真宗法語法話(171)相手の立場に なって考える 大切なことだが 難しいこと | おじゅっさんのおはなし

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~高照寺住職の真宗法話~

 

相手の立場に なって考える
大切なことだが 難しいこと


桃から生まれた桃太郎。村を荒らしに来る鬼を退治するため、イヌ・サル・キジを従えて鬼ヶ島へ。そして見事に鬼を退治。宝ものを持ち帰り、おじいさん・おばあさんと幸せに暮らしたとさ。めでたし。めでたし。


だれもが知っている桃太郎のお話。これを読んで、特に違和感を感じる人はいないでしょう。


でも、よくよく考えてみると、この昔話は、桃太郎や村人の側から見て、「めでたし、めでたし」と締めくくっているのです。鬼にしてみると、決して「めでたし、めでたし」では……。


岡山県のある中学校では、この話を、鬼の立場からも眺めて考えてみる授業をしているという新聞記事がありました。


もし鬼に子どもがいたら……。鬼に農業を教えてみたら……。これらの仮説に生徒たちは、桃太郎と鬼の両方の視点から議論したそうです。


「家族がいると分かれば、桃太郎は村に帰ろうと思うはず」「農業を知れば、鬼は村を荒らしに来ない」と。


一方、私たちは生活のいろいろな場面において「自分が正しく、相手が悪い」という自分中心の思い込みや決めつけを持って生きています。そしてそれが人間関係をこじらせてしまう原因となることも少なからずあるでしょう。


「相手の立場も考えてみる」。ご近所付き合いや家族関係を見つめ直してみる大切なヒントになるのかもしれません。


ただ、常に自分の思いを持っているこの私が、相手の立場になって考え続けるのはかなり難しいことですが……。