな試練を経て、脱皮するかのごとく成長していくとしても、この、最初のクライシスが、ほとんど、主人公を百八十度変える、ターニングポイントとなるのだ。

もちろん、ストーリー上も、ここで一護はじめ、人間側のメインキャラが、ソウルソサエティに行くための最終的な準備を調え、いざ出陣、という形となっている。

さて。
言うまでもなく、これは一人の少年が、異世界において戦って戦い抜く話なのだし、
それは、ジャンプに連載される多くの物語に共通のコンセプトであるが、
「なんのために戦うか」
という事が、各作品の特徴として「カラー」を作っているとも言える。
本作の場合、それはあくまでも、「守り抜くこと」だ。

母を守る事。
妹たちを守る事。
家族を守る事。
友人を守る事。
約束を守る事。
主人公の力が、いかに凶悪に、かつ強大に伸びていこうとも、それは全て「守るため」に存在する。

また、それは一護のまわりのキャラにしても同じ事だ。
織姫は、友人を守りたいと思ったからこそ、その能力を発動させ、
茶渡も、まのあたりにした誰かを危険から守りたいと思ったから、その能力を発動させる、という風に。

それは、後にわかってくる事だが、死神側についても同じで、
彼らも、それぞれ、何かを守りたいから戦っているという事がわかってくる。

興味深い事に、これは根源的なところで、非常に日本的な発想と考えられるのだ。
日本の武術は、戦国期の、純粋に人を効率よく殺すための技術から、近代に向かうにつれて精神性を高め、武術の種類や流派による差異はあるものの、おおむね、このような思想を発展させた。
・ 力とはみだりにふるうべきものではない。
・ 剣(武器)は、なにか(自分自身、自分が属するもの、身内など)を守るために抜くのが良い。
・ 理想的には、力を持つ事で自分の心を律し、それをもって相手を圧倒し、戦う前から勝つ。(それによって、おのれも相手も、命を無駄に落とす事はなくなる)。

卑近に考えると、
力とは、コントロールされていなくてはならないもの
なのだ。
そして、己のためにみだりにふるってはならないもの
でもあるのだ。

そして、このようなモラルがあって、初めて、力とは(真の)プライドとなり得る。

一護は、本巻より、「誰か(なにか)を守る」という、原動力によって動くだけではなく、
力をコントロールするというハードルを乗り越えて行く事になるのだ。


久保 帯人
BLEACH (8)
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2006-07-29 21:24:33

『刀神妖緋伝 (7) 』

テーマ:冒険・アクション
本巻では、まるっこ全部、
日本とアメリカと敗戦と日本刀の話。
単行本発行の時期を狙ったのか?
それとも単なる偶然なのか……?

まあ、それはともかくとして。

明治になって廃刀令が出ても、それは単に、刀を腰に帯びて歩かなくなっただけの話だったのではないか、と思う。
たとえば武士の血筋であるなら(いや、武士でなくても)、
家に刀の一振りくらいは、伝わっている事は、けっこう、あったのかもしれない。

しかし、それは、太平洋戦争の時、
軍刀として国外に持って行かれたり(そして戦利品にされて戻って来なかったり)
供出令の時、ただの「鉄」として供出されてしまったり
そうやって、かなりの数が失われてしまったという。

だが、それだけでなく、敗戦後、進駐軍が刀狩りをしたという話は、本巻で初めて聞いた。
(もっとも、裏付けはことさら、とってはいない)。
ありそうな話だと思う。

そうやって、数奇な運命をたどった刀もあれば、
遠い南の海とか、ジャングルで、人知れず朽ち果てていった刀もあるのだろうな。
それを帯びた主人とともに。
あるいは、主人とも、はなればなれになって。

そんな、刀に宿った「思い」は、年月とともに朽ちていったのだろうか。
それとも、まだ、さまよっているのだろうか。

本巻は、そんな物語を語っている。


新谷 かおる
刀神妖緋伝 7 (7)
2006年7月31日初版(発売中)
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2006-07-28 22:04:41

『七王国の玉座 III 』〈氷と炎の歌1〉

テーマ:海外SF・ファンタジイ
ハードカヴァー(上下巻)の、1巻3分冊目。
表紙には、ちょっと不気味な感じの男が描かれているが、これがティリオン・ラニスター、すなわち、キング・スレイヤーと呼ばれる「偉大な騎士(現・近衛騎士)」の、不肖の弟だ。

本シリーズでは、ともかく、人間というものが、
「現代人的な倫理や基準」
というものを、ばっさりと排して、
物語世界内での文化レヴェルにふさわしい状況を、容赦ない筆致で描いているのだが、ティリオンなどは、まさしくその典型であろう。

彼は先天的に、矮躯であり、かつ、歩行障害者である……というと、現代的というか、政治的に正しい言い方っぽくなってしまうが、あえて物語にふさわしく書くならば、
彼は、小人であり、しかも足萎えである。
そして当然、その文化レヴェルというか、社会状況にあっては、彼のような存在は、軽蔑され、忌み嫌われるのだ。たとえ、身内の間であったとしても(あるいは、身内であるから余計に)。

そして、物語に登場するキャラクターとしては、その事があいまって、ティリオンという男を非常に複雑なキャラクターにしているのだ。

すなわち、彼は、ラニスター一族の一員として、金持ちである。
そしてまた、それなりに、権力のおこぼれにあずかってもいる。
しかし、彼は肉体的に虚弱だ(それでも、一日中馬に乗り続けたり、斧をふるって戦える事を考えると、「現代人」よりスタミナがあるのかも)。
そしてまた、自分の一族に誇りを持ちながら、彼に対して冷たくすげない家族に対しては、憎しみをもいだいているようだ。
それだけではなく、彼には彼なりの道義心やユーモアもそなわっているのだ!

この男を間にはさみ、姉妹であるはずの(そして、本来、とても親しかったように見える)レディ・スタークとレディ・アリンの間が、妙にぎくしゃくしたものになっていく。

レディ・スタークこと、ケイトリンの妹は、アリン公の死に関して、スターク家に警告を発した女性だが、今回ようやく物語に登場する彼女は、すでにケイトリンが覚えている妹ではない。
虚弱な一人息子を溺愛する、いささか偏執的な女性として描かれる。
また、それに応じて、息子の方も、へたをするとティリオンより不気味なほど、
「とんでもなく甘やかされた若様」
の姿をさらしてくれるのだ。

物語、この部分の主役であるティリオンに加え、彼女とその息子を並べ、
まさしく、異形のキャラクターが奇怪なステップを踏む。


ジョージ・R.R. マーティン, George R.R. Martin, 岡部 宏之
七王国の玉座〈3〉―氷と炎の歌〈1〉
ハヤカワ文庫FT
2006年7月31日初版(発売中)
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2006-07-27 10:05:00

『奇岩城』

テーマ:ミステリ
奇岩城……!
なんと魅惑的な響きだろう。
このタイトルだけに心をときめかした、そういう経験のある人は、そっこく起立を!
1、2、3……うん、たくさんいるようだ。

しかしながら、このタイトルは日本独自のものなのだそうだ。
原題は L'Aiguille Creuse"、作中にも紹介されているとおり「空洞の針」であり、英訳版もこれにならっている(The Hollow Needle)。

それはそれで興味をそそるタイトルではあるものの、奇岩城という名前には及ばない気がする。最初にこの邦題をつけた日本の翻訳家、保條龍緒に惜しみない拍手を。

さて、この奇岩城こと空洞の針とは、なんと海岸近くとはいえ、海中からそそりたつ点に向かって尖った岩なのだ。
それは空洞であり、地下道をもって陸と続いていて、おまけに、永の年月、フランスの支配者にのみ伝えられてきた秘密の宝庫とされていた!
ヴァロワ家も、ブルボン家も、ナポレオンも、いやいや、さかのぼることフランスがガリアと呼ばれており、かのシーザーが軍団を進めて来た昔から、その秘密はごくごく少数の者にのみ伝えられ、最後にアルセーヌ・ルパンが受け継ぐ事になったのだと。
そして、ルパンの隠れ家として使われていたのだと。
ルパンが得た数々の秘宝、財宝が、集められ、展示されていたのだと。
そしてなによりも、ルパンの最高の宝、愛する妻レイモンドとの日々も、そこにあったのだと……。

ルパンものは、ただでさえ人気が高いけれども、その中でもファンの多い『奇岩城』は、
歴史ミステリ的な要素、
ロマンスとしての要素、
まずこの二つがあり、さらに、イジドール・ボートルレという少年探偵を配する事によって、ジュヴナイルとしても読める物語となり、(いやいや、かのルパンと、天才少年が対決するというその構図からして、面白いとも言えよう)、
幅広い層に支持される作品となったのだと思う。

もっとも、そこに、シャーロック・ホームズ(またはホームズを思わせる人物)まで登場するのは、いささか興ざめでもある。
むしろそれは、ホームズ(を、思わせるキャラ)ではない全くの別人であった方が、良かったと思うんだよなあ。
まあ、いずれにせよ、本作はルブランとドイルがコラボレーションしているというわけではないので、ここに登場するイギリスの名探偵は、単なる英国人名探偵であって
「同名のいかなり人物とも関係はありません」
としておくのが、良い(笑)。

ところで、作中、ボートルレはルパンのそれまでの活躍場所を、特定地域に集中していると看破するのだが、実際、ルパンの物語は北フランスを舞台にしている事が多いようだ。
ブルターニュ地方では、他に『三十棺桶島』なども、けっこう人気の高いものなんじゃないかな。
あちらも、ドルメンなどの巨石遺構が登場して、ローカル色を強めているけれど、そもそもあのあたりの海には、海底に沈んだ都の伝説などもあれば、潮が満ちると孤島と化す、モン・サン=ミシェル などもあり、荒涼としていて、かつロマンティックなエリアらしい。

日本人のルパン読者は、ポプラ社の子供向けの版から入った人が多いと思うのだけど、大人になってから再読する時には、そんなブルターニュ海岸の風景を思い浮かべながら読むと、なお楽しいかと思う。


モーリス ルブラン, Maurice Leblanc, 平岡 敦
奇岩城
ハヤカワ文庫HM
2006年5月31日初版
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2006-07-26 21:28:17

『鋼の錬金術師 (14) 』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
前巻が物語の、ひとつのターニングポイントであるとするなら、本巻は新たな局面がまさしく始まったという感じで、ちらり、ちらりと、あちこちに小さな疑問や事件の芽がちりばめられているようだ。
しかし、この時点で一番興味深いのは、シンの皇子リンだろう。

望んだのは、新たな罪。シン国皇子リンの想いが、新たな罪を産む。」

とは、腰巻にある言葉。
もとより、「敵」であるホムンクルスは、七つの大罪をそれぞれ名前及び特性として与えられているわけで、そう考えると、本巻でリンが迎え入れる運命は、ある程度、この腰巻の惹句にあらわされている事になる。

しかし、単にそれだけなのか。
罪をも飲み込み、受け容れようとするリンの姿勢は、一面、懐の深いものなのだが、反面、「欲深い」とも受け取れるわけで、さらに、もしかしたら別の含みもあるのかもしれないなどと、意味深な印象があるのだよなあ。
ここしばらくは、リンがどうなるのか、注目せずにはいられまい。

ところで、「欲が深い」というのは、しばしば、悪い事とされているのだが、
その根本は、生きようとする意志につながると思う。
生存本能が過剰に発揮された時、それは「欲望」となり、「罪」に数えられてしまう。
だが、その線引きは、誰が、どのように行うのだろう?

リンの求めた「罪」あるいは「真実」は、そこにあるのではないか。


荒川 弘
鋼の錬金術師(14)
2006年8月22日初版(発売中)
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2006-07-25 20:12:19

『訴えてやる!大賞』 マクドナルド裁判を知ってる?

テーマ:海外SF・ファンタジイ
アメリカで、ある男性が、
「自分が肥満になったのは、毎食マクドナルドを食べ続けたせいだ」
と、マクドナルドを訴えた!!
そんなニュースが日本にも伝えられたのって、数年くらい前の話だったっけ?
私のまわりでは、
「さすがアメリカ人(呆れぎみ)」
「さすがアメリカは裁判社会(呆れぎみ)」
「さすがアメリカ人(ツボにはまって涙を流すほど大笑い)」
というような反応が多かったのだけど、実はこの手の裁判、その1回だけではなかったのだそうだ。
それどころか、いくつかの州では、その手の訴訟を禁止する法律を発布しているほどなんだって。

えええ~?
マジですか?
っつか、柳の下のドジョウ二匹目を狙ってるってか?

常識的に考えるならば、あの手のファーストフードが、高カロリー食品であり、毎食喰ってたら成人病まっしぐらである事は、わかりそうなものだよな。
猫まっしぐらじゃないよ?
成人病まっしぐらだよ?
想像するだけで……
「いやすぎ」。

ではなぜ、あえてマクドナルドを(またはバーガーキングでもウェンディーズでもいい)、
「オマエが悪い!」
と訴えてみるのか?
その理由のほとんどは、
「マクドナルドなら儲けているから、少しむしったれ」
という事のようだ。

むむむむ。
そもそも本書はノンフィクションであるわけなのだが、
実際、そういうアメリカの現代社会をダイレクトにネタにした、パーネル・ホールのひかえめ探偵ヘイスティングス・シリーズなんて人気ミステリもあるほどで、
その実態は、平均的な日本人の想像を絶するものが、あるようだ。
また、それだけ、アメリカ人にとって身近な問題でもあるのだろう。

著者は、この手の「仰天もの」裁判をネット上のサイト StellaAwards.com に集め、レビュウ・論評し始めたわけで、それを本にしたものが本書。

サイトのタイトルにあるとおり、あまりにもスバらしい仰天裁判に、著者はステラ賞というものを与えている。
これは著者の創案ではなく、ウェブサイト開設以前に、ネットで発生した(おそらく無名の誰かが発信源となった)章の名前なのだそうだ。
ステラとは。
「道端によせた車の中でマクドナルドでテイクアウトした珈琲にミルクなどを入れるため、容器の蓋をあけようとした時、あやまってこぼした珈琲でやけどをしたという理由で、マクドナルドを訴えた女性の名前」
にちなんでいるらしい。

おおお(笑)。
またしてもマクドナルド。
(そして、珈琲が理由でおこされた仰天裁判というのも種類があるそうだ)。

なんかもう、ひたすら笑っちゃえるような、ばかばかしい裁判をケースごとに並べていきながら、
著者は、悪いのはそういう訴えを起こした人だけではなく、
それがまかりとおるような法制度や、社会そのものにもある、と結論を導き出していく。

もっともわかりやすいのは、アスベスト関連の諸ケース。
日本でも問題になっているアスベストは、当然、アメリカでも前から問題になっており、これまた当然のように、
「アスベストのために健康障害を起こした」
という訴えが頻発しているのだそうだ。
日本でも裁判はおこるだろう、と言うなかれ。
たとえば、その裁判の原告になる人を、弁護士が募集しているとしたら?
(アスベストに接した可能性がある人ならばOK。実際に病気になっていなくとも)。
それらの裁判による賠償金のせいで、アスベストを扱っていた会社が軒並みつぶれてしまったら?

体に悪いものを扱っていたんだから、まあそれは、仕方ないといえば仕方ないんじゃないの。
そう思うなかれ。

そのために、今実際にアスベストによる被害で病気に苦しんでいる人が、正当な補償を受けられなくなっているのだ、と著者は説く。
なるほど。
これはすごく問題じゃないか!

最初はすごく面白く笑える本なのだけど、最後は、なんとなく背筋がぞっとしてくるのが本書。

ああ。
夏だからホラーってことなんだね。

いやいや。
ノンフィクションなんですってば!



ランディ・カッシンガム, 鬼沢 忍
訴えてやる!大賞―本当にあった仰天裁判73
ハヤカワ文庫NF
2006年7月31日新刊(発売中)
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2006-07-24 23:28:06

『舞姫 テレプシコーラ (9) 』

テーマ:音楽・舞踊
スゴイ話だとは思うが、痛い話でもある。
正直、ちょっと読むのがつらい感じだ。
たとえば、六花のマイナス思考。
あるいは、千花の負傷と治療のプロセス。
治療にかかる費用や、おじいさん、おばあさんが味わう不幸。
周囲のやっかみもあれば、
その周囲にしたところで、ダイエットに大変な苦労を強いられる子とか、いやもう実に、どれもイタイ。

そのどれもが、実際にバレエを志す人が体験する事であろうし、
あり得べく事だと思うし、
どの「不幸」や「苦労」も、さすがは山岸涼子という迫真的な描き方なのだけれど、
9巻ともなればいささか食傷気味。
悪い見方をすれば、主人公が耐えて耐えて耐え抜いても次々に不幸が襲ってくる昼メロのような状況になっていると言えるだろう。

思うに、今、本作は、踊り手の「幸福」と「不幸」のバランスが、かなり悪いのではないだろうか。
不幸の側に天秤が傾きすぎているために、ひとつひとつは迫真的であるのに、全体的には、リアリティが薄れてきているんだな。

もちろん、主人公を支える大人たちは、驚くほど良い人たちが集まっているのだけれども、
子供たちの世界は(修行中の身とはいえ)、あくまでも不幸と苦労の連続であるようなドラマになっているのが、ある意味、惜しい。


山岸 凉子
舞姫(テレプシコーラ) 9 (9)
2006年7月29日新刊(発売中)
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