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2013-05-27 17:37:34

10年後の金価格に対する関心

テーマ:日々の雑感

今晩のNY市場はメモリアルデーでお休み。週明けの日経平均株価は相変わらずchoppyな取引が続いているが、今週はこの辺の値動きが落ち着くまでは静観状態。株価の乱高下は金価格にポジティブ評価となるも、円高で円建て金価格は大きく動きづらい状況が続く。とは言っても、日本株を売って投資する資金の受け皿はない訳で、ピークアウトというよりも調整との判断で十分かと思われる。ただ、振り子が前後左右に大きく振れてしまった以上は、落ち着きを取り戻すまでに必要というのが現在の相場環境。週末のTV討論では野党政策担当者から「バブル」の大合唱だったが、急騰相場が永久に続くはずもなく、調整は必要。まだ日本株は買いたいし、円は売りたい地合。


土曜日は、仕事上がりに栄ガスホールで開催された「金×株×為替:スペシャリスト対談」を聞いてきた。私もコラムを寄稿している「GOLD NEWS」のK氏と会うのがメインの目的だったが、23日の日本株急落について岡崎さんの解説は分かり易く思わぬ収穫に。一言でまとめれば、金利上昇に対する日銀の対応に対する不満となるのだろう。株式は専門家ではないので分析の妥当性を判断する能力はないが、日々の金利水準と日銀資産購入額を比べ、マーケットが何を読み取ったのかとの視点は納得できる内容だった。いずれにしても、日銀の僅かな動き、動かないことがマーケットを大きく動かす時代を迎えている。


金価格は亀井さんが担当だったたが、概ね想定していた通りの内容。緩和政策縮小をどう乗り切るかがポイントに。それよりも、「金が欲しい人」と「金価格が欲しい人」といった対比の表現方法は上手いな・・・と感心。この辺に、私ももう少し力を入れていく必要があるのかも。また、質疑応答で10年後の金価格について。流石にそこまで先は・・・との回答だったが、金現物・純金積立などの投資家は、当然そこまで知りたいだろうなと再認識。細かい数値は金利、ドル相場の水準など不確実性が多いので確かに10年後の難しい。ただ、間違いなく言えるのはマネーサプライが増加しインフレ圧力が機能している局面では、金価格は値上がりするということ。それを阻止するには、1990年代のように、中銀の金売却や鉱山会社の大規模ヘッジといった不自然な動きが必要とされる。価値・購買力の保存という視点で考えれば、世界がデフレにならない限り、金融政策への依存を低下させることができない限り、金価格は上昇するというのが歴史から学べること。金を保有していて仮に成功はなくても、失敗はない・・・と私なら回答したかな?




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2013-05-24 14:42:12

山崎パン値上げのニュースに思う

テーマ:日々の雑感

バーナンキFRB議長証言、FOMC議事録という二つのイベントを消化した金相場だが、概ね先週後半からのレンジを踏襲する展開に。値動きこそ荒いが依然としてトレンドが打ち出せない状況に。バーナンキ証言では、拙速な緩和政策解除に強い警戒感が示されるも、マーケットが注目した発言は景気回復・見通しさえ確立すれば、緩和政策の縮小に踏み切るという出口を巡る議論。別にこれでQE3そのものが停止される訳でも、更にはQE1以降に購入された資産売却が行われる訳でもないが、マーケットの視点は出口のドアに注がれた状態が続く。今後数回のFOMCの間に結論を出したいとしているが、NY連銀総裁は2~3ヶ月かけて判断したいとのコメント。両者を総合すると、6~8月の経済指標をチェックして、9月FOMCが緩和政策縮小の最短距離になる。裏返せば、ここまでに再び金市場に資金流入をもたらすようなリスク環境が実現しなければ、金相場の強気派は時間切れとなる訳だ。


その意味では、前日の日経平均株価急落にも注目したい。前日は僅か1日で1,143円の急落となった訳だが、本日は高寄りしたものの午後の取引で一気にマイナスサイドに沈み、本稿執筆時点では再び買い戻されるといった不安定な値動きに。反リフレ派からはアベノミクス失敗論も高まっているが、これまでの株価急伸地合を考えれば、調整の範囲内。現在はMAだと25日近辺で、概ね過去1ヶ月のトレンドラインに回帰した所。長期金利1%台乗せが話題になっているが、脱デフレ+成長期待が高まる国の金利が上昇するのは必然的。後は、国債購入プログラムに伴う金利抑制がきちんと機能するかを見極めるステージになる。これが、先行事例である米国の経験から学べること。アベノミクスは期待に働きかける政策。期待が崩れるまでは、素直に踊らされるのが正解。


今朝のニュースをみていたら、山崎パンが主力商品の出荷価格を7月1日から2~6%引き上げると発表した。昨年後半の小麦相場高が政府売り渡し価格に転嫁されていること、プラスで円安による価格全体の上昇圧力。これだけで物価上昇と判断できるものではないが、こうした動きが日本経済全体に広がれば、購買力指標としての円建て金価格も上がる論理。デフレを警戒している米国と、脱デフレ期待が高まる日本では、通貨価値のベクトルが全くの正反対。インフレ警戒なら、素直にGoldが正解でしょう。




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2013-05-22 12:40:03

ダブルヘッダー前夜もETF売りは続いている

テーマ:日々の雑感

18.06トン。昨日の上海黄金交易所における純金売買高である。最近としては比較的高いレベルながらも、「相場の底打ち感→現物買い」のフローが発生したとは言い難く、現物市場主導でのボトム確認は先送りに。「安値慣れ」した消費者を動かす価格がどこにあるのか、下向きのトレンドが続くことになる。まだバーゲン再開を見込んでいる向きが多く、先走って購入に踏み切るのは余程の切羽詰った状況があるのか、または多少の値下がりリスクなど無視できる向きのみ。これは、デパートのバーゲンセールと一緒。人が動かす相場だけに、4月に買った価格よりも安いから・・・といった合理的判断だけでは動かないのが相場の難しさであって面白さでもある。「品切れ」の匂いを漂わせるか、「最終バーゲン」の文字が躍ると購買活動も一変するのだろうがが、現状そこまでの危機感はなし。


さて、今晩はFOMC議事録公表とバーナンキFRB議長の議会証言というダブルヘッダー。今年はFOMC議事録を受けて緩和政策縮小の思惑、それを受けて金相場は売られるといううのが恒例パターン。いきなり資産購入継続に傾斜する理由は見当たらないが、このFOMC議事録では資産購入ペースの「減速」だけでなく「拡大」の文言があったのも事実。声明文で二枚のカードを提示したものの、本心はどこにあるのかを議事録で探る展開に。バーナンキ議長の議会証言については、踏み込んだ発言はないだろう。従来通りに、緩和政策の効果とリスクを天秤にかけて中立スタンスを装う可能性大。ダドリーNY連銀総裁もこの立場で講演を行っており、マーケットへの事前アナウンスを狙ったと考えるのは穿ち過ぎか?いずれにしても、ここで緩和政策縮小期待を維持し続けることができるのか、ダブルヘッダーの消化状況を見極めるステージに。サプライズは緩和政策継続期待を高める展開となるが、なかなかそのシナリオが描けない。


大きなニュースもそれが続けば話題にならなくなってくる。金ETF売却は誰も話題にしなくなっているが、同市場では強力な売り圧力が継続中。前週は29.6トンの売却となったが、今週も2営業日で既に21.1トン。5月累計(21日時点)では98.7トンの売却。4月の売却量174.0トンからは若干のペースダウンも、これを現物投資・宝飾需要でカバーするハードルは高い。定期市場では短期売買交錯中も、金ETF市場は一貫して売り方針を支持している。




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2013-05-21 12:59:14

22日に天王山、闘いを避ける向きもある必然

テーマ:日々の雑感

週明け20日のCOMEX金先物相場は前日比+19.40ドルと急伸。米金利上昇圧力は継続するも、main factorはドル安。先週の急落相場、更には直近安値1,321.50ドル(4月16日)が迫る中、短期筋のショートカバーが膨らんだ。1,370ドル水準で一気に30ドルの急伸となる場面もみられたが、はっきり言って理由は良く分からない。瞬間的に1万枚規模の買いが入ったことからは、何らかのプログラム売買のヒットがあったということだろう。色々とテクニカルでのポイントも指摘できるようだが、ここでは売り方がストップロスラインをかなりきつめに設定していることだけを確認しておけば十分。すぐ上に1,400ドルの節目があるも、ダウントレンド修正のリスクが高まっただけに、直ちに市場離脱が検討されている。この辺も、未だ値動きが荒れ易い一因だろうか。


さて、22日はバーナンキFRB議長の議会証言とFOMC議事録のダブル・イベント。マーケットは債券購入プログラムの縮小に強く傾斜しているが、議長が踏み込んだ発言を行う可能性は低い。4月30日~5月1日のFOMCで、資産購入プログラムの加速と縮小という二つのカードを提示したばかりであり、その後3週間でどちらか一方に傾斜するのは非論理的。各種経済指標は、マーケットの期待するタカ派的な政策変更を必ずしも指示していない。同じ文脈で6月FOMCでの政策変更は無いと考えているが、それでもマーケットの視線を「出口」方面から切り離すのは困難か。金市場のマネーフローをin方向に傾けるには、もう少し何か大きい材料が必要とされている。


急反発の理由はポジション調整でもイベントリスク警戒でも、海外相場が急反発したのは事実である。このため、ここでアジア現物筋が底入れ感から買いを入れれば、改めて現物市場主導で安値是正の動きも想定できた。しかし、午前の中国現物市場の売買動向を見る限り、「現物筋の買い再開」と評価することは難しい。現物市場の支援がない以上、アジアタイムの軟調地合は必然的であり、底入れ感の払拭は時期尚早。いずれにしても短期トレンドは、バーナンキ議長とFOMC議事録次第の情勢になる。何を語るのか、何を語らないのかに注目しよう。




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2013-05-18 10:51:55

ドル建て金の下げを促す二つの糸

テーマ:日々の雑感

ドル建て金価格の軟調地合が続いている。振り返れば、4月下旬以降の戻り局面における高値は5月3日の1,487.20ドルであり、5月15日には1,400ドルの節目割れ、直近の17日には安値1,353.60ドルまで再び値位置を切り下げている。4月16日の安値が1,321.50ドルだったため、年初来安値更新まで残された値幅は僅かに32.10ドルという訳だ。最近のボラティリティを考慮すれば、1~2営業日の取引で達成可能な所まで迫っていると言える。


今回の下落局面は二つの軸足で考える必要があり、一つはいよいよドル高圧力が本格化していることだ。金市場は1月段階からQE3縮小議論を織り込み始めていたが、これまで債券市場はこうした議論とは距離を保ってきた。まだ欧州債務問題がくすぶり続け、米国内でも財政問題がいつ蒸し返されるのか分からない中、米国債は安全資産として一定の需要を保ってきた。しかし、米株式相場が連日のように過去最高値を更新する中、さすがに米国債市場からの資金流出が始まっている。これが債券から株式への資金シフトなのか、それともQE3修正リスクを織り込み始めた動きなのかは議論のある所だが、いずれにしてもドル建て資産価格には逆風が吹いている。金は最もその直撃を受けているという訳だ。債券市場と金市場の金融政策評価が一致に向かっているという意味では、金市場のダウントレンドを追認した動きと評価した方が良いのかもしれない。


このようなドル高主導の金価格下落に関しては、円建て金に関してはその衝撃は限定されることになる。脱デフレ期待が維持される中では、中長期的な円建て金価格の上昇見通しを修正する必要は無いと考えている。ただ、4月を振り返るまでもなく、ドル建て金相場の急落があれば、円建て金価格にも突風的な調整リスクが高まることになる。投資戦略としては、そうした局面を着実に買い拾っていくのが年末に向けての基本スタンスになる。


そして二つ目の軸足が、現物買いが一向に入らないことだ。4月下旬にはこの価格でパニック的な買いがみられたにもかかわらず、今回は同じ価格でも一向に買いが入らない。実需の安値慣れ、先安感が買いに慎重姿勢を促しているのだろう。まずは現物筋の再打診を確認しつつ、1,300ドルでの防衛に失敗すると再び生産コストの議論を喚起する流れになる。




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2013-05-15 13:50:32

まだ距離を取りたいQE3縮小議論

テーマ:日々の雑感

ドル建て金価格の軟調地合が続いている。6月18~19日のFOMC開催まではまだ1ヶ月以上も残されているが、マーケットは量的緩和政策縮小の方向性を織り込む展開を維持。フィラデルフィア連銀のプロッサー総裁は、9日に続いて改めて6月FOMCでのQE3縮小を訴えている。プロッサー総裁は今年のFOMCで投票権を有していないので「これでQE3縮小に1票確保」といった具体にはならないが、「強気の米経済見通し→異例な緩和政策縮小」の方向性を織り込みたいマーケットは過剰な反応を示している。米10年債利回りは一時7週間ぶりの高値更新で、この状況ではドル高の副次効果もあってドル建て金相場は売られざるを得ない。どこまで下げれば、現物筋の買い支えが再会されるのかを探るステージへ。


もっとも、実際に6月FOMCでのQE3縮小議論を盛り上げるハードルは高い。米株価は最高値更新局面が続いているとは言え、世界経済の現状をみれば金融緩和のモルヒネ投入を止めても、米経済がショック死しない状態にあるのかは疑問視される。そもそも、前回FOMCではQE3の「減速」のみならず「加速」についての言及も行ったばかり。この声明文変更直後にQE3縮小という流れでは、さすがにコミュニケーション不足だろう。コミュニケーション・ツールを重視するバーナンキ議長がそのような舵取りをするのかは疑問。QE3縮小議論が展開されていることを確認しつつ、少し距離感を取って冷静に現状をみておきたい。改めてQE3長期化観測を迫られるステージは再来する可能性が高く、その時に慌てないだけの心構えは必要か。


一方、円建て金価格は4,700円水準で膠着化。ドル相場主導でドル建て金価格が変動しているというのは、こういうことである。裏返せば、ドル安で金価格が上昇したといしても、金価格の上昇ハードルは高い。アベノミクス効果に対する「期待」が途切れるまでは円建て金価格の上昇は続くというのが通常の見方だろうが、本格上昇の近道はやはりドル通貨に対する不信の盛り返しと言うことに変化はなし。金ETF売却の流れは継続中。先週は累計34.3トン、今週は2営業日で8.1トンの売り越しとなる。




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2013-05-14 15:43:10

ニュースにならない数値

テーマ:日々の雑感

「金価格はじり安ながらも方向性の定まらない展開」 日足チャートを見ているとこのように書きたくなるが、冷静にみてみれば1日の値幅が20~30ドルといった展開が続いている訳で、相場環境は依然として不安定。4月の値動きが余りに激しかったので感覚がずれてしまっているが、本日もアジアタイムのみで15ドル幅の急騰地合になっている。もっとも、これだけの激しい値動きに至っても、金価格のトレンドははっきりとしていない。一応は米金利上昇、それに伴うドル高圧力、更にはここにきて調整色を強めている原油相場などがネガティブ材料になる訳だが、4月に1,300ドル台、そして1,400ドル台で現物筋からのパニック的な買いが観測された直後とあって、売り方も腰が引けてしまっている。買いも売りも明確な自信を持てていないことが、取組高の増加傾向に顕著に現れている。相場が徐々に沈静化に向かっていることで仕掛けてみたものの、依然、明確な見取り図を描けずにポジションを持ち越している向きが多い模様だ。


価格水準としては現物筋のbargain huntingを期待したい所だが、上海黄金交易所の純金売買高は3月の相場急落前とほぼ同水準。前日の売買高は10トン台を割り込んだが、これは4月11日以来のこと。要するに、先週後半以降のじり安傾向は投機マネーの流入を現物市場でも促すことに失敗している。ついでにUS Mintの金貨販売もみておくと、14日時点で1.50万オンス。前月の20.95万オンスと比較すれば、「誰も買っていない」とも言いたくなるような数値。これらの数値は急増すればニュースになるが、このような低調な数値だとニュースにならない。しかし、本来起こるべきbargain huntingが見られないということには要注意か。


金ETFは9日に漸く前日比プラスに転じた。実に28営業日ぶりのこと。ただ、増加幅2.47トンではさすがに焼け石に水。翌10日では13.87トンの売却で、ETF市場も換金売り優勢のトレンドが続いている。ドイツ銀行はSPDRのみで更に200万~300万オンスの売却を想定している。トン換算すると62.2~93.3トン。更にSPDR以外も含めた金ETF市場全体でみれば、400万~600万オンス(124.4~186.6トン)、なかなか厳しい数値が示されている。




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2013-05-13 18:21:49

赤字でもリストラができないプラチナ鉱山会社 ~南アフリカの夜は明けない~

テーマ:Platinum

プラチナ生産最大手のアングロ・アメリカン・プラチナ(アムプラッツ)は5月10日、6,000人の人員削減を柱とするリストラ策を発表した。こうしたリストラ計画の発表そのものは特に珍しいものではないが、今回の発表はプラチナ市場にとって極めて大きな意味を持つものと考えている。


プラチナ生産の7~8割をカバーする南アフリカ共和国では、昨年に多数の死者を出す大規模な労働争議が発生したことで、プラチナ鉱山会社が大規模な減産と同時に人件費コストの大幅な高騰を受け入れざるを得ない状況に追い込まれた。新興労組である鉱山労働者・建設組合(AMCU)主導で暴力行為が多発する中、最終的に11~22%の大幅な賃上げをプラチナ会社が受け入れることで、ストライキは一応の終結に至っている。


しかし、元々プラチナ鉱山業界にはこのような大規模な賃上げを受け入れるような経営体力は存在しなかったこともあり、アムプラッツは昨年に赤字決算を計上せざるを得ない状況に追い込まれた。昨年のプラチナ先物相場は、1オンス(=31.1グラム)=1,387.50~1,739.00ドルのレンジで推移したが、このような価格水準ではもはや十分な利益を確保できないまでに、プラチナ生産コストは高騰しているのだ。


このため、昨年の大規模な賃上げ対応が鉱山会社にリストラ策を強いるのは当然の帰結であり、その先陣を切ったのが、アムプラッツが1月に発表したリストラ計画であった。そこでは、高コストのシャフト4本で操業を停止することで40万オンスの減産を行うと同時に、1万4,000人の人員削減策が発表されていた。


当初は、こうしたリストラ計画で生産調整を進めれば、プラチナ需給の逼迫化がプラチナ価格を押し上げることで、プラチナ生産環境は徐々に回復に向かうと見られていた。しかし、南アフリカでは政府が来年の選挙を前に雇用拡大キャンペーンを展開中ということもあって、直ちに鉱物資源省がリストラ策の見直しを求める動きを見せた。加えて、各種労働組合も人員削減策に強く反発し、実際にリストラ策を実行することは極めて困難な状況に陥っている。


1月下旬にはリストラ策実行の前に2ヶ月の協議期間設定を求められ、そこでの協議も難航したことで4月末まで協議期間が延長され、更に5月6日に最終リストラ案を発表するとこの問題は先送りされ続け、漸く結論が出たのが冒頭で紹介した10日のリストラ策発表という訳である。



■リストラ策見送りは労働者にとっても悲劇に
赤字決算を迫られた会社がリストラ策に踏み切るのは何ら不思議なことではないが、南アフリカでは政治要因から鉱山会社にそのような自由・権利は存在しないことが露呈した形になっている。


人員削減幅は当初計画の1万4,000人から半分以下の6,000人まで大幅に圧縮されている。加えて、閉鎖予定のシャフトでの操業継続も求められ、年間生産基準(base line)は1月発表の210万~230万オンスから220万~240万オンスまで引き上げを求められている。


プラチナ鉱山業界では、アムプラッツのリストラ計画が実行に移せるか否かを、業界全体がリストラを進めることが可能か否かの「試金石」として見る向きが多かった。経営環境の悪化はアムプラッツに限定されたものではないため、アムプラッツのリストラ実行を突破口に、コストと(労使)リスクの高まった南アフリカの鉱山事業を縮小する動きが加速するシナリオが描かれていた。しかし、アムプラッツでさえも政・官・労組からのリストラ阻止圧力を払拭できないことが露呈する中、今後も現行の厳しい生産水準・環境を維持せざるを得ない状況が続くことになる。


すなわち、今回のアムプラッツの小規模なリストラ策発表を受けて、もはやプラチナ鉱山会社が自力による経営環境の改善を促す力が無いことを露呈した形になっている。今後も鉱山各社は、プラチナ相場の低迷と生産コストの高騰に苦しみ続ける可能性が高い。この問題の解決にはプラチナ価格の上昇が必要不可欠であるが、「生産調整→需給引き締まり→価格上昇」という需給理論が機能できない状況となっている。


これは、短期的には南アフリカにおける減産リスクが低下するという意味で、プラチナ生産にはポジティブ、プラチナ相場にはネガティブな動きになる。しかし、このような強引なリストラ策を阻止するような動きは、今後の新規鉱区開発余力などを著しく低下させることになるため、中長期的には深刻な需給の歪みを生み出すことになるだろう。短期のプラチナ生産、雇用維持を求める動きが、中長期的な生産の伸び悩み、雇用喪失の動きを促すとみている。

そして、AMCUはこのようなリストラ策の大幅縮小にさえも強い不満を示しており、「受け入れることはできない」、「次のステップに移行するかもしれない」として、ストライキも含めた強硬姿勢でリストラ策そのものを完全に潰す方針を示している。


南アフリカの鉱山労働者は、昨年に発生した一連のストライキによって、強硬姿勢を打ち出せば鉱山会社から容易に「果実」を得られることを学んでしまった。このため、短期的な生産高・雇用維持に関心が過度に集中しており、プラチナ生産の収益環境改善という本来の生産・雇用確保に最も必要な目標が無視された状態になっている。この人為的に作られた歪みは、いずれかの時点で需要に見合った供給量を確保できなくなる事態を招く可能性が高いと考えている。




Yahoo!ニュース 赤字でもリストラができないプラチナ鉱山会社 ~南アフリカの夜は明けない~



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2013-05-13 15:39:16

久し振りに米金利動向が焦点化、米国債も売られる時

テーマ:日々の雑感

ドル建て金価格は1,500ドルの節目に弾かれ、徐々に再び下向きの圧力が強くなっている。主犯は米金利に対する上昇圧力だろう。米10年債利回りは、5月1日の1.629%に対して、直近の10日は1.897%。投機マネーが利回り重視の投資スタンスに傾く中、Goldに続いて米国債に対しても売却圧力が強まり始めている。このまま米景気の本格拡大シナリオを織り込めるのかはまだ態度を保留したいが、少なくとも短期トレンドは「米国債売り→米利回り上昇→ドル高」となっており、ドル建て金価格には逆風が吹いている。ただ、ドル高主導の調整圧力の場合には、円安(ドル高)という円建て金価格に対する追い風も吹くことになり、円建て金価格に関しては中立的。暫くは、経済指標のチェックで高利回り資産へのシフトが正しい判断だったのかを見極めるステージに。


それにしても、幾らドル高局面とは言え、ドル建て商品相場全体のパフォーマンスの悪さには目を覆いたくなる。株式市場には資金が流入しても、コモディティ市場の買いには慎重ムードが根強い。一つには中国経済の温度低下があるが、やはり高値が供給を呼び込む需給均衡点のシフト発生が強く印象付けられる。インフレヘッジのREIT買いなども指摘されているようだが、金価格が改めて投機マネーの受け皿となるハードルは高い状態が続いている。


週末には、白金分野でアムプラッツがついにリストラ計画を発表した。本当についに・・・である。振り返れば1月の当初案発表から3ヶ月半を経過しての最終決定であり、南アフリカ政府や労組の抵抗力の強さが窺える。人員削減6,000人は、当初計画の1万4,000人と比較すれば大幅な譲歩となるが、それでさえも納得できていないのがAMCU。ストライキなどの条件闘争に持ち込む動きが見え隠れする5月。本来は1,500ドルといった安値圏で需給バランスを維持できるマーケットではないが、金価格連動で投機的安値形成が続く。本日からPlatinum Weekの開催。まずは、今晩のJohnson Mattheyレポートで再び白金ファンダメンタルズを考えたい所。




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2013-05-09 14:03:21

余り重要ではない株価と金価格の相関

テーマ:日々の雑感

8日のCOMEX金先物相場は前日比+24.90ドルという急騰。前日の19.20ドルの急落は「株高で安全資産に対する需要減退」という視点で語られていたが、今回は株価に連動高。前日のロジックを採用すれば金価格は大幅続落して然るべきだが、そうならなかったことで株価を視点とした金価格分析の怪しさが確認される状況に。株式市場は混乱状況にある方が金価格にポジティブであることは間違いないが、金価格が日々の株価動向にパニックを起こす必然性は全く存在しない。7日の急落に関しては、むしろ株高にもかかわらず原油など商品市況が軟化したという購買力視点が重要と考えているが、このような分析視点は余り一般的にならず。メディアも恐らく分かっていないので、日々の値動きを表面的になぞるだけ。


とは言うものの、金価格は1,400ドル台後半での膠着状態を維持。上海現物市場の純金売買高は明らかに減少トレンドにあり、1週間前の半分程度というのが数値的な評価。インドは5月13日Akshaya Tritiyaを控えてヒンズー教徒の金需要が拡大し易いが、それも価格次第というのは変わりなし。昨年は1,600~1,700ドルのレンジで買いが乏しく失望を誘ったが、今年はどうなるのか。ちなみに、このAkshaya Tritiyaは婚礼や金購入など、様々なことの吉日とされる日。美と豊穣の女神ラクシュミと毘沙門天のモデルとも言われるクベラ神を祭る。ラクシュミの祭典は10月から11月にかけてのDiwaliが有名だが、金の婚礼需要という視点ではこちらも極めて重要。


本日は中国の4月CPIが発表されているが、前年同月比+2.4%。市場予測は若干上回ったようだが、当局の年間目標+3.5%は下回る。4月の貿易収支は同国経済見通しの改善を促すも、CPIは成長鈍化リスクを織り込んでいる可能性もあり、中国経済の評価は難しい。実質金利を一段と下押しする圧力は限定されているが、それでも中国は安ければ金を買い進むことが確認されただけで十分か。豪ドル相場の上昇は予想外に良好だった4月雇用統計を受けてであり、中国CPIに対する反応の鈍さもこの統計の評価が難しいことを物語っている。とりあえずは、来週13日の鉱工業生産と小売売上高の発表待ちになる。




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