神との対話18(フォアグラ編) | 西澤ロイ(コトバの宇宙探検家)

神との対話18(フォアグラ編)


ポスターより:


西澤ロイ(コトバの宇宙探検家)




神さま、大ショックなことがありました。

私はフォアグラが大好きで、年に一度のクリスマスディナーには

欠かせないくらい好きなんです。



「確かに、あれは世界三大珍味の1つと言われるだけあるね。」



でも、あれって強制給餌、つまり無理やりにエサをやって

いたんですね。

映像を見ちゃったんですが、もう“ガビーン”って感じです。



「むしろ“ガチョーン”かもしれないね。

フォアグラだけに。」




う・・・

神さまがそんな寒いギャグを言うなんて・・・



「そうか、ウケなかったか。。。

まあいい。

ところで、フォアグラの何が問題かね?」




だって、ガチョウは嫌がっているのに、

無理やりにエサを流し込むんですよ。



「そんなにひどいかね?」



え、ひどくないとおっしゃるんですか?

まさか、神さまも実はフォアグラが大好物だったりして…



「あれが美味しいのは知っているが、

私には体がないから食べることはできないね。

私は“ひどくない”と言っているのではなく、あなたが

どう考えているのか質問しているだけだよ。」




そっか、そうですよね。



「私は“ひどい”とか“悪い”などという判断を

しないのだ。

まあ、あなたもしない方がいいのだがね。」




でも・・・でも・・・

これはひどいと思います。

ガチョウたちが、無理やりに食べ物を流し込まれて、

そして、まるまる太らされて・・・

逃げることもできないんですよ!



「なるほど。

もし、それをひどいと思うなら、あなたもやめることだ。」




えっ、何のことですか?

私はそんなひどいことはしてないと思うんですが・・・



「むふふ…」



神さま、目の奥がキラーンとしてそうで、

ちょっとコワいです。



「むふふ(キラーン)。

私は全てお見通しなのだよ。」




ぜ・・・ぜんぜん身に覚えがないのですが(汗)



「昨夜、あなたは何を食べた?」



焼肉です。



「それも、2時間で3,980円の食べ放題コース。」



はい。

上カルビがあまりに美味しくて、

たらふく食べちゃいました。



「それだ。」



えー、そんな・・・


確かにお腹がパンパンになるほど食べちゃいましたが、

食べたくて食べたんだし、ガチョウの話とは別じゃ

ないんですか?



「食べたいと思ったのは、あなたの“心”だね。

では、あなたの“体”はどう感じていたと思う?

食べ放題の最後の20分間、あなたの胃腸は満腹サインを

出し続けていたのだよ。

でもそこで、あなたは最後に上カルビを追加した。」




そ、その通りでございます・・・



「その後、どうなったかね?

すぐにお腹を下して、トイレに直行したね。

それに胃もたれだってしていたじゃないか。

明らかにキャパを超えて、あなたは無理やり食べたのだよ。」




そんな風に考えたことがありませんでした。



「だから私が気づかせてあげているんだよ。

他人に対して“ひどい”とか“やめろ”と言いたい時には、

たいてい自分でも同じことをしているのだから。」




なるほど。

肝に銘じようと思います。


ところで神さま。

ガチョウを無理やりに太らせるのは問題ないんでしょうか?



「何が問題なのかは、あなた自身が判断することだ。

例えば、そもそもガチョウや動物を殺して食べること自体は

問題ないのかね? 命を奪うんだよ?」




え・・・しょうがなくないですか?



「やろうと思えば、完全菜食で生きていくことだってできる。

だから“しょうがない”ことはないんじゃないかな?

それに、動物を食べるのであれば、命をくれた動物にもっと感謝する

こともできるし、そうやって生かされている自分の命や時間を

もっと大切に使うこともできるよ。」




確かに・・・

これからはもっと心を込めて「いただきます」って言おうと

思います。



「別に私は、何かがダメだと言っているのではない。

何がダメなのかは、あなたが判断すべきなのだ。

それが、あなたがどんな人間であるのかを宣言することに

なるのだから。」




なるほど。



「もし、動物を殺して食べることがOKなのであれば、

屠殺(とさつ)する時に、動物が苦しむのはどうだろう?

苦しまないようにすればいいのだろうか?

また、飼われている時に、狭い小屋の中に

ギュウギュウ詰めで育てるのはどうだろう?

また、成長ホルモンを与えて、早く成長させるのは?」




う・・・なんか問題が山積みな感じに思えてきました。



「それは、あなたがこういったことに今まで目を向けて

こなかったからだ。

そもそも物事に境目はなく、全てはつながっている。

フォアグラのように、極端に思える事柄だって、全て

つながっているのだよ。

その一部を切り取って、フォアグラにだけ反対したところで、

世の中は何も変わらない。

だから、ガチョウが可哀そうなどと感情的に反応するのでは

なく、あなたにとって何が問題なのかをしっかりと見て、

考えるといい。」




(※これはあくまでもパロディーです)