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2004-11-30 21:28:21

惑星ソラリスのこと

テーマ:海外SF・ファンタジイ
テトリスではないぞ~。ソラリス。ソラリスです(笑)。
古手のSFファンにはおなじみの名前。10代のSFファンに言うと「なにそれ?」と言われてしまう、SFの古典だ。
まあ古典っていうと、
「名前だけ知ってるけど読んだ事なーい」
と言われるものと相場が決まっているのだが、これは今読んでも新鮮なSFだと思うのだよな。

なんといっても、これだけ壮大なエイリアンは、いないだろうと思う。
今更ネタバレという事もないだろうと思うので書いてしまうが、惑星の海そのものが、ひとつの生命体なんだよね。

映画化もされているので、映画で知っている人も多そう。(そういえば、映画のリメイクもされてるね)。
できれば、映画は、ソビエト映画の方を薦めたい。やはりあの独特の雰囲気は、ハリウッドに代表されるアメリカ映画には出せないもののような気がする。
余談だが、ソビエト映画の方の「ソラリス」では、東京の首都高がロケ現場に使われたのだそうだ。
「えっ。そうなの? どんな感じ?」
とか思うでしょう( ‥)/
見たくなるでしょう?
見れば、小説の方も読みたくなるかも。
(きっかけは何でもいいのだ、なんでも(笑)
読了したら、きっと、
「なんかわからないけど凄かった」
っていう印象は、絶対に残っているSFだと思う。

『ソラリスの陽のもとに』(スタニスワフ・レム作 ハヤカワ文庫SF)



著者: スタニスワフ・レム, 飯田 規和
タイトル: ソラリスの陽のもとに
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2004-11-29 22:37:52

〈デューン〉翻訳家矢野徹の思い出

テーマ:海外SF・ファンタジイ
今月号のSFマガジンは、矢野徹追悼号となっていた。日本のSF界重鎮の一人、矢野徹さんが亡くなられたからだ。

矢野徹、といえば、私にとって真っ先に思い浮かぶのは……。
作品としてはいろいろあるのだが、ご本人と直結して結びつくのが、フランク・ハーバーとの〈デューン〉シリーズなのだ。
高校時代、これにどっぷりとはまっていて、自らがSFファンでもあると自覚していた頃、たまたま、とある海外SF作家の歓迎パーティーで、お話しする機会があった。その時、シリーズの4作目を、私は必死にペーパーバックで読んでいたところで、その夜も、それを持っていたのだ。
「高校生でデューンに挑戦するのは凄いね」
と言われたのを、よく憶えている。
もっとも、問題の4作目は、ちょうど訳をし終えられ、
「年明けくらいにハヤカワから出ますよ」
そう言われて、非常に焦った。何しろその時には、半分弱しか読み進めていなかったし、高校時代はペーパーバックを読む速度は非常に遅かったのだ!

ファンに対しても、終始もの柔らかで、紳士である一方、ブランデー大好きで、明朗に「よっぱー」する人だったと思う。
まさしくその点では、SF大会の「狂瀾酒場」マスター。

今、〈デューン〉を再読しても、翻訳文にはまったくよどみがなく、どのキャラクターも魅力的に描かれている。
英語の場合、日本語ほど、性別・年代による言葉の差がないので、台詞の訳は、翻訳家の手際で良くも悪くもなってしまうものなのだが、矢野訳では、ほんとうに、
「このキャラにこんなしゃべらせかたするの?」
なんて読者が疑問に思うところなどひとつもなく、長いシリーズでも、その作品ごとの専門用語(SFには、よくある)の表記・訳し方に齟齬がなく、ていねいに仕事をされた方だったのだと実感できる。

実を言うと、〈デューン〉を英語で読んだ時には、矢野訳で読んだ時ほどの魅力を感じないのだ。これは、単に私の英語力の問題もあるのかもしれないけれども、それ以上に、訳文の魅力が大きく作用していると思わざるを得ない。

SFマガジン585号(2005年1月号)に掲載されている、翻訳リストをつらつらと眺めつつ、矢野訳でなかったならば、好きにならなかった作品も、きっとたくさんあったのだろうと感じた。

最後になってしまったが、ご冥福を心より、お祈りいたします〈合掌)。

〈デューン〉 (フランク・ハーバート作 矢野徹訳 ハヤカワ文庫SF)


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2004-11-29 21:37:29

『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

テーマ:海外SF・ファンタジイ
胸にじぃんとくるような、美しい幻想譚である。そう、ファンタジイというより、幻想譚。小説というより、文学と呼びたいと思う。

キンタナ・ロー。耳に快い響きの名前だけど、どこだろう? 日本ではSF作家として認識されているティプトリーであるから、異星だろうか? いや、違った。それは、ユカタン半島にあるらしい。
じゃあ、ユカタン半島って? それは、メキシコにあるらしい。
いずれにせよ、あまり日本人にとって馴染みのある場所ではないのだが、ユカタン半島は、(今でも)マヤ族が住んでいるところなのだそうだ。

マヤ族……。マヤ文明。まだまだ謎の多い民族だし、文明でもある。そんなマヤ族の幻影と、アメリカ文明の侵略を受けている、美しい熱帯の海。そのふたつが、三つの短編を通して、不思議な織り目をなし、美しい絵を作り上げている。

但し、その「美」は、「恐怖」と常に紙一重である。
「美」と「恐怖」が表裏一体になっているものとは、「魔」あるいは「神」ではないだろうか。

また、それらは、マヤ族がメキシコという国家、アメリカという現代文明の形に浸食されているように、「失われつつあるもの」、「滅び行くもの」の美しさと恐怖でもあるのだ。そして、ことによると、滅びの向こうにある「まほろば」をかいま見せているのかもしれない。

すなわち、それは、語り手である老いたアメリカ人と、彼の目を通して見ている我々読者にとって、「伝え聞く事はできても、決して手の届くことはなく、見ることすらできない光景」なのだ。

すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた 』(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア作 ハヤカワ文庫FT「プラチナ・ファンタジイ」)
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2004-11-28 22:33:56

『西城秀樹のおかげです』 SFという土を得た官能小説

テーマ:日本SF・ファンタジイ
/>官能小説、というと、ちょっと古くさく聞こえるだろうか? だが、エロティックなこの短編集は、断じて、ポルノとは違う。日本のポルノ業界とゆーのは、小説においても、ストーリー性を求めない。まあ、AVなんかもそうだけど、「ひたすらヤッてればいい」。作者はそう要求される。理由は、「読者はセックス描写だけを求めてるから」だそうだ。ストーリー性のあるものを書こうとすると、リテイクをくらってしまうのだ!(笑)

まあもちろん、そういうものを求める読者が大半なのかもしれないけれども、そういう土壌では、官能小説は生まれない。官能小説は、確かにセックスを描写しているかもしれないが、そこにストーリーがあり、読む人の性欲ではなく、感性に訴えかける、エロティシズムが必要なのだ。

幸い、SFというのは懐が深いもので、エロティシズムの花だって咲かせる事ができるのだ。それが、この短編集というわけ。

かといって、SF的なところはとってつけたようなのかといえば、もちろんそういう事はなくて、なかなかぶっとんだオチだったり、仕掛けだったりするし、なんと、腹を抱えて笑えてしまうものもたくさんある!(でも、あくまでも、官能なんだよ)。

そう考えると、非常に希有な小説ではあるまいか?

実を言うと、ここに収録された短編のほとんどは、他のアンソロジーなどが初出で、そちらで読んだ事があるのだけれども、こういう素敵な作品群をまとめて読めるのは、やっぱり、オイシイ。

『西城秀樹のおかげです』(森奈津子作 ハヤカワ文庫JA)
 ○ 西城秀樹のおかげです
 ○ 哀愁の女主人、情熱の女奴隷
 ○ 天国発ゴミ箱行き
 ○ 悶絶! バナナワニ園
 ○ 地球娘による地球外クッキング
 ○ タタミ・マットとゲイシャ・ガール
 ○ テーブル物語
 ○ エロチカ79



著者: 森 奈津子
タイトル: 西城秀樹のおかげです

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2004-11-27 22:54:23

『魔界の神殿』 真実の剣第4部完結

テーマ:海外SF・ファンタジイ

今、ハヤカワ文庫FTが力を入れてる2シリーズのうちのひとつ。〈真実の剣〉。これも、〈時の車輪〉同様、原書の1冊を5冊くらいにわけて、出しているようだ。しかも月刊じゃなくて隔月刊なので、毎度、
「続きはやくー」
になってしまうのだが……(笑)。

比べると、〈時の車輪〉のように豪華絢爛ではないけれども、伏線を思わせぶりに張って、引っぱるのがうまい作家だなあ、と思う。(その点、〈時の車輪〉の方がある意味単純と言える)。で、今回は完結編であるから、この第4部で問題になった事が、いろいろと解決されるわけで、おまけに、最後の最後まで、二転三転するというめまぐるしさ。今回は、
 ○ リチャード視点
 ○ カーラン視点
 ○ ゼッド視点
 ○ ヴァーナ視点
この4つというか、4人のキャラ中心にそれぞれのイベントが展開してるため、たたみかけるように場面が切り替わること、ほんと、めまぐるしいという他はない。ここらへんが、ジェットコースター効果ってやつで、どんどん先を読ませてしまう構造になってるんだと思う。

それにつけても、この作者は、登場人物をいじめるのが好きだよなあ。もちろん、物語の登場人物、特に主人公ってやつは、苦労するからこそ物語になるわけなんだけど、そういう事を割り引いても、この物語では、登場人物みんなが、ヒドイめに遭い続けるのだ(笑)。キャラも惜しげなく、殺しちゃうしね。もっとも、それが、おざなりじゃなくて、ちゃんとストーリー上死ぬべくして死んでるというのは、お見事。

それでも、リチャードもカーランもヴァーナも、〈その他のキャラも)、しっかり苦難に耐え抜いている姿勢は、読んでいて元気になるような感じがする。落ち込んだりヤケになったりする事はあるけれども、ちゃんと、そこから浮上してくれるのだ。これもまた、ある意味、希有な事じゃないかな。

そう考えると、彼らは、雑草のごとく強く生き抜く人々と言える。
実にたくましいです( ‥)/

また、それだけ苦難が大きいからこそ、最後のみごとなハッピーエンド(一応ね)が際だって見えるんだろうな。単純な構図だけれども、そこまでの展開の速さに、結局乗せられてしまう感じ。今回のラストは、特に、待ちに待ったイベントが控えているので、読んでいてハッピーになれてしまう。

夢中になれるファンタジイのシリーズを読むという事なら、損はしないと思う。

『魔界の神殿 5 奇跡の呪文』〈真実の剣〉シリーズ (テリー・グッドカインド作 ハヤカワ文庫FT)



著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿2・赤い月・



著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿3 ―死せる子どもたち―



著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿4 -風を探して―



著者: テリー・グッドカインド, 佐田 千織
タイトル: 魔界の神殿5・奇跡の呪文・
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2004-11-27 14:41:17

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』

テーマ:海外SF・ファンタジイ
言わずとしれた、フィリップ・K・ディック(PKD)の代表作である。映画『ブレードランナー』でご存じの方も、きっと多かろうと思う。タイトルが長いので、「アンドロ羊」なんて略して言ったりする事も多いのだが、私が昔、まだこの本を読んでいない頃、タイトルから受けた印象は、
「長い」
「アンドロイドは夢なんて見るのか?」
「なんで、電気羊なのか?」
という3つに集約される(笑)。でもって、「長い」のはともかく、あとの2つは、実のところ、この物語のテーマでもあった。

というのは、物語は、「レプリカント」と呼ばれる人間そーっくりなアンドロイドが、彼らには禁じられている、地球への侵入をはたした事。それをあばき、始末するのが仕事である男が主人公である、というのが中心に作られているのだ。
ほんとのほんとに、人間そーっくりなアンドロイドを、人間と見分けるには、どうしたらいいでしょう?
それは、人間らしい心を持っているかどうか、ということ。ちょっとこれだと曖昧だし範囲が広すぎるので、具体的には、命(動物)に対する感情移入ができるかどうか、でテストをするのだ。
その一方、人間らしさを保つため、人間はペットを飼うのが通例になっている。でも、環境汚染がひどい地球では、生きたペットは凄く高価なので、たいていは本物そっくりの人工の動物を飼っているのだ。(しかも、それはご近所の手前恥ずかしいので、人工であるということは、隠して)。

なわけで、アンドロイドは夢を見るのか?
それも、(感情移入の対象であるペットとしての)羊を。人間は、本物の羊を飼う夢を見る。睡眠中に見るってんじゃなくて、「羊がほしいなあ」という夢ですね。
本物の羊でなければ、なんとか手に届くくらいの値段の、人工の羊(電気羊)でもいい。
アンドロイドはそういう事を、考えるか?
タイトルの意味は、だいたい、こんなところであろう。

「本物そっくりの人工の人間、または異星人」というモチーフと、
「何者かが(ひそかに)人間社会に侵入してきている」というモチーフ。
これは、PKD作品に頻繁にあらわれるものなのだが、『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』においては、病気のために、「人間とアンドロイドを見分けるためのテスト」に合格できないかもしれない本物の人間、というのも出てくるのだ。
限りなく人間そっくりのアンドロイド、「レプリカント」。
アンドロイド並に創造的な能力、感情移入能力などが低下しつつある、「人間」。

ならば、人間とアンドロイドの間は、どこに線が引かれるのか。線を引くのが、本当に可能なのか! 本物か偽物かという境目が曖昧になった時の、深々たる恐怖感が、こみあげてきませんか?
下手すると、「自分はほんとうに人間だったっけ?」なんて考え出すかも。

映画の方には出てきませんが、小説の方には、ペットの存在とは別に「マーサー教」という一種の宗教も出てくる。これは、延々と、投石を受けながら苦難の道を進む男に、機械を通じて同一化し、没入するというのが、いわばお祈りのかわり。
感情移入能力を保つとか磨くとかするためらしいのだが、機械化された苦行っていうのが、なんか面白い。ロッカー式の墓地を持つ日本のお寺なら、将来的にそれに近いものを出すかもなあ、って気もする。ヴァーチャルリアリティーで体験する山伏の修行とか、そういうの。もうちょっと手軽に行くなら、座禅でもいいかも。

そういえば、舞台となっているのは、未来のロサンジェルスなんだけれども、その下町には、スペイン語と中国語と日本語が渦巻いているらしい。映画でも、ビルの壁面を占拠する「強力わかもと」のCMが登場してました。

何度読んでも、面白いところもあるし、いまひとつ、ピンと来ないところもあるけれども、PKD作品の中では、やはりこれが好きだなあ。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 』 (フィリップ・K・ディック作 ハヤカワ文庫SF)

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2004-11-27 13:53:04

『トリポッド 1 襲来』 もうひとつの宇宙戦争

テーマ:海外SF・ファンタジイ
表紙がね、とってもポップなんだよ。赤と黒だけで描かれていて、ソフトでポップなフォントの『トリポッド』というタイトルの下、黒くてアナクロで見慣れた(といってもSFファンにとってはだけどね)、タコ頭三本足触手付きの機械がぬっと立っている。

「あ~、あれね。ウェルズの『宇宙戦争』でしょ」
実際、『宇宙戦争』は、古典とも言えるSF作品だし、それに着想を得た二次作品も、たくさん世に出してるのだ。これもそのひとつだろう、と、手に取った時は、単純に考えた。

確かに、いきなし世界各地へどすんどすんと三本足のタコ頭の機械が下りてくる。これは、『宇宙戦争』とおんなじだ。ところが、連中、「殺人光線」ビビビッ で人を殺したりしないのだ。しかも、あっけなく、ミサイルの攻撃でやられちゃう。ここらへんから、様子が変わってくる。

なんと奴らは、『宇宙戦争』とは全く違う方法で、地球征服を開始したのだった。

手法は奇想天外というほどではないし、経過には、ハインラインの『人形つかい』を連想させるところもあるけれども、子供視点で語られる侵略の様子は、なかなか生々しく、逃避行にはどきどきし、行き詰まるようなスリルを憶える。

但し、これは、当初書かれた三部作の、前日譚にあたるのだそうだ(但し現在はこれを入れて四部作として扱われている)。なので、この後どうなるかは、隔月で発行されるらしい新刊を待たなくてはならない!

SFとはいえ児童文学だし、1冊が薄いので、すぐ読めちゃうから、読者としては、まとめて出すか、さっさと次を出せーと言いたいところ(笑)。そういえば腰巻には、「ウォルト・ディズニー映画化決定!」なんて書いてあるけど、いつ映画になるんだろう? アニメか? それとも、実写か?
文庫本の、とってもポップなイラスト(イラストレーターは西島大介)で物語が頭に入っちゃうと、ディズニーアニメになるのは、ちょっとつらいかなあ。

トリポッド 1 襲来』 (ジョン・クリストファー作 ハヤカワ文庫SF)
『宇宙戦争』 (H・G・ウェルズ作 創元SF文庫)
『人形つかい』(ハインライン作 ハヤカワ文庫SF)


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2004-11-26 21:47:41

『現代民話考』全12巻

テーマ:神話・伝説・民話
都市伝説という事で、思い出したのがこの全集なのだった。といっても、都市伝説ばかりを集めたというのではなくて、文字通り、現代の民話、つまり、今、語り伝えられている話を、テーマごとにわけて蒐集した本なのだ。

1 河童・天狗・神かくし
2 軍隊 徴兵検査 新兵のころ
3 偽汽車 船 自動車の笑いと怪談
4 夢の知らせ 火の玉 抜け出した魂
5 死の知らせ あの世へ行った話
6 銃後 思想弾圧 空襲 沖縄戦
7 学校 笑いと怪談 学童疎開
8 ラジオ・テレビ局の笑いと怪談
9 木霊 蛇 木の精霊 戦争と木
10 狼・山犬 猫
11 狸 むじな
12 写真の怪 文明開化

と、まあテーマを見てもわかる通り、現代といっても、既に編纂されてから10~20年くらいたってしまっている(笑)。もとは、立風書房からハードカバーで出ていたのが、今世紀に入ってからちくま文庫で再版され、その時に新たに加えられたものもある。(やむなく全巻文庫で買い直した……(泣

全国各地からエピソードが集められており、語った人の語り口そのままに、なまなましくいろいろな話が語られるのだが、「ラジオ・テレビ局の笑いと怪談」を扱った8巻などは、語ってる人が本職のアナウンサーだったりするので、余計に面白い。
逆に、学校などは、今現在大人(ていうか、既に老境に入った人たち)が昔を思い出して語ってたりするので、今の今、学校で、あるいは小学生や中学生の間で語られているものは、入っていない。残念。

ともあれ、これって、古典でいうと、『今昔物語集』とか、『宇治拾遺物語』にあたるものなんだろうなあ。

今だと、「パソコン通信・インターネット・携帯電話」なんて項目が絶対テーマとして出てきそう。

『現代民話考』全12巻 (松谷みよ子編 ちくま文庫)


著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈1〉河童・天狗・神かくし



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈2〉軍隊・徴兵検査・新兵のころ



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈3〉偽汽車・船・自動車の笑いと怪談



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈4〉夢の知らせ・火の玉・ぬけ出した魂



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考 (5)



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈6〉銃後・思想弾圧・空襲・沖縄戦



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈7〉学校・笑いと怪談・学童疎開



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考〈8〉ラジオ・テレビ局の笑いと怪談



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考 9 木霊ほか



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考 10



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考 11



著者: 松谷 みよ子
タイトル: 現代民話考12 (全12巻) ちくま文庫
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2004-11-26 19:28:28

『渋谷怪談』 コインロッカーベイビーと水子

テーマ:ホラー
都市伝説のコラボレーション作品らしい。という事で、買ってみた。幾つくらいの都市伝説が登場するのか、ちょっと興味があったからだ。

都市伝説といって思い出すのは、やっぱり、口裂け女かなあ。私自身は、直接、耳にした事はないけど、口裂け女ってずいぶん長い間、日本中を噂となって駆けめぐったものらしい。でも、この本には、口裂け女は出てこなかった(笑)。

「コインロッカーベイビー」
「幸運または呪いのコインロッカー」
「首なしライダー」
「合わせ鏡のおまじない」

これくらいかな。合わせ鏡は都市伝説とはちょっと違うかもなあ。
そういえば、コインロッカーベイビーっていうのは、都市伝説なんだっけ? 小さい頃に、実際にコインロッカーに捨て子があったとかいう話をテレビで聞いたような気がしたけど、ニュースだったかは憶えていない。やっぱり、都市伝説なのかもな。

まあ、いずれにしても、期待していたほど、都市伝説が詰まってるというわけではなかった(笑)。

で、ストーリーの方なのだけど、呪われたコインロッカーがある。
これは一種の、水子(いや、生まれたばかりの赤ん坊)の呪いである。
この2点がポイントだというのはいいんだけど、キャラ群相互の関係が、いまいち、薄い。
 A 奥多摩でキャンプ(合コン)をし、地蔵の頭でふざけた大学生グループ
 B Aに属する女子学生に家庭教師してもらっていた女子高生(女子中学生)周辺の子
 C Aの学生の一部の担当医であり、Bの女子高生と親しかった精神科の医師たち
A・B・Cは、確かに、一応、そくに属する特定の人物を通じてつながりがあるとは言える。だが、問題のロッカーとのかかわりといえば、
 A 交通の便などの理由で、たまたま問題のロッカーを使用した
 B 幸運のロッカーの噂をしっていておまじないとして使用した
 C A・Bのグループがこうむった災難を通じ、ロッカーの存在を知って行ってみた
これだけなのだ( ‥)/

直接、コインロッカーに呪われるような行動をとった人物はいない。まあ、悪い「モノ」(もの、には「霊」という意味がある)となってしまった地縛霊が、近くに来た人に、ともかく祟るのだというのなら、そこは譲りまして、それでいいとしよう。

だが、Aが祟られるには、「単にキャンプに行く前、グループの半数を占める女子学生がそこに通学用のバッグを入れた」というだけで、いかにも理由付けが弱い。むしろ、キャンプの時の、地蔵の頭(グループの一人が実は叩き落としたもの)が理由で祟られたというほうが、よほど説得力があるのだ。
(地蔵は地獄に堕ちた子供を救うと言われているため、しばしば水子供養のために祀られる)。
Bは、幸運のおまじないに使用しただけだ。まじないは、「呪い」でもあるので(のろいと読むのが普通だけど、まじないとも読む)、まあ確かに、絶対関係ないとはいえないけど、いまいち納得できないものがある。
Cは、調査に行っただけ! Aのキャラ群については一応関係があるが、Bグループは、中心になった女子高生と知り合いであるというだけ。それなのに、何故。

近づくのが悪いと言われたら、いくら物寂しいところにあるロッカーだとしても、廃ビルの奥にあるわけではあるまいし、通りすがった人はいくらでもいるはず。
(そういや、Aグループのキャラと行き会っただけで変死してしまう人も。理不尽では!)

コインロッカーベイビーは悲惨だと思うし、水子の呪いというのは、(特に霊感商法などでは)良く聞く、いってみればなじみ深い話だし、ストーリー上の演出は確かに、かなーり怖いのだが……。各エピソードごとのつながりが弱いために、どうもピンとこないのだ。もうちょっと、祟られる理由付けが強ければなあ。納得できるんだけど。

もともとは映画であり、それに続く映像作品だとしても、 小説としてストーリーの中でつながりが悪いのは、ちと、致命的ではないかと思う。

『渋谷怪談』 (福谷 修 作 竹書房文庫)


著者: 福谷 修
タイトル: 渋谷怪談
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2004-11-26 17:08:43

『ぐりとぐら』

テーマ:絵本・児童文学

むかーし、小学校の1年かそこらの時、学級文庫にあったのだと思う。いや、幼稚園だったかもしれないけど、ともかくそのくらいの頃の話だ(笑)。要するに、そのくらいの子供用の絵本なのだ!

話も、もちろん、簡単で、森で大きな卵をみつけた、お料理好き(食べることも好き)なねずみの「ぐり」と「ぐら」が、卵は持って帰れないほど大きいので、料理道具や他の材料を持ってきて、その場でカステラをこしらえる、というもの。

持ち帰れないほどでかい卵だから、当然、そりゃあでかいカステラができるわけだよ。ぐり、またはぐらの、3倍くらいの大きさの。おいしそうなんだよね~。

カステラって子供の頃から大好物だったから、自分の3倍くらいあるカステラがあったら? しかもできたての。そう思うだけで、
「ああ、いいなあ~」
大きくて、おいしい、カステラ。うっとり。

で、大人になってから、
「あの絵本ってどれだっけ?」
と思っても、ぐりとぐらのシリーズってたくさんあるんだよ。
「だから、この中の、どれがカステラだー! カステラって書いとけよ(汗)」
みたいな。

このたびようやく、こちらの方の記事 のおかげで、カステラの話は、『ぐりとぐら』であることがわかった!

わかったので、書店で見てさっそく購入してしまった(笑)。

改めて読んでも、やっぱり、カステラはおいしそうだった。

ぐりとぐら 』 (なかがわりえこ・おおむらゆりこ作 福音館書店)


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