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2006-03-31 21:04:48

『ラーメン・ラビリンス』 ラーメンこそ懐かしの味

テーマ:日本SF・ファンタジイ
ラーメン・ラビリンス ラーメンが好きか嫌いか問えば、 「好き」と答える人の方が割合としてかなり多いだろう、と思う。
この食べ物、中国の麺料理がもとになっているそうだし、実際、中華そばとも呼ばれていたし、「中華料理店」で出されたりもするのだが、
源流である中国と比べても、日本の「ラーメン」が普及し、生活に溶けこみ、そして地方ごとに無数のバージョンがある事を考えると、今やそれは、
「日本の庶民料理」と言っても良さそうだよな。

とくに、インスタントラーメンは(笑)。

ラーメンを漫画に出したというと、真っ先に、松本零士の四畳半ものが連想されるのだが、こちらの漫画もすばらしい。
しかも設定が面白い。
なんと、近未来(あるいは並行世界)の日本では、ラーメンが法律で禁止された食べ物となっており、ラーメンGメンなるものまで存在するのだ。
そんな中、どうしてもラーメンを食べたいと願う人の、いわば救世主。
錬金術師ならぬ、錬麺術師が「どんなものからでも」銀の箸でラーメンを創り出すという奇蹟を演じてしまう。
うわーっ(笑)。
この突拍子もなさ。たまらないねえ。

季刊誌に4回連載されたものなのだそうで、シリーズとしては短いが、4編が単行本に収録されている。
なかでも楽しいのは、インスタントラーメンが登場する話。
ここでは、ぜいたく(本格的)なインスタントラーメンが流行った、80年代のラーメンが次々に登場するのだ!
その頃まず登場した中華三昧(ちなみに、今とは麺が違う)はもちろん、懐かしのマダム楊、そして、当時私が、こーよーなーくー、熱愛した、華味餐庁(かみさんちん)。
ううっ。どこかで復刻してくれねーかな……マダム楊と華味餐庁(3種類全部)を。
これらが店頭から消えるまでの間、鍋に2つ分くらいぶちこんで喰ってたよなー。
(ちなみに、このインスタントラーメン篇を描くための苦労譚も、面白い)。
……食いてー……。

そういや、これほど日本人に愛されているラーメンなのに、
ラーメン職人を取材したテレビ番組は数あれど、小説とか漫画ってあんまりないよなあ。
どこかにないのか! と思っていた人。
ラーメンがともかく好きな人。
ぜひ、この漫画を読もう!

面白いよ。


市東 亮子
ラーメン・ラビリンス
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2006-03-30 21:47:31

『白い殺意』 アラスカという特異な土地

テーマ:ミステリ
白い殺意 アラスカといえば。
北米大陸では、一番アジアよりのポジションにある。
きっぱりはっきり、アリューシャン列島をなかだちにして、シベリアとお隣どうし。
さらに、カナダを間にして、実はアメリカ合衆国なのだ。

でもって、北米大陸はどこもそうだが、当然、白人が到達する前からそこに住んでいた先住民が、アラスカにもいるのな。
しかし、合衆国本土の、たとえばチェロキー族とかポニー族とかナヴァホ族とかのような目には遭っていない。
それは、単に、西部劇に登場するようないわゆる「インディアン」として、侵入者である白人と戦って負けたり、居留地に追い立てられたりはしていない、という事らしい。

アラスカは、合衆国の正式な州になったのが、そもそも、遅い。
その分、逆にいえば、白人の被害をあまりこうむっていない、という事になるのかも。

ゆえに、単純に「アメリカン・ネイティヴ」として一括できるほど、他の州の先住民と同じような立場には立っていない。かなり微妙らしい。もちろん、それは、いろいろな、政治上の問題ってわけだな。

とはいえ、アラスカに住む「アリュート人」には、それなりの問題もある。
まず、居留地に押し込められた「インディアン(現在の、いわゆるアメリカン・ネイティヴ)」ほど、独自文化をぶっ壊されてはいないかわり、それに固執しようという者たちと、そこに反発する若者層とのジェネレーションギャップが存在する。
それは、また、自然公園に指定されているような、アラスカの自然をどの程度守るのか、それともある程度観光客に代表されるよそものを迎え入れて、地域の発展をめざすのか、という難問もある。
そんな中、世代の中間的年齢にあり、珍しくも高い教育を受けていて、かつ、都会で仕事についた経験のある「アリュート人女性」といったら?

そうだなー。
もちろん、こういう、民族的な問題や、性差・世代の問題や、地域的問題は、世界のどこにでもあるものだろうけれど、いずれにせよ、文化と文化のはざまに立たされてしまった者は、苦労をすると相場が決まっているらしい。

さて、主人公のカーティアは、まさしくそういう立場の女性で、アンカレッジの白人社会と、故郷のアリュート人社会のどちらにも、完全に属する事ができないでいる。
しかしながら、彼女は元捜査官であり、かつ、自然公園内は自分ちの庭のようによく知っているし、当然、アリュート人として、現地社会にもその一員として入っていける強みがあるわけだ。
だからこそ、辞任した今も、アンカレッジの検事局から、臨時の現地捜査員として働く事を頼まれちゃったりするんだな。

そこで発生した失踪事件は、殺人事件のにおいをプンプンとはなっているけれど、
被害者(仮定)が、新来のよそものであるばかりか、公園改革に熱心で古参の先輩をもものともしないレインジャー。それだけでも充分大変そうだけど、なんとまた、このレインジャーの「ぼうや」が、合衆国下院議員の令息ときたもんだ!
うわー(笑)。
アメリカとかアラスカの事情に詳しくない日本人だって、これだけトラブルのネタがそろえば、大変そうだってのはわかるよな。

事実、大変なのです( ‥)/

カーティアは、自ら、地域社会のしがらみに縛られながらも、捜査を進める事になるのだが、読んでいくうちに、だんだん、アラスカとアリュート人の現状がわかってくるような気がするのは、作者がことのほか、アラスカという土地を愛しているからだろうと思う。
また、先住民としてのアリュート人は、もちろん、いろいろと大変な状況だけれど、ナヴァホ族などと比較すると、いろいろな差がある、という事が描かれているのもなかなか興味深い。

事件の真相をとく鍵も、地域社会の病巣と根深い関係があり、その社会に自ら太い根を持っているカーティアには、かえってストレートに見えない構造となっている事も、物語の面白味になっている。


デイナ スタベノウ, Dana Stabenow, 芹澤 恵
白い殺意
ハヤカワミステリ文庫
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2006-03-29 15:52:06

『魁!!クロマティ高校(16)』

テーマ:その他
今回のクロ高、注目点は2つある!

まずひとつは、 表紙にいるこの男だ。
山口(アジシオ太郎)オン・ステージ。
誰だろう。
実写じゃんよ(笑)。
いや、誰でもいいんだけどね。
4コマ漫画ならぬ、4頁漫画(1頁が1コマ扱い)のショートギャグなのだが、笑えます。はっきり言うと、本編より冴えてる。
なんつか、クロ校の真髄です。ある意味で。

こういう、ワキのところがいいんだよな~(笑)。

もうひとつは、インターネット番長。
今回はこの人が主役、と言ってもいい。
例によってインターネットで、孤独な奮闘をするのだが、なぜかそれが現実とすれ違い、「ぷーっ」と笑えてしまうのだ。
しかも微妙にじわじわと「成長」してるってのが、そうかー、こいつも一応、高校生だったんだね。
そう思えてしまうところが、またまた「ぷーっ」なのだがな。

それにしても、本来主役だったはずの神山ふくめ、当初の常連キャラが、どんどん出なくなっている。
人気のメカ沢さえも。
そのあたり、実に惜しげがなく、淡々とキャラを使い捨てる……というより、流している感じがする。
ただ、モヒカン頭がトレードマークの林田だけが、相変わらず、ちゃんと登場しているのは、凄い。

でもまあ、いいんだろう。
タイトルからして、この漫画、主役はクロ高そのものだと考えられるわけだしね。


野中 英次
魁!!クロマティ高校 16 (16)
2006年3月17日新刊
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2006-03-28 22:58:06

『魔術師エベネザムと不肖の弟子』

テーマ:海外SF・ファンタジイ
今でこそ、魔術師といえば、人はたとえばガンダルフを想像したりなどして、
(あるいは、ライトノベルや漫画に登場するいろいろな魔法使いを連想して)、
なにやら偉大な力を持ち、想像外の事をしてのける、凄い人物である!
とイメージするんじゃないかと思うが、ファンタジイがそういう魔術師像を確立するまで、「魔術師」といえば、うさんくさいものの代名詞だったんじゃないかと思う。

さて、バーバラ・ウォーカーに代表されるような人類学者に言わせれば、そもそも、魔術というものは、女性の専有物だったのだ。
よーするに、魔術とは何かをクリエイトする事であり、
クリエイトするというのは、(出産能力のある)女性にしかできない事であり、
男なぞ関与できない分野だったのである。

しかしながら、社会が古代の女権制社会から、男が支配する世の中になった時、さまざまな、女性に属する力が、無理矢理男に奪われたり、または蔑視の対象となったのだという。
さしづめ魔術なども、男に奪われたもののひとつになるのだろうが、残念、男には、女のようには魔術が使えない。
そこで、一方では一種の哲学や神秘思想が混在する、無駄に衒学的なものとなり、
もう一方では、人の目や意識を欺く方向に流れた。

いわば、詐欺師と紙一重!

現代でも、優秀な占い師は、占いの技術そのものより、そのリーディング結果をいかにうまく相手に伝えるか、
いやいや、それよりもっと、相手がほんとに望んでいる事を読み取り、カウンセラーのように対応してあげる能力が大切なのだという。

本作に登場する魔術師エベネザムは、西の諸国に名高く、吟遊詩人に歌われまくる有名な賢者なのだけど、なんつか、その手の、うさんくさい魔術師にかな~り、近い。
もちろん、ファンタジイの登場人物なのだし、実際に魔法は使えるんだよ。
もしかすると、ほんとに、すごく有能なのかも。

ところがですね、ちょっとした事故により、エベネザムはとんでもない状況になってしまうのだ。
つまり。
エベネザムってば、「魔法アレルギー」にかかってしまったのだ(笑)。
花粉症みたいなもので、魔術とか妖術とか魔界の存在などが近づくと、
ハ~クシュンッ! ハ~クシュンッ! ぐずずずずずず……。
こうなってしまうんだ。

だから、エベネザムは、いやでもおうでも、「口八丁」で世を渡っていかなくてはならないというわけ。
だが、口八丁のみでも世渡りはできないので、未熟な弟子をうまく利用したり、
あるいは、発作が起きるまでのほんのわずかな時間で、可能な魔法を使うとか。
従って、いつも仕事の状態はギリギリの背水の陣。
おまけに、依頼主に逆恨みされる事もしばしば(おかげで命を狙われるはめに!)。

それでも、苦難を乗り越えて、厄介な魔法アレルギーの治療法がみつかる(かもしれない)、ヴァシタの都へと旅を続けるエベネザム(そしてその弟子)。
ファンタジイにして抱腹絶倒の珍道中とは、まさしく本作の事だろう。

さて、この作品、本作を端緒とするシリーズで、アメリカでは〈マジカルランド〉と並ぶ人気だという話なのだが、あれえ?
マジカルランドでも、しょっぱなで、オウズが魔力を失ってしまい、やむなく未熟者の主人公を弟子にして魔法を教えるっていうところから始まったよなあ?
もしかして、今、アメリカでは、そういうのが流行りなのだろうか?
もちろん、そうは言っても、マジカルランドとこちらは、全然スタンスもテイストも違う物語なんだけどね。


クレイグ・ショー・ガードナー, 冬川 亘
魔術師エベネザムと不肖の弟子
ハヤカワ文庫FT
2006年3月31日新刊
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2006-03-27 22:00:14

『雨柳堂夢咄 其ノ十一』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
骨董というのは、誰かが使った品、それもおそらくは、愛用した品のような、人の「思い」がこもった品という事だろうか。
そうであるからこそ、物の怪がうろついたりもするのだろう。
いや、「夢咄」とは、よくぞつけたものだ!
そして、思いのこもった品々が並んでいるからこそ、骨董屋には、ゆっくりとした時間が流れているものと思われる。

いわゆる「近代文明」というものは、どういうわけか、どんどん、人の生活時間を加速している。
ひたすら速く、もっと速く、さらに速く!
あまりにもめまぐるしいため、それに追いつくだけで、人は疲れてしまう。
だからこそ、「スローライフ」などというものが、最近もてはやされているんだろうな。

しかし、そのスローライフというやつは、やろうと思ってやれるものでもないようだ(笑)。
ならば、こんな漫画を開いて、ゆっくりとした時間に、ひととき浸るのも、いいんじゃないかな。

目次---------------------------
秋の鈴音
霊果
鹿鳴草
茶師の家
春の猫
銀の台・金の盃
夏の言問い
-------------------------------

ところで、今回は、贋作師と釉月の物語に属するエピソードは全くない。
だから、この巻だけとりだして楽しむ事ができそうだ。
スポット的に、この1冊だけ買って読むというのも、たぶん、ありだろう。

神と悪魔に二分されていない日本の霊界とは、本来、この物語に語られているようなもののはず。
善悪とは違う次元で、人の世界と少し重なり合った、「物の怪」の世界。
それは、日本にあって、そもそも、人のすぐ近くにあったのだ。
その玄妙さが、どこか懐かしく、なじみ深い気持ちにさせてくれる。


波津 彬子
雨柳堂夢咄 其ノ十一
2006年3月30日初版(発売中)
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2006-03-26 21:09:04

『ファイアストーム -火の星の花嫁-』

テーマ:日本SF・ファンタジイ
ファイアストーム 花嫁は、常に美しい。
それが、花嫁自身が望んでの結婚であるのなら。
しかし、花嫁の姿は、悲しい。
それが、人身御供であるのなら。

さあ、ご覧あれ。
この可憐で、妖しく、儚げな少女が、その花嫁だ。
彼女の名は、マーシャ。
マーシャ・ミクロフローラ。
彼女の使命は、火星のテラフォーミングを可能にする奇蹟の植物、ヴィシュニアと「結婚」すること。
その結婚により、ヴィシュニアは太古の遺伝子を活性化させ、火星に大量の酸素をもたらす。
それをベースに、人は火星を緑化し、その地で自活する事ができるようになるはずだったのだ。
はたして、そんな事が可能なのか?

それは、今まで物語られた中でも、かつてない、ユニークな異類婚の物語だ。

また、テラフォーミングと火星という、古くから好まれたSFのテーマとしても、この物語はとても面白いのだ。
ヴィシュニアという植物が面白い。
SFの中でテラフォーミングに植物を使うといえば、たいてい、藍藻の一種が使われる、それが定番なのだけれども(まあ、地球のなりたちを考えると、それが一番可能性が高いから、という事なんだろうね)、ヴィシュニアはただの藍藻ではないのだ(笑)。
なんと、それは、暗黒光合成ができる、という設定。
うわーそれはなんですか!
不気味かつ魅惑的な響きがあるだろ?
暗黒光合成。
言語矛盾がありそうにも思うが、 地球の植物が一部の可視光線だけを使って光合成をするのに対して、こいつは、どのような光線でも、光合成に使えるのだそうだ。
赤外線に紫外線、そしてなんと、電波までも!
うわー。
実在したら、これはもう、無敵だよなあ。
深海や宇宙などの過酷な環境でも、育てやすいということになるだろ。

だが、そんなに都合よく、事が運ぶのだろうか?
いやいや。
なぜか、ヴィシュニアは火星でうまく育たない。
それはなぜなのか。
そこをつきつめた結果、マーシャという存在がつくりだされることになった。
それは、「酸素呼吸をまだ知らない植物」であるヴィシュニアに、酸素呼吸の事を、DNAレベルで教えるため。だからこその結婚なのだが、その「結婚」の内容も、凄い。
マーシャは、文字通り、その身も心も、ヴィシュニアに捧げ尽くさなくてはならないんだよ。

さあ、もしもマーシャが友人であったなら、そんな「結婚」に君は耐えられるか!
しかも、その「結婚」はどうしても必要だし、マーシャ自身もそれを望んでいるとしたら、どうする?
そして、マーシャとヴィシュニアはその「結婚」を生き延び、火星に緑をもたらす事はできるのだろうか?
また、ヴィシュニアと火星の、切っても切れぬ因縁と、とんでもない遺産とはなにか?

火星の物語は、古くから、たくさんのSF作家が、さまざまに描いてきたけれども、
もし、火星の物語の「殿堂」というものがあるとしたら、この物語は「殿堂入り」しても良い物語だと思うのだ。

さて、秋山完作品が好きな人ならば、もうひとつの点で、興味深い。
それは、『ラストリーフの伝説』のメインテーマとなった植物、春紫苑が、ここでも無言の、そして重要な脇役として登場することだ。
そして、ラストリーフとは違う形での、不思議な春紫苑の存在を、楽しむ事ができるのだ。

路傍に咲く、なんの変哲もない雑草、春紫苑。
その優しさが、作者はほんとうに、好きなのだろうなあ……。


秋山 完
ファイアストーム―火の星の花嫁
ソノラマ文庫
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2006-03-25 21:59:21

『鋼の錬金術師(13)』

テーマ:日本SF・ファンタジイ

ハガレン前巻は、ひたすらアクションシーンという感じだったのだが、今回は違う。
いやあ、ファンタジイのマニアとしては、こういう展開を待っていたのだよ。

なんでも喰っちゃうグラトニー。
なんと、こいつの体は、前面がぐわっと開くのだけど、肋骨に縁取られたその「口」に喰われたものは、いったいどこへ行くのか?
なんといっても、グラトニーは、何をどれだけ喰っても、その分、排泄するという様子がなかった。
ゆえに、生物が食物を消化するようには、なっていないと考えられる。
(もちろん、漫画なのだから、単にそういうものへの言及は避けていただけ、という可能性も残るが)。

その回答が、今回みごとに提示されるのだ。
しかも、グラトニーに飲まれた先にあったものが、なかなか凄いのだ(笑)。
いや、グラトニーの存在意義が、興味深いと言った方が良いかもしれない。

もうひとつ面白い展開は、大総統支配下の国が、実はどのようになりたち、軍部が今どうなっているのかというのが、とうとう明らかになる。しかも、その過程で、キング・ブラッドレーの過去まで語られちゃうのだ。
それは、SFファンとしては、いささか陳腐ではあるものの(笑)、
「ふぅん、そうか、そういうことか」
とうなずける部分も多い。

ここまで来たら、物語のクライマックスまであと一歩!(かもしれない)。
のぞむらくは、もう3ひねりくらいしてほしいのだが。
しかし、グラトニーの事といい、かなり期待できる事は確かだ。

うん、今回のハガレンは、なかなか面白いよ。

ところで、最近は人気の漫画は、DVDでもあるかのごとく「初回限定版」が出ることになってるようだ(一部の出版社だけかもしれないけど)。
ハガレン、今回の初回限定版(右の画像)は、トランプだそうな。
私は別にトランプなどほしくはないので、通常版を購入したが、こういう付録も、コレクターズアイテムになっていくのかなあ。


荒川 弘
鋼の錬金術師 13
鋼の錬金術師(13) 初回限定特装版
2006年4月22日初版(発売中)
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2006-03-24 22:49:15

『天象儀の星』 様々な光の物語

テーマ:日本SF・ファンタジイ
天象儀の星 天象儀とは何?
もっとなじみ深い言葉で言うならば、それはプラネタリウムだ。
天文好きなら、絶対に魅了されてしまうプラネタリウム。
今は、ちょうど、個人用の手軽なプラネタリウムが人気商品になっているけれど、星空のどんな部分も、思いのままに映し出せるあの機械を、自分のものにしたいと思う人は、やはり多いという事なのかな。
なぜなら、それは、星空の一部を自分のものにすることだからね。

そういえば、プラネタリウムというのは、製作者の思うがままに、どんな空でも投影できるのだけれど……。
もし、それが、実際の夜空に、あり得ない星空を映し出せたとしたら?

星は光。
光は時。
ならば、プラネタリウムが時空を超えることも、あるいは、可能なのかもしれない。

さて、そんなプラネタリウムの物語を冒頭におく、これは短編集だ。
ソノラマ文庫に入っているというと、ライトノベルか、というイメージが強いと思うけれど、とんでもない。
どちらかというと、SFマガジン好みのものに近いと思う。
プログレッシヴなところはないが、SFファンがじっくりと味わえる、さまざまな、「光」の物語が連ねられている。

たとえば、デジタルの光と、虹の七色。
あるいは、画家の目がとらえる繊細な光。

いや、それだけではない。
福音書にあるとおり、「光あれ」の一言で宇宙が始まったとするなら(いや、実際にそれに近い説もあるのだけれど)、世界を創始したその「光」のかけらが、まだどこかに存在するのではないか?
短編集のラストを飾るのは、まさしくそのテーマを、モーツァルトの有名なオペラ『魔笛』にからめた作品だ。
(ただし、この作品に関してのみは、あの秘教的な……というか、フリーメイソン的な雰囲気が充分にいかされているために、かえって大抵の読者には、やや読みづらいかもしれないが)。

スライドショーのようにうつりかわる、さまざまな「光」の物語。
スリリングなものもあれば、
ハートウォーミングなものもあるし、
メルヒェンを思わせるものもある。

目次------------------------
天象儀(てんしょうぎ)の星
まじりけのない光
ミューズの額縁
王女さまの砂糖菓子(アルフェロア)
光響祭
----------------------------


秋山 完
天象儀の星
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2006-03-23 23:05:21

『くまさん くまさん なに みてるの?』

テーマ:絵本・児童文学
これは、ほんと~ぅに小さい子供のための絵本。
基本、「なにみてるの?」と問いかけながら、動物と色をくみあわせて追いかけていくという仕組み。

しかし、それは、常識が身に付いた大人が、一般的に考えるような組み合わせとはちょっと違うものもある。
たとえば、むらさきのねこ、とかね。
もちろん、全部が全部そうというのではなく、しろいいぬ とか、くろいひつじ のように、実際にある組み合わせのものも、多いけど。

ともあれ、絵本であるからには、その組み合わせごとに、見開きで絵が描かれてる。表紙にあるように、なんともやわらかいラインの絵だ。

ところで、この絵本の良いところは、そうやって動物を追いかけながら、さいごには、動物たちが、「おかあさん」を見ているところ。
それだけでなく、「おかあさん」が、みんなを見ているところ。

別に、これといったストーリーはないんだけれど、この不思議な連鎖が、ほんわかと、
「人も動物も、実はつながっているのだ。お母さんと子供のように。人と人のように」
というようなことを、さりげな~く語っているかのようだ。


エリック=カール, ビル=マーチン, 偕成社編集部
くまさん くまさん なにみてるの?
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2006-03-23 22:31:40

『リバティ・ランドの鐘』 遊園地に軍艦が攻め込んできた!

テーマ:日本SF・ファンタジイ
リバティ・ランド リバティ・ランドは遊園地。
銀河の辺境までもあちこち巡る、巨大な宇宙遊園地なのだ!
その様子はといえば。
そうだなあ、巨大な宇宙コロニーがそっくりTDLである。
そんな感じのものを想像すれば、良さそうだ。
ただし、キャストのうち、生身の人間は園長を含めてたったの3人。
あとは、全てロボットなのだ。

そう、アシモフの三原則に拘束されるロボットだ。
しかも、彼らは、遊園地のロボットなわけだから、ひたすら、
「お客さまである人間を歓迎し、楽しませること」
これが優先至上命令だ。

ところが、なんとそこに、とんでもない招かれざる客が訪れる。
それが、ナパージという、宇宙最強の軍事組織にして奴隷商人だったわけだ。
さあ、どうするリバティ・ランド。
当然、遊園地は、まったくの非武装だ!

……これは、私がベスト3に数える、秋山完作品なのだ。
なにしろ、まず、楽しい。
遊園地が舞台というのが、すごくいい。
子供の心を思い出したい大人や、
今現役の子供である、子供たち。
でも、よほどお金持ちであったり、恵まれた環境であったりするのでなければ、大抵の子供は、そんなにしょっちゅう、遊園地には行けないだろ。
だから、遊園地というのは、夢のくに、憧れのくにでいられるのだよな。

だからこそ、遊園地は「凶悪な敵」ですら、それが人間であれば、お客さんとして迎えてしまう。
もちろん、リバティ・ランドは、攻めてくる敵に対して、抗戦するんだよ。
でも、そのやりかたが、非常に面白い。
いや、抗戦するロボットたちは、涙するほど、けなげなのだけど、(いや、ほんと、泣けます)、
まあ考えてもみたまえ。
遊園地に攻め入るロボット兵器!
だが、それを迎え撃つ遊園地側は、歓迎の歌やパレード、お菓子の津波やお菓子の雲、お菓子の海で応戦するわけ。
しかも、銀河で無敵であるはずのナパージは、なぜかそういう、とんでもない「民生品」で、とてつもないダメージを受けてしまう。
どういうのかって?
それは読んでのお楽しみ。ここで言ってしまっては味気ない(笑)。

しかも、それは全て、ロボット三原則にもとづいている。
ここらへんは、SFファンの心をうま~くくすぐるポイントだ。

さて、このロボットなのだけど。
だいたい、日本人は、ロボットというものと親和性が高いのだ。
なぜか?
それは、日本人の生活が、「人形」と深く関わってきたから。

まじないの形代としての人形にはじまり(ここに、たとえばひな人形も含まれる)、
そもそも、器物であっても大切にされたものには一種の魂が宿ると考える文化、
また、江戸時代のからくりに見られるような、精巧な細工物に価値を認める民族性。
こういう土壌から、日本人のロボット好きは、生まれ育っていったと言って良いだろう。

だからこそ、ここに、ロボット三原則と、人間そっくりのロボットというものが登場した時、
「人間に尽くしぬくロボット」
この存在に、思い切り、感情移入してしまう。
(実際、そういうロボットをテーマにした作品は好まれるし、日本人の手によるその手の作品は実に多い)。

そして、リバティ・ランドのロボットたちは、人間タイプも、動物タイプも、全て含めて、まさしくそういう
「人間に尽くしぬくロボット」
これの典型だ。

だが、それだけなら、単なるお涙頂戴物語で、いまいち面白くなくなるだろう。
(ていうか、単なるソープドラマだ)。
そこへ、人間と共生するロボット兵器という存在を対極のものとして持ち出したうえ、
はたしてこの戦いが、人間どうしのものなのか、
それとも、ロボットどうしのものなのか、
そういうミステリーをスパイスとして投げ込み、

最後に、伝説の「リバティベル」がいったい何であるのか、という物語のゴールを示す事で、素晴らしいドラマを作り上げている。


秋山 完
リバティ・ランドの鐘
ソノラマ文庫
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