川越style「第4回 福島復興まつり」川越市民会館大ホール | 「小江戸川越STYLE」

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「小江戸川越STYLE」代表:石川真

2011年3月。川越のクレアモールは計画停電により、

昼間にもかかわらず真っ暗で、異様な光景だったのを覚えています。


 

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川越style

 

 

☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

 

今、ご飯を頂けるありがたさ。

 

そして、「忘れない」という新たな思い。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*

 

「今、ちょうど種が来たところで、苗箱に種を蒔くのが4月に入ってから。

そして育てた苗を、早い人では4月の末頃には田植えが終わっています」

 

これから始まる福島県天栄村の米作りの様子を、そう教えてくれました。

 


 

2015年3月8日(日)、第4回「福島復興まつり」が今年も川越で開催されました。
主催はNPO法人Peaceやまぶき 12:30開場(バザール開始)13:30開演

 

福島復興まつりはもともと、

「福島を支援したい、何か役に立ちたい」と多くの人の思いから、川越でも支援の輪が広がっていき、
「今、私たちにできることは何か」と考えたやまぶきのメンバーが、

支援を願う人たちと「福島復興まつり実行委員会」を結成。

 

第1回を2012年に行い、福島からの思いを詩にして劇団青年座の朗読、

 

川越出身の数野麻衣子さんのソプラノ独唱と佐々木崇さんのピアノ演奏などを行いました。
第2回は2013年3月3日、「福島と沖縄」をテーマに、
かりゆし会によるエイサー公演、
「福島の今」「島に生きる」という二つのお話しがメインとしてありました。
昨年の第3回は2014年3月9日に開催、
福島県双葉町前町長井戸川克隆さんを呼んだ講演に、
川越西高校合唱部による「花は咲く」などの合唱をお送りしました。
花は咲く、では涙ぐみながら歌っていた高校生たちが印象に残っています。

 

第4回となる今年は、「福島を・震災を・忘れない」をテーマに据えました。
これまではやまぶきホールでの開催でしたが、今年は1200席の大ホール。

 

①「父・米倉斉加年を語る」子息 米倉日呂登さんによる
絵本「おとなになれなかった弟たちに・・・」の朗読と舞台劇
②ドキュメンタリー映画「天に栄える村」縮小版上映と監督・原村政樹さんのお話
③エンディングのC-crewのダンス

 

4回目となる福島復興まつりでは、当初、米倉斉加年さんの講演をメインに考えていた。
Peaceやまぶきの松尾さんたちは、米倉さんの講演を川越で実現したい、と

 

米倉さんの舞台に足を運び、マネージャーを通して思いを伝えてもらった。
米倉斉加年さんは快く了承してくれ、川越にやって来てくれる予定でした。

 

米倉斉加年さんは、1957年に劇団民藝入団、俳優としてだけでなく演出家としても活躍。
著書『おとなになれなかった弟たちに…』は、
中学1年生の国語教科書(光村図書)に採用されている(挿絵も本人によるもの)。
第1回、第23回紀伊国屋演劇賞、第11回「新劇」演技賞。
絵師としては、ボローニャ国際児童図書展にて、1976年『魔法おしえます』で、
1977年『多毛留』で、2年連続グラフィック大賞を受賞。
この展覧会で大賞を2年連続で受賞したのは彼が初めてである。

 


Peaceやまぶきが1年前から福島復興祭りに参加をお願いしていた米倉斉加年さんでしたが、

惜しくも2014年8月26日に急逝されました。
予定していたイベントをどうするか話し合い、そこでご子息の日呂登さんから、
お父さんの意志を引き継ぎ、

「父が書いた絵本を元にした朗読劇を上演したい」と提案があり、

自身が所属する海流座の面々と川越で演じられることになりました。


さらに復興まつりでは、ドキュメンタリー映画「天に栄える村」上映と監督原村政樹さんのお話しを予定。

この映画は福島県天栄村を舞台にしたもので、

監督を務めた原村さんは川越在住の記録映画監督。

「素晴らしい映画なのに川越で上映がないのは残念。子どもたちに見てもらいたい。
それなら自分たちで立ち上がって上映しよう」と考えたやまぶきが、

復興まつりで上映することに決めました。

原村さんはこれまでずっと記録映画に携わり、NHKの「川越新日本風土記」も撮っていた方。
現在は山形で記録映画の撮影中だそうです。

 

この復興まつりの定番となっているのが、ロビーで開かれるバザール。

 

数々の出店が並ぶバザールは、例年は会館内ロビーで行っていましたが、

今年は野外駐車場で開催しようと目論んでいた。

残念ながら8日は雨で、野外バザールは中止となりましたが、

ロビーには所狭しと出店が並び、開場時間になるとどっと人が押し寄せ

各ブースに人だかりができていた。

◆バザール
1. 天栄村 米・農産物
2. 須藤喜美子 帯地・古布の小物
3. 臼井ガーデン 鉢物
4. 川島いちじくジャム
5. 西村・森田  陶器
6. 岸てるみ 陶器
7. いもの子作業所 せんべい等
8. 自立の家 乾物手作り品
9. くるみの木 コーヒー、クッキー
10. あいアイ美術館 障がいのある人たちの作品展示・ポストカード
11. 南相馬デイサポートぴーなっつ 福島支援品、手作り品
12. グループ四つ葉のお店
13. いのちの電話 小さなバッグ小物
14. ふだんぎや 洋服・小物
15. 新婦人のお店 手作りおもちゃ
16. 松尾ショップ 京都の手染めTシャツなど
17. 成田姉妹店
18. 西城ショップ
◆手作りワークショップ◆
①紀子つりびな館
②自立の家 メッセージカード




 

 

 

 



埼玉新聞に掲載されたこともありますが、この集客力がやまぶきの持つ力。
第1回の復興まつりでは、6つのお店と1つのワークショップのみでしたが、
回を重ねるごとに出店数は増え、今回は展示2、出店23、2つのワークショップという充実ぶりでした。

 

これまで川越でさまざまな企画を実現してきて、

 

それらは単発の点ではなく一本の線で繋がった一貫性があり、毎回想いと熱意を込めて開催してきた。
だから、続けるごとに信頼が増し、人が集まっているのだと思います。
2014年11月に開催した「ぞうれっしゃがやってきた」の時もそうですが、

落合恵子さんを招くことができたのも、やまぶきの松尾さんたちの行動力の賜物。
一見、そんな大それたことを!と思わせるようなことでも、最後には実現してしまう。
実現するだけでなく、たくさんのお客さんを呼び、ホールを人で埋めてしまうからいつも圧倒される。

ロビー右手に出店していたのは、福島県天栄村からやって来た3人、

「天栄米」を作っている天栄米栽培研究会の方々。

天栄米栽培研究会とは、福島県岩瀬郡天栄村にあるブランド米の栽培組織。
天栄米は、米の国際コンクール『米食味分析鑑定コンクール国際大会』において、

5年連続金賞に輝いています。


特別栽培米「天栄米」。
従来の栽培に比べ、農薬の使用成分を従来の栽培より50%減らし7成分、
窒素成分で化学肥料を50%低減し有機物による肥料成分を確保した肥料を使用することにより
安心・安全な米作りを行っている。

天栄米を作っている一人は、「去年は700俵収穫しました」と話す。

 

そう、この日上映されるドキュメンタリー映画「天に栄える村」にて、

 

原村監督がずっと追いかけてきた土地と人の天栄村から、3人がやって来て

大ホールロビーで天栄米を中心に野菜などを販売していました。

(天栄村の天栄米栽培研究会3人と原村監督)

天栄村の魅力を、

「米も野菜も美味しい、温泉もスキー場もある、ペンションもたくさんあってリゾート地なんです」

と話す天栄村の方々。

このブースは特に人気で、見る見るうちに米も野菜もなくなり、あっという間に完売。

その事実に一番驚いていたのがなにより、天栄村の方々。

「こんなに売れるなんてびっくりです。もっと持ってくればよかったです」

と表情をほころばせていました。

 

また、会場には福島県浪江町出身の方々もやって来ていた。

 

現在は福島市内の仮設住宅に住まわれているといいます。川越には初めて来たとのこと。

やまぶきのメンバーが、福島県に慰問に行った時に知り合った縁で、この復興まつりに招待しました。

来場者の中には東北出身の方も多く、

ロビーでは「実は私も浪江町出身なんです」と意気投合する場面もあり、

東北に所縁のある方を含めると、多くの東北人が詰め掛けていました。

 

ホールの一角には、あいアイ美術館の出店。

 


ポストカードとともにブースで販売していた絵馬は、

1月の展覧会で制作していたものだった。
小江戸蔵里の近くにあるぎゃらりー六左ヱ門 で開催されていた「ニューイヤーいっぴん展」。

http://ameblo.jp/korokoro0105/entry-11980562181.html

会場で、伊藤さんが描いた富士山と杉田さんの愛という文字、

二人の合作による絵馬を制作していたのを覚えているでしょうか。

 

 

(2015年1月ニューイヤーいっぴん展より)

これらは復興まつりのために準備し、この日ブースにてお披露目、販売されていました。

 

そうこうするうちに、ロビーのバザールはあちこちで完売が続出しました。

 

こんなに賑やかな雰囲気のイベントはそうそうない、出店者さんたちがみな目を丸くしていました。

 

13:30、ロビーにブザーが響き渡り、第4回福島復興まつり開演。
始めに、Peaceやまぶき代表の松尾さんから挨拶があり、

 

続いて米倉日呂登さん含めた海流座の人たちによる朗読劇へと続いていきました。


 


米倉斉加年さんのご子息である日呂登さんが所属する海流座の旗揚げが2007年。

 

今回上演する朗読劇は、

お母さんである米倉テルミさんが書いた小説「友情夢譚」と

お父さんの米倉斉加年が書いたエッセイ集「道化口上」という二つの作品を元にして構成したもの。

 

「朗読会は毎月行っていますが、

 

それを発展させる形で舞台で演じる芝居にしたかった」と話す日呂登さん。

この川越の舞台が初めての上演、本邦初ということです。
朗読劇に出演する海流座の面々は、

若き日の米倉斉加年役を演じるのは彼の最後の弟子、

それに斉加年さんの勉強会に参加していた方、

斉加年さんとは劇団民藝時代から共に演劇に打ち込んできた仲間、といった

所縁のある方々が演じました。

 

 

 

 









休憩の後に上映されたドキュメンタリー映画「天に栄える村」は、

福島第一原子力発電所の事故で放射性物質にさらされた福島県天栄村の農家の人々が、
農業復興のため苦境に立ち向かう姿を描いたドキュメンタリー映画。

 

福島第一原から70㎞離れた福島県天栄村は、里山に囲まれた人口6000人ほどの小さな村です。
恵まれた自然環境を大切にしながら、村の人たちは農業を営んできました。
日本一美味しい米作りを目指す農家グループ「天栄米栽培研究会」は、

 

米の美味しさを競うコンクールで5年連続金賞を受賞という成果を残しました。

 

しかし・・・2011年3月の原発事故で放出された放射性物質は、

 

この村にも降り注ぎ、田畑は汚染されてしまいました。。。
震災と、放射能汚染による二重の苦難、それでも、農家は米作りを諦めるわけにはいきません。

この土地で生き、田畑を未来へ引き継ぐために、

農家の人々は、出来ることは何でもやろうと立ち上がり始めました。
科学的調査をもとに未曾有の環境破壊を乗り越えようとする農家の苦闘する姿を追った映画です。

 

監督の原村さんが天栄村に始めて足を踏み入れたのは2009年のことでした。

 

当時はNHKのETV特集の撮影のために天栄村に入り、

耕作放棄田を再生させる動きを取材し番組を作りました。

原発事故の後も、農家が米づくりに取り組む姿をETV特集で作った。

そして、ETV特集という仕事を離れても、もっと撮影したい、と

個人的に天栄村、天栄米の取材で現地に足を運び、カメラを回し続けた。

2013年に完成した映画が、「天に栄える村」です。映画はこれまで各地で上映されてきました。



映画上映の後は、監督を努めた原村さんのお話しがあり、また、

映画にも登場し、ロビーで天栄米を販売していた天栄米栽培研究会の方のお話しもありました。
今回の上映は本編の縮小版となっていましたが、
なんと、この復興まつり開催を契機として、川越スカラ座での完全版上映も決まった。

縮小版であっても復興まつりで上映されることが、こうして他に影響を及ぼしていくことになりました。

川越スカラ座「天に栄える村」

3月14日(土)~20日(金)(火曜日休館)10:30~、15:30~で上映されます。

(川越スカラ座のサイトから映画紹介

http://k-scalaza.com/more/more.html
初日舞台挨拶には、天栄村役場産業振興課長 吉成邦市さんのお話し、
監督舞台挨拶は、18日、19日、20日初回上映終了後。
また、初日・最終日には、

料理人安田花織さんが天栄米を使ったおにぎりのケータリングも実施されます。

ホールの舞台ではその後、ダンスパフォーマンスで、

客席含め会場いっぱいを舞台にして激しくも楽しいダンスが披露されました。


復興まつりにダンスというのは、今までにない試みですが、
昨年の「ぞうれっしゃがやってきた」に出演していた一人が、

実はダンサー集団C-crewに属していて、その縁から今回の舞台が決まったとのこと。
一つの縁がいろんな展開を見せるものです。

最後は、復興まつり毎回恒例となっている「ふるさと」の合唱で締めくくられました。

 

 


 

Peaceやまぶきの今後は、2015年7月26日(日)にピアニスト佐々木崇と

 

日本フィルハーモニー交響楽団ヴァイオリン奏者松本克己さんのコンサートを開催。
そして、今年の夏に企画しているビッグイベントが、

2015年8月30日(日)開催
日本フィルハーモニー交響楽団によるコンサートです。
この春完成したばかりのウェスタ川越の1700席のホールで、

総勢70人以上になる日フィルの演奏を実現するため皆さん今必死に動いています。

これが実現したら、

2015年の川越の大きな話題になるのは間違いありません。
この日の復興まつりにも、日フィルの方が様子を見に来場し、

ホールを埋め尽くした人の数の多さに驚いていました。

Peaceやまぶきならウェスタ川越も満員にしてくれるだろう、

そう確信していたかもしれません。両者の関係は夏に向けて深まっていきます。

 

第4回福島復興まつりも、大盛況のうちに幕を閉じました。

 

「米の収穫は、9月の彼岸頃。今年もいいお米を作りますよ」

そう、力を込めて語っていた天栄村の方々。

 

これからも、美味しいお米を作り続けると決意しています。

 


 

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