弁護士の家族法(離婚・相続)法律相談室@川崎市・武蔵小杉

こすぎ法律事務所(川崎市中原区武蔵小杉)の弁護士北村亮典が、家族法(離婚・親権・財産分与・慰謝料・相続・遺産分割・遺留分)について日々の法律相談、裁判で扱っている問題について書き綴ります(+雑談も)。
離婚相談、相続相談は随時受け付けております。

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<初回相談料>


・30分間 3000円(税込)、50分間 5000円(税込)の2コースから選べます。


・50分を超過した場合、以後10分後ごとに1000円(税込)となります。



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【質問】
父親が亡くなりました。
その後、金庫から父の自筆証書遺言書が見つかりましたが、紙の左上から右下に向かって赤ペンで大きく斜線が引かれていました。
ただ、斜線は引いてあっても遺言書の中の文字ははっきり読める状況です。
私にとっては不利な内容の遺言書なので、無効と主張したいです。
このような斜線が引いてある遺言書は無効にはなりませんか。

【答え】
自筆の遺言書に大きく斜線が引いてあった場合、常識的に考えれば、その斜線が本人の引いた斜線であるならば、その本人としては、

この遺言書は撤回する、不要である

という意思を有していたと思うのではないでしょうか。

しかし、自筆証書遺言書の内容の解釈については、遺言者の意思が重要ではあるものの、厳格な様式も重視されます。

したがいまして、自筆証書遺言については、作成の段階においてのみならず、その変更や撤回についても法律で定められた様式を守っていなければいけません。

では、一回書いた自筆証書遺言を撤回することについて、法律の規定はどうなっているのでしょうか。

まず、民法1024条は、遺言者が故意に遺言書を破棄した場合に,その破棄した部分について遺言の撤回があったものとみなす旨定めています。
そのため、一度書いた自筆証書遺言書を撤回したい場合には、捨ててしまうというのが手っ取り早い方法です。

これ以外に撤回する方法としては、前の遺言書とは別に新たに遺言書を作成する、すなわち変更という方法によります。

これは、民法968条2項に規定されていますが、変更の方法については

「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。」
と規定しています。

この民法968条の2項の規定は,自筆証書等の遺言書の加除その他の変更について厳格な方式を定めており,通説的見解によれば,この方式に違反した変更がされた場合には変更しても無効となり,変更前の遺言の内容のまま残るという解釈がされています。

このように、民法が遺言書の撤回、変更について厳格な様式を定めているため、本件のように、遺言書全体に斜線を引いた行為が
民法1024条前段の「遺言書の破棄」なのか、それとも968条2項の「変更」とのいずれに当たるのかが問題となるのです。

この点について、通説的な考え方は

「本件遺言書に本件斜線を引く行為は,元の文字が判読できる程度の抹消であるから,「遺言書の破棄」ではなく,「変更」に当たり,民法968条2項の方式に従っていない以上,「変更」の効力は認められず,本件遺言は元の文面のものとして有効である」

というものです。

そのため、本件の元となった裁判例で、広島高等裁判所は斜線が引かれた自筆証書遺言を有効なものと判断しました。

この高等裁判所の判断に対して、最高裁判所平成27年11月20日判決は、以下のように判示し、遺言書を無効と判断しました。

「本件のように赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為は,その行為の有する一般的な意味に照らして,その遺言書の全体を不要のものとし,そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるから,その行為の効力について,一部の抹消の場合と同様に判断することはできない。」

「以上によれば,本件遺言書に故意に本件斜線を引く行為は,民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当するというべきであり,これによりAは本件遺言を撤回したものとみなされることになる。したがって,本件遺言は,効力を有しない。」

最高裁判所の判断内容はとても常識的な内容に感じます。

それでもこの事案が最高裁まで争われたというのは、ひとえに遺言書については厳格な様式を守る必要がある、という考え方が根強いことにあります。
自筆証書遺言書の作成等についてはこの点をしっかり頭に入れておく必要があります。
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Q 私は3人兄弟です。兄弟3人とも大学に進学しましたが、私だけが私大の医学部に進学したので、親から出してもらった学費が2000万円を超えています。
そのため、親が亡くなった後、他の兄弟から
「お前の学費は特別受益だ」
と主張されています。
親も医師でしたので、親を継ぐつもりで私は医学部に進学したのにです。他の兄弟の主張は認められるのでしょうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
親が子どもの大学卒業まで、学費等の援助を行うことは、今の世の中では、親の子どもに対する「扶養」の一環としてある意味当然のようになされているものです。
兄弟皆が大学に進学して、親から平等に大学の学費等についても援助を受けていた、ということであれば、この援助が特別受益と主張されることはまずありません。

しかし、私大の医学部ともなると他の学部の学費とは桁が違ってきますので、医学部に進学した者とそれ以外に者との学費の援助額には明らかに差ができてしまいます。

そのために、遺産分割で揉めてしまうと「私大医学部の学費は非常に高額なので特別受益だ」という主張を呼び込んでしまうのです。

他方で、医学部に進んだ者の立場からすれば

「自分は一生懸命勉強して、親の期待に答えようと頑張ったのに。それが特別受益だなんて。」

と解せない思いを抱く場合も多いのではないでしょうか。

では、この問題が裁判所で争われた場合、どのように判断されるのでしょうか。

この問題については、裁判所の考え方としては、学費の額の多寡だけを基準にしつつも、その他の事情も考慮して特別受益にあたるかどうかを判断する傾向があります。

例えば、親の社会的地位や資産、医学部に進学した事情、他の兄弟が医学部に進学しなかった事情や、その他の援助の金額の状況など、周辺事情を総合的に考慮して、特別受益に該当するかどうかが判断されます。

例えば、冒頭の質問事例と同様の事例で、京都地方裁判所平成9年10月11日のケースは、以下のように述べて、一人だけが大学歯学部に進学した際の学費(約2300万円)について、特別受益に該当しない、と判断しました。

この裁判例は、学費については、まず

「学資に関しては、親の資産、社会的地位を基準にしたならば、その程度の高等教育をするのが普通だと認められる場合には、そのような学資の支出は親の負担すべき扶養義務の範囲内に入るものとみなし、それを超えた不相応な学資のみを特別受益と考えるべきである。」

と述べた上で、

・兄弟3人のうち、一人だけが医学部に進学しているが、他の兄弟二人も大学に進学していること

・親が開業医で、子どもに継がせたいと考えていたこと

・親が資産家だったこと

を理由として、医学部の学費の援助については

「相続人らはこれを相互に相続財産に加算すべきではなく、亡Aが扶養の当然の延長ないしこれに準ずるものとしてなしたものと見るのが相当である。」

として、特別受益を否定しました。

私大の医学部というだけでどうしても学費の額だけに目が行きがちになってしまいます。
しかし、この点で争いなった場合は、「援助を受けた側」としては、金額以外の周辺事情も全て丁寧に拾い上げて「本当に不公平か」どうかを裁判所に理解してもらうよう主張・立証に努めることが重要です。
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配偶者の遺産相続拡大 民法改正試案 介護の金銭請求も(産経新聞) - Yahoo!ニュース

昭和55年の改正以来、相続法に関しては大型改正になるようです。
記事を見る限りでは、長年連れ添った配偶者の相続の権利拡大・居住権の保護などが主たる改正項目のようです。

それはそれで意義のあることだとは思いますが、弁護士の立場として相続に関わる紛争を見ていますと、配偶者の権利を拡大・保護すべきと感じるような事案に当たることはそれほど多くないというのが実感です。
親子間で確執があったり、夫が亡くなり後妻と前妻との間の子供が対立したり、という事案で配偶者が過酷な状況に追い込まれるという事案も存在はしますが、それも極わずかではないかと思います。

父か母のどちらかが亡くなった場合、子供も含めた相続人間で争いになることはあまりなく、残った親を中心にして子供も団結し、比較的スムーズに分割協議まで進むことが多いように思います。
むしろ、紛争が勃発するのは、父も母も両方亡くなった場合、すなわち二次相続の状況になったときが圧倒的に多いと感じています。

二次相続の状況においては、親と同居している子供の居住権、土地・建物の権利をめぐる紛争だったり、介護に尽力していた子供の寄与分を巡る紛争など争いの種は多く存在します。
これらの紛争は、法定相続分が原則という硬直的な考え方と、極めてハードルが高い介護の寄与分という考え方のために、家庭裁判所の調停・審判手続で争っても、「正直者が馬鹿を見る」という結論にならざるを得ず、代理人としても辛い結果を受け入れざるを得ないことが多々あります。

こういった調停実務の実情を踏まえると、個人的には配偶者の権利拡大よりも、同居していた子供、介護していた子供の権利拡大・保護のための法的手当を充実して欲しい、と今回の法改正のニュースを目にして改めて感じた次第です。

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Q 
妻が夜の飲食の仕事を始めてから朝帰りを繰り返し、挙句そこのスタッフと不倫し、さらに妊娠したことも発覚したので離婚することとなりました。
妻は夜の仕事で夜は不在にしていて、子どもの育児は私が主にしていましたので、私が子どもを引き取りたかったのですが、妻からの強い要望で譲歩し、離婚時に子どもの親権者は妻として届けました。
しかし、婚姻時から妻の生活状況や育児能力には問題があり、離婚後の妻の生活状況を見ても特に改善されずまともに子どもの育児ができる状態ではありません。
ですので、親権者を父側に変更したいと考えています。どうすればよいでしょうか。


まずは、家庭裁判所に親権者変更の申立の調停(または審判)を申立て、裁判所で協議をし、または裁判所に変更の決定をしてもらう必要があります。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
調停というのは、簡単にいえば裁判所での話し合いです。この調停で、親権者の変更について父母間で同意ができればそこで決着できます。

しかし、このような親権者の変更については、父母間の対立が大きい場合も多いため調停で決着できず、審判という手続、すなわち裁判所によって決定をしてもらうという手続まで進むことが多いです。

となると、親権者の変更を求める側としては、裁判所が親権者の変更を認める場合には、どのような基準で判断しているのか、ということがとても気になるところではないでしょうか。

この点について、まず、法律の規定を見てみますと、民法819条6項は,「子の利益のため必要があると認めるときは,家庭裁判所は,子の親族の請求によって,親権者を他の一方に変更することができる。」と規定しています。

つまり「子の利益のため必要がある」と認められれば、変更が認められる事となりますが、当然これだけではよくわかりません。

そこで、実際の裁判例の傾向をみてみますと、変更するかどうかの判断基準としては

監護体勢の優劣
父母の監護意思
監護の継続性
子の意思
子の年齢
申立ての動機,目的等
が挙げられています(最高裁事務総局編・改訂家事執務資料集中巻の2・356頁以下)。

これに加えて,

母親優先の原則
監護の継続性(現状尊重)の原則
兄弟姉妹不分離の原則
等も考慮されているようです。

これらの要素は、離婚時に親権者を決める際の基準としても重視されている要素です。

したがって、離婚後の母側の育児・監護状況に問題があれば、親権者の変更は認められそうにも思われます。

しかし、上記の要素に加えて、親権者の変更を求める場合に、特に必要な要素として、

「先になされた親権者の指定後の事情の変更を要すべき」

という考え方もあります。

この考え方は、離婚時に親権者を指定した後で,特に事情の変更もないのに,法的地位の変動を認めることは法的安定性を害するし,離婚の際に親権者はある程度将来の事情を予測して決定しているから,事情の変更は予測したものと異なる事情が新たに生じた場合であるというのがその理由です。

この考え方によれば、監護状態の優劣等だけを言っても足りず、離婚時からの事情の変更がなければ親権者の変更は認められない、ということになってしまいます。

そうなると、親権者の変更を求める側には更に高いハードルが課されてしまうことになってしまいます。

この点について、裁判所がどのように考えているのか参考になる事例として、福岡高等裁判所平成27年1月30日決定の事例があります。

これは、冒頭で紹介した事例(かなりデフォルメしています)と同じく、離婚後の母側の監護状態にはかなり問題があり父側から親権者の変更審判を求めた事例だったのでした。
それでも家庭裁判所は「事情の変更がない」として変更を認めませんでした。

しかし、高等裁判所は「事情の変更が必ずしも必要ではない」として、家庭裁判所の決定を覆して、父側に親権者の変更を認めました。

福岡高裁は、事情の変更が必要かどうか、という点については、

「事情の変更が考慮要素とされるのは,そのような変更もないにもかかわらず親権者の変更を認めることは子の利益に反することがあり得るからであって,あくまで上記考慮要素の1つとして理解すべきであり,最終的には親権者の変更が子の利益のために必要といえるか否かによって決するべきである。」
「そうすると,夫と妻の監護意思,監護能力,監護の安定性等を比較考慮」して「親権者を」決定「することが未成年者らの利益のために必要であると認められる」
と述べており、必ずしも事情の変更が必須ではないという考えに立っています。

至極当然の判断のように思われますが、高等裁判所までもつれているという点で、やはり親権者の変更というのは判断の難しい問題であるということを感じさせる事例とも言えます。
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